エキストラ初仕事♪

そもそものきっかけ
今から10年程前、とある映画のエキストラをした。
ボランティアだったので、ロケ弁当と映画のグッズをもらっただけだったが、

ものすごく面白くて、すっかりエキストラの虜になってしまった。
一時はエキストラ専門の事務所みたいなのに登録しようかとも考えたが、
なんだか怪しい感じのものばかりだったので、二の足を踏んでいるうちに、熱が冷めたというか、忘れてしまっていた。

そして、札幌に移住してきてしばらくたったある日、
市報に「『札幌フィルムコミッション』という団体がボランティアのエキストラを募集している」
との情報が掲載されているのを見て、すぐさま登録。
それから半年ほどず〜っとお声がかかるのを待っていた。で、今回ついに初仕事がまわってきたという訳。


今回の設定
花火大会の観客役、ということなので、夏服を着用。
浴衣姿歓迎、と言われたが、持ってないのでTシャツ、短パンにした。
これが失敗のもとだった…。


番屋の湯
ロケ地は石狩浜海水浴場。
すぐそばには「番屋の湯」、
某H氏が札幌市内からジョギングで行ったという伝説の日帰り温泉施設がある。
夕方4時に集合だったので、ちょっと早めに行って、
ここで、ひとっ風呂浴びてから撮影に入ろうなんて事を考えつつ、家を1時すぎに出発。
はっきり言って、遠いです。(笑)車でも40分くらいかかったもの。
確かに、途中の風景はすばらしく、走りたくなる気持ちもわかる気がするけど…。


2時ごろ、番屋の湯に到着。安くて、きれいで、眺めが良くて、来て良かった♪
海に面した窓からはず〜っと海岸線が小樽のほうまで見えて、う〜ん最高!
…ん?あの人影は何だ?あっ、映画の撮影の準備してる人たちだ…
ちょっと距離があるし、向こうは仕事中だから見られてないとは思うけど…?


究極の3択
お風呂を出て、集合場所に行くと、ちょうど集合時間。
受付を済ませて、ロケ弁当をもらうときに、
「何時まで残れるか、3つの中から選んで欲しい」と言われた。
一応、夜10時終了となっていたが、撮影は夜明けまで続けるとの事で、残れる人は残って欲しいということだった。
選択肢は3つ。
1、10時まで 2、12時まで 3、撮影終了まで。
いろいろ迷ったが、yunoの
「これってきっと、最後まで残らないと意味がないかもよ」の一言で夜明かし決定。
確かに夜明かし組に入ったおかげで良い思いもしたけど…。 

「この弁当で12時間、魂を売ってしまいました」 by yuno


助監督(たぶん)からの説明
ロケ弁当を食べ終わった後、5時に再び集合。
今度はさっき選んだ、残れる時間ごとに集まり班を作る。うちらは
F班
分かれてみると、夜明かし組が一番人数が少ないようだ。
で、助監督(以後助監と略)から説明をうける。いくつか注意事項を言われたのだが、
「皆さんは今日は役者さんです。ですから、
撮影場所に入ったら、カメラやカメラつき携帯などで写真をとったり、サインを求めたりしないように
と、しっかり釘を刺されてしまった。ので、この手の収穫物はありません。あしからず。(笑)


ロケ地の様子
説明やら監督からの挨拶などが終わって、いよいよセット入り。
修学旅行生のように列を組んでぞろぞろと入場。「団体行動するなんてひさしぶりだな〜」なんて言いつつ、歩く。
入場門のセットのところで「ここで撮るなら怒られまい」ということでパチリ。



入って見ると、大会本部とか、露店とかがちゃんとあって、本当に花火大会をやるみたい♪
焼きそば屋のところには、キャベツやモヤシなんかが、ちゃんと用意してあるし、
わたあめ屋では本当にわたあめを作っていた。
助監の目を盗みつつ、見ながら歩いてたら、
「F班は、最初は露店のにぎやかし役なので、露店の前にいてください」と言われたので、
ここぞとばかりに、「宇宙くじ」という名のくじ屋さんの景品をいじくって遊んでいた。


花火はあげません
エキストラの人員配置が終わると、最初のシーンの説明。花火大会が始まったところという設定らしい。
「花火は目線確認用に一発しかあげません。あとは僕の声に合わせて歓声を上げてください」と助監。
な〜んだ、花火見られないんだ〜。
で、何回か彼の声に合わせて歓声を上げる練習をしたのだが、
『バーン!バババババーン!!』という言い方がまるでキレてるみたいで、(笑)
そのたびに、
「なんで俺らにキレるんだよ!」ってyunoがいちいちツッコミを入れるのがおかしかった。
うちらは、ほとんど写らない場所に居るらしく、助監がこちらを全く気にしていないのをいい事に、ほとんど練習に参加せず、
あいかわらずくじ引きの景品をまるで
「ドリフのバカ兄弟」みたいにいじくって遊んだり、
露店の店員役の人としゃべったりしておりましたとさ。

で、本番。「よーいスタート!」の声と共に花火が。それも連発。
花火ナシと思っていたエキストラの皆さんは大歓声!!おかげで一発OK!
うそ!さっきあげないって言ったじゃん?!
あっ!わざとだましたな〜。


大御所自ら…
いくつかシーンを撮った後、うちらはお休みに。再び露店の前に行くと、焼きそば屋に人だかりが。
行って見ると、なんと、
原田芳雄が焼きそば製作中!
そういえば、さっき食べてる人いたな〜。もしかしてここに居れば焼きそばもらえるのかな〜?
という訳で、屋台にはりつくyuno夫妻。
原田氏の手さばきはなかなかのもので、彼を知らない人は、本当の焼きそば屋と勘違いするんじゃないかと思うほど。
できあがって、パックに盛り付けられると四方八方から手が出てくる。うちらもすかさずゲット!みんな早速パクついてる。
うちらも食べようとしたら、「F班!」とお呼びがかかってしまい、持ったまま撮影に。

終わったので食べようとしたら
「さっきのは失敗だったな」と言う原田氏の声が。
ガーン!楽しみにしてたのに…でも食べてみたら、ソースがちょっと足りなかったかな?というくらいで全く問題なし。
あっさりしていて美味しかった。
それより、焼きそばに入ってる、モヤシとか洗ってあるのかな?火を通してあるから大丈夫なのかな?
とそっちの方が心配だった。



渾身の役作りが裏目に…
日が暮れて時間が経ってくると、どんどん気温が下がる。
東京なら、今の時期でも半袖着ていて何の問題もないが、こっちはそうはいかない。
防寒着を持ってきてはいたが、露出した足から体温がどんどん逃げる…。
あ〜、こんなことなら、下はせめてジーンズを履いてくればよかったな〜。
真面目に(?)役作りしてバカを見てしまった。
でもな〜最初は10時に帰るつもりだったしな…
まぁいいや。ガマンできなきゃ途中で「具合が悪い」って言って帰ろう…。
最初のテンションはどこへやら、すっかり撮影なんかどうでもいい状態になってしまっていた。


夜食
夜中の12時に夜食休憩。トン汁とおにぎりが出る。
車の暖房を全開にするが、体は冷え切っていてちっとも温まらない。
yunoは眠気と寒気で夜食をほとんど食べない。
「無理しないで帰ろうよ」と言ってはみたものの、
二人とも、もう意地になっていて、
「こうなったら最後まで居てやる!」という気持ちのほうが大きかった。


ついに主役現る!
食べ終わって現場に戻ると、もう次の撮影のリハが始まっていた。
助監に言われるままに配置に付くと、群衆の前に
竹内結子が
メイクさんらしき人が髪やらなにやら直しているので、気づいたが、そうじゃなかったらわからないくらい普通だった。
ただ、顔はメイクのせいか異常に白く、まるでお人形さんのよう。
役に集中しようとしているせいか、この後もず〜っと考え込むような表情で、笑顔もほとんど見られなかった。
それにしても、この時間まで出番を待ってたんだ〜と思うと、俳優という仕事も大変だな、と思った。


その後続々と…
脇を固める俳優さんが出てきた。
根岸季衣、桜井センリ、吉田日出子、などなど。
10時に帰っていたら、見られなかった訳だから、残ってよかったと言うべきなのだろうけど、
寒すぎて、もうどうでもいいから早く終わってくれ!という感じだった。
この頃から、人数も少なくなったので、暖房用の火を何ヶ所かで焚いてくれるようになったのだが、
出番のないエキストラが
ワラワラと集まって、無言で火に当たるという、一種異様な光景になっていた。


夜が明ける…
遠くの空がほの明るくなってきたな〜と思ったら、どんどん日が昇ってきた。
撮影はまだ続いているのに、これで夜が明けちゃったらどうするんだろう?と心配しながら見ていたが、
それとはお構いなく、どんどん撮影していく。
これじゃぁシーンがつながらないんじゃないの?と思うほど、すっかり明るくなったころ、
スタッフから
「撮影終了!!」の言葉が。
「皆さんのおかげで良いシーンが撮れました!ありがとうございます!」とか感謝の言葉を並べられたけど、

それより、とっとと帰らせろ、って感じ。
(笑)


寒さとの戦いの果てにもらったものは…?
集合すると、スタッフが
「最後まで残ってくれた方には全員は無理ですが特別に…」というから、
竹内結子のサインでももらえるのかと思ったら
「釣りバカ日誌」の鑑賞券(笑)いらんわい!そんなもん!
じゃんけんで決めるっていうから、とりあえず参加。
「こういう、欲しくないモノに限って勝っちゃうんだよね〜」なんていいつつ、やったら本当に勝っちゃった。しかも夫婦で。(笑)
映画のタイトル入り手提げバック(これは来た人全員もらえる)と、釣りバカ鑑賞券2枚をもらったけど、
特に嬉しくもなく(笑)
朝日がまぶしい石狩浜を後にしましたとさ。
終わり。


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