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映画発掘、第三回・キアヌ・リーヴスの出世街道
柳下 徒是有(どぜう)

キアヌ・リーヴス。さほど超大作でもない『スピード』で一躍有名になり、『JM』で 北野武と共演し評判になった。最近では『マトリックス』に出演しすっかり世界的ス ターとなってしまった俳優。

さて、『スピード』がヒットした時、社会学的考察をした人がいたんですなあ。
『スピード』における町の描写は、通り過ぎるだけの背景にすぎない。これは地域コ ミュニティが崩壊し、人間関係が希薄化した現代社会を表現し云々。

へ理屈ですな。人間は自分達の支持するものになんらかの意味付けをしたがる業があ るようです。面白いからヒットした、では納得できないというわけですね。

で、絶対に社会学等で理屈付けできない、というか理屈付けする気にもならない、 彼が過去に出演していた馬鹿映画をとりあげてみたいと思うのです。

映画のタイトルは、
『ビルとテッドの大冒険』
あらすじ。
この映画でキアヌ・リーヴス君は主人公の悩める天才音楽家を演じている。こう書く と誤解されそうである。楽器は何か?ピアノ?バイオリン?いいえ違います。明日の 歴史のレポート発表試験で不合格だと、学校をやめなくてはいけないロケンロール野 郎の馬鹿学生であります。

学校をやめるとバンドは解散、困り果てている主人公二人の前に未来からの使者がや ってきます。なんだか、タイムマシンの外観が、電話ボックスそっくりなんですがそ んなこと気にしてはいけません。その使者は告げます。『このタイムマシンを使って 歴史のレポートをまとめたまえ』ありがとうドラえもん!(嘘)

そんなわけで彼等は考えます。レポートを書き上げるのも面倒だ。いっそのこと歴史 的人物を集めてその場で発表してもらおう。
この短絡的発想で彼等は即座に偉人達を次々と連続誘拐します。馬鹿だ、こいつら( 褒め言葉)。

で、適当にソクラテスと議論して
キアヌ『やあソクラテスさん。俺達は風に舞う砂だ。』
ソクラテス『???。』
キアヌ砂を掴みます。
キアヌ『砂。』
キアヌ、砂を吹いて飛ばします。
キアヌ『風。・・・・。』
ソクラテスさん、感動して『おお!これぞ人生の真理!』とか叫んでいます。アホで すな。

このように偉人達を感動させたりナポレオンをボーリングに連れていったりリンカー ンをデパートに連れていったりして、レポートの素材(偉人)を集めるのですが、予 想のつくようにカルチャーギャップから問題を起こしてしまいます。

弟に預けておいたナポレオンが行方不明になります。
激怒して『お前はナポレオンをなんだと思っているんだ!』
その言葉、そっくり返すよキアヌ君。

結局はレポート発表でAを取ってめでたしめでたしと、そんな映画です。

続編『ビルとテッドの地獄旅行』では、『大冒険』で明らかになった事実、ビル&テ ッドは世界の歴史を左右する偉大なロックンローラーになる、が物語の発端になりま す。

未来世界のアンチ・ロックンロールの過激派が『ロックンロールなんて大ッ嫌いだ! 』のモットー(非常に馬鹿馬鹿しい)のもと、タイムマシンでサイボーグ暗殺者を送 り込んできます。

サイボーグ対ビル&テッドになるかと思いきや、主人公二人はあっさり死にます。で 、死神に会います。死神は、勝負をして勝ったら復活、負けたら地獄行き、そんな要 求をしてきます。

地獄の風景は、『誕生日に祖母にキスされそうになった思い出』とか『縫いぐるみの 顔が気持ち悪かったトラウマ』とか『腕立て伏せ十万回』とかで、我々の先入観を打 ち壊してくれます。
主人公二人のコメントが素晴らしい。
『おい!ここはずいぶんと、個人的な地獄だな!』
実に見事に言い当てています。

お約束の通り、死神との勝負(非常にアホらしい)の後、天国から強力な助っ人(史 上最大の科学者、さて誰でしょう。)を連れてきてサイボーグに勝利して、世界デビ ューを果たして、めでたしめでたし。

そんな映画です。

ラスト登場する架空の新聞の記事のスケールがでかい。
『ロックで冷戦解消』『ビル&テッド解散の噂で株価大暴落』『解散は嘘、依然好景 気続く』『死神ソロデビュー』『死神F1レーサーに』『死神口パク疑惑』『核兵器を 解体しギターのアンプに』『ビル&テッド人類初の火星旅行』他。

さあ、あなたの心(ハート)に何が残りましたか?と某評論家に聞かれたら、答えに 窮するような映画です。
唯一言えるのは、ロックンロール万歳万歳!ロックは最高!という教えを受けた事だ ろうか。

世界中の人々どころか、宇宙人にもロックの魂が通じる、等の描写を見るに、アメリ カ人のロケンローに対する誇りはすごいなあ、と感心する次第であります。『マーズ ・アタック』しかり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』しかり。

『ビル&テッド』シリーズ『スピード』『JM』『マトリックス』を立続けに見ること によって、髪型変えたり、役作りのため痩せたり太ったり、背景のCGが豪華になって いったりして、キアヌが世界的スタァになっていく様子が観察できると思います。ぜ ひおためしあれ。

追伸、キアヌ君は今でもバンド活動をしているようです。



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