SPECIAL CONTENTS 思いつきの特別企画

2001年3月24日からリバイバル上映されている
日本の異端児巨匠・鈴木清順作品の数々。
管理人・カコも虜にされた清順ワールドを
是非皆さんも体験してみて下さい。


初めて清順映画を観た時の感想は、

・・・わけわかんねぇ。

ストーリーはよく分からんし、気まぐれとしか思えないタイミングでインサートされる画面もこれまた謎。オチもオチているのかいないのか微妙。なんなんだよ、この妙な映画???

解るわけないです。だって鈴木清順氏は「ワケのわからん映画を作るから」というとってもファンキーな理由で映画製作会社をクビになった経歴を持つ、実に素敵な御人なのですから。ワケわかんねーからクビって、これまたもの凄い直な解雇理由ですね。

要するに逐一説明不足なのですな、鈴木監督の作品は。しかし、そんなワケのわからん清順映画、一度観ると不思議と心に残ります。説明不足故に観手の想像力をかき立てるのかもしれません。「敢えて描かないけど、後は貴方の煩悩全開で淫靡な想像して下さい」ってなスタンスがステキ!ここまで饒舌さを排除した映画ってなかなか無いのではないでしょうか。クドクドと言葉や行動を織り重ねるのではなく、一枚の絵画のような映像をバシッと決めて、ハイそれだけ。でも鈴木清順監督の特異な色彩感覚と構図から生まれる美麗映像絵巻は、それのみで何かを語り尽くしてしまっている感じがします。ドロドロ情念系の物語でも、彼の手にかかればたちまち格好良く削ぎ落とされて、清順印の映像歌舞伎ワールドと化す。これぞ才能。これぞ映画作家。

そんな清順節に筆者は今や虜。思えば清順映画にはあらゆる初体験を奪われました。「ツィゴイネルワイゼン」を観て、初めて1日に同じ映画を3回繰り返して観ました。図書館を探し回って初めて脚本というものを読みました。登場人物の風来坊のマネをして初めて一人旅をしました。「陽炎座」を観て、酸漿を口で鳴らす練習をしまくりました。「夢二」を観て、勢いで竹久夢二記念館に行ってしまいました。私のバージンをことごとく奪い尽くす清順映画。脅威です。映画って怖いですね。

清順映画が今リバイバル上映されていることはもの凄くラッキーだと思います。「ツィゴイネルワイゼン」公開当時、パンツ丸出しで公園走り回ってた自分を何度嘆いたことか。だから昔を偲ぶ小粋なおじさま&おばさまだけでなく、若さにはちきれそうな皆さんも是非この機会に劇場で清順映画の洗礼を受けて欲しいものです。鈴木清順。日本一のフィルムメイカーだと思います。アイウォンチュー。


D E E P S E I J U N

2001年3月24日より名古屋/シネマスコーレ、東京/シネセゾン渋谷、
大阪/シネ・リーブル梅田ほか、札幌/シアターキノなどで以降順次全国公開

ツィゴイネルワイゼン

1980年
監督:鈴木清順
出演:原田芳雄、大楠道代、
藤田敏八、大谷直子
陽炎座

1981年
監督:鈴木清順
出演:松田優作、大楠道代、
加賀まりこ、楠田枝里子
夢二

1991年
監督:鈴木清順
出演:沢田研二、広田レオナ、
原田芳雄
さあみんなで
清順ワールドへダイブイン。

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