鴎友学園女子中学校・高等学校


塾対象説明会 2007年7月3日

鴎友学園に向かう今日は、さいわい新宿駅で急行に乗ることができました。急行なら、鴎友学園のある経堂駅は3つめです。経堂駅についたら、鴎友学園からの案内書についていた地図をしっかり握りしめ、まずは自分の乗ってきた電車が動き出すのを待って、新宿がどっち方面かを確認してから改札に向かいます。

改札を抜けて右に進むと、狭い商店街に入ります。前回訪問した時はここを直進しましたが、今回は地図に従ってすぐに左折します。すると、道幅の狭い住宅地に入りました。よく、世田谷区はタクシーの運転手さん泣かせだと見聞きしますが、それが納得できるような複雑な道です。目印である早川クリニックをすぎて、地図に従いすぐに右折すると、なぜか行き止まりでした(^^;;

一本まちがえたかな・・・と引き返して、もう一つ先で右折すると、またまた行き止まり・・・(^^;; どうやら、かなり簡略化された地図のようです(/_;) しかしその時、わたしの鋭い目(笑)は、黒い大きなよれよれのショルダーバッグを肩にかけた男性が前を歩くのをとらえました。キラーン☆ あの人は、塾の先生にちがいない・・・。方向音痴は治りませんが、塾の先生を見分ける目だけは、最近やたら発達しています(笑)

こっそりと後についていくと、はたして鴎友学園にたどりつくことができました^.^ (ちなみに、自分の目で確認して歩かなかったため、帰りに迷って、悲惨な目にあいました(/_;))

受付で手続きをすませ、土のグラウンドを見ながら会場に向かいます。このあたりの順路は富士美中学校にそっくりで、なんとなくデジャブ現象みたいなものを感じたりします。会場は富士見とちがって、小さなホールでした。ステージの後ろがガラス張りになっていて、庭園?が見えるホールです。定刻になっても座席は半分も埋まらず、ちょっぴり寂しい感じがしました。

はじめに司会の副校長先生のご挨拶があり、続いて校長先生よりご説明がありました。本校の今年の中1は、「やや多め」の276名が入学しました。中1の生徒たちは、6月1日から軽井沢で2拍3日の山荘生活を行なってきました。8クラスあるので、かなり日にちがかかったそうです。

山荘では、ふだんの授業とはちがった聖書の勉強を行なったそうです。本校はキリスト教を基盤とするものの、伝道を目的としたミッションスクールではありません。ですが、一人一人が聖書の言葉を通して、人としての生き方を考える機会だったようです。

本校は、1935年(昭和10年)に、東京府立第一高等女学校の卒業生の集まりが資金を集めて創立されました。創立者の市川源三先生は、公立のしがらみに捕われることなく、自由に教育してほしいという願いを持っていらっしゃったそうです。ところが、市川先生は、創立後わずか5年で急逝されました。

その後、石川志づ先生が、その精神を引き継ぎ、キリスト教の精神を取り入れて30余年、理事長をなさいました。一貫して、世界に通用する女性を育てようと教育しています。また、本校の教育理念である、慈愛と誠実と創造。この3つにキリスト教の精神を加えて、人としての生き方を示しています。

「慈愛」とは、人のために生きることによって自己を生きることです。「誠実」は、本気で学ぶことが自己を高めることです。「創造」を理念をかかげる普通科の高校はあまりないそうですが、創造に理想をかかげる以上、基本的には自由が根底にあるそうです。「自由がないところに創造はありえない」からです。

したがって、「自由と肯定が必要条件」であり、「まず肯定から始めよう、が大前提」であるそうでした。「〜をやっていいですよ」という言葉が、生徒のもっている何かいいものを引き出すことになるそうです。

つづいて、広報部長の先生より、鴎友の教育と学校生活についてのご説明がありました。本校の教育の特徴は4つあります。一つめは、「集団作り、環境作りを重視」することです。本校は女子校です。男の子と女の子では、成長段階、特に思春期では大きく異なります。そのため、多くの友だちと話ができるような仕掛けがされています。

たとえば、新入生は、3日にいっぺんの席替えがあります。「女子の集団は、一回小さいグループができると、なかなか手ごわい」からだそうです。小競り合いがいじめにつながる場合もあるので、小さな集団を作らないように、クラスをぐるぐるかき混ぜて、いろいろな子と話をする機会を設けています。

ロッカーなども定期的に入れ替え、お弁当も一人でぽつんと食べる子がいないようにセッテイングしています。最初にこういう仕掛けを設けておくことで、クラス全体のどこにいても受け入れられるようになっています。

面接週間は、中1は7月の末に設けられています。何かつまずいていることがないか、早めにキャッチするためです。家庭との連絡は、初めのうちは特に密にとっています。というのは、親御さんは、何かあって学校に電話する時に、ものすごく悩むからです。そのため、こちらからこまめに電話し、担任に電話しやすいようにしています。

中1は、8クラスの少人数制をとっています。生徒たちは、全員がクラスの中でさまざまな役割を与えられます。このことにより、「私は、いなくてはならない存在なんだ」と学ばせます。6月には山荘に行きます。みんなの中で新しい自分を発見させ、お互いの良さを発揮できる仲間作りをさせたいとの狙いがあります。

特徴の二つ目は、「個々のアイデンテティの確立の援助」です。アイデンテティは今までは自然に獲得できていたものですが、「今の時代、こちらでプログラムして考えさせてあげないと、なかなか身につかない」そうでした。そのため、中1で自分レポートの作成、中2で福祉・ボランティア体験などを行なっています。

三つ目は、「知性と感性、精神性と身体性のバランス」です。英数国理社の5科を充実させていますが、5科以外も重視しています。たとえば、高3まで6年間、体育や音楽が必修となっています。これは生徒には喜ばれているそうでした。「こういうバランスが生活の中では必要」との考えがあってのことだそうです。

そのほか、中1と高1で園芸の授業があります。美術・家庭科は2時間続きで行ないます。聖書の授業が道徳のかわりにあり、体育のリトミックは中1から6年間あります。

四つ目は、「発達段階に合わせた独自のカリキュラム」です。習熟度別は中学では行なっていませんが、中1は8クラスの少人数制をとっており、中2以降は6クラスになるものの、中2の英・数、中3の英語はクラス分割を行なって少人数指導を行なっています。「最終的には、いろいろな教科をやることによって裾野を広げ、バランスのとれた人間として送りだしてあげたい」との方針があるそうでした。

続いて教頭先生よりお話がありました。本校の大学入試状況は、右肩上がりで上がり続けているそうです。上がっている理由は、「まず集団作りから始める」「裾野の広い勉強をする」という本校の方針が、「女子の勉強のあり方につながっている」からであるそうでした。

「女子と男子は、最終的な能力は同じでも、上がり方がちがうんじゃないか」との疑問から始まり、「まずは集団作りから始めるのが、最上の方法なんじゃないか」という結論にいたられたようです。

次に中学入試についてのご説明がありました。算数については、「中に何か書いてあれば部分点あり」だそうです。ですので、図に書き加えた比など、「書いたものは消さない」のがポイントです。「きれいに書くことよりも、考えることが大事なんだ」という指導をしてほしいとのことでした。

教頭先生のお話で、塾対象としては非常に長い1時間40分に渡る説明会が終わりました(^^;; 初めのうち会場がかなり暑かったので、のどの乾きに耐えかねて、校内見学に参加せずに帰ってしまおうかとも思ったのですが、久しぶりに訪問した学校なので、死力を振り絞って(?)参加することにしました(^^;;

まずは3階にのぼって、階段状の教室を見学します。続いてずらりと並んだ実験室を回ると、科学室では高1の生徒たちが実験を行なっていました。ほかの実験室では、理科の期末試験に出るガスバーナーの点火のしかたを、中1の生徒たちが練習しています。

2階の家庭科のフロアでは、高1の生徒たちが浴衣作りをしていました。1階では中2の音楽の授業が行なわれています。教室のまん中にピアノが置かれ、ぴったりとそのまわりを生徒たちの机が囲んで、合唱の練習をしていました。

体育館?のわきを通ると、通路に、高2か高3でしょうか、ちょっと迫力のある外見の子たちもいました(^^;; ですが、大多数の生徒は茶髪にはしていませんし、スカートも短い子はちらほらいるものの、極端な短さではありませんでした。5年前に訪問した時とは、ずいぶん生徒たちの服装は変わったような気がするなあ・・・と思いました。

説明会が終わって、一番印象に残ったのは、「まず集団作りから始める」という方針でした。おそらくこのエッセイをお読みの方の中には、「子どもの人間関係なんて、自然にできるものだ。大人が手を出すことはない」とお考えになる方も少なからずいらっしゃることでしょう。しかし、近年は、もちろん全員ではないですが、大人が手助けしてあげないとうまく人間関係の築けない子が増えつつあることも確かだと思います。

ある意味、システマティックといえばシステマティックですが、このあたりをどうとらえるかで、この学校の評価も分かれるのではないかと思いました。

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塾対象学校説明会 訪問日時:2002年7月2日

小田急線の経堂駅でおりて、恵泉女学園とは反対側に向かうと、せまい商店街に人があふれています。ときどき自動車が通ったりして、かなり混み合った道です。そこを抜けて広い道に出て左折すると、先ほどまでの人通りが嘘のような静かさです。

道の左側がずーっと細長い公園のようになっていて、緑が多いなあ・・・と思います。てくてくてく・・・と歩いていって、本当にこの道でいいんだろうか・・・?と不安になったころ、右手にうっそうと茂った森のような一角が見えてきました。

もしやあそこが?と近づいてみると、はたして鴎友学園でした。正門までまだしばらく歩かねばならず、敷地が広いなあ・・・と思います。

正門近くまできたところで、道路を隔てた別館の校舎に行く生徒たちでしょうか。数名の高校生らしい子たちが道路を横断していました。スカートが短いことと、髪がかなり明るい色の茶髪であることに驚きます(@@) 夏の制服は白いブラウスに、グレーのベストとスカートというものでした。

わたしがかつて通っていた塾に、鴎友の子がひとりいました。ときどき制服を着てきていたんですけど、モデルチェンジされる前の濃紺の、ボレロつき?のかわいらしいものでした。その子は真っ黒のショートヘアで、スカートは長く、いつもにこにこしていて、おっとりした、気立てのやさしい子でした^.^ 長いことわたしの心の中での鴎友のイメージはその子のまんまだったんですけど、やはり時代とともに鴎友も変わってきているようです。

鴎友学園は、プロテスタント校でありながらミッションスクールではないという、ちょっと変わった学校です。つまり、教会によって設立された学校ではないのですが、キリスト教の教育を心の教育の基盤に取り入れています。このへんは駅の反対側の恵泉学園と似ていると思えるところです。場所も近いですし、園芸の授業があるというところも共通していますから、この両校にはなにかつながりがあるのかなあ・・・?などと思います。

校内に入って受け付けをすませ、曲がりくねった道を歩いていくと左手に土のグラウンドが広がっています。女子校としてはかなり広いほうだと思います。住宅地にあるためか、校舎はどれも3階建てで、低く広く広がっています。

説明会場は小ぶりのホールで、座席はチャコールグレーの落ち着いた色合いです。珍しいことにステージの後ろがガラス張りになっていて、そのガラス越しに林が見えます(@@) ほんとうに緑に囲まれた学園・・・という感じです^.^

説明会開始までに学校紹介のビデオが上映されました。スカートが短かったりルーズソックスだったりする子が堂々と写っているところに、プロテスタント校らしいおおらかさを感じます。ビデオを見ていると、クラブ活動にとても熱が入っていて、熱心な学校であるということがうかがえました。また、制服の色がちょっと似ていることもあって、一瞬晃華学園の学校説明会に来たのではないか・・・と錯角をおぼえたりもしました(^^;;

配付された資料を見てみると、まず説明会資料の分厚さに驚かされます(@@) 2册の分冊になっているんですけど、両方あわせると優に1センチを超える厚みがあります(^^;;

説明会は司会をつとめられる教頭先生のごあいさつのあと、校長先生のお話からはじまりました。本年度の中1は242名が入学したそうで、うち1名がイギリスに転居し、40名5クラス、41名1クラスの合計6クラス編成となったとのことでした。中1は入学後、クラスごとに軽井沢で2泊3日の山荘生活をしたそうです。クラスごとですので半月がかりだったそうですが、全員参加したそうでした^.^

附属小学校のない私立の場合、新入生はばらばらの小学校から来るわけですから、お友だちを作ったり、クラスのきずなを強めたりするために意義のある行事ではないかと思いました^.^ なお、生徒たちも行く前から自分に割り当てられた役割の用意など、たいへんはりきっていたそうです^.^

鴎友学園の校訓は「慈愛と誠と創造」だそうで、キリスト教の精神については比較的自由であり、教派にとらわれないとのことでした。牧師さま3名にお願いして、中学では週1時間の聖書講話があるそうでした。そのほかには、宗教色というものはほとんど感じさせられませんでした。信者でないかたでも、まったく心配はいらなさそうです。

また、何度も強調されていたのは、生徒の個性を伸ばしていくことと、学校行事やクラブ活動などをなるべく減らさず、人間としてかかわり合っていく力を強めていきたい。なおかつ学習もしっかりやっていかせたいということでした。

中学生、高校生の時代は一生でいちばん大事な時期であり、その後の人生を左右するほど重要な意味を持つ。だから、単に勉強勉強という学校ではなく、ひとりひとりが一生の心の糧となるものを、小さなものでも良いから得られるようにしていきたい・・・と考えてらっしゃるとのことです。

とかく進学校というと、がりがりとお勉強させられるというイメージがありますが、お勉強だけでなく行事やクラブ活動にもいっしょうけんめい取り組ませようという鴎友学園の方針には、賛同なさる受験生の保護者のかたも多いのではないでしょうか・・・?^.^

つづいて教務主任の先生より教育課程などについてのお話がありました。教務主任の先生からは「あれもこれも」というお言葉のご説明がありました。やはりお勉強とクラブ活動を両立させること。人と人とのかかわり合いの中で自分の能力を精一杯伸ばしていくことを重視していることが強調されていました。

お勉強については基礎学力の充実をはかり、最終的に大学受験に役立つ力を身につけることが目標とされているようでした。また、幅広い教養を身につけるために、受験科目でない科目についても軽視されておらず、たとえば体育のリトミック、園芸での野菜づくりなど、個性的な指導がなされているようです^.^

このことにより、「知性と感性」「精神性と身体性」のバランスの取れた総合力を見に付けさせたいとのことでした。大学受験だけのお勉強は「もろい」ものであり、「富士山のような裾野の広い総合力」が目的だそうです。

また、ユニークなのは理科の指導で、「生徒を研究者の立場に立たせ」、実験などのトライ&エラーを重視した指導がなされているようです。中1の5月の理科の中間試験では、なんと実技試験だけが行われるそうです(@@) 生徒一人一人が先生の前に出て、メスシリンダー、上ざらてんびん、ガスバーナーなどの取扱いについての実技をするそうでした。

このように、理科についてユニークな指導が行われているたまものか、理系の学部を志望する生徒の割合が、女子校としては非常に高くなっているそうでした。

また、クラブ活動については37のクラブがあり、中1ではほぼ全員が参加しているようです。女子の一貫校のメリットとして、公立ではどうしても男子中心となり、女子の団体競技はせいぜい2〜3しかできないのに対し、女子が主人公となり、女子が主役となれる学校は女子校ではないか・・・というお話がありました。なるほど・・・と思わさせる説得力のあるお話だったと思います^.^

そのほか、校外学習、ホームルーム活動などのお話を通じて、「集団の中でどう生きるかを考える」という言葉が何度も出てきました。

つづいて進学実績のお話がありました。2002年度は235名の卒業生から、東大1名を始めとして国公立63名、慶応34名、早稲田45名、上智28名という堂々たる結果を出しています(@@) しかもその大多数が現役です^.^ 「あれもこれも」の精神は、着実に成果を上げているようです^.^

ただひとつ気になるのが、卒業生のうち浪人となった生徒がおよそ25パーセントもいることです(^^;; 女子の進学校で4人に1人が浪人というのは、かなり高い比率であると思えます(^^;; ただ、これは生徒のチャレンジ精神が高いためだそうで、半分ぐらいはどこかに合格したのをけって浪人したとのことでした(^^;;

そのチャレンジ精神の一例として、山梨の医大に現役で合格した生徒が、東京の医学部を目指してあえて浪人したケースもあることが紹介されていました。また、各大学の指定校推薦枠が合計100名分もあるのに、ことしはたったの5名しか利用しなかったのも、チャレンジ精神のあらわれであると思えます^.^

最後に中学入試についてのお話がありました。変更点としては、調査書または通知表のコピーの提出を廃止して自己申告書になったこと。また、合格発表をインターネットまたはファクスでの即日発表にしたこと。そして保護者にとってうれしいのは、入学手続きがなんと2月14日まで延長されたことです^.^

2月14日であれば、中学受験がすべておわっている時期ですから、むだな入学金などで何十万円も使わずに済むことになります^.^ さらにおどろいたのは、3月31日までに入学辞退を申し出れば、入学金も全額返金するということでした!!(@@) なんという良心的な学校でしょうか・・・!!(@@) これは自校についての自信、経営についての自信がないと、とてもとてもできないことではないかと思います^.^

1時間半にわたるお話がおわってから、やっと校舎見学となりました(^^; 決して新しい校舎ではないですけど、床はぴかぴかで、壁にもあまり汚れはありません。敷地が広いためか、廊下も広くてゆったりしていて、なんとなく落ち着ついた雰囲気を感じます^.^

校庭では、何人かの中学生がイーゼルを立てて写生をしていました。ちなみに、できるだけ早いうちから本物にふれさせる・・・との方針により、中1から油絵の指導が行われるようです。

学習室、図書室、書道室、和室、LL教室などの見学が行われましたけど、普通教室に行くことなしで見学がおわってしまったのは、あれっと思ってがっかりしました(/_;) 生徒たちの授業の様子を見れなかったのはとっても残念です。もしかして校門で見かけた茶髪とかミニスカートと関係あるのかなあ・・・などと思ってしまいました(^^;;

ただ、校舎のあちこちでみかけた生徒たちは、ずいぶんおとなしい感じだなあ・・・と思いました。説明会のお話からは、もっと活気のあるにぎやかな感じの学校かなと想像していたんですけど・・・。

「あれもこれも」の精神で、すばらしい大学進学実績を持ちながらも行事や部活動にも打ち込めそうな鴎友学園・・・。学校生活にさまざまな「あれもこれも」を求める人には最適の学校ではないでしょうか^.^


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