全会員対象連絡ML

【0329】

From: susumax@d...
Date: 2002年10月18日 (金) 午後9時52分
Subject: Re: 緊急報告 不当調査



菅原です。(第三世界系連絡責任者)

私も松本さん同様、福西さんのこうした転送の仕方はよくないとおもいます。

また、情報公開ということに関しても、議論中のごたごたはまだ公開すべきでもない情報
だとおもいます。

私も小杉さん同様、なんらかの計画をしているのに足元がゆらいでいるような伝聞がはいると
躊躇してしまいますが、現在評議会では、そんなことにはならないようにしよう、と常識的な
見解で議論がなされてきているようになっているのではないかとおもいます。

*福西さんの転送はよくないといいながら、その西部さんの言論に関して意見をいうのもなん
ですが、
つまり、「暴力」について。

たしかにNAMは、一般的にいわれている「暴力」は否定しています。が、根源的な暴力は認めて
いる。

それは、原理の組織原則第二条、NAMとプロジェクトとの「区別」の項目にかかわってくる、と
いうのが私の理解です。

(むずかしくなるのでここでは書きませんが、それはベンヤミンの「暴力批判論」をめぐるデ
リダの理解と関係しています。)

私の認識では、前代表は、「認識(原理)」(=「法を作る暴力」)としてはおそらく正確で
も、実践(プロジェクト)
(=「法を維持する暴力)において、どこか変なんだとおもいます。()はデリダのベンヤミ
ン読解による用語です。

要は、近代の「暴力」が猥雑なのは、その両者の「区別」を捨象して、癒着させた(その象徴
が警察です)ところにあるという
のが、基本的な認識になります。

といっても、ここは全体への広報のメールなので、これ以上いいません。

とりあえず、「暴力」をめぐっては、理論系と第三世界系でかつてメールのやりとりがあった
ので、時間があったらそこで書きたい
とおもいます。



-- Hirokazu Fukunishi さんのメッセージ
> NAMの皆様、福西広和です。 NAMセンター事務局にCcします。
>
> 以下のメールで西部氏よりNAMへの不当な調査がQ管理運営委員会のなかで
> 行われました。
>
> 下記のような質問は、すべて事実誤認に基づいた発言です。
> 名古屋で何があったのかは、NAMから報告されたものではありません。
> 伝聞によるものです。西部氏は、既にNAMを退会されておられるにも
> 関わらず、下記のような態度で、Q管理運営委員会内のNAM会員に情報を
> 提供するように求めるのは、おかしい。
> 従いまして、この件よりNAM外へ個人情報などの流出に協力するNAM会員の除名を
> 提案します。
>
>
> At 1:34 PM +0200 02.10.16, nishibe wrote:
> >西部です。
> >
> >柄谷氏の名古屋での発言は,彼の「唯Q主義」が180度転換してしまった(LETSでは
> >なくWATだそうです。理論的根拠は一体どこにあるのだろう!)ということを別にす
> >れば,別に驚くことはないでしょう。彼のいままでの言動から予想できた展開です。
> >また,NAM評議会でQについての話し合いがなされているとのことですが,みなさん,
> >なぜそう動揺しているのでしょうか。柄谷氏の意見が他を圧倒しそうだからですか。
> >もしも様々な経路の伝聞に基づいた誤解や事実誤認がNAM内に広がっているならば,
> >まず評議会メンバーの方にそれらを解くように努力していただきたいと思います。
> >
> >Q大使はNAM評議会にはオブザーバー参加,つまり,Qハイブのメンバーであるなら
> >ば,NAM会員でなくとも賛助会員でも非会員でも可だったはずです。だから,宮地さ
> >んがNAM会員を辞めたからといって,MLから削除される理由はありません。まずこの
> >ことを評議会MLで指摘した上で,現Q大使である宮地さんを再登録していただくのが
> >正当な手順ではないですか。意図的な削除でないならば,まず現状復帰をお願いすべ
> >きです。それを要求しないままで,新しい大使を決めるというのは,国外へ強制退去
> >させられた大使に変えて,新大使を派遣するようなものです。これで,QがNAMと対等
> >かつ友好的な関係を築けるのでしょうか。
> >
> >大使は対外的交渉において代表権を持つ方がいいので,副代表である宮地さんにお願
> >いしました。私が知る限り,宮地さんがいままでQ大使として不適切な言動をしたこ
> >とはないはずです。評議会MLでの自己紹介でも「NAMとQの建設的な協力関係を築くた
> >めに」参加したとも述べています。中島さんは「わたしは、宮地さんが、QとNAMの関
> >係を断つことが使命と思ってQ大使をしていたとすれば、とんでもない勘違いだと思
> >います。」と言われています。そう言われる根拠は何でしょうか。
> >
> >攝津さんはQ大使は「QハイブとNAMの関係がこじれないように最大限の努力をする意
> >志のあるかた」が望ましいと言われます。両者が協力的な関係を結ぶことは確かに大
> >切なことだと思いますが,これは相互的なものであって,両者が良好な関係醸成に努
> >力するということが前提条件になりますね。NAMに多大な影響力を持つ柄谷氏は,オ
> >フ会以降の言動によってそういう関係を破壊し,今も破壊しつつあります。「Qハイ
> >ブとNAMの関係をこじらせている」のは一体誰なのでしょうか。
> >
> >中島さんはまた「柄谷さんにも西部さんにも共通していることは、お互いに直接話し
> >合う気はないということだと思います。」と言われています。この表現では双方に責
> >任があるように聞こえます。私は,オフ会で必ずしも彼の意見に賛成できませんでし
> >たが,それでも彼の話はずっと聞いていたのであって,話し合いを一方的に拒絶した
> >り,相手が承服しないからといって,相手の名誉を傷つけたり,何らかの実効的手段
> >に訴えたりするようなことはしていません。私もあの場でもっと激しく口論すること
> >もできたのですが,それをしなかったのは,そうすればNAMとQの間に亀裂が生じて
> >しまうことを恐れたからです。そのような考慮をまったくしないで,両者の関係を
> >「暴力的」に破壊したのは柄谷氏ですし,また,(監査委員をはじめ,多くの方がお
> >そらく関係修復のために彼に働きかけられたのではないかと思いますが)それを修復
> >するための謝罪や和解の努力をしようとしなかったのも柄谷氏です。彼のオフ会での
> >言動やその後の「共同研究キャンセル問題」,さらに,人に投稿させた事実誤認や誤
> >解に基づく弁明の内容,その後の反論にまったく応答しないという態度を見ても,私
> >やQハイブと話し合おうという姿勢はまったく見られません。
> >
> > NAMで彼ほど大きな権力を持つ人は他にいません。彼は初代代表であるだけでなく,
> >NAM発起人,NAM原理起草者,規約委員会議長として今でも大きな発言力を持つ存在だ
> >し,現に今もNAM内で影響力を行使しているのではないでしょうか。だから,彼は
> >NAMの代表ではない一会員であるから,彼の言動はNAMのQにたいする介入ではないと
> >いうのは実質を見ない空論です。彼は,私や穂積氏,宮地氏などの個人的名誉・信用
> >を毀損しただけでなく,Qへの強引に介入しようとしましたし,いまや「Qは失敗だっ
> >た」などとQの逆宣伝を行うことでQに報復的な攻撃をしようとしています。明らか
> >に,これはQにたいする破壊行為です。このような柄谷氏の「暴力」に関して,Qハイ
> >ブは公式的な見解をまとめ,Q大使もそれを共有した上で,NAMに対して抗議すべきで
> >す。そうしたことをしないで,柄谷氏がQを否定する発言をあちこちでしているのを
> >ただ黙って見ているだけでいいのでしょうか。いまやQハイブのメンバー一人ひとり
> >が,この問題について明確な態度を示す時です。NAM原理は「非暴力」を謳っていた
> >はずです。その原理から見ても,柄谷氏の言動に含まれる「暴力性」は許されないは
> >ずです。QハイブにいるNAM会員のみなさんのご意見を伺いたいと思います。法律の専
> >門家もいらっしゃるとのことですから,法的観点からもご教示いただければ幸いで
> >す。また,柄谷氏の言動についてNAMがどういう見解を示しており,対応を取るつも
> >りなのか,これも教えていただきたい。
> >
> >「NAMからの協力がまったくなくなるとき、Q、Qハイブがどうなるか、火をみるよ
> >り明らかです 」と攝津さんは言われましたが,NAMの協力がないとQはつぶれてしま
> >うと考えていますか。私はそう思いませんが,もしそう考えてしまうQハイブメンバ
> >ーがいるとすれば,これこそNAMによる「権力」の行使ではないのですか。こういう
> >戦々恐々とした認識のまま,Q大使を送っても,NAMから協力をえたいがために,ま
> >た「QハイブとNAMの関係をこじらせない」ために,譲歩や妥協を重ねれば,QがNAMに
> >従属してしまうことになるのではないですか。一体,NAM会員はQにおいてどれだけ
> >のシェアを占めているのでしょうか。実態を認識した上で,私は,NAMに対してもQ
> >の立場と利益をきちんと主張できる方が大使になっていただきたいと思います。
> >
> >宮地さんがQ大使に適任でないとされているのは,彼がQのNAMからの独立と意思決定
> >の自律性を強く主張されているからでしょうか。今回のようなことがなければ独立論
> >を前面に立てなくても,対等な立場で友好的な関係が築けたでしょう。しかし,今は
> >そうではありません。NAMに多大な影響力を持つ柄谷さんのオフ会やそれ以降の言動
> >を考えると,Qの独立をNAMに再確認してもらうことは正当かつ必要なことだと思いま
> >す。そもそも,Qプロジェクトの独立性は,Qプロジェクトで話し合われ決定されただ
> >けでなく,NAMの評議会でも「NAM原理」でも承認されています。(私がは昨年11月に
> >Qプロジェクトが独立し,NAM評議会でQ大使について提案した時にこのことを再確認
> >していますから,必要な方はMLを御覧ください。Qプロジェクトの旧MLにも転送した
> >はずです。)付け加えますが,Qが独立を保持することは,NAMと断絶するということ
> >ではありません。逆です。Qハイブの独立は,NAMとQが相互に尊重しあいながら相互
> >協力するための前提条件なのです。
> >
> >むしろ,以前は「唯Q主義」だったのに,今Qを全面的に否定する柄谷さんの方が
> >NAMとQの関係を絶とうとしているように思えます。だから,彼の発言がNAMで支配的
> >影響力を持つことをむしろ危惧すべきでしょう。そうならないためには,むしろQ大
> >使ではなくて,NAM会員の個々人に尽力していただくことを要望します。
> >
> >攝津さんのように,宮地さんがQ大使としての役割を果たしていなかったといって批
> >判するのも当たりません。単に,これまではQ大使が積極的に働く機会がなかっただ
> >けでしょう。すでに述べたように,Q大使は,Qの独立性を保持しつつ,主張すべきは
> >主張することのできる方が望ましいとすれば,私は宮地さんに大使を継続してもらい
> >たいと思います。イーバンクや専従制について誤解があるならば,それを解くように
> >努力していただきこともできるでしょう。
> >
> >とにかく,Qとしてどういう立場でNAMと話し合うのかを決めるのが先決です。私とし
> >ては,Q大使に次のように主張していただくように提案します。
> >
> >・柄谷問題についてのQハイブの公式見解にもとづきNAMに抗議,適切な措置を求め
> >る。これはNAMとQの関係の正常化の前提条件であることを伝える。
> >
> >・QはNAMから独立し自律した意志決定を行うことができることを再確認する。つま
> >り,NAMはQハイブに対して必要な説明を求めたり,意見や要望を述べたりすることは
> >できるが,それを強制することはできない。
> >
> >・その上で,必要な協力関係を築くようNAMと話し合う。
> >
> >以上に関連して,次の三点を質問させてください。これは以上のことを判断するため
> >に必要な情報です。
> >
> >1)まず,中島さんと三木さんに。柄谷氏はどのような根拠でQを批判(否定)して
> >いたのか。事実誤認や誤解とはどういうものか。彼の批判は十分に説得的なものか。
> >私にたいする批判とは何か。
> >
> >2)中島さん,三木さん,攝津さんに。NAMの評議会では今何が根本的な問題とされ
> >ているのか。「浅輪さんよりNAMとQの関係を疑問視する発言があった」と三木さんは
> >言われたが,これはどういう意味か。もしNAMがQに協力しないと決定するとすると,
> >どういう事態が生じると予想されるのか(例えば,Q によるNAM会費義務化の解消,
> >NAM会員・各系へのQ退会勧告など?)。
> >
> >3)これはわかる人がいれば答えてください。今NAM会員(正会員)は何人いるの
> >か。現時点でQ個人会員は360人いるが,このうちNAM会員は何人いるのか。正確にわ
> >からなければ,概数で構わない。
> >
> >
> >
> >
> >
> >--
> >******************************************************
> > 西部 忠 NISHIBE, Makoto
> > 北海道大学大学院経済学研究科
> > e-mail: nishibe@e...
> > Homepage: http://www.econ.hokudai.ac.jp/~nishibe/
> >*****************************************************
> --
> ----------------------------------
> 福西広和(ふくにし ひろかず)1971生まれ
> 地域系:関西ブロック
> 階層系:非学生
> 関心系:建築、理論、労働、生協、LETS、芸術など
> ----------------------------------



【0330】

From: krtn@b...
Date: 2002年10月20日 (日) 午前2時10分
Subject: 柄谷行人の提案



新たな市民通貨を提唱する
                 柄谷行人  2002/10/19

先ず、私はこれまで地域通貨Qを推奨してきた誤りを認めます。また、それに
よって、結果的に多くの人に迷惑をかけたことをお詫びします。

私はQをいろんな形で宣伝してきました。それは会員が増えたら、取引が具体的
に増えるだろうと考えたからです。しかし、会員が増えても、すこしも取引は増
えなかった。NAMの会員の間のやりとりが増えただけで、具体的な物の取引はほ
とんどありません。Qがすこしも流通していないことは、取引の実態を調べてみ
ればわかります。

なぜQは流通しないか。一方で、ある人たちはQを得ても、それで何も買うものが
なく、他方で、ある人たちはQを得る方法がないからです。もちろん、多くのNAM
の人たちが、取引の場をつくり、Qを実際的に使えるものにしようと努力してき
ました。しかし、それは少しもうまくいっていません。それは、今後、どんなに
努力しても同じです。

では、何が悪いのでしょうか。Qの技術的な欠陥は、いくらでも指摘できます。
まず、Qに加入するのは手続きの点で非常に難しい。入会手続きに時間がかか
る。Qでは、取引内容の記録がすべて公開されるので、入会してから気がつい
て、やる気がなくなる。また、それを知っている人は入らない。

しかし、こうした諸欠陥の根底に、西部忠氏の考案したQに理論的な欠陥がある
のです。Wind-Qが技術的に欠陥の多いシステムとなり、Q組織が非NAM的な官僚的
組織となってしまったのは、このためです。

NAMのプロジェクトからQを立ち上げる段階で、Qの基本的な前提の幾つかに反対
した湯本裕和氏と岡崎乾二郎氏が、それぞれ、NAMを退会してしまいました。こ
の二人は、創設以来NAMにとって重要であり、不可欠な人物でした。だから、Qを
強引に推進したことは、NAMにとって、実は大きな犠牲をはらうことになったの
です。とはいえ、西部氏がNAMを退会したので、彼らは近くNAMに戻ります。

その間、私は、Qがもつ欠陥にまったく気づかなかったわけではありません。し
かし、私にはそれ以外に妙案がなかったし、このままでやってみるほかないと、
考えました。また、西部氏は専門家なのだから、何か私の知らないような奥の手
をもっているのかもしれない、と思っていました。しかし、そんなものはなかっ
たのです。

NAMでは、その「原理」において、マイケル・リントンの考案したLETSを採用す
ることを決めています。ただし、LETSをどのように実現するかについては、決
まっていません。それは、会員の創意工夫と試行錯誤によって決めていくほかな
いのです。

リントン自身は、LETSを不況下にある地域経済を守り活性化するために考え出し
ました。われわれのようにLETSを、資本制=ネーション=ステートに対抗するア
ソシエーションの運動の基礎としてとらえていたわけではなかった。したがっ
て、われわれは、NAMでLETSをやるとき、他のLETSとは異なる課題をもっていた
のです。である以上、リントンのいう通りにやってもしようがないことは当然で
す。

だから、私は西部忠や鈴木健のいうように、LETSをローカルからグローカルにし
ようとする構想を支持しました。しかし、あとで気づいたのは、そのことは、た
んにインターネットを利用すれば実現できるというほど、簡単なものではなかっ
たということです。

リントンは、LETSを小さな共同体で始めることを前提しています。だから、彼に
とって、インターネットは特に必要ではなく、ICカード程度で十分だったので
す。しかし、技術者である彼が、インターネットでやることを思いつかなかっ
た、あるいは技術的にできなかった、というわけではありません。それは少しも
LETSを広げることにはならない、と彼は考えただけなのです。(実際、Qは大衆
化しないというリントンの予想はあたりました。)

一方、西部氏は、小さなコミュニティで適用されるLETSの原理を、グローバルな
レベルでそのまま適用しようとしたのです。だから、個人に対する規制(身元証
明、取引実績の公開)などが厳しくなり、そのためのソフトも煩雑なものになっ
た。しかし、全国的な取引の可能性はできたとしても、小さなコミュニティでは
じまるような類の取引は、いつまでたっても始まらないのです。逆に、それは、
Qに参加する人たちを窮屈な共同体に閉じ込めてしまうだけです。

リントン的なLETSを超えるためには、新たな工夫が必要です。むしろリントンの
発明に匹敵するほどの発明が必要なのです。たんに、インターネットでやると
か、グローカルな通貨などという言葉をふりまわすだけでは、少しも新しくな
い。

とはいえ、私はそのことに気づきませんでした。最近、原祐人氏らが提唱してい
る新LETS構想(仮称L)を知ったときに、はじめて、Qが致命的にだめな机上の理
論だということに気づいたのです。

それまで、私はQの欠陥を感じるたびに、それはQがまだ十分に広がっていないか
らだと考え、あるいは考えようと努めてきました。NAMの会員にQに入ることを義
務づけてQを広げるようにしようという案に賛成したのも、そのためです。当然
ながら、これは、QをNAMの所有物にしようという考えではまったくありません。
その反対に、Qがどうしようもなく動かないから、何とかしようとしてきただけ
です。

しかるに、Q管理委員会の幹部は、NAMがQを牛耳ろうとしていると非難していま
す。それがいかに思い上がった見当はずれなものであろうと、もう反論する必要
さえありません。たんに、Qに対する(これまでのような)協力をやめればいい
のです。

私は、今後、NAMの会員に、ただちに、Qへの協力をやめることを勧めます。つま
らぬ論争は不要です。Qが自力でやれるなら、やってみたらいいでしょう。Qに少
しでも望みがあるのなら、私もそうはいわずに改革することを勧めたかもしれま
せん。しかし、そんな価値などまったくありません。

事情がどうであれ、私がこれまでQに対してあやまった幻想を与えてきたこと
は、確かです。そのことを、皆さんにお詫びします。とはいえ、それはLETSが幻
想だということを意味するものではありません。私は、あらためて、LETSがNAM
の原理の一つであること、それを成功させるべきであることを皆さんに訴えま
す。

Qが失敗だったことがわかっても、別に困らない。新たな試みをやればよいだけ
です。すでに、湯本氏やNAM中部の人たちは、地元の経済に根ざした地域通貨を
始めています。http://www.100watt.jp

これは、御札のほかに、簡単な口座決済ソフトを使ったものです。湯本氏は、技
術などたいした問題ではないといいます。技術なら、インターネットがそもそも
そうであるように、資本制企業が開発した最先端の成果を利用すればいいわけで
すから。湯本氏が強調するのは、むしろ生産者の協同組合を創出することです。

私自身は、原祐人氏らが構想する市民通貨Lに大きな期待を抱いています。これ
は、もう私などが宣伝してまわる必要がないような、実現性の高い、画期的な案
です。どんなきびしい商売人でも無視しないでしょう。あとは、どのような技術
を採用するかが問題なだけです。彼らは、これを、NAMのプロジェクトとして立
ち上げるようですから、関心のある人はそこに参加してください。

しかし、これらのLETSは対立したり、相克したりするものではありません。LETS
を生活の現場において流通するようにするための工夫は、いくらあっても構わな
いのです。また、それらは、いずれも円に対応する以上、互換的であり、いずれ
は結びつく。だから、このような多くのLETSの企てが、NAMの中から生まれるこ
とは歓迎すべきことです。

要するに、Qがなくなっても困ることはありません。今までの労働その他の記録
はすべて保存され、別のLETSに移転されることができます。Qの失敗の経験は、
今後のLETSをやっていく上で、役に立ちます。NAMは、これまで、たえず、失敗
の経験を認識としてプラスに転化しようとしてやってきたのです。

私は、NAM総会で、「これからのNAM」について、オン・ラインでの議論を中心に
してきたこれまでのやり方から、オフ・ラインの会合を中心にすべきだと主張し
ました。同じことが、LETSやプロジェクトについていえます。顔さえ見たことの
ない人と、立ち入った議論をすることはできませんし、不毛です。MLだけの議論
で、手前勝手な妄想を完成してしまったのが、Qの幹部なのです。

私は、新しい市民通貨についての会合が、あちこちで開かれることを希望しま
す。私はNAMの一会員として、東京、名古屋、京都、神戸、その他、実践的な試
みがあるところならどこにでも、話しに行くつもりです。(すでに、名古屋の会
合に出かけました。) しかし、今後、原則的に、MLでの空疎な議論には返答し
ないといっておきます。疑問がある人は、そのような会合に参加してください。



【0332】

From: kentao@n...
Date: 2002年10月20日 (日) 午後8時48分
Subject: 「柄谷行人の提案」への疑惑



王寺賢太です。

 私もQに問題がないとは思っていませんが、それが柄谷さんのいうように「理論的」で改善不可能な
根本的な欠陥であるのか否かは柄谷さんのメールからは全く分かりませんでした。その点上田さんに
同感です。NAMが複数のLETSをつくり出していくのはかまわないし、それはどんどんやったらいい。だが、
ある使いやすいLETSを作り上げればそれで一挙に地域通貨の経済網が広がり、資本主義を揚棄
することができるなどと考えるのだとしたら、それこそが「幻想」ではないでしょうか。Qはまだ始動してから
一年そこそこの地域通貨にすぎません。NAM内部での使用もまだこれからといったところではないです
か。LETSの流通を拡大し、しかもそれが資本と国家に対する対抗運動を志すNAMの目指す方向
にかなうためには、LETSを立ち上げた上で、さらなるNAMの側からの継続的・持久的な運動が要請
されるはずです。試行錯誤はあって良い。これまでの仕事を放棄することだって必要
なこともあるでしょう。しかし、これまでNAM会員の膨大な労力によって成立したQを、最も声高に推賞
してきた同じその人間が、根拠のはっきりしない一存で今度は放棄するなどと言い出すのではNAM会員
はたまったものではない。

 またNAMとQの関係について評議会内部で特別委員会の設置が議論されている最中に、そのメールを読
んでいるはずの柄谷さんが評議会で自分の意見を述べることをせず、全体MLでいきなりNAM会員へのQ
への協力をとりやめることを呼び掛け、さらに前もってMLでの議論を拒絶するといったやり方には、私は
正直に言って不快を覚えます。NAMは民主主義を真に実現することをうたっている。世界各国に住
み、NAMに参加している会員達が、一同に顔を合わせるなどといったことが不可能である以上、ML
はひとつの重要な議論の場です。柄谷さんの主張は、NAMの原理に反しているだけでなく、自分の主張
だけ言いっぱなしにして反論を受け付けないと言うその身ぶりは十分に反民主的だと思います。

 以上です。




【0335】

From: krtn@b...
Date: 2002年10月23日 (水) 午後1時05分
Subject: 退会しますー柄谷行人



柄谷行人です。

私は、あからさまに私の発言を妨げた人たちだけでなく、何だかんだといいなが
ら、民主的手続きがどうのこうのといいながら、私の提案をこれまでぐずぐずと
放置してきている人たちに抗議して、NAMを退会します。

ただ、退会する前に、カラタニ式市民通貨Lについて、皆さんに、簡単に説明し
ておきます。

まず、それがLETSやその他地域通貨と発想が逆であるということに注意してくだ
さい。これはむしろ、商店におけるポイントバックと似ています。そのような商
店は、客が円で払ったら、一定の額をペイバックします。ただし、それはその店
でしか使えない。市民通貨Lがそれと違うのは、その場合、各店がLを使うこと、
つまり、どの店でもそれを使えるようにすることです。すなわち、一つの店だけ
でなく、商店街、そして、やがて、全国で通用するものとするのです。したがっ
て、Lは「地域通貨」ではありません。

大きい店はすでにICカードなどを使っていますが、それができないような中小商
店もできればそれを採用したいと望んでいます。つまり、ICカードなどを安価か
つ便利に誘導する工夫さえすれば、これは商店街などで、すぐに普及します。こ
れは、一方では、狭義の地域通貨として、地域経済の活性化をもたらすもので
す。

また、商店から始めると、それと取引する生産者、運輸関係もLに参加するよう
になります。そして、これが重要なことです。

くりかえすと、このやり方では、Lに加入した店は、円で払った人に、Lでペイ
バックします。それは、オンラインでセンターの口座に記録されます。店が手数
料を払い、各個人は不要です。

入会手続きなどは、ポイントカードなどと同じように、店などがやることになり
ます。Lでは、商店や企業以外には、各個人は赤字発行ができないから(Lの所有
額に応じた一時的なローンは可能だとしても)、各人の身元証明など不要です。
そもそも赤字がありえないので、会員が赤字のままやめるということもありえま
せん。

こうしたLは、すでに貨幣です。つまり、交換可能性の権利をもっています。そ
して、円を使うかぎり、誰でもLを得ることができます。(Qでは、Qを使うこと
ができないだけでなく、Qを稼ぐことが難しかった。要するに、Qは通貨currency
ではない。象徴的なオモチャなのです。)

かくして、Lは、資本制経済と別に構想されるものではなく、それにぴったりは
りついた「対抗ガン」の運動を可能にします。Lに入る企業や個人は、利潤では
ないとしても、得をすると思って入ります。だから、Lが革命運動の動機をもっ
ているとわかっても、人はやめません。たとえば、赤坂の料亭が、節税のために
皆、共産党(民商)に入っていることは常識です。共産党はここを情報ソースに
しているのです。

私はLについて説明しているだけであって、皆さんに、Lを普及させる運動を勧
めたり依頼しているのではありません。NAMの協力がなくても、これは可能で
す。強い関心と行動力のある人のみ、プロジェクトに参加することを認めます
が、ほかの人は特に知らなくても結構です。

Q病人は、よくQはNAMから独立しているといいますが、実際は、それは、NAMの人
たちに、つまり、倫理的な人たちに依存するほかないものです。(ちなみに、西
部忠はNAMに入り込み、NAMの心優しい人たちを利用して、Qの実験をしたので
す。Qがうまく行かなければ、さっさとQもやめるでしょう。)

一方、Lには、得をすると思って入ってくる人が大半です。そして、彼らが、知
らぬ間に倫理的になっている。それこそ、「対抗ガン」の運動です。LがNAM的だと
すれば、Qは赤軍的です。そこに世界革命の展望があるなどと思い込むのは、
ピョンヤンに飛んでいくようなものです。私がNAMをはじめたのは、こういう自
己犠牲のメンタリティを根本的に否定するためでしたが、昔も今も、変わりがな
いようです。

Qの場合と対照的に、NAMの人たちは、全体としては、Lに取り組む必要はありま
せん。それよりも、NAMに入ってきたときの各人の「関心」に戻ってやるべきで
す。そもそも、Qのような夢想世界に生きていて、いま始まろうとしている湾岸
戦争を忘れているようでは、NAMはまるで阿Qの徒です。

現在のところ、Q患の人たちは、Qを放棄すると、労働対価、投げ銭などができな
くなるのではないかと恐れているようです。しかし、Qで何ができるでしょう
か。Qを得たところで、まったく使い道はありません。将来使えるだろうという
見込み(100パーセント無い)で、ママゴトをしているだけです。
 
ただし、Qを貯めることで、円による会費を減らすことができます。つまり、Qを
使うことによって、ある程度、会員に、(NAM内)労働におうじた再分配—調整
をしていることになります。これは、NAMの内部だけでしか機能しませんが、無
意味ではありません。たんなるボランティアを認めない、NAMの組織原則に合致
します。

しかし、この程度のことなら、市民通貨Lを使えば、もっと簡単にできます。NAM
入会と同時に、各人が、Lのネット口座(アカウント)を開くようにするので
す。わざわざQに煩雑な入会手続きをする必要がない。また、会員にそれを義務
づけることもない。NAM入会と同時に、それがなされる。もちろん、ペンネーム
も可能です。

Qと違って、近い将来において、Lで何でも買えるようになります。Lは、それに
よって他のものと交換できる権利をもつがゆえに、Qとはちがって、通貨なので
す。しかし、まだそれができないうちに、NAMでLを使うことはできますし、しか
も、それはQが可能にするだろうことを、もっと容易に可能にします。

以下、簡単に、その使い方を説明します。(なお、数字は暫定的なものです。仮
に、会費1万円とします)

(1)NAMセンター事務局は、会員が入会を申し込むと、ただちに、ネット上に
その人の「口座」を開きます。(いうまでもなく、NAM自身の口座もありま
す。)

(2)新会員(あるいは更新者)が会費1万円を振り込むと、このネットの口座
に、5000L払い戻されます。(この場合、もし15000円振り込めば、1
万L払い戻されます。)

(3)各会員は、5000Lの中から、自分の入りたい、地域系、関心系の口座
にLで振り込みます。
地域系、関心系などでは、それをもとに、労働対価がLで払われます。センター
事務局、編集局などでの労働は、センターからLで支払われる。

(4)新会員は別ですが、翌年から、会員は、円で会費5000円を払えば、残
りを5000Lで払うことができます。ただし、Lでのお返しはありません。だか
ら、Lが必要であれば、円で払えばいい。それ以外でも、いつでも、円をNAMに払
えば、相当するLを得ることができます。

以上です。もちろん、細部はもっと工夫すべきでしょう。(特に、地域系会費の
ことは再考すべきだと思います。)

NAM当局のL赤字は、初年度は厖大ですが、徐々に、回収されます。NAMには、円
の収入があるので、家賃など、対外的費用において支障はありません。

また、Qと同様に、「投げ銭」をすることができます。相手の口座にふりこめば
よいだけです。Qでは、wantとofferというような半端な英語を使っていますが、
このような需給の情報と取引は、NAM掲示板(ウェブサイトではその用意だけは
できています)などでできます。

NAMにおけるLの口座は、NAMに復帰した湯本氏が作ったような簡単な決済ソフト
で十分です。事務局ではこれまで、入会手続きを自動化するためのソフトを開発
してきましたが、これを組み合わせたほうがいいでしょう。このソフトの開発
は、Qと違って、共同でできるし、もしそれが難しいのであれば、外注したほう
がいいでしょう。

その資金は、会員からの寄付で調達します。しかし、寄付した人には相当するL
が還付されるので、正確には、寄付とはいえません。

Qを採用する場合、NAMの各人はまずQ赤字となります。しかし、Qを稼げない人が
圧倒的に多い。それを返すために、Qのために、働かなければならないが、それ
もできないとしたら、どうなるのか。

また、NAMをやめる人はQの赤字をどうするのか。おおかた、赤字のままやめるで
しょう。それを回収することなどできません。一方、Qのほうでも、回収できま
せん。だから、Qでは煩瑣な規約をこしらえているのですが、何の強制力もあり
ません。

一方、Lでは、各個人に赤字はありません。やめる人は黒字分のLをNAMに寄付し
ていくことになります。そういう規約があれば、何の問題も生じません。

ところで、私はQなどやめてしまえ、といっているのですが、現在Qに入っている
人たちがQをやめるとき、赤字のままやめろ、とはいいません。しかし、決して
円で払うべきではないでしょう。

Qをやめたいが赤字があるというNAM会員は、NAMセンターに申し出ればいいので
す。NAMが、Q脱退を望むNAM会員の各人の黒字あるいは赤字を引き受けて清算
し、のちに、それを、Lの口座に移しかえればいいだけです。

断っておきますが、私がここで示したのは、Lのアウトラインです。私は、Lに関
して、理論的な根拠を用意しています。だから、この文章を読んで生半可な批判
をする者は、いずれ泣きを見るでしょう。

LETSをふくめて、オーウェン・プルードン以来の、これまでの地域通貨論には、
ある物を貨幣たらしめる、つまり、通貨として流通させるものが何なのかについ
ての考察が欠落していたのです。私にもそれが欠けていたと認めますが。Qとち
がって、Lがなぜ流通するのかを考えて見れば、その秘密がわかるはずです。

以上で、私は、まともな知性をもつ人なら理解できるはずのことを伝えました。
これを理解できないような人たちともに活動する気はありません。そのような人
たちの、無知なくせに、傲慢で無礼な態度に対応するつもりはありません。で
は、一先ずさようなら。



【0381】

柄谷行人です。

近いうちに、NAMは、Qと絶縁することを表明します。しかし、NAM全体の改革が
進んでいるため、そのような表明が遅れています。一方、すぐにでもQをやめた
い、というNAM会員・賛助会員がかなりいます。私は責任を感じて、そのような
人たちのために、以下のような提案をします。

Qを退会するには、Qのサイトにあるアドレスをクリックして、Eメールを書き、
退会を通知するだけでよいのです。

なお、その際に、次のようにいうと、お金をとりかえすことができます。

「Qとの契約を解除します。直ちに会費を返却してください。さもなければ告訴
します。」

つまり、たんなる退会ではなく、契約を解除するのです。

Qで買えるものがあるなどというのは、輸送費や運賃などを無視した机上の話
で、実際は、何もできません。西部忠は、Qは、これから始まるといっています
が、何年たっても始まりません。

しかし、大事なのは、西部忠本人が、「Qが始まっていない」ことを認めたこと
です。つまり、会員が、この一年間、会費だけ取られて何のサーヴィスも受けら
れなかったことを。

これは不作為であるにしても、詐欺と同じです。そして、今後もそうするなら、
明瞭に詐欺となります。

このような契約は解除し、会費返済を要求してよいのです。返却しない場合、
「Q被害者の会」を結成し、告訴する用意をしていますので、連絡してくださ
い。弁護士もいます。

また、Qによる被害を世の中に宣伝しますので、すでに退会した人も申し出てく
ださい。

しかし、以下の理由でやめられないという人がいます。

(1) 赤字がある。
(2) 黒字がある。

(1)と(2)に関して、本来はNAM団体が精算の手続きを引き受けるべきです
が、それには時間がかかるので、私が個人的に代行し、後日清算します。

(1)の場合、私の口座(ニックネームkkrtn)に対して、登録内容を「退会の
ため」とし、赤字分をwantしてください。(wantというのは、馬鹿げた英語です
が)。
(2)の場合、私の口座(ニックネームkkrtnに、登録内容を「退会のため」と
し、黒字分をofferしてください。

ところで、さらに、次の理由でQをやめられない人がいます。たぶん、これが最
も多いと思います。

(3) 操作の仕方がわからない。

やり方がわからない人はQ管理運営委員会に問い合わせるべきです。
彼らは責任を持って使い方を教える義務があります。
それを怠った場合は契約解除の理由にもなります。

Qについての問合せ先

登録についてのお問い合わせ:mailto:registry@q...
デモ版・その他Winds利用上のお問い合わせ:mailto:support@q...
「地域通貨Q」についての一般的なお問い合わせ:mailto:info@q...
URL : http://www.q-project.org/

-------------------------------
債務不履行:債務者がその責めに帰すべき、事由(故意、過失)によって債務の
本旨に従った履行をしないこと。(約束を破ること) 履行に遅れた履行遅滞、
履行することができなくなった履行不能などがある。.
「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」

民法
第四百十五条   【 債務不履行 】
債務者カ其債務ノ本旨ニ従ヒタル履行ヲ為ササルトキハ債権者ハ其損害ノ賠償
ヲ請求スルコトヲ得債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ履行ヲ為スコト能ハサル
ニ至リタルトキ亦同シ


第四百十六条   【 損害賠償の範囲 】
第一項 損害賠償ノ請求ハ債務ノ不履行ニ因リテ通常生スヘキ損害ノ賠償ヲ為サ
シムルヲ以テ其目的トス
第二項 特別ノ事情ニ因リテ生シタル損害ト雖モ当事者カ其事情ヲ予見シ又ハ予
見スルコトヲ得ヘカリシトキハ債権者ハ其賠償ヲ請求スルコトヲ得


第五百四十一条   【 履行遅滞による解除権 】
当事者ノ一方カ其債務ヲ履行セサルトキハ相手方ハ相当ノ期間ヲ定メテ其履行
ヲ催告シ若シ其期間内ニ履行ナキトキハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得

第五百四十三条   【 履行不能による解除権 】
履行ノ全部又ハ一部カ債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ不能ト為リタルトキ
ハ債権者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得



【0385】

From: masa-fly@t...
Date: 2002年12月3日 (火) 午前0時36分
Subject: {重要}NAMの機構の解消についてー運動の真の再生のためにー

NAM会員のみなさんへ
NAM代表・田中正治

◆NAMの機構の解消について−−運動の真の再生のために−− 

0.NAM抜本的改革案の実行はすでに代表団に委任されていましたが、
代表団内部でその内容を詳細に検討した結果、改革の目玉の一つである
NAM機構のスリム化・省力化という改革を徹底的に考え抜こうとする
と、現在のNAMの状況におけるその改革の究極的形態は、NAMの機
構をいったん解消して、それに代わって、改革のもう一つの目玉である
プロジェク中心の活動に基づき、そうした個人が形成する、自由かつ自
発的なプロジェクトの連合によって、本来のNAM的な運動を発展させ
ることが現状の最良のやり方ではないかという結論に至りました。

もともと組織とは運動を支援するために存在するものですが、現状の
NAMでは、端的に言えば、運動がないのに組織だけが存在し、そして、
こうした組織の維持・運営のために貴重な時間と労力を費やし、こうし
た機構づくりを推し進める中で、新たに生れる問題を、再び、官僚的シ
ステムの強化によって解決しようとし、その結果、組織の呪縛に陥って
しまいました。

例えば、MLで生じた問題を別の委員会MLを設置することによって
解決を図っていくうちに、MLの「無限連鎖」に陥ることが多くありま
した。その結果、本来の運動への全力投入が阻害されてしまうという
本末転倒の結果になってしまっていました。

こうした事態を抜本的に改革するためには、「NAM抜本的改革委員会」
で得られた抜本的改革案を、さらにもう一歩進め、現在のNAMの機構
をいったん解消することが必要であり、それが最良の選択だと考えるに
至りました。

それはまた、NAMの組織機構が確立された過程で形成されてしまった
組織依存の態勢をここで一気に払拭し、独立した個人が自由意志にもと
づいて、独自にプロジェクトを立ち上げることを再び自覚することです。
組織機構の解消は、そのために必要な、NAM自身に向けられた荒療治
でもあります。

1.したがって、現在のNAMの機構をいったん解消します。NAMの
会員としての立場もなくなります。これに関しては代表団が責任を持って、
各地域に出向いて説明を行います。

2.各個人は、NAM的なものの実現を引き続き追求するべく、みずか
らの活動の場を持ち、自分の関心のある領域のプロジェクトを立ち上げ
ればよいでしょう。情報の交換の場として利用できるように、ウェブサ
イトは維持します。サイトの利用の仕方の詳細については今後近いうち
に発表します。

3.例えば、CD−ROMによるメディア(出版)的なプロジェクトも
よし、また例えば、再生可能エネルギーのワーカーズコレクティヴ(生
産協同組合)のようなアクションプロジェクトもよいでしょう。個人や、
グループで、自分の関心と力量に合ったプロジェクトを立ち上げ、ウェ
ブサイトにそのプロジェクトについての情報を投稿し、協力者を募る
ことも可能でしょう。すでに社会のさまざまな領域で国家と資本、古い
共同体に対抗する様々な運動が存在していますが、それらとの相互協力・
共同作業としてプロジェクトを発展させることも可能でしょう。

4.NAM的な運動としてのこうしたプロジェクトの成長の後に、単な
るプロジェクトの寄せ集めとは異なる、真にNAM的な意味でのプロジェ
クトの連合を図ることもできるでしょう。その過程で、NAMの機構の
再建の機運が高まるかも知れませんが、そうならないとしても、その過
程自体が極めてNAM的な運動になることだろうと考えます。

5.以上のように代表団の提案をしましたが、これに対する会員のみな
さんの感想・意見を教えてください。現在保留中の過去の事務の労働対
価払いの件や、関心系・地域系の今後のあり方についても、今後、詳しい
内容を詰めて行きたい。また、代表団は、12月中に、全国各地域での
オフ会でこの提案に関して、説明し、意見交換をするつもりです。

以上



【0389】

From: namnam@m...
Date: 2002年12月3日 (火) 午後1時53分
Subject: Re: [nam-event] {重要}NAMの機構の解消についてー運動の真の再生のために




こんにちわ、朽木 水(法律・東京・非学生)です。

私は、今回の提案の最も熱心な推進者のひとりですので、ザックバランに、今
の心境を述べさせていただきます。

私自身は、20代をマルクス主義の運動の中で、その後、30代をアナーキズムの
運動の中ですごしてきた人間で、いずれもその中で頭を壁にぶちつけるような
限界に突き当たった末、NAMに出会い、ここに光明を見出して、参加したものです。

また、法律を商売としてきましたが、最初は見習いのデッチ奉公から始まり、
共同事務所を経て、最後は、余計な機構(事務所など)を一切削ぎ落としたPC
と携帯だけのオフィスレスのスタイルで事業を起こし(最初は、前代未聞の試
みに、本当にホームレスになるのではないかと覚悟しましたが)、著作権の分
野で、インディーズのクリエーターたちと彼らの仕事をサポートするという、
一通り、事業者としての経験を積んできました。

だから、NAMの原理の柱の一つである、生産−消費協同組合の設立・発展させる
という実践は、私にとってごく自然なものでした。

そして、NAMがスタートする時、この実践のために、どのような人がどのくらい
集まるのか、内心、注目していたわけです。

しかし、実際にフタを開けてみて、実情ははっきり言って、容易ならざるもの
でした。
例えば、今、代表をやっている田中さんは、私がNAMで出会ったモデルに最も近
い人物ですが、残念ながら、こういう人がまだNAMには余りにも少ないことが分
かりました。

その上、NAMでは、その活動として、原理に書かれたNAMの機構を整備するとい
うことに力を注ぎました。これは何も初めから、NAMの(官僚)機構を目指そう
と思ったわけではなく、とにかく、NAMに集まってきた人たちが、これからいろ
んなプロジェクトを立ち上げていくために必要で有益なシステムを整備しよう
というもので、この時点ではちゃんと合理的な根拠があったと思います。

しかし、いざ、NAMの機構を整備することを始めたとき、この作業がまた膨大な
労力と時間を取られる容易ならざる作業であることを思い知らされ、NAMの運動
の先頭に立ってリーダーシップを取るであろう多くの人たちが、それを犠牲に
して、このNAMの機構整備の側に回りました(そして、すくならからぬ人たち
が、この作業だけで燃え尽きて、肝心のプロジェクトに向えないまま沈黙して
しまいました)。私もそうでしたが、こうしたNAMの機構整備に多くの時間と労
力を割いた人たちは、きっとこういう感じでやってきたのではないかと思います。
「今、この縁の下の力持ちの作業をやり抜くことが、他方で、多くのプロジェ
クトを立ち上げるためのインフラになるのだ。だから、ここで頑張らなくては
ならない」と。

しかし、この認識がどうやら間違っているのではないかと、こんな機構整備を
いくら熱心にやったところで、多くのプロジェクトを立ち上がることにならな
いのではないと、しかも、いったん整備した作り上げた壮大な機構(*末尾参
照)を維持していくために否応なしに、引き続き少なからぬ時間と労力を取ら
れることを考えると、もうこれは本末転倒ではないかと、
私はここにきて、そう感じるようになりました。

こうした問題を感じるに至った背景には、私たち自身の現状があります。
私たち会員の大多数の現状は、率直に言いまして、未だかつて、(NAM的なもの
でなくてもいいのですが)およそ生産−消費協同組合の設立・運営に参加した
経験もなければ、市民運動を組織・運営に参加した経験もない人たちだと思い
ます。
しかるに、NAMの原理とは、実は、既に、そうした生産−消費協同組合の経験、
市民運動の経験を前提にして、そこでぶつかった本質的な限界を突破するため
の鍵を与えようとするものです。いわば、暗黙のうち、生産−消費協同組合の
経験者でありその自己批判者、或いは市民運動の経験者でありその自己批判者
であることを前提にしているのです(代表の田中さんのような人をイメージし
てもらえばいいです)。

その意味で、ハッキリ言えば、今のNAMの現状は、赤ん坊が原理が想定している
機構(成人式の服)をまとっているようなものです。成人式の服が立派すぎ
て、とても立っていられないくらいの感じです。
それだったら、そんな立派な成人式の服は(決して無駄にすることはありませ
んが)今はとりあえず納戸にしまって、もっと自分に相応しい体験と栄養を吸
収して、筋肉と骨格を成人になるように鍛え上げることが先決だと思います。
それが私にとって「われわれは、現状を止揚する現実の運動を共産主義と名づ
けている。この運動の諸条件は、いま現にある前提から生じる」(マルクス)
ということです。

とはいえ、私にとって、この2年間でNAMで知り合った人たちは、貴重な人たち
ばかりです。
代表の田中さんも、「NAMには理論的な論客が多く、彼らは実践を十分知らない
かもしれないが、しかし、実践をやってきた者からすれば、これだけの論客が
結集しているような場はどこにもない。実践をやってきて限界にぶち当たり、
そこから活路を見出したいと思っている者にとって、こうした理論的論客との
連携はものすごく大切なのです」というようなことを何度も言っています。

だから、そうした人たちが、たとえ「赤ん坊」の状態だとしても、彼らが私に
とって宝であることに変りはありません。むしろ、宝に思えるようなこの貴重
な人たちが、今後このまま、NAM機構の維持・運営のために、貴重な時間と労力
を費やすことなく、思う存分、NAM的な成人になるための筋肉と骨格を鍛えてい
ったもらいたいと願うものです。

従って、これから全国を回って説明したいというのも、NAM解散のお詫びの行脚
などではなく、日本におけるNAMの本当のスタートのために足がかりを掴んだこ
とを皆さんと共有したくて、参るのです。

かなり乱暴でしたが、思っていることを述べました。



* 註
 
 この夏、私は、今までNAMで作ってきた機構の運営のやり方を明文化するた
め、規約と内規の草案作りの作業を行ないました。
 その草案を規約委員会で見てもらった時、ある会員の人から、次のような感
想を言われ、胸にこたえました。

>遠大な計画になりそうですね。これだけの組織をみんなが兼任でやってるなん
>て、絶対間違っていると思いました。

そのときの私の疑問は、「兼任」だから間違っているというのではなく、そも
そも「これだけの組織」が間違っているのではないかということです。

以下、情報共有の意味で、NAMの組織の全容が分かる規約と内規の草案を紹介し
ておきます(センター評議会にアップした発言の抜粋です)。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−

(中略━━引用者)




【0430】

From: krtn@b...
Date: 2002年12月11日 (水) 午後1時34分
Subject: Q退会のためにーその2



柄谷行人です。

先に、「Qを退会したい人のために」、そのやり方を書きました。
しかし、その後、つぎのようなことがわかりましたので、退会の際は、注意して
ください。

1)、退会したあとも、個人情報と履歴がそのままQのサイトに残ります。退会
者が出ることを想定せずにソフトが作られたのです。しかし、これは悪質です。
退会した人も厳重に抗議すべきだし、今後、やめる人も、あらかじめ要求すべき
です。

2)、事務所をもたなくなったQでは、一個人が会員の資料を預かるようです。
退会者は資料の返還を要求する権利があります。

3)、 また、私は、退会するさい、次のように書くと、お金をとりかえせると
書きました。「Qとの契約を解除します。直ちに会費を返却してください。さも
なければ告訴します。」 Q管理委員会の大勢は、返却を考えているようです
が、西部がひとり強硬に反対しているため、遅れています。

それゆえ、あらためて返還を要求する必要があります。さらに、Q-userに、返
却要求のメールを出してください。
Q-userに書くと隠せないので、最も効き目があるようです。

4)、 また、Qでは、会計内容がいつまでたっても公開されません。その公開
を要求してください。

ところで、以上のことがみとめられない場合、告訴しますが、その前に、告訴よ
りもいやな手段に訴えます。

ーーーーー

以上のことから、「退会のしかた」に関して、先日の意見を訂正します。

退会したいのに、赤字がある場合。

赤字があっても、、無視して退会してください。「契約解除します」というだけ
で、結構です。
そして、遠慮なく、会費、資料などの返還を要求してください。

Qの価値は、せいぜい、1円=1、000Qというところです。したがって、遠
慮する必要はありません。



【0449】

From: namnam@m...
Date: 2002年12月16日 (月) 午前10時10分
Subject: なぜ「運動の真の再生」のことを強調しないのか



おはようございます、朽木 水(法律・東京・非学生)です。

気になったことがあったので、ちょっとコメントさせて下さい。

先日、或る人から、代表団では、なぜ「運動の真の再生」のことをもっと強調
しないのか、今、自分の回りでは、NAMは解散する、あとはNAMの資産をどう分
配するか・使うかという問題が残っているといった声を聞くという趣旨の話を
聞きました。
(念のために言っておきますが、これは先日の杉田さんのことではありませ
ん。彼の疑問は至極まっとうなことですから)

確かに、お金の問題は重要です。これをいい加減にして、まともな社会運動は
あり得ないでしょう。
しかし、正直いって、代表団の中には、残ったNAMの資産をどうするかといった
ことに頭を悩ます気持ちは殆どありませんでした。

なぜなら、我々代表団の唯一、最大の課題は、このNAM機構の桎梏のため成長を
止められてしまったNAMの運動をどう再生に導くか、ということしかないからです。

だから、NAMの残った資産を、将来の「NAMの真の再生」のために保全するとい
うのは当然のことです。だからこそ、マルクスすら書けなかったような原理を
執筆し、柄でもないのを承知で2年間も代表を務めてきた柄谷さんも、また、
この間、文字通り「仕事は破産、体も滅茶苦茶、実践もまともにできない」状
態で、生活保護基準以下の収入で代表を担当している田中さんも、NAMに対して
自分たちの対価払いを一銭も要求しないのです。


では、なぜ、単にNAMは終わるのではなく、ここからこそ「運動の真の再生」が
始まることを代表団はもっと強調しないのか。

確かに、代表団の今回の提案のエッセンスはそこにあります。それは、代表団
の提案を注意深く読めば自ずと分かる筈です。
それが分からないとしたら、それは、読み手の人が、NAMが今おかれている苦境
のことを今まで何も考えていなかったということでしょう。

しかし、代表団は、そのことをそれ以上に強調しませんでした。
それは、「運動の真の再生」は、基本はあくまでも、
今後NAM的なものの実現は、参加する個々人の意志と行動に依存する。
ものでしかあり得ないからです。

NAM解消といったこうした試練は、全ての人にとってのリトマス試験紙です。
NAMが試練に遭っているだけではなく、それに関係している全ての人にとって、
自分の正体が明らかになる瞬間だからです。
今回の試練を鏡にして、私たちが、自らの意志と行動を見つめ直す決定的なチ
ャンスにしたいと思っています。



【0478】

From: namnam@m...
Date: 2002年12月24日 (火) 午後0時28分
Subject: 投票の感想




今回の投票の提案者のひとり朽木水(法律・東京・非学生)です。

投票結果が出たので、少しあけすけに感想を4つほど書きます。

◆正直なところ、私自身、代表団内部において、当初、今回の提案に半ば反対
であり(他方、半ばずっと前から賛成でもあり)、考えた末、賛成するに至り
ました。その意味で、今回の投票に関して、
賛成であれ、反対であれ、票を投じた人たちのNAMに対する熱意・愛情において
何ら差異はないと思います。
なぜなら、今回の問題は、原理の中身に対する是非のことではなく、あくまで
もNAM生成の方法に関する違いのこと、要するにNAM的に未成年である我々が、
いかにしてNAM的成年に至るかというプロセスの問題だからです。


◆賛成を投じた人の気持ち----

「可愛い子には旅させよ」


◆これから新しいスタートを切るにあたって思い出されることは、NAMがスター
トした直後に出した本「原理」に紹介した、NAM的な生産協同組合を知らずして
立ち上げてしまったインディーズのレコード会社の代表者の人のことです。

彼は、こうした実践に関しては素晴らしい活動家です。しかし、メール・MLを
一切やらない(柄谷さん・田中さんよりも若いにもかかわらず)。PCが大の苦
手なのです(よって、メールの受信は助手に一切を任せている)。

この点も「原理」の本に立ち返って、これからは、こうした人たちとも連携し
ていけるプロジェクトを構想・推進していかなければと思います。


◆NAMの過去&未来

「あなたはNAM会員だったのですか」

「今に分かりますよ」


攝津正