ハウスメーカー毎の構造比較


家を計画するときに一番最初にすることは,やはり住宅展示場を見に行くことでしょう。 そうすると,とりあえず「家」の雰囲気が分かりますし,いろいろと情報も仕入れることが できます。 そこで分かる雰囲気とは,各メーカー毎の家の感じや営業さんとの相性。仕入れられる 情報とは,営業さんから多くの場合もらえる豪華なカタログです。 ******************************************* * 実際住宅展示場を見に行くと,営業の人がついてくれ,何やかやとアドバイスを    * * してくれるようです。人につきまとわれて,ありがたいことなのか,半分迷惑なのか, * * おそらく見に行った人の家に対する思い入れの程度によって決まることだと思います。 * ******************************************* カタログをもらって家に帰ると,早速比較が始まります。 とってもきれいなカタログですから,見ているだけでも楽しくなります。。。 家族でわいわいと,楽しめると思います。 ここでの比較は,種々の観点から行われます。 カタログには「収納」や「設備」に関する「住み易さ,快適さ」といった側面から考えた メーカーの主張の他,「構造」や「基礎」,それに「床や壁の遮音性能」,「耐火性能」, 「屋根」などのハード面での数値が並んでいます。 ああでもない,こうでもないと、、、、価格も気になるでしょう。 閑話休題。。。 私は技術系の人間です。また,今回の家の建築は地震被害からの再興が主たる目的でしたので, 地震でまた倒れることがないかどうかといったことに直結する,『基本的な構造』の比較に 目がいきました。 しかし,家は構造だけでは建ちません。内装外構,アフタサービスを含めた比較も本当は 重要だと思います。 でも最も大切なことは,その家でこれから繰り広げられる生活そのものです。 家のハードウェアとしての性能云々より,自分の生活の場として家を見ることが 本当は一番重要だと思います。 どんな生活を夢見るかによって, 『その生活は,どこどこのメーカーが提供するこのタイプの家なら,こういう 性能・設備を実現すれば,こういう形で実現できるだろう。』 といった順番で考えていくことができるようになります。 そういった順序で考えをまとめることができるようになるまでは,契約とか何とかは 関係ない。そうなるまでは少なくとも「家族で案をあっためる」,「そこまで家族としての まとまりを高め,モチベーションを高める」ということが,家造りでは実は重要なのだと, 私は思います。 目次 【器としての構造体】  ◆基本的な構造            ◆プレハブ  ◆建て方               ◆狂いとその処理           ◆メーカーの問題意識  ◆外壁                ◆床や壁の断熱・遮音性能      ◆屋根                ◆基礎 【器の値段】 以下,私が調べたことですので,抜けや間違いもあると思います。 その点はお許し下さい。
【器としての構造体】 ◆基本的な構造  木造か鉄骨か,ユニットか軸組かといったことです。  家の基本的な強度をどのような方法で出すかという観点からざっくり見ると, 次のように分類できます。  ●木造ユニット:ベニヤ板(分厚い)と柱で作ったの壁状のパネルで支えます。  ●鉄骨ユニット:ユニット4辺の柱で支えます。  ●軸組:木造でも鉄骨でも,ブレスを入れた壁で支えます。  大切なことは,「工法」と「構造」を混同しないことです。  工法は「どんな方法で家を建てるか」であり,建てるメーカーにとってはコストダウン等の 観点から大変重要なことでしょうが,その後長く住む我々には,建築時点でどんな方法で 建てられたかはあまり関係がありません。  それよりむしろ,地震や台風でも長い間傷まない「構造」の方が重要なはずです。  といったことで,「構造物としての家を支える方法」に注目してまとめてみると, 代表的なところで下表のように整理できると思います。
   ユニット 軸組
木造 2×4とか木質パネル系とかいうもの
セキスイツーユーホーム
ミサワホーム
三井ホーム  
いわゆる在来木造と言うもの
住友林業
一条工務店
積水シャーウッド
鉄骨 いわゆるプレハブと言うもの セキスイハイム
ミサワセラミック
トヨタホーム
 
いわゆるプレハブと言うもの 積水ハウス
大和ハウス
クボタハウス
パナホーム
 漏れているメーカーさん,ごめんなさい。
 積水ハウスの木造;「シャーウッド構法」 は,その点,言い得て妙です。メーカーの主張と,
ユーザーにとっての重要点がうまくマッチしています。

 基本的な構造(軸組,ユニットなど)がどうこうといったことについては,建築系に詳しい
サイトを探して下さい。どれも一長一短で,長所だけを自分の家に活かすことが重要だと
思います。

 もう一つ大事なのは,鉄か木かといった問題かと思います。これも一長一短でしょうが,
基本的な住宅のライフである30年とか50年とかは問題ないでしょう。鉄はさびるし,
木は腐る。
100年以上もつ家というのは,住宅メーカーではどう考えるものなのでしょうか?
ちなみにこちらの家は,築280年あまりになります。よくがんばっています。
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◆プレハブ
 少し横道にそれますが,「プレハブ」という言い方について考えてみたいと思います。
これは広く使われている割には実にあいまいです。。。私なりに定義してみると,
『工場で先に加工して,現場工数を極力減らすような住宅の建て方の全般にわたる言い方』
だと思います。大量生産で経済性を得る,いわば「工業化住宅」のごく基本的な考え方の総称
といって差し支えないと思っています。いかがでしょうか。。。
 その,工場で先に加工する,加工の内容や方法や量が,それぞれの「構造」や「工法」によって
少しづつ違います。この辺が,言葉の定義を難しくしている原因だと思います。

たとえば上のように,工業化住宅の基本的な考え方の総称と定義すると,構造がユニットで
あろうが軸組であろうが,鉄であろうが木であろうが,すべてプレハブです。要するに,
職人が一品仕上げで作ってくれるような,芸術品のような家でない限り,まあすべて
「プレハブ」です。

 工場生産の部分を少し具体的にいうと,ユニット構造では,そのユニット自体を大規模な
工場で生産し,それをトレーラーで現場に運んで施工することになります。鉄骨軸組でも,
少なくとも鉄骨自体工場で作りますしビス穴まで規格で全てあいています。木造軸組でも、
最近は「ほぞ」など,すべて工場加工です。現場で大工さんが加工することなど,まず
ありません。
 こういったい見合いで、「プレハブ」なのです。
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◆建て方
 これは,上で言う「工法」に当たります。どうやって建てるか。

 ユニット構造のメーカーでは,多くの場合,先の工場で作ったユニットを大きなクレーンで
つり上げる方法で建てます。ユニットの大小によって,建ち上がっていく順番は若干異なります。
 部屋に近い大きなユニットを単位とする鉄骨ユニットやセキスイツーユーホームですと,
部屋をひとつづつクレーンでつり上げながら組み合わせていくようなイメージです。
これは,いわゆるユニット工法と呼ばれる建て方で,1日で完全に外観ができあがります。

 また,パネル系のミサワホーム等ですと,ベニヤ板で作った壁材(パネル)を1階から順番に
組み上げていき,最後に屋根が乗るというようなイメージになります。クレーンを使うことも
あるようです。
       
 一方軸組構造では,大工さんが少しづつ柱を立てていく方法で建築されます。柱や,柱を既に
組み込んだパネル状の外壁を,クレーンでつり上げながら作ることもあるようです。骨組みが次第に
出来上がり,屋根が乗って,壁がつくという,一般的な家の建築のイメージになります。

 私達のようなエンドユーザーから見て,工法そのものの優劣はあまりないのではないかと思います。
要は事故無く,希望通りのものが仕上がればよいわけで,その方法はお任せと言うことでも
構わないと思います。
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◆狂いとその処理
 どんな構造,どんな方法で建築するにしても,かならず狂いが生じます。これをどのように吸収
するかは大きな問題です。
 たとえば位置決めの測量段階,いわゆる杭打ちの段階から狂いがあるでしょう。誤差というのが
正しいかも知れません。また,別の観点から,夏と冬では構造体と外壁の熱膨張率の違いが影響して
歪みが発生するでしょう。これをいかに逃がすか,重要なポイントです。

 このへんの処理は,メーカー毎に皆違うと思います。
 たとえば基礎と本体との位置的な狂いは,木造なら強引な処理(種々問題が取りざたされて
います)も可能ですが,鉄骨系では錆への影響が懸念されます。あるいは熱膨張率の違いの
処理については,ゴム製のフレキシブルな充填材で逃げるメーカーがほとんどかと思います。
それで,その寿命が今度は問題になるわけです。。。。

 見方を変えると,狂いを逃がす処理,あるいは,もっと具体的に,問題を逃げる処理には,
それぞれのメーカー毎の特徴が出ると思われます。ですから,その特徴が自分の家でどう生かせるのか
をきちんと考えるべきです。なぜならその特徴こそが,「メーカーの主張」であったり,
あるいは工業系のメーカーとしての得意分野であったりするからです。
 そのメーカーは何を売りにしているか? それは,自分の家で生かせるのかどうかなど,
多角的に考えるべきです。

 私は,地震被害の再建ということで,耐震性の高そうなセキスイハイムに目がいっていましたが,
当初は和室との両立の問題であきらめかけていました。ところがCレンの特徴を知って一発大
ドンデン返し;特徴を活かして大満足です。それ以外は,ハイムを信頼するとしました。。。。
もちろん,現場作業の大工さんとは仲良くし,色々お願いしました。

 他社ですぐに思いつくのは,旭化成へーベルハウスのALC板(へーベルという商品です)
や,ミサワセラミックの分厚いセラミック外壁など。あるいは,パナホームの豊富な内装材なども
そのうちかもしれません。問題の処理には直接関係なくなりましたが,これらはメーカーとしての
得意分野を活かした好例かと思います。
 積水ハウスや大和ハウスはどういう位置づけになるのでしょうか? 住宅材料を作る源流メーカー
からみると,それらを使ってくれる良いお得意さんなのかも知れません。


いずれにしても,狂いは間違えなく発生し,それを逃がすことができない構造,工法では,
家といえども工業的に成り立たちません。
ですから,エンドユーザーとしては,この点もメーカーを信頼してよいのかもしれません。
あまり細々と気にする必要はないのでしょうか。。。。

以上,構造や建て方に関する大きな問題は,基本的にメーカー任せになるのだろうという
ことについて述べてみました。
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◆メーカーの問題意識
さらに見方を変えると,こんな捉え方もできます。つまり、、、
たとえばへーベルや分厚いセラミック板を外壁にした木造というのは実は不可能でしょうから,
これらを売り物にしようとした時点で,メーカー自身が木造の良さを放棄して,これら売り物の
「良さ」の方を前面に出したんだとも言えると思います。
つまり,木造の良さ云々はそのメーカーにとってはとるに足らない問題であったのかもしれない
わけです。もしそれが正しいとすると,そのメーカーは,基本的にこういう問題意識の上に
住宅事業を押し進めているメーカーだと云える といったことになるでしょう。

こういった,メーカー個々の基本的な姿勢は,営業さんや技術の担当者の教育に端的に現れる
と思います。結果的に,家そのものの建物はメーカーが考えたとおりに良好なものに仕上がる
でしょうが,細々した内装や周辺の外構の問題など,ユーザーが日々顔を合わす,実は最も
充実させたい場所に,ユーザーの好みが100%反映されるとは限らないといった問題が
生ずる場合もあると思います。

在来木造住宅を,地元の大工さんにお願いする場合はこういう問題はまず生じません。
むしろメーカー建築ではほぼ完全であると思われる,施工管理などに問題を生ずる場合が多い
でしょう。
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◆外壁
外壁と屋根(外観)と標準設備に応じて,商品を色々とランク分けしているメーカーが多い
ようです。そのランク毎に,名前を付けていたりします。見栄えも違い,個人の好き嫌いや,
周辺住宅とのマッチングなどをしっかり考える必要のある部分です。
基本構造との係わりも出てきます。

外壁は,大きく分けて土壁とパネル系に分けられます。前者は,いわゆる木造軸組の
従来建築そのものですね。パネル系にはつぎのような種類があります。
・金属系パネル
・セラミック系パネル
・コンクリート系パネル
いずれも,表面は見栄えするように適当な凹凸加工され,さらに適当な耐候性樹脂塗料で
塗装される場合が多いようです。この塗装自体は,現場で行われる場合と工場で行われる
場合とがあります。

外壁パネルを含めた「壁」そのものの構造は,パネルの構造によって随分と違ってきます。
例えば,厚さ10cmもあるようなコンクリート系パネル(積水ハウスのダインコンクリート
など)では,ほとんど何も加工無く,そのまま「壁」になります。厚さ8cmのセラミック
パネルを使うミサワセラミックでも同様でしょう。
これに対し,薄い金属系パネル(アルミ板である場合が多い)を用いる壁は,補強材や
断熱材と組み合わせて,一生懸命「壁」を作っています。

カタログを見ると,強度,断熱性,遮音性,耐火性,耐候性などの観点から細かな数字が色々
並べられていますが,似通った表記が多く,正確にはよく分かりません。
分類上の考え方としては,その外壁が火災保険の扱いでどの種類に分類されるかを調べて
みることです。

いずれのメーカーのものをどの観点から見ても,どれほどの差があるとも思えませんが,
我々にとっては,外観や,汚れに対する耐性,塗り直しまでの期間/塗り直し費用などが問題になる
のではないかと思います。
そういったことを考えて,メーカーが用意した選択肢から選ぶということになると思います。

大事なものとして,土壁があります。竹や縄で編んだ下地の上に土を塗り込んでいって作る
壁で,昔の家は大概これだったと思います。おそらく現代の「壁」の多くが,これを目標に
してきていると思います。つまり,先のメーカーの問題意識ではないですが,土壁の良さという
ものを,各メーカー全てが一様に認めているのだと思います。ALCにしても,セラミックにしても
しかりでしょう。
土壁は通気性があり,結露することは少ないと思います。まさに,生きている,呼吸している感じです。
この感じを,各メーカーとも出そうとしているわけです。そのかわり,建てるのは大変でしょう。

それから,工務店さんの建て売り住宅などに多く見られる,いわゆる木造モルタル塗りという壁。
幅が10センチくらいの板を並べて下地を作り,そこにモルタルなどの外壁材を塗り込んで仕上げ,
さらに着色する方法です。これは,住宅メーカーが建てる家では,現場施工の工数などの点から
あまり無いのではないかと思っています。
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◆床や壁の断熱,遮音性能
 カタログ上の基本性能はいずれのメーカーでも同じでしょう。少なくとも,数字上は
自分のところだけが負けているといいたものでは,メーカーひしめく不景気の世では通用しないで
しょうから。当然,それなりの工夫もされているはずです。

 ですから,むしろそういった性能的なものより,断熱材や遮音材は仕様どおりきちんと入れられて
いるか,接着剤の量は十分か,など,実際に仕様通りきちんとした施工がなされるかどうかがポイント
だと思います。
 そういう意味で,工場施工の範囲が多く品質が安定していると思われるセキスイハイムや
トヨタホームは安心です。
 一方,へーベルハウスなど,床にへーベル板(ALC板)を敷き詰める構造では,
基本的な施工の問題は生じないでしょうが,逆に施工時の天候に大きく左右されると思います。
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◆屋根
 昔風の瓦,平板の瓦,塩ビ鋼板(タイトルーフと呼ばれるもの)などがあります。
壁と同様で,各メーカーとも多くのバリエーションを持っているようです。とくにこだわらない限り,
差があるとは思えません。

私は軽くすることを重視して,タイトルーフにしました。
しかしこのタイトルーフは,1枚だけはずして葺き替えることができないことが
あとで分かりました。万一落下物で破損した場合など,全部を葺き替える必要があって,
費用はもちろん,雨じまいなども大変かと思えます。
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◆基礎
 最後になりましたが,重要な比較項目として「基礎」が上げられると思います。
基礎には色々な見方があります。構造上どうかといった見方と,基礎としての強さに関する
見方が代表的なものだと思います。

基礎についてお話しする前に,地盤調査についてお話しする必要があると思います。
こちらも,詳しくは専門のサイトを探していただくとして,2種類の地盤調査の方法が
あることぐらいは知っておく必要があります。
・スウェーデン式
・自動貫通式
一般に,自動貫通式の方が値が正確だといわれます。しかし,多くのメーカーはスウェーデン式
を採用しているようです。
それで,地盤調査は多くの場合敷地の中の3カ所について行われます。対角線上に測定する
場合が多いようです。
結果は,土地1cm2あたり,何トンの荷重に耐えられるかという数字で示されます。
一般に7トンとか,10トンとかでしょう。これを地対力といいます。

基礎は,その数字に応じて設計されます。地対力が大きいほど小さな基礎で良いわけです。
これが基礎の強さという観点に関連します。一般に基礎の強さの種類には「3トン基礎」と
「5トン基礎」があります。当然,3トン基礎の方が大きな立派な基礎ということになります。
地対力が5トン以上でも,3トン基礎を使っておけば安心でしょうね。そのかわり,100万円の
追加出費を覚悟する必要がありそうです。。。

基礎の構造は,いわゆる「ベタ基礎」とか「連続布基礎」とかいうものです。。。。

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【器の値段】 高い〜安いまで

 一般に50万/坪 とか,60万/坪 とかいいますが,本体価格にどの範囲まで含まれているか
によって,総費用は大きくかわります。
 本体価格は,要するに人件費を含めた部品代の積算ですから,メーカー毎にマニュアル化
されていて簡単に計算できる世界でしょう。しかしそれ以外の部分は,メーカーにしてもまとめて
外注に出す部分ですから,本当の請負仕事です。気持ちとしては,「ここからここまで一式
でなんぼ」という世界だと思います。ですから,この部分をいかに落とせるか,いかに交渉できるか
が全体費用を圧縮するポイントです。

 特に,基礎の大きさ(3トンか5トンか),土の処理の代金,電気やガス等の引き込み工事
(基礎から何メートルまでが本体扱いになるか),ルまでが本体扱いになるか),掘削工事代金,
内装関係代金など,本体以外の扱いを十分注意して追っかけることです。天と地がひっくり返るほどの
大きな差が出ます。もちろん外構もしかりです。
 ちなみに私の家は本体価格のみなら56万円/坪ぐらい,総支払額をベースにした工事一式
換算では,何と80万円/坪を越えました。要するに付帯工事や外構が高い。。。。





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