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魔法少女アップル・リン2

 ズガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーン
 どこかで雷が鳴った。
「ママ、まだかなあ。」
あたしはなんとなくため息をついた。心細い。
 あたしは、信濃 むつみ。味噌第一小4年。趣味は料理。特技は薙刀。今は、ママと、お兄ちゃんとの3人暮らし。パパと、ママは、あたしが小さいときに離婚したってお兄ちゃんが言ってた。それから・・・・
ズガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーン
また、雷が鳴った。
「怖いよう。」
 こんなときに限ってお兄ちゃんもいない。高校生のお兄ちゃんは、県立味噌第一高校に通ってる。今日は、学苑祭の話し合いで遅くなるって言ってた。
 そのとき・・・・
部屋の中で光が爆発した。
「だれ!」
あたしは見た。そこから、何かが出てきたのを。
「はじめまして、むつみちゃん。(ブク)」
光が集まって異形の形をとっていくとともに、そんな声が聞こえてきた。
「くふふふふふふ、そして、さようなら(ブク)。」
出てきたのは、はさみが2つに足が8本の生物、つまり、かにだ。ただ、普通のかにと違うのは、大きさが2メートルくらいあるのと、後ろの2本の足で直立しているのと、しゃべっていることだ。
「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ。」
あたしは逃げようとした。でも、かには意外にすばやく回り込み、あたしは壁際に追い詰められてしまう。
「観念するのだ。(ブク)」
かにのくちがあたしの唇に近づいてくる。あぶくが胸にたれてくる。
「ふえええーーーーーーーーーーーーーん。」
もう恐ろしくて声も出ない。
「うまそうだなあ。まず皮をむいて肝を食べてから、胆のうをすすって・・・・・。(ジュルジュルブク)」
「ひくっ、ひくっ、」
「次は・・・・・・・・・(ブク)」

 ガラッ

「そこまでだ、この変態め。」
「ぬううううううううっ、何奴っ!(ブク)」
あたしは、その人に、見覚えがあった。
「お兄ちゃん!」
「待たせたな、むつみ。俺が来たからには、もう大丈夫だぜ。」
「ぬううううううううっ、貴様なんかに負けるかああああああああ。(ブク)」
「ふっふっふっふっふっふっふっ。変身っ!」
お兄ちゃんの体が、大いなる光に包まれた。
「とうっ」
次の瞬間、お兄ちゃんは似ても似つかぬ姿になっていた。そう、その姿は、まるでオレンジ。
あたしは、目が点になった。
「出たな、オレン・ジン。(ブク)今日こそ恨みを晴らしてくれる。(ブク)」
「できるかな。」
「やって見せよう。(ブク)たあっ、かに味噌・フラッシュ。(ブク)」
かにの口から味噌が飛ぶ。
「甘い、マーマレード・ファイア。」
お兄ちゃんの目から出たマーマレードが、次々とかに味噌を打ち落とす。
「ぬうっ、寄せ鍋・ビーム。(ブク)」
「なにをっ、サンキ○ト・ツブツブ・ボンバーっ。」
「くううううっ。(ブク)」
「今度は、こちらから行くぞ。シャーベット・アイスダストっ。」
「ふっ、塩茹で・バリヤーっ。(ブク)」
「ダックズ・オレンジソース・ブラスト。」
「しまった。(ブク)」
「とどめだ。濃縮果汁還元・愛媛産・100パーセント・ポ○ジュース・スペシャルラリアットおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。」
「ぐわわわわわわわわあわああああああああああっ(ブク)」
・・・・・・・・ええっと・・・・・・・・。
「むつみ、驚かせてしまったようだな。」
誰でも普通はそう思う。
「だが、これは真実なのだ。」
夢と思いたい。
「聞け、むつみ。今、地球は、侵略の危機にさらされている。そして、それを救えるのは、アップル・リンの血筋を受け継いだ我が一族だけなのだ。
「アップル・リンて・・・・・。」
「おや、お前は知らないのか。20年前に地球を救った美しき女戦士のことを。」
「知らないよ、そんなの。」
「まあいい。よって、お前は、地球を守る義務がある。俺は、明日から、フルーツ星に行って、かの地の侵略者を退治せねばいかん。その間、地球を頼んだぞ。」
「ちょっと、お兄ちゃん。」
「わかってる。慣れないことで不安なのだろう。だが、お前ならきっとできると信じている。おお、そうだ。頼もしい仲間をつけてあげよう。出でよ、子林。」
掲げたおにいちゃんの手に光が凝り固まってゆく。
「かっわいー。」
そう、その姿は、まるで子猫。ただ、耳だけが、ウサギなのだ。
「お呼びですか。」
「うむ。これから、妹のむつみが地球の平和を守ることになる。妹を頼む。」
「わかりました。」
「ということだ、むつみ。これが変身ステッキだ。契約のときの文句が、そのまま変身の呪文になる。では、さらばだ。」
お兄ちゃんは、あたしにステッキを渡すと、そのままかき消えてしまった。
「ちょっと、お兄ちゃん。」
返事はない。
「むつみさん、改めまして。私は子林と申します。どうぞ、よろしくお願いします。」
「どうして、」
「え。」
「どうしてこんなことになっちゃったのよおおおおおおおおおおおおおおおお。」
あたしは、絶叫するしかなかった。


=後書き=
どーも、Dです。久しぶりに書いてみたら、ずいぶん前作と変わってしまいました。お楽しみ頂けるといいんですけど。ちなみに、これを書いたのは、初めてではありません。2年前書いたこれの前作、未発表のものがあるのですけど、そのときは、当時???氏の酷評を受けてしまいました。今回もそれの負けないできになっています。ですから、「バカヤロー」と叫ぶ人がいるかもしれませんが、勘弁してください。インターネットの作品と見比べてみると、違いがわかるはずです。多分、自作はないはずです。興味があったら、インターネットを見てみてください。気が向いたら書くでしょう。



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