401 電気的な故障の修理

401を入手してみたものの、期待通り動かない、あるいは、電源を入れた瞬間煙を吐いた、、、など、問題のある機体に当たってしまうことも少なくないようです。古い、初代のFTdx400 とか、最終版のFT401B とか言っていますが、どれをとっても結局30年選手であることには代わりなく、整備なしできっちり動くことなど はじめから期待するほうが無理というものです。でも心配は要りません; 要所をおさえればまずOK。このような観点から、ここでは、はじめに、無条件で交換すべきパーツを3つあげてみました。

 (1)6KD6グリッド側の結合コンデンサ
 (2)6Gk6/12BY7Aのグリッド側の結合コンデンサ
 (3)電源関係の電解コンデンサ

(1)(2)は、よく言われるFT101の整備と同様です。これらのコンデンサに何かの問題が起きると、虎の子の球を不良にしたり、カソードの抵抗から煙を吐いたりします。アメリカから、立派なディップマイカが通販で手に入ります。

さらに、ぱっと見て不安な部品は電源のコンデンサです。何分高温下に長年さらされているわけですから、電子部品としては、間違えなくとっくに寿命が来ています。そこで、150V程度以上の耐圧の電解コンデンサは、無条件で全て交換する とします。
左は、初代のFTdx400に使われていたものです。このようなチューブラ型のものは、どこでも新品が手に入ります。たいした値段ではありません。置き換えたあとの取り外し品は、もったいないとか、また何かに使えそうだとか、せこいことは一切考えずにすぐ廃棄。一方、大型の電解ブロックコンデンサ3本は、高価ですのでちょっと様子を見ても良いかもしれません。といっても、こんなこと(2002年10月20日の項参照)になってはいけませんので要注意。

いずれにしてもこれらの3つは、いろいろやり始める前に、とにかく無条件で交換した方が無難です。最低限これだけやっておけば、古いからといってビクビク脅えずに、まず安心して電源を入れ続けることができるようになります。

その他、何とかそれらしく動作し始めたあとに、どうも具合がおかしいと言うことがあろうかと思います。そういった場合には、様子を見ながら、

 (4)送信2ndミクサ6AH6のプレート負荷RFC 220uH
 (5)BPFのところについている2.2mHのRFC
 (6)ALC結合用のピックアップコンデンサ
 (7)VFOの安定化電源用 トランジスタとツェナーダイオード

などを交換してください。
(4)(5)は受信感度や出力に関連します。RF段のコイルやIFトランスの類のコアをぐるぐる回しても、どうもパワーが出ないな とか言うときは、このへんを疑ってみてください。取り替えたら、あっと驚く程良くなることがあります。(6)(7)も同じく、どうも様子がおかしい、何かヘンだ というときの交換候補です。

不思議なもので、真空管の交換というのは、よっぽどのことがない限り必要ありません。だましだまし、動くものです。そういう意味では一番やばいのは、コンデンサ。何かあると、怖くなるから というのも含め、電源を入れることさえできなくなります。次に困るのが、性能を出す勘所に使われているトランジスタ類。これは「だましだまし使う」 というのではなくて、バチッと性能が出てくれないと困る からです。そういうところに関連する部品は、交換するのが一番です。



さて、以上の他、真空管やトランジスタ、CRの交換は適宜行うとして、本当に修理が必要な事態になったらどうするか、、、、
こういったときにそなえて、401専用パーツにうまく巡り会えたときは、大切にとっておくことです。


左上から下へ、コイルパック(これはアンテナコイル)、同じくコア、ドライバ/ファイナルの間の 結合コンデンサ、AFゲインのボリューム。どれも、かゆいところに手が届く といった感じのパーツ。



未完成です。。。
今後、コイルの修理、コアの割れ などについて書いてみようと思っています。





最近あった、いずれもほとんど発見不可能とさえ思われる問題について紹介しましょう。 本当にあった問題です。見つかってしまえばなんのことはない、一発解決でした。

(1)送信時発振。中和も取れない。時として安定に動くことあり。(古いFTdx400)

原因は、受信TOPの6BZ6が送信中も動作していたためと判明。受信TOPの 6BZ6のプレートがドライバ入力コイルと共通にされているため、おかしな ループが出来ていたものと思われます。
なぜ6BZ6が送信時も動作していたかというと、Sメータのゼロ点調整用VR の端子のところで、6BZ6のカソードが常時接地されてしまっていたため。 良くこんな問題が見つかったものです。

(2)送信不良。バイアスVRをまわしても電流が変化しない。テスタで ファイナルの-Cの電圧を適切に設定してもアイドル電流が流れない。 タマをかえてもダメ。(75年製のFT401B)

原因は、リレーのメータ切り替え回路の不良。端子を磨いて、一発で 修復しました。しかしこの間、ipが正確に読めず、バイアスVRをぐるぐる 回して正常なアイドルに設定しているように見えたときは、実は500mA以上 も流れる設定にいなってたということがあり、トラノコの貴重な6KD6を 一組(2本とも!!)だめにしてしまいました。
ここまで原因を追い込んでいくのは結構大変です。

(3)送信不良。SSBのモードにすると、いきなり発振状の大電流が流れる。受信ミクサーの6BE6を抜くと正常に送信できる。(同上、75年製のFT401B)

原因は、バンドパストランスの中のトリマーの絶縁不良。6BE6のグリッドに、送信時に150V近い電圧がかかっていました。
回路図をよく見ると、このトリマーには300V近い電圧がかかることがわかります。この小さなトリマーの定格は? っと、、、 いうまでもなく設計不良です。とにかくバンドパストランスをはずしてトリマを交換し、適当に調整して復活しました。 が、それにしても、、、
上記(1)の状況とよく似ていたので、受信RFアンプの周辺が何かワルサしているとあたりをつけたのですが、6BE6を抜いたら正常に送信できたので驚き。 送信時にきっちりカットオフできないと、何か6BE6を介したループができることもあるようです。

(4)受信時のハム音

真空管式の機械にはハム音は付き物 と思われがちかもしれませんが、スピーカーで普通に使っている限り気になるものではありません(根性を入れてヘッドフォンで聴こうとすると気にはなります)。ところが得体の知れない401ではびっくりするようなハム音が出ることがあります。このページの最初の書き込みにしたがって電解コンデンサを全部交換してもまだダメ。まったく改善しない。。。 
原因はいくつかあるようですが、とにかくよく分からないけれどこうすれば直る というものとして、電源整流基板から出ているHBの赤い線を6BE6グリッドのVFOトラップから離す と、嘘のようにハムがおさまることがあります。お試しあれ。



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