「うわぁぁぁん、どラリも〜〜〜ん。」
今日も いつものように、ノビ犬が泣きながら帰って来た。
「たすけてよ〜〜、どラリもん〜〜〜。」
二階に駆け上がり、自分の部屋の ふすまを開けようとした。が、あれ? 開かない・・・。 すると、中からリズミカルな音楽と、どラリもんの声。
「チョット イマ、『オナカ ヲ ヒキシメル だいえっとタイソウ』ヤッテルカラ ハイッテ クンナヨ、ノビ犬!」
「うわ〜〜ん、ボクの部屋なのにぃ〜〜〜。」
押し問答の末、やっと部屋に入れてもらえた ノビ犬。すかさず得意の“泣き言語”で、どラリもんに泣きついた。
「うわあぁ、ああん、うわあぁぁ〜〜〜ん。」
「(チッ、ッタク メンドクセェナ。) エ——ト、ナニナニ・・・。」
———話によると、今日はシヅカちゃんの家に 遊びに行く約束をしていたのだが、いじめっ子の巨人が家の前を張っていて、行くに行けなくなってしまったらしい。
「このままじゃ『約束を破った』って、シヅカちゃんに嫌われちゃうよぉぅ。」
「デンワ デ コトワレバ イイジャナイカ。」
どラリもんは、抱きついているノビ犬を押し返しながら言った。
「ママが 今、『おもいっきり相談室』に掛けてて、電話切りそうにないんだよぉぅ〜〜〜。」
泣きそうな顔で訴えるノビ犬を見て、また泣かれてはうるさくてかなわんと、どラリもんは おなかのポッケに手を入れた。 ニヤリとするノビ犬を横目で見つつ、いい道具を探るどラリもん。
「アッ・・・。」
なにかを思い出し、急にその表情がこわばる。
「イマ 『タケノコプター』モ ナニモカモ シュウリニ ダシテタンダッケ・・・。」
それを聞いて、ノビ犬は再び絶望の縁で泣き出した。
「うわぁぁ〜〜んん。これで もうシヅカちゃんに嫌われちゃって、明日 学校で会ったら目の前でわざとらしく『出来過さぁ〜〜ん』とか甘ったるい声でボクをやきもきさせたりして、それだけでは飽き足らず、クラス全体で集団無視をしたりするにちがいないんだぁ〜〜。」
被害妄想まで入っている。これはかなりヤバイ。どラリもんは、なにか代わりになる道具は残ってないかと、懸命にポケットの中を捜索した。 そして・・・・
「ソウダ、アレガ アッタ! 『コードレス イトデンワ』ァァ〜〜。」
どラリもんは ポケットから、紙コップのようなもの———て ゆ〜か、ただの紙コップ————を取り出した。
「なんなの、このコップ?」と、尋ねるノビ犬。
「コレハ デンワ ノ イッシュ デ、イトデンワ カラ イトヲ トッタモノ ナンダ。」
どラリもんは、自信満々に答えた。
しかし、ノビ犬も それほどバカでは なかった。すぐに肝心なことに気がついた。
「片一方をシズカちゃんが持ってなくちゃ ダメじゃんかよ!」
「アア——ッ、シマッタァァ————。」
・・・その前におまえら、それ ただの紙コップだぞ、おい・・・?
〔次回予告〕
(BGM・“はぐれ刑事 純情派”) |
県内の大手デパートにある 通称「ガチャガチャ」から、大量の偽造コインが発見された。店の中をうろつく、挙動不審な男は 単なる優柔不断な刑事。
「地球のみんなぁー、ワシに元気をわけてくれー!」
日立市と東海村のジャスコで目撃された、ガチャガチャをやっていたという女と事件との関係は?
次回、『はぐれガンディー カメハメ派』
“鉛色の友情☆ポケモンカードを買う女”
ご期待ください。(ちなみに、ほぼノンフィクション)
〔遺言〕
もう作品を発表する場がないですね。こうなったら、インターネットのHPにでも 出しますか。
ま、パソコン買ったらの話ですけどね。