マッチスティック・メン

2003年 アメリカ   監督:  出演:ニコラス・ケイジ サム・ロックウェル


5月10日。「グリーンマイル」のぶち切れた演技に何故かやられ、それ以来大好きなサム・ロックウェル。「キャメロットガーデンの少女」のグレたロリコンも、「チャーリーズエンジェル」の性悪ダンシングマンも、どっちもタマイ的にヒットだったので、彼の出演作品はぜひ制覇したいと考えた。加えてニッキだし。

主人公ロイは潔癖症で精神不安定な天才詐欺師。チリとシミに吐き気を催し、薬に依存しながらも、見事に鮮やかな手口で、暴力を振るうことなく、人々から金をせしめている。ハラハラドキドキもいっぱいだが、ちょっとええ話やな〜〜とか思っていたらどえらい目にあった!最後に大どんでん返しが!!私は期待を裏切られるのはキライだ。あまりに予想外のどんでん返しは、驚くけれども気分が悪い。しかしこの映画はその後の「ちょい返し」で見事に救われた。

これは愛の物語。潔癖を気に掛け過ぎて人を愛せないロイが、愛によって救われるストーリー。彼は3人の大切な人たち(相棒、愛娘、分析医)に愛され、彼らとの生活によって精神の安定を保ち、人としての感情を取り戻した。それは間違いない。それは間違いないんだよ。間違いないんですよ。・・・・・・その理由がどうあれ。マッチスティックマン=天才だからだったとしても・・・。

サムはかっこよかったよ〜。やっぱりあの顔好きだな。なんでだろ?全然他の好きな俳優とタイプ違うんだけどなぁ。ゲーリー・オールドマンにちょっと似てるけど、別にゲーリーは好きじゃないしなぁ。不思議だ。

4つ星。☆☆☆☆




8人の女たち

年   監督:  出演:


5月10日。公開された頃、その映像と衣装のかわいらしさ、鮮やかさから観てみたいな〜と思っていたこの作品をやっとのこと観てみる。

期待通り衣装はとても素敵で、途中途中にヘタカワイイ歌とダンスが入って楽しめる。しかし内容はとんでもない泥沼。密室空間で起こる殺人事件。そこにいた8人の女たちが互いに牽制し合い、疑い合いながら、真相を追究してゆく。その過程で8人の秘めた思いや秘密の出来事が明らかになってゆく。

こんな女になりたくない・・・。でも不思議と女に生まれてよかったな、と思える。なぜなら女ってこんなに強い。泣いて叫んで醜く嫉妬して憎みあっても、したたかに、楽しんで人生を送れそうだから。悲惨なことが起きたって、この「8人の女たち」は次の日にはケロッとして、自分中心の世界をそれぞれ闊歩すんだろうな・・・・・・。衣装とダンスが無ければ救いようのない暗い話になり得るが、それぞれの女たちの誇張された感情表現や、日常会話たり得ない台詞まわしで、滑稽さが加味されている。・・・ジャンルでいうとギャグサスペンス?

この映画の「女」の描き方には、愛情と悪意を感じる。監督にとって可愛さ余って憎さ百倍の存在なのかしら。おそるべくも、愛すべき「女」という生き物。たった2時間で「女」の集約された姿を見られた気がする。

すでに舞台として成立している。学園祭とかで演劇部がやればいいのにな。・・・でも、中高生が観るようなストーリーじゃないか・・・。「女」に対する夢も理想もありゃしねぇ。・・・でもかわいいんだよね〜「8人の女たち」。

3つ星。☆☆☆




ブリスター!

2000年 日本  監督:  出演:伊藤 英明  山崎 裕太


11月22日、伊藤英明が主演という一事で見る。陰陽師Ⅱでちょっと盛り上がったからな〜〜。

フィギュアオタクの青春映画というとアホっぽい響きだが、エゴや差別、意思の弱さといった人間のどうしようもないサガを描き出すことによって、結構マジな人間ドラマになっている。

しかしこの映画の面白いとこは、そんな人間ドラマが小さくまとまってないとこだ。フィギュアの世界と現実を行ったり来たりする主人公が、最後には、やっぱり生身の人間である恋人が一番大切だ、と気付き、めでたしめでたしちゃんちゃんっと終わるのかと思いきや、その後スケールのでかい、オドロキの展開が待っている。……内容は見てのお楽しみなのだが、イイ意味でぐわ〜〜っっと世界観拡がっちゃって、「ああ、人生もアニメやSFみたく、夢みたいなもんかも・・・案外夢物語みたいな近未来だって来るかもしんないじゃんね。」って思えるのです。この映画はありきたりじゃねえぞ、という感じ。つべこべ言わせず面白い。でも、もしかしてこのラストの展開も、主人公ユウジの創造の産物なのかもなあ・・・・・・。

この映画によき味付けをしているのが、山崎裕太の役どころ。才能もこだわりも気合の入りっぷりも良い。「オタク」って言うのはここまで極めると「アーティスト」と呼ばれ始めるんだろうな、という人物。女の子には気持ち悪がられてフラれちゃっても、作品中で言ってるように「アインシュタインは物理オタク、コペルニクスは天文オタク、手塚治虫は漫画オタク・・・」って、うんうんそのとおり、って納得しちゃいます。

3つ星。☆☆☆




陰陽師Ⅱ

2003年 日本  監督:滝田 洋二郎  出演:野村 萬斎  伊藤 英明


11月1日、久しぶりに映画館に足を運ぶ。「パイレーツオブカリビアン」以来かもしれんな。「陰陽師」は原作こそ読んでいないものの(あかんやん!)漫画と主演の萬斎さんと伊藤くんのファンであるので、どんなに前評判が悪かろうとなんだろうと、絶対映画館で観ようと思っていた作品であった。

前作の映画は、原作の妖しくて幻想的な雰囲気そのままに、晴明と博雅のボケツッコミ・・・もとい友情も描かれていて、とっても満足ゆくものであった。原作を映画化した作品って結構微妙な時が多いけど、陰陽師は良かった。(話飛ぶけど、「ピンポン」も良かったなあ・・・原作とは別領域の良さまであった・・・)

率直に言うと「陰陽師Ⅱ」・・・おもしろかったっすよ。色んな意味で。まず、前作よりエンターテイメント性が確実に上がった。CGとアクションがすごい。どっかんどっかん言って、いす揺れました。あと展開が早くてめくるめく感じに。・・・これは良いのか悪いのかわかりませんが、原作のゆる〜〜い感じというか、大変なことになってるのに不思議と落ち着いた感じというのがなくなった。哲学的教訓を含んだ、淡々としたストーリー展開でもない。・・・ん〜〜、なんというか、ほんとハリウッド張りのエンターテイメントになった。「おもしろい」んだけど、原作の雰囲気が失われたというのは良いのか悪いのかわからんな〜〜。

残念だったのは伊藤君=博雅が今回ひたすらに観客を笑わせる役に徹してしまっていること。前回は望月の君を愛する姿がちょぴっとかっこ良かったが、今回は同じく日美子(深キョン)に恋してはいても、なんかかっちょわりぃんだ〜。でもこれがまたウケるんだ〜〜。伊藤君、「僕魔」とかやって、すっかり3枚目が板についちゃったのね・・・

それに比べて萬斎さんは非の打ち所なくかっこ良い。作り手側もかっこ良く美しく撮るぞって思っているのがよくわかる。・・・最近WOWで萬斎さんの舞台とか観るけど、ほんとにすてきっすよ。一番勧めたいのは「まちがいの狂言」。ほんとの狂言好きには邪道って言われるのかもしれないけど、こんなにすんなりと馴染めて素直に笑える狂言ってないんじゃないかなあ、と思います。

4つ星。☆☆☆☆



ニュー・シネマ・パラダイス

1989年イタリア・フランス  監督:ジュゼッペ・トルナトーレ  出演フィリップ・ノワレ ジャック・ペラン


10月18日、名作の穴を埋める。姉曰く「お前は新作はだいたい観てるけど、古い名作が抜けている」・・・ということなんで単館映画の火付けとも言われるこの作品を観てみました。

トト少年とアルフレード老の友情と、小さな映画館を中心に描かれる村の人間模様、それから故郷と自分の進むべき道の選択がこの映画の3つの柱だと思われます。

トトの少年時代の話は、第2次世界大戦を背景としながらも、舞台となるイタリアの小さな村の人々が元気で明るくってアホみたいに映画が大好きで、なんか幸せな気分になります。前半は風景も楽しめて良い。・・・しかし、後半が間延びするんだな〜。もったいない。

しかし、ぐい〜〜っと持ち直すのはラスト。アニー・ホールでも思ったんだけど、やっぱラストシーンの良い映画は良いよ!!途中がいくら良くったって終わりだめなら全てだめ。この映画のラストは相当良い。アルフレードの友情の強さ、愛の深さに涙します。あと故郷を離れている人はきっと実家のかあちゃんに電話します。ん〜〜素晴らしい。だーかーら、名作なんだろう、と思うくらいに。・・・だって青年時代のトトったら照英にそっくりなんですもの・・・頭の中を照英が駆け巡りました。うお〜〜!って・・・。少年時代はあんなにかわいくって、中年時代(?)はあんなにダンディーなのに。

あと、先ほどふと手に取った竹中直人のエッセイに偶然ニュー・シネマ・パラダイスのことが書いてあった。・・・竹中さん吐き気を催もよおしたそう・・・ネクラそうだからなあ〜あの人。そこで彼が絶賛していたのは「デリカッテセン」・・・グロそうだ。

3つ星。☆☆☆


アニー・ホール

1977年アメリカ  監督:ウッディ・アレン  出演ウッディ・アレン ダイアン・キートン


 10月11日、遂に観たい観たいと日頃思っていたこの作品を観ました。たいがい映画っちゅうもんは期待しすぎるとガッカリするけど、この映画は違った。やっぱり、観て良かった。

 全編がウッディ・アレン演じるアルビーの、ありとあらゆる事への皮肉とブラックジョークに満ちている。でも皮肉を言う対象について、そこまでかってくらいよく知ってるから、逆に好きなんじゃないか、と思えてくるほどだ。・・・うむ、多分そうなんだと思う。「人生は悲しみと哀れみだ。人間なんて馬鹿ばっかりだ。もう全てがうんざりだ。俺は精神を病んでんだ〜〜・・・」と何かにつけてアルビーは不満たらたらだけど、そんな情けない彼も、馬鹿な隣人たちも、この映画観てると、たまらなく愛しくなってくる。それは監督であるウッディ・アレンが、同じように彼らを愛しく思っているからだろうと思う。「人生は悲しみと哀れみに満ちてるけど、やっぱり楽しいよ。人間は馬鹿ばっかりだけど、だからこそ好きだよ。みんな大好きだ〜〜・・・」って言ってるみたい。

 素晴らしいのはダイアン・キートン演じるアニー・ホールのミューズぶり。女神っすよ。取りたてて美しいって訳でもないのだが、すげーかわいらしい。こんな女性になりたい。そしてここまで愛されてみたい。・・・相手はアルビーじゃ嫌だけど・・・。

 あとラストシーンが最高です。たまいが観た映画の中でも群を抜く素晴らしさ。・・・胸が締めつけられるっす。きゅ〜〜っと。

5つ星!!☆☆☆☆☆


たまいル〜〜ムへ|