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Kanonは、Keyソフトの著作物です。
なお、この作品はフィクションです。実在する個人、団体等には一切関係ありません。

いちおう、ALLエンドのつもりです。


「うぐぅ、ゆーいちくーん。」
「あうーっ、ゆーいちー、早く助けに来なさいよー。」
「うー、ゆーいちー。」
「えぅー、まだ祐一さんと恋人になってないのに死ぬのは嫌ですー。」
「栞、相沢君は必ず助けに来てくれるわ。信じなさい。」
酒くさい男が振り向く。
「てめえら、うっせえぞ。今ここでどてっぱらに穴をあけても構わないんだからな。静かにしろい。」
「(うぐぅ・あうーっ・うー・えうー・言葉通りよ)」


人質カノン (上編)
D.Weder

ある朝のことだった。
リズミカルな包丁の音で相沢祐一は目を覚ました。カーテンからお日様が覗く。窓際の観葉植物が笑っている。
眠気は覚めていたのでそのまま着替えてリビングへ行く。
清潔感あふれるリビング、暖簾の向こうのキッチンにはすでに秋子さんが居た。
スリッパの音をぺたぺたと鳴らして秋子さんが顔を出す。
「おはようございます。秋子さん。」
「あらあら、おはようございます、祐一さん。今日から春休みだというのに早いですね。」
「目が覚めてしまったので・・・。」
「丁度今から朝ごはんですよ。あゆちゃんと真琴に声をかけてくださいます?」
「ええ、いいですよ。名雪はどうします?」
「そうですね・・・。寝かせておいてあげましょうか。」
「分かりました。じゃ、2人を起こして来ますね。」
「お願いします。」

ドンドンドンドン
「おーい、あゆー、真琴ー、朝だぞー。」
「うぐぅ、祐一君、そんなにタイヤキ食べられないよ。」
「ゆーいち、こんなに肉まんくれるの? さんきゅー。」
どうやら、それぞれ大好物の夢を見ているようだ。起きてくる気配は全然ない。
(ふーむ、どうしたものか。)
すぐに結論は出たようだ。
「おい、あゆ、真琴、入るぞ。」
ガチャ
祐一が見たものは・・・
ベッドで寝ているあゆと、落ちたのか床で寝ている真琴だった。
漫画が床に散乱している。
「おい、2人とも、起きろ!」
「うぐぅ、タイヤキ・・・。」
「肉まん・・・。」
(仕方ないな・・・)
すうーっ
大きく息を吸い込む。
「秋子さんが謎ジャム作って待ってるぞ。」
「うぐっ」
「あうーっ」
「だおー」
飛び起きた。
(・・・ん、なんか3つ目が聞こえたような・・・。)
(少し声が大きすぎたかな・・・。)
「おお、やっと起きたな。さ、リビングに行くぞ。」
あゆと真琴は少し涙目になっている。
「うぐぅ、ひどいよ。祐一君。」
「そうよ、ゆーいち、よくもあたしの肉まんの夢を・・・。」
「なんだ、まこぴー、またそんな夢だったのか。だからいつまでたってもお子ちゃまなんだよ。」
「まこぴーじゃないわよ。それにあたしはもう立派なレディーなんだから。ふん。」
バタン
真琴は部屋の扉を荒々しく閉めるとそのままリビングへ向かった。
「あーあ、そこら辺がお子ちゃまだってのに。さて、あゆあゆ、俺たちも行こうか。」
「祐一君、ボクまだパジャマ・・・。」
「おお、そうか。んじゃ早く着替えろよ。ここで見ててやるから。」
「うぐぅ、祐一君のいじわる・・・。」
そのときだった。祐一の頭の中にどこからか電波が・・・・
(祐一さん、名雪を相手に選ばないと・・・・・・どうなるか分かってますよね。)
(ぐっ)
誰かは意外と早く分かったようだ。祐一の顔が真っ青になっていく。
「どうしたの、祐一君。」
「い、いや、なんでもない。じゃ、俺、先にリビングに行ってるから。」
祐一はそそくさと出て行った。
「どうしたんだろう・・・。」

祐一がリビングに戻っていくと、パジャマ姿の真琴とすっかり目の覚めた様子の名雪が居た。
「おお、名雪がもう起きてるなんて。今日は吹雪だな。」
「うー、祐一のせいだよ。祐一があんなこと言うから、私起きちゃったんだよー。」
「あんなことって?」
「謎ジャ・・・ううん、なんでもない。」
「ん、今謎・・うっ」
「だ、だめだよ。あれのことをいうとあれがくるんだよ。」
「うぐぐぐぐぐ・・・」
名雪が珍しくあせった様子で祐一の口を押さえる。強く押さえすぎているのか、すでに祐一の顔は真っ赤だ。
「ねえ、名雪、そこら辺にしておいてあげたら?」
真琴が助け舟を出す。
「あっ、ごめん、祐一。でも、祐一が悪いんだよ。あんなこと言うから・・・。」
秋子さんがキッチンから顔を見せる。
「あらあら、賑やかですね。祐一さん、あゆちゃんは?」
「あ、さっき着替えてましたからそのうち来ると思います。」
と、噂をすればなんとやら、
「おはよう」
あゆもリビングにやってきた。髪の毛がまだ少し立っている。
「おはようございます。今日は洋食なんですけどいいですか?」
「ええ、いいですよ。」
「お母さんの作ってくれるものなら何でもいいよー。」
「真琴はなんでもいいわよ。」
「うぐぅ、ボクも。」
「じゃ、名雪、お皿を並べといてね。もう少しだから。」
「うん、わかったよ。」
そこには、いつもと変わらない朝の風景が在った。

そして、朝食。
名雪はいちごジャムにパンをつけている・・・ように見える。
あゆと真琴は普通に食べている。
真琴は祐一の隙を狙っているが。
秋子さんが口を開く。
「明後日は、みんな暇ですか?」
「ええ、暇ですけど。あゆと真琴は、今何もやってないんだから暇だよな。名雪は?」
「うぐぅ、そんなことないもん。」
「そーよ、ゆーいち。あんただってそうでしょ。」
「じゃ、なんかあるのか?」
「うぐっ」
「あうーっ」
「祐一、あんまりあゆちゃんや真琴をいじめちゃダメだよ。私は、予定はないけど。おかあさん、どうして?」
「私の友達がどうぞって、ペンションの宿泊券をくれたんですけど、行きませんか?」
「いいですね。」
「おかあさん、香里たちも誘っていい?」
「ええ、いいわよ。」
「ねえ、ゆーいち、ペンションて何?」
「何だ真琴、そんなことも知らないのか。」
「うぐぅ、ボクも知らないよ。」
「まったく。ペンションというのはな、マンションの親戚でな。全部ペンで出来ているんだ。それで、食事もペン、服もペンでなにもかもペンなんだ。」
「うぐぅ、痛くないの?」
「もちろん痛いさ。しかし、その痛みを耐えて我慢大会に勝つと、なんと、お化け屋敷の招待券がもらえるんだ。」
「うぐぅ、ボクはいい。」
「あうーっ、行きたくないー。」
「あらあら、祐一さん、嘘はいけませんよ。」
「あー、ゆーいち、嘘ついたわねー。許さないんだからー。」
「ひどいよ、祐一君。」
「あゆちゃん、真琴、ペンションていうのはね、お泊りするところ。楽しいんだよー。行こう?」
「名雪がそう言うなら、行くわ。」
「ボクも行ってみる。」
いつの間にか、パンを食べ終わった名雪が、
「じゃ、香里たちに電話してくるね。」
そう言うと、スリッパの音を鳴らして廊下の方へかけていった。


後書き
どうも、D.Wederです。初めて二次創作を書くのでうまく書けないでしょうが、大きな心で見てください。なお、作者はKanonをやったことがありません。もし、原作と違うところがあったら、深くお詫び申し上げます。
これは、作者が出入りしている掲示板の話題が元で書き始めました。とりあえず、上編をお届けします。下編はいつになるか分かりません。それでは。



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