0時ちょうど、近所のセブンを出発。とりあえずこの道をひたすらまっすぐ行く。最初の難関、荒川にかかる長い橋に出くわした。当初の計画では橋の上からロケット花火を打ち上げようと思っていたが予想以上に明るかったので中止にする。橋の上を自転車でかっ飛ばすのは気持ちがいい。ふと川原を見ると暗黒の闇の中に赤いテールランプがあった。これは夜中に、大学の図書館についている赤い文字と同レベルで気味が悪かった。怖いものは好きではないが興味はあるとはよく言ったもの。気になってそれを見ながら自転車を走らせたら橋が終わったところにあった街路樹に突っ込んでしまった。スタートから5分とたってない所での出来事だった。

 橋を渡り終えるとそこからはやたらとラブホテルがたち並ぶ街並みがあった。走りながら、俺は今後ラブホを使うような時は来るのか?冗談でもいいから死ぬまでに1度は行っときたいなぁと思った。だけど冗談でラブホに入ることほど辛いことは無いと思う。

 この時間帯、他に自転車をこいでいる人はいなかった。車も国道にしては交通量が少なかったので堂々と車道を飛ばした。スタート25分、自転車に乗った女性とすれ違う。26分には男性ともすれ違う。ちょっと不愉快だった。

 開始30分くらいの所で東上線と思われる線路の下をくぐる。ここでなぜか不安になってしまい吉牛が見えた所で曲がってしまった。道はあっているのか?今俺はどこにいるのかと思いながらさまよい続ける。ふと道路標識を見上げるとみずほ台と言う文字が見えた。だいたいの見当はついた。近くに見つけたセブンで地図を立ち読みした。そしたらかなり手前で曲がっていたことがわかった。ただ見と言うのも悪い気がしたので暇つぶしにあたりめを購入した。そして同じ道を通らないように元の道に戻る。

 ひたすらこいでいるとやがて曲がる道になった。走りながら自分の馬鹿さかげんに酔っていた。そうこうしていると午前1時、川越の市内に入った。それから5分ぐらい行った所でリアル事故現場に出くわした。負傷者はいなかった。彗星号のタイヤがガラスの破片でパンクしないか心配だった。さらに10分くらい行ったロイホのある交差点でスタートしてから初めて信号で止まった。信号待ちで2リットルの午後ティ−を飲んだ。

 ひたすら走りまくると長くやや傾斜の急な坂があった。どうやら線路の上を通過するらしい。それで埼京線の上を通過する、イコール市街地が近いと悟った俺は登り坂道なのに無理して立ちこぎでスピードアップさせた。そうしたら両足の太ももが力をいれる度に上下にビクビク震えまくっていた。まるで蛇でも入っているのではという感じだった。それでもこぎ続けていたら震えのあとに"つる"という直感みたいなものが頭をよぎった。これ以上は危険と思ったので座りながら地面を蹴って進んだ。そして坂を下りた所のセブンでどうしたらクレアモール方面まで行けるかを調べるのを兼ねて休憩した。そうしたらそこのセブンは地図まで立ち読みできないようになっていた。仕方が無いので感で行動することにした。

 適当に進んだらすぐにマルイやアトレが見えてきた。東上線と並列して進み、越市の駅でそのまま道なりにまっすぐ行った。そこらへんから雨が降ってきたので傘をさしての運転となる。感を頼りに進むと見覚えのある道に出た。そこは去年の後期の打ち上げの日に越まで歩って帰った時に通った道だった。

 もうここまで来れば何も心配することは無く余裕で歌とか歌っていた。しかし鶴ヶ島に差し掛かり橋を通過しようとしたときに雨が急に土砂降りになって大変だった。もう背中はびしょ濡れだった。でも鶴ヶ島をぬける頃にはほとんどあがってしまい、ぬれたシャツも洗濯機から出した直後にまで乾いていた。若葉を通過したのでマルメンライツで余裕こいてたらまた降り出してきた。

 そのまま道なりにちょうすけさんの家やパット坂戸の前を通って坂戸駅付近まで来た。そこまで来たとき浦和の俺が彗星号と坂戸にいるのが不思議な気分だった。あとは4月22日に川角から坂戸まで歩いた記憶をたどっての走りだった。忘れていると思いきやあの時も夜だったので同じシチュエーションでかなり覚えていた。川角駅前を通過していつもの通学路へ。なんかとても不思議な気分だった。そして最後の難関"アグリ坂"。ツラいと思いきや結構あっさりと登れた。ついに午前3時02分。大学へ到着となった。

 かなり感動ものだった。この達成感を誰かに伝えたかったがまだ真夜中だったのでファミマでジュースを買って部室に行っておとなしくしていた。

 部室ではとりあえず寝ておこうと思ったが今日買ったばかりのZARDの新曲をリピートで流しまくってたのでうるさくて眠れなかった。じゃあ消せばいいジャンとお思いの人もいると思うが、そんな簡単なことではないのだよ。それだけテンションが高かったのだよ。

 結局寝れずじまいで昼の11時を迎える。誰か部室に来ることを期待していた。そいつに俺の素晴らしさを見せ付けようと思っていたのだがそんな日に限って誰一人としてこなかった。仕方が無いので清光で何かを訴えてから帰ることにした。

 12時30分。帰路のスタート地点に立つ。初っ端から雨が降ってたので片手運転だった。おまけにかなりの狂風だったため傘を立てに支えるのが必死だった。ハンドル操作の左手と、傘を支える右手がそれぞれツリそうになった。帰りは雨だらけだったのでこれと言った感動は無かった。往路でよった川越の地図が見れないセブンでおでんを買った。その温かさに人々のやさしさを感じた。もちろん嘘です。無神経と言われる俺にそんな感情などありっこないです。

 そして寮の部屋の時計で3時45分実際は3時30分に帰りついた。傘さし運転の帰路のほうが往路よりも早かったのは途中で休憩が少なかったからと考えられる。こうしてTKNprojectは幕を閉じた。