明治大学付属明治

塾対象説明会 2005年7月1日


今にも雨が降り出しそうなお天気のもと、JRお茶の水駅の改札を抜け、しばらく右に行くのか左に行くのか迷いました。事前に送られたパンフレットの地図をコピーしてあったので、しばらくそれとにらめっこし、大通りを横断してから左に進みました。

確認のため、途中にある交番の前に立っていた若いかっこいいお巡りさんに道をたずねようとすると、奥から中年のお巡りさんが出てきて、「みずほ銀行の角を右に行って」とぶっきらぼうに教えてくださいました(笑)

銀行の角を右に曲がると、あとは一本道でした。明治大学の校舎のほか、予備校の校舎がずらりと並んでいます。「○○会館」という建物がやたらに多いのに気付きます。

4〜5分歩くと、左手に明治大学付属中学校・高等学校のブルーの看板が立っていて、校舎の入り口に3人の男性の先生が立ってらっしゃいました。案内に従って階段を降ります。校舎が崖のように急な坂道にそって建っており、この入り口は4階か5階部分にあたるようでした。

調布に移転して新校舎が建てられていることが決まっているだけに、今の校舎は古びていて、階段の照明も薄暗いです。今まで男子校は立教池袋の学園祭しか訪問したことがなく、事実上初めての男子校の説明会への出席です。予想とちがって?(笑)、壁にとび蹴りの跡があったり穴があいていることはなく、古いながらも思いのほか清潔な校舎であると思いました。つーんとする汗のにおいがただよっているということもありません(笑)

階段を延々と下ると、グラウンドのある1階部分に降り立ちました。グラウンドといってもバレーコート2面ぐらいの広さしかありません。ほかに男子校は立教池袋しか知りませんけれど、立教の広々としたグラウンドにくらべ、ずいぶん狭いなあ・・・と感じさせられました。もちろん校舎移転にともなって解決される問題ではあります。

体育の授業をしている中学生とおぼしき生徒たちを観察したかったのですが、降りてすぐのところに受け付けがあり、手続きをすませてかなり細長い講堂に入りました。質実剛健の校風にふさわしく?冷房が弱めで、じっと座っているだけで汗が流れてきます(^^;;

定刻になっても空席がかなり目立ちました。この7月1日は恐ろしく多くの学校の塾対象説明会が重なっている日だからでしょう(^^; おまけに東京都の公立中高一貫校5校の説明会というのも重なっているそうで、おなじくきょう塾対象説明会を実施している嘉悦女子からは、そのため急きょ別日程で説明会を再度行なうとの案内が来たほどです(^^;

また、今回が始めての塾対象説明会ということで、広報がまにあわなかったということもあるかもしれません。現に某大手塾に勤務するわたしのお友だちはきょうの説明会のことを知りませんでしたし、わたしの教室への案内も、某業界誌のダイレクトメールに同封されていたものでした(^^;

説明会は、はじめに司会の先生より、初めて塾対象説明会を行なうにあたっての経緯のご説明がありました。まず第一に調布移転についての説明。第二に、最近「付属校離れ」と言われていることに対し、付属のよさを塾の先生に理解してもらいたいとの意図があるようでした。

つづいて、校長先生より「理想の大学付属を目指して」と題したお話がありました。なお、音響設備も古いためか、音がこもってお話全般がよく聞き取れず、メモが困難だったため、正確でない部分があるかもしれません(^^;

本校は明治45年に創立されました。93年の歴史を経ながら今日をむかえています。大きな改革としては戦後の学制改革を経てきましたが、明治大学の付属であり、「大学の基礎教育機関」としてのあり方は変わっていません。「大学にそのまま直結」しているため、「10年間の一貫教育と言っても言い過ぎではない」学校です。ただし、芸術、医学、薬学など明治大学にない分野を目指す場合は「他の学校を受けることも可能」です。あとでご説明がありましたが、国公立大学を受ける場合に限り、明治大学への推薦の権利を留保することができるそうでした。

本稿には、大学の基礎教育機関という立場から、知力・体力・感性を身に付けさせようという方針があります。

本校は2008年に調布キャンパスへ移転することが決定しました。移転を見据えて教育内容の改革を行ないます。まず第一に、移転と同時に「思いきって男女共学へ」変更になります。共学化についてはいろいろな議論があったそうですが、男女共同参画社会において、「早いうちから価値の平等を身につける」ことが「時代の要請と結びつく」との判断から決断が下されたそうです。

第二に、移転にともなって少人数クラス化が行なわれます。中学が35人体勢、高校が40人体勢のクラスとなります。

共学化については、今までつちかわれた付属校の伝統である「質実剛健」「独立自治」の校風が変わるのではないか、と心配する声もあるようですが、「変わることはありません」とのことでした。

「質実剛健」という言葉は、「かつては男子のみに」使われた言葉ですが、「男女共学になっても通用するのではないか」とお考えになり、校長先生はある会合でお会いした雙葉の校長先生に意見をうかがってみられたそうです。すると「今では女性でもあたりまえですよ」とのお返事であったため、意を強くなさったそうでした^.^

そもそも昭和4年、明大に「女子部」ができた時、当時のよその大学は女子については「良妻賢母を育てる」という方針があたりまえだったそうです。しかしながら明大は、「女子部から法律家を作る」などの目標をあげ、「いち早く職業婦人を育成する」という方針を打ち出したそうでした。すなわち、「明治大学は男子校のイメージが強いが、しっかりとした、凛とした女性を育てた歴史」もすでにあるということです。

移転により校地は6.5倍になります。本校はかつては野球部が甲子園に行ったこともあるほどで、「スポーツもやはり重視していかねばならない」という方針もあります。広い校地になって、スポーツもますます盛んになることでしょう。

また、直系の付属校ということで、「大学からの期待も大きい」というお話で、校長先生のお話は終わりました。

次に司会の先生より補足説明がありました。調布の新キャンパスの敷地は39,368平方メートルの広さになります。参考として資料に挙げられていた早稲田実業の国分寺のキャンパスが39,314平方メートルですから、ほぼ同じ広さになります。ですが「早実よりかなり生徒数が少ないので、ゆったり」した状態になりそうです。

クラスについては、中学が現在一学年3〜4クラスであるのを5クラスに。高校が一学年5クラスから7クラスに増設されます。それにともなって、中学は1クラス35名、高校は1クラス40名になります。

共学化後の男女比は7:3になる予定です。「今ある学校の活力・校風が1:1にすることで失われるのではないか」という心配があり、クラブ活動でもある程度の活力が必要であるという理由からこの比率が決められたようです。なお、この7:3という比率は明治大学の男女比と同じだそうでした。

京王線調布駅と中央線武蔵境駅からのスクールバスの運行は「ほぼ決定」だそうです。女子の制服は2006年3月と、共学化の2年も前に決定されるそうです。本校は中年の男性の先生が多いそうで、その先生方がどんなデザインを選ぶのか、司会の先生も「気になる」そうです(笑)

次に教務主任の先生より「ゆとりをどう生かすか」と題したお話がありました。本校の考える「ゆとり」とは、文部科学省のゆとり教育とは「まったくちがう」とのことです。ですから、指導内容の3割削減も行なっていません。「明治大学の直系付属校である利点を生かして」、受験体勢でない分、ゆとりを将来を考えることなどに使うようです。

そのため、高校3年で「卒業レポート」を作成させます。これは「大学の卒論を4年前に書かせてみましょう」というものです。また、「プレカレッジ・プログラム」といい、高校生が大学に行って授業を受ける制度もあります。

続いて高校の進路指導主任の先生より「エスカレーターはあるか」と題して、進路についてのお話がありました。日本では2006年が人口のピークとなり、2040年には3人に1人が60才以上になると言われています。経済が発展している地域で人口が減るという初めてのケースになります。

このような社会情勢の中、本校は進路指導として、「これからの社会、幸せや不幸のはざまの中で、自分たちがどう生きていくか」を考えさせる指導を行っています。

本校から明治大学への推薦枠は300名あります。実際の卒業生は215〜235名ですので、推薦枠があまっている状態です。今年は、235名の卒業生のうち、219名の生徒が明治大学に推薦で進学しました。

それ以外の生徒のうち6名は国公立大学に進学し、もう6名は上智大・早稲田大・慶応大・医科大・獣医科に進学しました。未定は4名ですが、1名は芸術系の大学、1名は外語大を目指しているそうです。ですから、明治大へ行けなかったのは実質2名だけだそうです。

その後のお話でも、直系付属校として、明治大学とつながりが深いことが、何度も強調されていました^.^

次に広報主任の先生より、入試についてのお話がありました。本校の入試についての基本的な考え方は「入学試験は偏差値・学力だけではない。人物面をある程度重視したい」というものだそうです。

最近、志望者が減少していますが、受験生の安全志向が高まり「チャレンジ受験が減った」ことが原因であると考えてらっしゃるそうです。そのため、「志望者減イコール必ずしもマイナスイメージではない」ととらえてらっしゃるそうでした。

実際、合格最低点の向上から、「志望者のレベルアップを感じる」そうです。これはまた、情報公開が進んだことにより、本校の入試問題に対する理解が進んだことも原因であるようです。

また、「第一志望者が増えた」ということも感じてらっしゃるようです。ただし、入学者の中で本校第一志望の生徒は約4割です。第二志望だった生徒が約5割、第三志望以下が約1割となっています。この結果から、「明大明治第一志望では受からないというジレンマ」を感じてらっしゃるそうでした(^^;;

共学化される2008年の入試では、男子何名、女子何名という募集形態でなく、男女合計で募集人数がだされます。ただし、男女比7:3とする方針なので、「女子の合格最低点が高くなるという懸念」があり、議論がなされたようです。ですが、「入試は学校の教育のためにある。1:1にしてしまうといろいろな活動で支障の出る可能性があり、最終的に受験生の不利益になる可能性がある」という理由で、今回の決定になったそうでした(^^;

ただ、女子のレベルが高いようなら、女子の比率は最大35パーセントまでは引き上げると決まっているそうです^.^

続いて高校入試のご説明があり、長〜い説明会は終了しました(^^;; ビデオもスライドもなしで90分お話を聞くだけでしたから、かなり疲れました(^^;

説明会が終わって帰るまでの間に、何人かの生徒の様子を観察することができました。明治というと「バンカラ」というイメージがありますが、一部中堅共学校の男子生徒とは全然ちがって、茶髪、長髪、つんつんに逆立った髪や、いわゆる「腰パン」というズボンをずり下げた生徒などはまったくいませんでした^.^ 全員が、ごくふつうの中高生というちゃんとした身なりをしています^.^

考えてみたら、大学はともかく明治の付属に中高から入る生徒は、教育熱心なご家庭に育ち、きちんと塾に通って猛勉強をしてきた子たちなわけです。弊衣破帽のバンカラとは無縁かもしれません(^^;;

男子校の説明会は初めてでしたが、強く印象に残ったのは、先生の権威がすごくある感じだったことです^.^ たとえば先生が廊下に立ってらっしゃると、生徒たちはすすすっと廊下の隅によって、小さくなって通り過ぎる感じです。このあたりは、共学校の男子生徒とはずいぶんちがうなあ・・・と感じました。

説明会ではしつけ教育や情操教育についての言及はいっさいなかったと思いますが、しつけ面でもびしびしと指導されていることがうかがわれました^.^ 希望者のほぼ全員が大学まで行ける付属校ですから、このあたりはびしっとしておかないと、とんでもなく弛緩した空気になってしまう恐れもあることでしょう。そうした意味で、明大明治のどことなく緊張感のある雰囲気は、とても好感が持てました^.^ ただ、来年からは、ぜひもうちょっと短い説明会にしていただきたいものです(笑)


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