JACK LOVES FRESH MOVIES FILE3 QUILLS

残忍、猥褻、享楽。
悪徳の根源となった男の真実がここにある。

クイルズ
ORIGINAL TITLE : Quills
STORY
18世紀末、フランス。猥褻文書分布の罪で精神病院に送られたサド侯爵は、あらゆる妨害にも屈せず壮絶な執筆活動を続けていく・・・。
2000年製作・米・123分

STAFF
監督:フィリップ・カウフマン

CAST
ジェフリー・ラッシュ
ケイト・ウィンスレット
ホアキン・フェニックス
マイケル・ケイン
公開予定
5/19よりスカラ座2他
全国東宝洋画系でロードショー中
札幌では6/23からシアターキノで上映
COMMENTS

【サディズム】相手の体を痛めつけて満足する性的倒錯。
(岩波 国語辞典 第5版より)

誰もが御存知のこの言葉。でもこの素敵なフレーズの語源となったマルキ・ド・サドという人物についての真実を知る者は、意外に少ない。かく言う筆者も大して知識は無いのですが。かの有名有害図書「悪徳の栄え」を書いた極悪オジ様って事くらいの情報しか持ち合わせておりません。

そう、「悪徳の栄え」。サドは文筆家だったのです。ナポレオン統治下の言論統制の為精神病院に幽閉されながらも筆をとり続けた、実にストイックな反骨精神溢れる芸術家だったのですね。本作はそんなサド侯爵の壮絶な晩年にスポットを当てた、なかなか目の付け所の良い作品です。あらゆる障害にも屈することなくひたすらに言葉を紡ぎ続けた男の半生。素晴らしいですね。芸術ですよ、芸術。

なんて、芸術とかほざいてますが、何と言ってもSの由来になった御人の物語ですから、本人はさぞかし凄いフロンティアSだったのだろうと嫌がおうにも興味が湧きます。本作で描かれるサドはあくまでも文筆家仕様ですから、あらゆる描写の核は「言葉」。つまり、映像による直接描写ではなく、言葉で妄想を煽っていくというワケ。ブラボー!さすが名匠フィリップ・カウフマン監督、崇高な芸術的好奇心と微笑ましい庶民的興味を同時に満たすなんて、なかなか出来る事じゃありません。

加えて、サドを演じるのはオスカー俳優ジェフリー・ラッシュ。その周りを固めるのはマイケル・ケイン、ケイト・ウィンスレット、そしてアカデミー助演男優賞ノミネートで今が旬のホアキン・フェニックス。演技派が揃ったキャスティングも豪華。

一芸術家の生きざまを真面目に味わうも良し、サディズムの大家を舌なめずりして観察するも良し、どちらにしても見応え大の期待作です。


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