JACK LOVES GOOD MOVIES FILE1 BLUE VELVET

暖かくて冷たい。柔らかくて痛い。
リンチ印のナイトメア・ワールド。

ブルー・ベルベット
ORIGINAL TITLE : Blue Velvet

加工PHOTO BY カコ
STORY
平凡な大学生ジェフリーはふとしたことからクラブ歌手ドロシーの家に忍び込む。そこで彼が見たものは驚愕のSM倒錯世界だった・・・
1986年製作・アメリカ・121分

STAFF
監督:デイヴィット・リンチ

CAST
カイル・マクラクラン
イザベラ・ロッセリーニ
デニス・ホッパー
ローラ・ダーン
VIDEO&DVD INFO.
レンタルVHSリリース11.22.1998
字幕・無修正完全版
COMMENTS

平凡な大学生がひょんなことから偶然足を踏み入れてしまう、禁断の倒錯世界。1960年代の名曲「ブルー・ベルベット」にのせて鬼才リンチが描く衝撃のSMワールドは、「日常に潜む恐怖を描き出す」なーんて評されて沢山賞貰ってますが、そんなクソ真面目な事考えてたら、本作を楽しむことは出来ないと思うのです。

だって綺麗なんですもの。リンチの変態世界って。ボビー・ビントンの甘い調べに極彩色の美映像が重なって、そこはもう脳味噌昇天状態の楽天地。こんなミラクルワールドを目の前にしながら、「日常に潜む恐怖」だの「社会に巣喰う病理」だのと理屈こねるなんて損です、絶対。常識?倫理?そんなもん捨てた方が賢明です。18過ぎりゃ人なんて大概人間失格のヨゴレ生物に堕してますから、どうせならリンチ製アブノーマル世界を心ゆくまで楽しんだ方が宜しい。これぞ本作「ブルー・ベルベット」の素敵な味わい方。

そう考えると、主人公がいたってフツーのそこらの兄ちゃん的人物であるという設定が効いてきます。つまり、刺激の無い毎日に腐りかけてる私ら一般人にも、すぐ側に猟奇なワンダーランドが待っているかもしれない、そんな気持ちにさせてくれるのです。胸躍りますね。ドキワクですね。主人公にドップリ感情移入すれば、そのドキワク感は最高潮です。見ちゃいけない、触れちゃいけない18禁ワールドにダイブ・イン!

わかってます。リンチ監督が言わんとしている事は、こんなバカ丸出しのプチ変態体験ツアーじゃないってことくらい。「ブルー・ベルベット」。良いタイトルです。温もりと冷ややかさが同時に伝わってくるこの素敵なタイトルには、日常と地続きの悪夢、相反する2つの世界が等価に存在する人間への客観的な視点がこめられている。そんな気がします。

だがしかし!それでも本作の一番のお楽しみは、まだ見ぬ禁断ワンダーランドを覗き見出来る点だと思うのです。是非見て下さい。そして酔いしれて下さい。リンチ印のミラクルワールドに。

EXTRA INFO.
デイヴィット・リンチ その他の監督作品

「イレイザーヘッド」「エレファント・マン」「砂の惑星」「ワイルド・アット・ハート」「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最後の7日間」「ロスト・ハイウェイ」「ストレイト・ストーリー」


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