武蔵野女子学院

塾対象説明会 2004年9月24日


武蔵野女子学院は、わたしの教室からも十分通学圏内に入ります。ですが、今まで不思議とご縁がなく、生徒の志望校として名前が挙がったことがありませんでした。でも、志望校になる可能性は十分にあるので、今年はいよいよ訪問してみることにしました。

武蔵野女子学園への訪問は非常に楽しみで、指折り数えてこの日を待っていました。というのも、学校の情報の収集という本来の目的とは別に、もうひとつ不純(?)な動機があったからです(笑)

マンガやアニメにもなっているので題名をごぞんじの方もいらっしゃるかも知れませんが、集英社のコバルト文庫に『マリア様がみてる』という大人気のシリーズがあります。わたしはこのシリーズの大ファンなのです^.^ この小説の舞台は「リリアン女学園」という学校です。カトリックの女子校で幼稚園からの一貫教育という設定と、校名がどことなく「リリィ」を連想させるところから、白百合学園がモデルではないかと考える方もいらっしゃるようです。

ですが、リリアン女学園は「武蔵野の面影を残す」地域にあり、最寄り駅はJRの「M駅」「K駅」で、そこからバスで通学となっています。この駅がそれぞれ中央線の三鷹駅、吉祥寺駅であると仮定するならば、地理的にモデル校は武蔵野女子学院しか考えられません。

もちろん武蔵野女子学園はカトリックの学校ではなく、仏教の学校です。ですが、「マリみて」には仏像観賞が趣味の生徒や、仏教の数珠が重要な役割を果たすストーリーも登場してきます。さらに、リリアン女学園のお隣には、「花寺学園」という仏教系の男子校まで存在することになっています。

そこで、作者の今野緒雪先生はもしかしたらこの学校の卒業生でらっしゃり、ご自身の生徒時代の体験をもとにリリアン女学園をお造りになったのではないか・・・などと想像がふくらみます。ぜひこの学校を見てみたいと思い、とりわけ校舎見学をとても楽しみにしていました^.^

本来であれば「マリみて」の主人公の福沢祐巳ちゃんのようにJRの駅からバスに乗って行きたいところですが、あいにくそれではわたしの家からはかなりの遠回りになってしまいます(^^;; やむをえず、西武線の田無駅から向かうことにしました。

田無駅は文華女子のある側の北口にはロータリーやデパートもあり、かなりにぎやかな感じです。ですが、南口で降り立つと、数軒の商店があるだけで、少し歩くとちょっと殺風景な感じの住宅街になってしまいます。学校案内本に載っていた地図をコピーして持っているのですが、小さなものなので、通りをどちらに進めばいいかも見当がつきません。

道を尋ねようにも、人通りが少なく、自転車の人ばかりで、歩いている人がほとんどいません。やっと通りがかった50歳代ぐらいのおばさまに「あの、すみません・・・」と声をかけたら、「急いでいるので!!」と断られてしまいました。

がーん、いままでいろいろな学校に行くために数えきれないほどの人に道を聞いてきましたが、断わられたのは初めてなのでショックです(/_;) でも、地図のコピーの入ったクリアファイルを手にして声をかけたので、もしかしたら「アンケート商法」とでも勘違いされたのかも知れません。ですから、「田無の人は冷たい」などと思ってはいけません(笑)

どうにか道路ぞいに取り付けられた住宅地図を見つけ、左に進むと、学校案内本の地図にも載っている「武蔵境通り」に出ることができました。この道に沿って進みさえすれば、あとは1回左に曲がるだけのはずです。現在午前9時32分。田無駅から徒歩15分とありますから、余裕をもって到着できる予定でした。

ところが、そのたった1回の左折をはるか手前で行ってしまいました(/_;) 住宅街や畑の中をさんざんうろついたり、いったん通りすぎてしまったりしたあげく、道端の住宅地図を見たり道行く人に聞いたりしてやっとの思いでたどり着いたのは、午前10時の説明会開始時刻の数分前でした(/_;)

武蔵野大学をふくむ広大な敷地のフェンスに付けられた校内地図を見上げて、正門はどこだろうと途方に暮れていると、「説明会ですか?」と制服姿の警備員さんが声をかけてくださいました。どうやら、裏門のところに出たようです。さいわい裏門から入れていただきましたが、もし正門に向かっていたら、敷地があまりにも広大なのでまちがいなく遅刻していたことでしょう。

裏門から入ると、細い道ですが、敷地内にたくさんの木が植えられています。まさに「武蔵野の面影を残す」緑の多い環境だとうかがえます。途中の駐輪場には自転車がぎっしりと停められていましたから、自転車通学の生徒もけっこう多いのかも知れません。

説明会は、校舎に入って3階の視聴覚室でおこなわれました。視聴覚室としてはかなり広めで、階段教室になっています。天井のデザインなどがおしゃれで、ちょっと瀟洒な感じです。武蔵野女子学院の塾対象説明会は2回おこなわれ、そのうち最初の1回はつい先週行われたばかりですから、出席者はすこし少なめでさびしい感じがします。

説明会は、はじめに校長先生が5分間ほどの短いご説明をなさいました。本校は、緑に囲まれた豊かな環境のもと、「心の広い、心の豊かな女性を育てたい」という方針を持っています。宗教教育を基盤とし、武蔵野大を「すべり止め」として、より上の大学を目指す教育を行っています。

これからは高度な知識を要求される時代なので、教育水準を下げることなく、(3割削減前の)旧課程をもとに指導が行われています。また、日常的に、国際的なコミュニケーションを自然にとれるように、中学各学年に3人ずつ外国人の先生が配置されています。だいたい、こういったお話でした。

つづいて、高校の教頭先生より、学校の概要についてくわしいご説明がありました。教頭先生のお話はとてもユーモアに富んでらして、すごくおもしろかったのですが、他校での塾対象説明会と同様、保護者対象であれば爆笑が起こるところでも、塾の先生方はしーんとしてらしたのが残念なところでした(^^;;

裏門から入ったわたしは見ることができなかったのですが、きょうは校内のあちこちに紫、えんじ、緑の旗が立てられているそうです。これは本校が今年で80周年となるため、その記念行事とかかわりがあるそうでした。紫は大学、えんじは中学・高校のリボンの色、緑は幼稚園のスクールカラーを表しているそうです。

本校は80年という長い伝統がありますが、「いいものは残してこれからも進化していく」という方針です。ひとつの例として、薬学部対応のコースが今年から新設されたことが挙げられます。他大学の理系も目指すそうで、「うちの学校が進化していく一つの過程ととらえて欲しい」とのことでした。

本校の教育理念は「21世紀を生きる女性の育成」です。教育には3つの柱があります。ひとつめは宗教教育です。本校は「仏式のミッションスクール」であり、心をはぐくむ教育を推し進めます。(仏教でもミッションスクールという用語が使われるのは、ちょっとしたカルチャーショックでした)。

二つ目は学力を伸ばし、希望の進路を達成させるということです。そして三つ目は、「身につけるべきこと」を着実に指導すること。すなわち、社会的ルールを身につけさせることです。

宗教教育については「仏教はあまりいいイメージを持たれませんで」とのことで、キリスト教は「かっこいい」感じがしますが、仏教は「不利」で、「お葬式と結びついている」というイメージがあるようです(^^;; たしかに、熱心な宗教信者を除いた一般的な日本人のイメージとしては、キリスト教というと結婚式、クリスマス、バレンタイン。仏教というとお葬式、四十九日などの法事・・・といった感じになってしまうかもしれません(^^;;

ですか、「そういうことではございません」とのことで、入学後、本校では浄土真宗の宗教史、生と死、善と悪などについて学びますが、それらはすべて「生きることの意味を自分に問うこと」であるそうです。「決して、門徒になるとか、お経を覚えるための授業ではありません」とのことでした。

進路指導については、生徒たちは「進路を決めるとき、どうしても楽な方向に流れる傾向にある」そうです。だからこそ「進路指導がいちばん大事」になり、「なぜわたしは勉強しなければならないのか」を考えさせることで、「自分の将来設計」をたてさせているようです。このプログラムは、今の中2から始まったことだそうでした。

勉強についてのハード面では、週6日制、二期制がとられています。これは「ひたすら、授業時間を増やしたい」ためです。中学では英数国で指名補習があります。夏休みには講習があります。

ソフト面では、中2から習熟度別授業が行われています。数学もグレード制です。「きめ細やかな対応をしないとモチベーションがあがらない」ためで、数学が大嫌いな生徒を作らないことが目標です。なお、高2からは希望制で、コース別クラス編成となります。

また、「世界に羽ばたく女性を育成する国際教育プログラム」として、中2でブリティッシュヒルズの集中合宿があるほか、希望者には中3からは2週間の短期留学、高1からは1年留学が、それぞれオーストラリアで行われます。

平成16年から作られた高校の薬学理学コースは、付属の中学から20名、公立中から20名の、合計40名で1クラスが編成されます。特別カリキュラムのため、高1から高3まで他のクラスには移れません。そのため「覚悟を決めて」応募する必要があるようです。

ことしは付属の中学から11名がこのコースに進学しました。最初は64名も希望者がいたそうですが、11月からこのコース希望者対象の英数の講習を開始したところ「ポロポロ抜けた」とのことで、最終的には18名が受験し、11名が合格したそうです。なお、公立中からは15名が入学し、初年度は計26名でのスタートになりました。

ことしから共学になった武蔵野大学へは、「優先入学」と「優遇措置」のふたつがあります。優先入学は無試験で、高1から高3の成績で決定されます。12月には内定がでるそうです。

「優遇措置」は他大学との併願制度です。本大学への合格は保証されたうえで、他大学にチャレンジすることができます。優遇措置の資格は、すべてセンター試験の成績によって決まります。

その後、学校説明会としてはめずらしく、10分間の休憩が取られました。つづいて第2部の説明会がスタートしました。入試情報中心のこの第2部だけに出席なさる塾の先生方が多いらしく、先ほどまで空席の目だった視聴覚室がだいぶ埋まりました。

今年の中学入試は、本校が3回入試を実施するようになって2年目になります。定員190名に対し202名が入学しました。入学者が多かったのはミッションショックの影響のようです。本来は5クラスの予定でしたが、1クラス40名を越えさせないために、今年の中1は6クラス編成としたそうです。これはとても良心的だなと思いました^.^

つづいて高校入試の、主に推薦についてのくわしいお話があり、説明会は終了しました。次はいよいよ待望の校舎見学です^.^

視聴覚室を出ると、ろうかに太陽の光がぱあっと差し込んでいて、とても明るく感じます。校舎の間をつなぐ空中の渡り廊下を通りながら見下ろすと、校舎に囲まれた美しい中庭があって、すてきな白いテーブルといすが置かれています。

「おおっ!! これはまさしくマリみてワールド!!」と早くも大興奮です(笑) 教室をのぞくと、生徒たちは夏服の白いセーラー服を着ています。多くの生徒たちがその上に黒っぽいセーターを着て、一本ラインの入った白いセーラーカラーを出しています。それを後ろから遠目で見ると、まさに「スカートのプリーツは乱さないように。白いセーラーカラーは翻さないように」の、リリアン女学院の制服そのものに見えます!!

おまけにクラス名を見ると「紅」「緑」「紫」などの色の名前が付けられています。「黄」と「白」があるかどうかは確認できませんでしたけれど、これもまたリリアン女学院の紅薔薇さま、黄薔薇さま、白薔薇さまを連想させられます^.^

やはり「マリみて」の今野緒雪先生はこの学校の卒業生でらっしゃるのではないかなあ・・・などと思い、自然に笑みがこぼれてしまいます。でも、校舎見学をしながらにこにこ笑っていたりしては不審人物と思われそうなので、ぐっと口元を引き締めます(笑)

生徒たちは、高校の方は、いわゆる「ギャル」っぽい子も何人かはいるかな〜?という感じでしたが、中学生はまじめでおとなしそうでした。授業態度は、どのクラスもおおむね良かったです^.^

途中で通りがかった中学の中庭はガーデニングがご趣味の先生が手入れをしてらっしゃるそうで、色とりどりのお花がみごとに咲いています。高校の中庭以上のすばらしさでした。

施設の見学でびっくりしたのは、「仏間」という部屋でした。お部屋の大きさや雰囲気といい、いすなどの配置といい、なんと、光塩女子学院の小聖堂にそっくりです(@@) もちろん、正面には十字架にかけられたイエズスさまでなく、金色のご仏像が置かれていましたが・・・。

仏教系の学校の中には、階段のところなどあちこちに仏像が置いてあるところもあるそうです。でも、本校では宗教色の感じられる設備は、この仏間だけでした。

図書館は独立した建物でした。蔵書はかなり多そうな感じです。閲覧室は天井が高く、斜めになっています。多少薄暗いですが、閲覧用の机にはすべて蛍光灯がつけられているので問題なさそうです。

その後驚かされたのは、中高専用の体育館の大きさとグラウンドの広さでした。特にグラウンドは都心の学校であれば丸ごと入ってしまいそうなぐらいに見えます。ちょうどリレーとダンスの練習が行われていました。グラウンドの方はもしかしたら大学と共用かも知れませんが、それにしてもうらやましいほどの広さでした。そのほかにバスケットコートやテニスコートもあり、信じられないほどゆったりした校地です。

見学の列は最後に雪頂講堂という新しくてりっぱな講堂に入りました。目を引かれたのは、ステージの上に、どう見てもパイプオルガンにしか見えないものがあったことです。パイプオルガンというと西洋音楽のイメージですが、仏教の音楽でも用いられることがあるのでしょうか・・・?

講堂を出たところで解散となり、こんどは正門の方へ向けて歩き出しました。正門への道はとても幅広く、まずはソメイヨシノの巨木が目に付きます。おおっ、これはまさしく「銀杏の中の桜」ではありませんか!! ああ、ここで藤堂志摩子さんは佐藤聖さまからロザリオを受けたのか・・・などと想像します(「マリみて」読者の方以外わからない描写でごめんなさい^^;;)。

その先の並木はイチョウだけでなくアカマツなども混じっているようでした。でも、ギンナンが道に落ちて踏みつぶされているあたり、「マリみて」の描写そのままです。またしても大興奮しながら、来るときに正門から入れなかったのがとても悔やまれました(^^;;

道が二股に分かれているところに来たとき、まさかマリアさま像はないでしょうけれど、お釈迦さま像が建っているのでは・・・?と期待しました。ところが、残念ながら何もありませんでした(^^;;

正門を出ると、広いバス停があり、バスに乗ってJR経由で帰ってしまおうか・・・という誘惑にかられました。でも、がんばって田無まで歩いてみることにしました。かなり速足で歩いたつもりですけれど、それでも25分ぐらいかかりました。中高生たちは元気ですから歩いて通えるでしょうが、学校説明会などではバスに乗ったほうが無難そうです。

長い道のりをてくてくと歩きながら、ついつい「お釈迦さまのこ〜ころ、それ〜は蓮の花〜♪」などと、お釈迦さまからもマリアさまからもバチをあてられそうな替え歌を口ずさんでいました(^^;;


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