特別短期集中連載
CHAGE&ASKA 
千年夜一夜ライブ ー福岡ドーム 僕らがホームー 
ライブレポート

1月3日(月)

CHAGE

—カタルシス発生装置としてのロック—

いくらでも言われていることだけど、もしロックというものの存在理由があるとしたら、
やっぱり第一義としてこの「カタルシスの発生装置」というものが来るだろうね。

いつの時代も、ロックスターたちはその時代時代の何かもやもやしたもの、

—「時代の閉塞感」なんてチープな言葉じゃないぞ。なんでもいいんだ。
ある時代に生きている人間の何でもいいから、もやもやしたものだ。—

そんなものを浄化するために歌っていたんだと思う。
本人たちが意図してなかったとしても、結果としてね。

それはもう、ビートルズからニルヴァーナ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンまで。

もちろん、CHAGE&ASKAを上記のやつらと同じ土俵で比べるのはどうかと思うし、
そもそもチャゲアスがロックか、という時点で「?」がつくのはわかってる。

それでも、もしチャゲアスがロックじゃなかったとしても、初めてみるCHAGEのソロステージは
十分に「ロック的」なものだった。「カタルシス発生装置」という意味において。

残念ながら、CHAGEのソングライティング能力はASKAのそれに遠く及ばない。
それは、ASKAが「NO WAY」「NOW」「花は咲いたか」を同時に生み出しているのに対して、
結局のところ、へヴィ・ロックバージョンの「CATCH&RELEASE」と「CRIMSON」はどう違うの?
という疑問に集約される。

でも、それでもライブにおける奇跡はCHAGEに起こる。

それは「浄化」という奇跡だ。それは「7」で起こり、「WINDY ROAD」で起こった。

「7」の歌詞、「七つの海を全て〜」と、CHAGEのクロールのフリ。
「WINDY ROAD」の、一瞬のブレイクのあとに乱れ舞う紙飛行機。

どうしてCHAGEのクロールのフリだけで感動するの?

という疑問と、

どうしてCHAGEはあんな一生懸命クロールのフリをするの?

という疑問は同じ意味を持つ。
つまり「一生懸命やるから感動できる」という、極めてシンプルな理由がそこにあるからだ。
CHAGEはおそらく、自分のクロールのしぐさを観客がまねすることを前提としていない。
少なくとも俺にはそう見える。
ただ自分が一生懸命やっているだけ。
そしてそれでも観客はCHAGEと同じ動作をする。
だから感動できるんだ。
そこに作為が感じられないから、感動できるんだと思う。

それは、例えば「けれど空は青」に見られるような、ASKAの極限まで計算し尽くされた
「感動の方程式」とはまったく正反対だ。
「けれど空は青」が感動できないといっているんじゃない。
俺はもちろんこの曲でも泣いた。
しかし、ライブにおける奇跡は間違いなくCHAGEのほうに感じる。

紙飛行機も感動的だった。
これも、一瞬のブレイクと、開放感70%哀愁30%のメロディー、
そして満員のドームから一斉に飛ぶ紙飛行機が生み出した奇跡だ。

このときCHAGEは、どうということもなく、
ただいつもどおり微笑んで歌っているだけだった。

紙飛行機を飛ばすという作業は、言ってしまえば観客の単なる自己満足にすぎない。
しかしCHAGEは、その数万人の自己満足の集中を受けながら、それでも何事もなかったかのように
平然としているだけ。

そのとき俺は、CHAGEの姿に神々しさすら感じていた。
それで、泣けた。だって、もはやかっこいいという言葉を通り越してるんだから。
やっぱり、作為からは浄化はうまれないし、
奇跡は意図しないところから起こるものなんだよな。

あーあ、長くなっちゃった。
ASKAのときはこんなに長く書けるかしら?
とりあえず、CHAGEソロの感想は以上です。
ASKA・CHAGE&ASKAの感想は近日アップ予定!!

 

1月4日(火)

ASKA

—ポップという計算の魔法—

感動には2種類あると思う。

一つは理由の言える感動。
もう一つは理由の言えない感動。

言いかえるならば、
意図された感動と意図されない感動だ。

例えば「けれど空は青」の別メロから大サビにかけて感動するのは、
意図された感動といっていいだろう。

あの曲の1コーラス目は、聞いていてスカスカに感じるほど音数が少ない。
メロディーが素晴らしいのはわかるけれど、何か物足りない。
でも、曲が進むにつれ音圧は増してゆき、ラストには分厚いコーラスと怒涛の伴奏で
圧倒的なエンディングを迎える。

これは全て意図された感動なんだ。全て予定通りの感動。
そして理由の言える感動。
だって、ASKAが俺たちを感動させようとして、
それで、俺たちはASKAの思惑通り感動してるんだから。

でもね、これは奇跡じゃない。予定通りに起こったことは奇跡じゃない。
言うならば、ライブじゃなくてCDを聞いても再現可能な感動なんだ。

どこかのサイトで、
CHAGEのライブのほうが、ASKAのライブよりも盛り上がるってあったけど、
それは今回CHAGEのライブを初めて体験して俺も感じた。
そしてその理由はまさにそれだ。

ASKAのライブのほうが、CDの感動に頼っている部分が大きいということなんだ。
CDの感動=メロディーの感動って言ってもいい。
なんかさ、ライブじゃなくても味わえる部分が大きいんだよね。

もちろん、そのことは逆の考え方をすれば一つの勲章といえるだろう。
ASKAのメロディーメイカーとしての圧倒的な力量、それがあってのことだから。
だから、「ライブの奇跡」の割合が大きい分、ASKAよりCHAGEのほうが
CDを聞いてる時点じゃつまらない。

どっちがいいとか、悪いとか言ってるんじゃなくて、
この対比されがちな二人は、この点においても決定的な違いがあるということだ。

CHAGEを「ロック的」とするならば、ASKAは「ポップ的」というべきか。
音楽的なことをいってるんじゃないぞ。

意図されない感動と意図された感動。
計算できないライブと計算通りのライブ。

そういった、本質的な部分のことを言ってるんだ。
それは、今回のライブのASKAの登場シーンを見ても明らかだ。

CHAGEの退場を花道で待つASKA。
CHAGEバンドのメンバーをハイタッチで迎えるASKA。
そしてミネラルウォーターを飲みながら、CHAGEに近づくASKA。

たしかにかっこいいよ。むちゃくちゃかっこいいよ。

でもそれは、世界のロックスターと呼ばれるやつらのかっこよさとは違うんだ。
やつらは、好き勝手に生きて、結果としてそれがかっこいい。

でもASKAは逆で、
その立ち姿、ハイタッチのポーズ、ミネラルウォーターの飲み方、全て計算されている。
結果としてかっこいいんじゃなくて、最初からかっこいいと分ってるやり方をやって、
やっぱり、予定通りかっこいいんだよ。

そのへんが「ポップ的」なのね。
でもやっぱり計算ずくのライブには奇跡は生まれないし、
そうなると、感動のレベルもなんだか一段下がるよな。

それでも俺は「けれど空は青」で泣いた。

ここまで、「意図された感動」などと書いておいてしっかり泣いてやんの。

それはやっぱり、ASKAの「歌」であり「汗」なんだ。
極上のメロディーに、「意図できない」限界ぎりぎりの歌と汗が乗っかったら、
もう俺は泣いていた。

これは、「ASKAのキーが下がってる」とかなんとかいう話への反論でもある。
メロディーの音が高いか低いかなんてのは、それは意図できる感動にすぎなくて、
ライブにおいてより重要なのは、意図できない感動、つまりASKAがどれだけ限界で歌ってくれるのか、
どれだけ汗を流すかということだ。
もしそうしてくれるなら、キーが上がろうが下がろうが関係ない。と俺は思う。

でもこれがASKAからCHAGE&ASKAになったらまたぜんぜん別物になるんだから、
不思議なもんだよな。

というわけで、ASKA編、以上です。CHAGE&ASKA、
んでもって番外編・千年夜一夜祭レポートはあとほんのちょっとお待ちください。

1月5日(水)

CHAGE&ASKA

—唯一無二のユニットの記憶—

結論から言うと、今回のCHAGE&ASKAのステージは最高だった。

最高も最高。超をあたまにつけてもいいくらいで、
これを最高と思えないなら、はっきり言ってファンをやめたほうがいい。
というより、もうファンを止めた方なんだね、と俺は断言しちゃうよ。

じゃあ何で最高、もとい超最高だったのか?

「唯一無二のユニットの記憶」、タイトルに付けたこの言葉がキーワードだと思う。
今回のCHAGE&ASKAのセットリストを見たらわかるように、
そのほとんどが、言っちゃ悪いが彼らが売上的に絶頂期にあったときのものだ。

最近の曲としては「もうすぐ僕らは、ふたつの時代を超える恋になる」と
「no doubt」があったわけだ。
でも、「もうすぐ僕らは・・・」は今回のライブに必要な曲としても、「no doubt」
はなんか浮いてなかったか?
あれだけの豪華な曲の中で、ここだけ最近の曲。

あれは多分、「もうすぐ僕らは・・・」とのバランスをとるために入った曲だよ。
CHAGEだけ最近の曲をやるのはちょっと、みたいなかんじで、それじゃASKAの最近の曲も・・・
ってことになったんだと思う。推測だけどね。

まあ、とにかくそういった絶頂期の時代の楽曲をメインにもってきたことで、
先に挙げた「唯一無二のユニットの記憶」という、意図できない効果が生まれて、
そして、あの大盛り上がり大会になったわけだ。

それじゃ、「唯一無二のユニットの記憶」ってのはなんだ?

「CHAGE&ASKAが唯一無二だったころの記憶」

と言えばわかりやすくなるだろう。
つまり、1990年〜1995年にかけてのCHAGE&ASKAは、
売上的にも、またライブの規模、楽曲のスタイルにしても、
日本において比較する対象の極めて少ない(そしてファン心理的には比較する対象のない)
数少ないトップアーティストのひとりだったということだ。

そのころの記憶がよみがえる。そのころの輝かしい思い出がよみがえるんだ。

そうなることによって、当時の楽曲はそれ自身が持つパワー以上のパワーを持ち
一度の4万人のファンを感動させるまでのパワーを持つ。

特に「電光石火」をみて、ある意味「枯れてしまった」CHAGE&ASKAが印象に残っている
現在のファンにはその威力は絶大だっただろう。
生命力にあふれていたころの二人が戻ってきた(気がする)のだから。

現在の彼らは唯一無二じゃないの?

残念ながら、違うとしか言いようがないな。
売上的にはもうそのへんのアーティストと同程度だし、
楽曲も「CHAGE&ASKAでしか聞けない音」がなくなってきてる。

たとえば、「NO DOUBT」で最も人気のある(ように見える)「higher ground」だが、
あれに対しての誉め言葉が「UKロックみたいでかっこいい」。

それならハリケーン♯1を聴けばいいじゃん。

チャゲアスじゃなきゃだめって部分が減ってきてるんだよ。
その点、今回のライブは「チャゲアスじゃなきゃだめ」な時代の楽曲のオンパレード。

だから最高。

だって最高だった時代の曲だから。

誤解のないようにいっておくと、楽曲が最高なんじゃなくて、
「時代」が最高だったんだよ。
それで、その「時代」を思い出だすんだ。

そしてその帰ることのないであろう、過ぎ去った輝かしい日々は
あのカウントダウンライブの一日だけよみがえり、
俺たちの涙腺をゆるくする。

結局それが、意図できない効果なんだ。
CHAGE&ASKAにとっては単なるヒット曲かもしれないけど、
ファンにとっては、あるひとつの時代を象徴する音楽。
彼らの意図から外れたところで、奇跡は起こる。

特にチャゲアスの現在の主なファン層と思われる、
20代前半〜30歳前後の人たちにとっては、
自分の成長過程と、CHAGE&ASKAの絶頂期がダブったりして、
特に効果的なんじゃないだろうか?

あ、もちろん、今回のライブの感動の理由はそれだけじゃないだろうね。
ミレニアムカウントダウンだったってことや、
ASKAの怖いくらいの絶唱、
4万人の観客の存在自体がもたらすカタルシス、
まあ、いろんな理由があるだろう。

でも、ここで俺が挙げた理由は、必ず今回のライブに参加したファンの中に
どこか存在していたと思う。

とにもかくにも、最高の時代を、最高の舞台で、そして最高のパフォーマンスで
よみがえらせてくれたCHAGE&ASKAの二人に感謝!!

最後にシンプルな感想を:
全編を通じてよかったけど、特に「HEART」は最高だった。
あの曲を歌ってたASKAの表情を俺は一生忘れないだろうな。

 

うーん、今回はファンの反感を買いそうな文章だが・・・
批判のある方はメールにて受け付けます。
あと、番外編・千年夜一夜祭レポートは明日かあさってアップ予定。

1月6日(木)

番外編・千年夜一夜祭レポート

—こんなにきついのに、こんなに眠いのに—

ええと、千年夜一夜祭ですけれども、
こんなこと言っていいのかどうかわかんないけど、

あれを手放しでいいといえる人いる!!?

いないよね?いないと言ってくれ!!?
いないという仮定のもと言っちゃうよ。

あれは史上最大のボッタクリイベントだ!!!

だってそうでしょ?特にあのレストランとか言う食料配給所
「チケット代には食事代1050円分が含まれています」
ッてことは、あの食券一枚525円ってことでしょ?

それなのに、食べることができたのは冷凍たこ焼き(インドネシア産)
ぬる—いオレンジジュースだけだよ!?

ジュース一杯で、525円も取るなっつ—の!!

俺思わず、近くの見知らぬオバサンに聞いちゃったよ、

「あの、そのジュースってそれだけで食券一枚いるんですか?」
「そうですよ」

平然と言いやがった!!
すこしは疑問持てよ!!
ちょっと、ジュースに525円は高いんじゃないかな、とか
このたこ焼きどう考えても原価数十円だよな、とか。

ちょっと、これには驚いたよね。
俺だけじゃないよね。

あとは、あの無駄に大量に並べられたUFOキャッチャー。
2回500円だって。

高っ!!

そんだけ取っといて、中身はこれまた原価安そうなASKA人形・CHAGE人形。
ファンをなめるな!!
誰がそんなもんするか!!

と思ったらみんなやってるよー
み、みんな、多分だまされてるよ?

さらに、あるサイトで「御神体」と称されていた、

等身大CHAGE&ASKAフィギュア

こーわーいーよー。特にASKAこわいよー。
なんか顔ゆがんでるし。

まあ、パネル展示とかビデオの垂れ流しは人畜無害だからよかったけど。
まあ、素通りしたけど。疲れてたし。

でもグッズはけっこうよかったかな。
パンフ1000円、ポスター500円は良心的だな、うん。
ジュース一杯525円と比べりゃ。

ダイエーユニフォーム(選手名の代わりに「CHAGE&ASKA」って入ってる)
はかなり欲しかったけど、きっとこの先二度と着る機会はないだろうことは、
疲れてモウロウとした頭でも認識できたので、買わなかった。

しかしグッズといえば・・・

フィギュアとワイン。高すぎ。

カードも使えます」って
おまえらファンを
借金地獄へ追い込むつもりかい!?

と、とりとめないけど、以上が千年夜一夜祭レポートです。
ライブは最高だったんだけどねえ・・・

 

 

 

 

 

 

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