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The Museum of Yaesu 401

Stuck in someone elses frames?: Break Free!

外付けVFO  FVdx400

400系トランシーバーには、3種類のVFOがあります。①FVdx400、②FV400S、③FV401です。これらのVFOには、発信周波数とダイヤルのバリエーションがいくつかあり、本体と整合を取って使う必要があります。本稿では主としてこのような観点から、3種のVFOについて説明します。

左)FV-401 と、 右)FT-401S

 


まず、発振周波数の問題から説明します。
FTdx400、FT400S、FTdx560の3機種は、それぞれの項で述べたように、製品ライフの途中でVFO発信周波数が変更(8400〜8900KHz構成から、8700-9200KHzへ変更)されています。よって、外付けVFOも、モデル名毎ではなく、それぞれの固体毎に合わせる必要があります。
3つのVFOのうち、両方の周波数を持っているのがFV400S。FVdx400は8400〜8900KHzのみ、また、FV401は8700-9200KHzのみです。相手をしてくれる本体に合わせたVFOを選ぶ必要があります。

また、本体のダイヤル構成が何種類かあるため、VFOにもそれに合わせて何種類かのダイヤルが用意されています。それぞれ外観の印象が異なりますので、本体に合わせた物を使用したいところです。FVdx400には、中期FTdx400にマッチした100KHz2重軸のダイヤルと、後期25KHzダイヤルにマッチしたもの の2種類、FV400Sには、25KHzダイヤルと100KHzダイヤルがあります。FV401は100KHzダイヤルだけです。残念ながら、前期FTdx400の50KHzダイヤルにマッチしたFVdx400は発売されていません。

以上を総合すると、発振周波数とデザインに応じて、概ね次のように使い分ければ良いことが分かります: ①FVdx400→FTdx400、②FV400S→FTdx400(後期)、FTdx560、FT400S、③FV401→FT401S、FTdx401、FTdx570、FT401B。
面倒なのは、途中で周波数変更を受け、かつダイヤルも何種類かある、FTdx400/FT400S/FTdx560に対応したVFOの見極めです。これについて後述します。


さて、標題のFVdx400は、前期のFTdx400に用いる外部VFOです。基幹となる発振ユニットは、ギヤダイヤル付きの鉄のケースごと、FTdx400本体に用いられていた物の流用。2SC372変形コルピッツ回路による発振で、周波数は8400〜8900KHzです。この出力を、トランジスタによるバッファ回路を経て外部に引き出しています。
電源は、本体FTdx400から供給されます。ヒーター用の6.3Vを倍電圧整流し、定版の定電圧電源を経て安定された電源を発振回路、バッファ回路に供給する構成になっています。
ダイヤルは2種類あります:①100KHz2重軸のもの、②25KHzダイヤル搭載のもの。上述のように、①は前期、中期のFTdx400にマッチング、また②は後期のもの(発振周波数8400〜8900KHzの本体)に合います。
パネル面にはダイヤル以外にはなく、周波数あわせしかすることはない という、何とも簡単な構成になっています。これは本体のVFO切り替えスイッチの構成と関連します。たとえば初期FTdx400では、VFO切り替えスイッチは極めていい加減で、外付けVFOは送信にしか用いることができません。たすきがけ運用は、当時その発想自体がありませんから、外付けVFOはダイヤルだけあれば十分とも言えるわけです。しかしこの状態では、受信に外付けVFOを利用することができませんから、マーカーを使ったキャリブレーションなどが一切できず、どうやって使ったのだろうと疑問にさえ思えます。とにかく外付けVFO併用で、送信周波数を分離できるようにはなっており、外付けVFOがそれに見合ったパネル面構成になっていることだけは事実です。
本体側のこの問題は、発売翌年、FTdx400が100KHz2重軸ダイヤル搭載にバージョンアップされた際に、VFO切り替えのダイオードスイッチが増設されたことで基本的に解消されます。しかしたすきがけは、FTdx400では最後までサポートされず、FT400S/FTdx560になってようやく実現されます。
ついでに言うと、発売時のFTdx400第1バージョンは、9PのMTコネクタをサービス用に一発持っているだけで、外付けのペリフェラル(特にトランスバータやリニアアンプ、もちろんVFOも含む)を便利に増設できるような構造にはなっていません。よって、VFOを用いると、リニアアンプ併用は結構面倒だったと想像されます。この問題は、FT400S、FTdx560に至って、VFO専用に7PMTコネクタが搭載されるようになって完治します。なお、上記ペリフェラル機器増設の不便さは、2重軸ダイヤル搭載の本体が発売されるときに11ピンACCソケットが搭載されるようになって、若干改善されてはいます。しかしこれは、主としてFTV650との接続を意識したものと見られます。
キャビネットやアルミサッシは、SP400と共通です。足は、FVdx400はすべて銀足です。
 


FV400Sは、基本的な国内製品では、FT400S用のVFOと解釈すればいいです。しかし、FT400Sにはいろいろなバージョンがあるため、FV400Sもこれに応じて周波数構成の変更や2種類のダイヤルへの対応など、種々の変更がなされています。最も見分けにくい機種であるといえます。
見分け方はやはりダイヤルに注目するのが簡単です。100KHzダイヤル搭載のFV400Sは8700-9200KHzのみです。後述のFV401とほぼ同じであると見て間違えありません。一方25KHzダイヤル搭載のFV400Sには、8700-9200KHz のものと8400〜8900KHzのものがあります。要注意です。
これに関連したFV400Sの特徴的な事項は、当時の八重洲の広範囲な製品に対応するように考案されていた という点です。取扱説明書にはFTdx100などへの適用などという項目も見られます。親機毎に必要なVFO入力電圧が異なるために、出力電圧の可変アッテネーターを背面に装備しています(といっても、出力端子に並列に抱かせるコンデンサの容量を変化するだけですが)。対応する機器毎に、何番のポジションにアッテネーターをおくように と説明書で指示されています。
また、USB/LSBでダイヤル指針を合わせるために、本体のモードスイッチに応じて3KHz分ダイヤルをシフトする回路が付加されていることも大きな特徴といえます。TS511などの時代のトリオが、ダイヤル指標をU/Lそれぞれ別に設けて対応したのに比較すると、挑戦的な取り組みと言えます。しかし、本体でこれを最初に解消したのはトリオ。TS900です。SSBジェネレータにU/Lそれぞれ専用のフィルタを用いると言うだけのことですがコスト高のため、それに耐えるコンセプトの製品にしか思い切って採用することができなかったと思われます。。今の人はダイヤルが3Kずれると言っても信じない;訳がわからないかもしれません。。。
いずれにしても、旧来の機種(FT401にしてもFT101にしても)では、USB/LSB切り替えで(もちろんCWも)ダイヤル指針が約3KHzずれていたわけですが、FV400Sでは(もちろんFV401も)これを吸収する工夫がなされています。RIT(八重洲ではクラリファイヤーと呼ぶ!)のバリキャップを用いてモードに応じて約3KHz発振周波数をずらすようにしています。このため、FT400S以降(シリアル下4桁0990以降)、FTdx401/570以降の本体には、モードスイッチと連動した電圧を外部VFOに供給する回路が付加されています(FTdx400には付いていません)。
この機能は直感的には大変便利で、外部VFOを大体キャリブレーションしておきさえすれば、モードを意識せず、必要な周波数にすぐに設定できるようになります。必要な周波数というのは、いうまでもなく、DX局が指定している周波数(こちらの送信周波数)のことです。。。
パネル面は、たすきがけをサポートするスイッチ、VFO/固定チャンネルのセレクタスイッチ、それに肝心のダイヤルから構成されます。基本的にFV401と同じで、後期の物は周波数も同一であるため、FV401の代替としても使用できます。
内部は、FVdx400同様、ギヤダイヤルが付いた鉄製の発振ユニット、バッファ基板、電源基板、それに、固定チャンネル基板からなります。
発振ユニットは、やはり本体と同じものが流用されており、周波数毎に2種類あります。前期版は2SC372の変形コルピッツ回路、後期版は3SK22によるクラップ回路採用です。
バッファユニットはFVdx400のものと同一、固定チャンネルユニットはFTdx400本体に搭載されていた物と同一です。
電源は本体から供給される安定化された直流12V、またはヒーター用6.3Vを倍電圧整流しています。これもFVdx400と同じです。たすきがけに必要な制御は、本体の7Pコネクタを介して電源とともに供給されるようになっています。
キャビネットはFVdx400同様。足は、前期の物は銀足、後期の物はプラスチックの黒足です。外観上、この点も注意が要ります。
さらに、パネル面の梨地の部分が、FT400S、FTdx560以降の機種にマッチした物になった事も特徴のひとつです。実は、FTV650などとも共通する、この400のシリーズの歴史的特徴のひとつといえます。本体パネルの梨地の部分のデザインが、FTdx400とFT400S/FTdx560以降で違うのをお気づきでしょうか。FTdx400のそれは梨地というには少しおとなしい柄ですが、FT400S/FTdx560以降は派手な、立派な梨地になっているのです。
そこでペリフェラルがどうかというと、FT401型の派手な梨地パネルをもった機種は、このFV400SとFV401、それにリニアアンプ2機種(FL2000B/FL2500)のみ。FTV650は発売終了までFTdx400タイプのおとなしい梨地ですし、FVdx400、リニアアンプFLdx2000もおとなしい物 です。FV400S/FT400Sの登場を境に、400シリーズは新しい境地に入っていくと言っても言いと思います。

 
 


FV401は後期のFV400Sとほぼ同じです。「全く」と言えないのは、次の相違があるためです。①出力電圧調整用のアッテネータが無い、②デザインが違う。このうち特徴的なのは②です。たかがデザインですが、されどデザイン。隠れた特徴があるのです。FV400Sに比較して、FT401 like なエスカッションが付けられただけと思いがちですが、実はそうではありません。エスカッションの内側の角が面取りしてある(401本体は面取りされていない!)のです!!!
よ〜く観察してください。。。。
キャビネット等はSP400と共通で、もちろん黒足のみです。



  

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