結局は《自己中チャラ男君の災難物語》なのだけれども、どんな話かと問われるとかなり答えに困る不可思議な本作。

『オペラ座の怪人』のような『マトリックス』のような、
三文メロドラマのような初恋ピュアピュア物語のような、
心理スリラーのようなSFサスペンスのような・・・

レンタルビデオ屋に入荷された時にゃ、どのジャンルに分類して良いもんか、確実に店員を悩ませるであろうシロモノです。とにかく複雑。とにかく奇怪。何か新しいモン作ってやるわい、という若手監督の気合に満ち満ちております。（これだけのモン作っておいて、監督のアレハンドロ・アメナーバルはまだ20代ピチピチですから。才能って素敵。）

その若さ丸出し不思議ストーリーの面白さは、トム・クルーズによって証明済み。本作をビデオ鑑賞したトム大スター様は、早々にリメイク権を買い取り自らプロデュースまでして「バニラ・スカイ」を完成。いくらトム殿がトップ・スターであるとはいえ、監督・スタッフ・キャストが一丸となって作品の為に動くのですから、オリジナルである本作にかなりの創作意欲刺激パワーがあったと言えるでしょう。

そしてもう一つの見どころが、ヒロインを演じるスペイン直輸入な愛の狩人、ペネロペ・クルス。役どころが女神のような理想の女性像という効果もあって、可愛さ満点、露出度満点、魔性度満満点。前段の話とは若干矛盾しますが、トムがリメイク権を取得した動機の8割方は、コイツとイチャつきたかったからでしょう。言うなれば、金のかかった大セクハラ事業。そして今やペネロペに入れ込んで、妻二コールをポイ捨てだもの。二コールにとっちゃ呪いの映画ですね、本作は。

というわけで、ストーリーもゴシップもお腹大満足な「オープン・ユア・アイズ」。様々な人間の情熱と怨念に身を震わせながら是非御覧下さい。