目黒星美学園中学校・高等学校


塾対象説明会 2003年6月24日

目黒星美学園は、とても残念なことにわたしの教室からは遠くて、通学圏内からすこし外れているかな、という感じです。それなのにおととし訪問してみる気になったのは、このホームページをごらんになった方からの、一通のメールがきっかけでした。

メールで勧めていただいた学校すべてを回ることは残念ながらできないのですが、目黒星美学園はカトリックの学校です。わたし自身もカトリックの学校出身ですので、ほかのカトリック校はどんな感じなのかとても興味があり、出かけていくことにしたのでした。

そして、評判どおりとてもいい学校であることを知り、大ファンとなって帰ってきたのでした^.^ ですから、去年は塾対象説明会に申し込み、ぜひまた訪問するつもりでいました。

ところが、あいにくなことに説明会の日程が他校とぶつかっていました(/_;) しかもその他校は説明会の2か月近くも前に案内を送ってくださっていたので、もうとっくに出席の申し込みを済ませてしまったあとでした(/_;) そんなわけで、泣く泣く欠席のお返事をお送りしたのでした。

ところが数日後、たしか7月の初め頃に教室のチャイムが鳴りました。インターホンに出てみると、「目黒星美学園と申します」と女性の声でおっしゃいます。塾対象説明会に出席できなかったとき、先生が資料を届けてくださるのは時々あることなのですが、遠い学校なのにわざわざ来てくださったのにおどろきつつ、玄関に行ってドアを開けました。

そして、わたしは思わずひっくり返りそうになりました。ドアの外には、白い修道衣をお召しになったシスターが立ってらっしゃったからです(@@)

折しも真夏日のお昼過ぎで、外はかんかんに日が照っています。気温35度か6度ぐらいもありそうな炎天下です。そのなかを、シスターはバスと電車をお乗り継ぎになって、資料を届けに来てくださったのでした。

恐縮しまくって、せめて冷たいものでもめし上がっていただき、涼んでいただこうと何度もシスターにお上がりくださるようお勧めしました。ですがシスターは、「いえ、わたしはここで」とかたくなに固辞なさって、資料を置いただけでお帰りになってしまわれました。

先に書いたように、学校の先生が資料を持ってきてくださるのは時々あることなのですが、たいていはお上がりになって、数十分学校のPRをなさってからお帰りになります。ですがシスターは、郵便でも宅急便でも、ほかに便利な手段がいくらでもある現代のこの世の中において、ほんとうにただ資料を届けるだけのために来てくださったのでした。

誠意という言葉は口にするのはたやすいものです。ですが、本当の誠意は行動でしかあらわせないものだと思います。突き刺すような日差しの中、これから電車とバスを乗り継いで、長い道のりを学園までお帰りになるシスターに胸が熱くなるような思いを抱きつつ、わたしは目黒星美学園という学校の誠意に本当に敬服の念を抱いたものでした。

さて、そんなわけで今年は万難を排してでもこちらから訪問させていただかなければ・・・と思っていたのですが、さいわいほかの説明会とぶつかることもなく、無事に出席することができました^.^

試しに新宿からの所要時間を計ってみると、9時35分の急行電車に乗って成城学園着が9時50分。そこから渋谷行きの9時55分発のバスに乗り、NHK技研前で降りてすこし歩き、校門前に付いたのが10時10分でした。新宿をたってから、35分で校門まで着けたことになります。思っていたよりもずっと早かったので意外でした(@@)

バス停から歩いてくる途中でも緑の多い地域だなあと感じたのですが、校門を抜けると、校舎に向かう道の左右にもきれいに手入れされた生け垣が続いています。その向こうに淡いピンク色の校舎が見えるようすは、まさしく学園だなあ・・・と思います。

説明会場は、校舎の手前の左側にある建物2階の視聴覚室でした。一昨年の保護者対象説明会と同じ会場ですが、建物の中は新築のようにきれいに保たれていました。広いホールと緩やかな階段が、とってもおしゃれな感じです^.^

始めに校長先生のお話がありました。本校は2006年に学校法人設立50周年を迎えますが、それを機に?校舎の建て替え計画が決定しました^.^ 現在、基本設計にとりかかる段階であるそうでした。

仮校舎なしで、授業を毎日しながらどう建て替えるが検討されています。仮校舎なしとはむずかしそうですが、敷地が広いためか、「可能ではないかと見えてきた」そうでした^.^

つづいて、本校の教育方針についてご説明がありました。本校はカトリックの女子校ですので、神様の愛を中心にした普遍的な価値観で教育をおこなっています。現代のグローバル化社会においても、国境や人種などを越え、他者の思いに共感し、誠実に生きる女性の育成を目指しています。

本校の設立母体である扶助者聖母会(サレジアン・シスターズ)の創立者は聖ヨハネ・ポスコ(ドン・ポスコ)で、19世紀に活躍した聖人です。聖ヨハネ・ポスコが教育をする上で中心になった言葉は、聖書にある『コリント信徒への第一の手紙』にあるものです。「愛は忍耐強い。愛は情け深い」で始まるもので、俗に『愛の賛歌』と呼ばれるものです。

この『愛の賛歌』の中の「愛は」を「私は」と置き換えてみたときに「初めて私たちの教育者としての思いが伝わる」という方針であるそうでした。

校長先生は続いてマタイ伝の『痛んだ葦』やルカ伝の『良き牧者』などを引用されながら、こんこんと本校の教育方針をお話になりました。決して「落ちこぼし」がないように、一対一で向き合うのが良き牧者の心である。34人のクラスでは、34人まとめてではなく、その一対一が34組ある。「人間的なかかわりを大切にする。これが教育の根本でございます」

こうしたお言葉は、わたしも日々教育の端くれのようなお仕事をしている身として、たいへん心にしみるためになるお話であったと思いました。

また、本校の教育方針の一つとして、「予防教育法」が取り入れられています。これは過保護にするという意味ではなく、「本当に価値あるものを体験させる。本物を味あわせる」という方針です。すなわち、「ただ机の上のお勉強だけでなく、運動や芸術にも真剣に取り組ませる」ということでもあります。

本校が仮校舎なしで校舎の立て替えを検討しているのも、「プレハブ校舎などたてると運動ができなくなってしまう」というお考えからのことだそうです。

この予防教育法をおこなうには、3つの条件があります。すなわち、

「慈愛」 本当に子どもが愛を感じるまで愛する。

「宗教」 祈ることによって心の強さ、平和が生まれてくる。

「家庭的な環境」 わたしの場がここにある。心と心が通う友だちがいる。わたしを受け止めてくれる先生がいる。そう感じさせること。

本校は創立以来少人数教育をつらぬいていますが、これらは子どもが多い時代においても変わらぬものであったそうです。

つづいて教頭先生より、学園の特色のご説明がありました。教頭先生からごらんになって、「最近、学校全体にある手ごたえを感じるようになった」そうです。「600人の子どもたちを見ていて、日々良くなっている」とのことで、生徒たちは以前よりも明るく、礼儀正しくなっているようです^.^

「子どもたちの善への傾き」「子どもたちが非常に積極的になってきた」ことから、「学校を大きく変えると感じています」とのことでした。また、保護者や卒業生の方からも、「先生、学校が変わりました」と言われることがあるそうです。

教職員のかたがたに対しては、2年前から5教科を中心に生徒の学力を伸ばすための研修がおこなわれています。学習の不十分な生徒への細かな指導、特に中1の補習的な要素について話し合われているそうでした。

本校の特色としては、第一に「カトリックの価値観における豊かな女性の育成」があげられます。女性の理想的な姿、内面的な豊かさの育成をおこないます。子どもが変化するきっかけは「大人への信頼」であり、「学園はどうしても子どもたちから信頼を勝ち得なければいけません」と考えてらっしゃいます。

第二に、「学力をしっかり身につけて卒業させる」ということです。子どもががんばるために「最も大切なものはクラスメイトの雰囲気、学校の雰囲気」であり、とにかくこの時期に勉強してもらいたいと考えてらっしゃるそうでした。

つづいて進路指導担当の先生からご説明がありました。本校の進路指導の特色は、「少人数教育のメリットを最大限に生かしている」ことです。具体的には、高校の選択制の授業を、かつては1対1で行ったこともあるそうでした(@@) また、少人数であるために、生徒の学力・性格を把握しながら、きめ細かく進路を指導することができます。

また、進路情報・合否情報などの資料が配付されるほか、長期休暇には一定期間「研修」と名付けた講座が設けられています。高校生の夏休みには勉強合宿がありますが、これはなんと6泊7日という長いものです(@@)

次に本校の中学入試状況についてご説明がありました。本校は昨年初めて複数回入試を行いました。そのため手続き率が読めずにたいへんだったそうですが、本年度はあるていど予想がつくようになったそうです。また、本年度から2科/4科選択制入試になっています。

資料を見てみますと、1回目40名、2回目わずか10名という少ない募集定員に対して、それぞれ154名、112名という人数が応募しています(@@) やはり隠れた人気校という感じでしょうか・・・?^.^

欠席者をのぞいた実倍率では、1回目、2回目とも4科目受験生が1倍台であるのに対し、2科目受験生はどちらも3倍を越えています(@@) 選抜方法は一般的な、合格者の80パーセントを全受験者の算・国の成績だけで決め、のこりの20パーセントを4科目受験生からだけ決めるという方式ですが、算・国の成績だけとってみても4科目生のほうがだいぶ上回っていると思えます。

目立たない学校だからといって、本格的な受験勉強をせずに受験するのは考えもののようです。入試問題もむずかしいですから、志望なさる方は、十分な受験準備をなさることをお勧めします。きちんと4科目のお勉強をして受験にのぞめば、4科目生の倍率が低いことから、かなり有望だと思います。

来年度の入試では、2月3日の2回目入試の定員が10名→20名へと増員され、ちょっぴりだけ広き門となります。これは「できるだけ受験しやすいように」との配慮からの変更だそうでした。

それからパソコンを使った英語授業の解説があったのち、学園紹介ビデオの上映があって、説明会は終わりました。残念なことに、校舎見学はありませんでした。

私立校を選ぶ際、その選定基準は人によりさまざまだと思います。説明会をおわって、目黒星美学園は、ある種の人たちにとっては私立校に求める条件をすべて兼ね備えた、理想的な学校ではないかと思いました。

すなわち、いかにも学園らしいたたずまいを持っていること。カトリックのミッションスクールであること。1学年わずか100名という少人数でのきめ細かく家族的な指導がなされていること。すぐれた進学実績をあげていること。楽しい行事がたくさんあることなどなど・・・。公立にはない「私立のよさ」を追及するかたたちにとっては、いかにも「私立らしい私立」と言える、とても魅力的な学校なのではないでしょうか。

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訪問日時:2001年12月

成城学園前というと、ずいぶん遠いなあ・・・。出かける前はそう思っていたんですけど、小田急線の急行に乗るとわずか3駅目で、新宿から20分未満で着くことができました。

さあ、ここからはわたしにとって鬼門であるバスへの乗り換えです(^^;; 文華女子に行ったとき、行きも帰りもバスを乗りまちがえて、田無とひばりが丘の間を何度か往復してしまったわたしです(^^;;

ですけど、目黒星美のホームページから地図をダウンロードして印刷してあったので、それをバスの運転手さんにお見せしてお聞きし、なんとか1回でたどり着くことができました。ほっ・・・(^。^;;

目黒星美の周辺は、大きな病院や公園があり、緑が多くてとてもいい環境です。とくに公園がわのバス通りは並木道があって、とってもいい雰囲気でした。

学校に入ると、都内有数の小規模校であるのに、キャンパスは女子校としてはゆったりしていると思いました。土のグラウンドがあり、生徒たちが運動しています。いかにも「学園」という感じで、都心のほうの、学校だか団地だかわからないような校舎を見なれた目には、とてもいい感じに思えます。

説明会は、本校舎から少し離れた別館のようなところで行われました。広くてきれいなホールから、リノリウム?の階段をのぼった2階の、細長くて広い視聴覚教室が会場でした。説明がはじまっても、あとからあとからお母さまたちがいらっしゃいます。参加者数は100名を軽くこえているでしょうか・・・?

説明会は、修道衣をお召しのシスターでらっしゃる校長先生のお話からでした。ちょっとびっくりしたのは、お話の内容がとっても宗教的であったことです(@@) ルカの福音書の「よき羊飼い」のお話をはじめとして、いたるところに聖書からの引用をなさってらっしゃいました。

ミッションスクールといってもたいてい信者は生徒の1割もいないことが多いです。ですから、おなじカトリック校でも白百合や光塩は、おそらく意図的に宗教関係のお話は少なくしていると思えたんですけど・・・。このへんが、この学校の独自性かもしれませんね。

また、6学年で600名という小規模校ですので、校長先生やほかの先生がたのお話で、何度も1クラス32〜3名という少人数の、家族的な雰囲気の学校であることが強調されていました。

また、中1は全員毎週月曜日の放課後に宗教活動があることなど、校長先生のお話のほかにもいろいろと宗教色の強さが強調されていたように思います。

入試については、小学校からの持ち上がりの生徒がいるため、中学からは40名募集という少なさです。受験生の保護者や塾の先生から、もう少し増やしてくれないと受けづらい・・・という要望があるそうでした。でも、家族的な雰囲気をこわさないため、増やすつもりはない、ということが何度も強調されていました。このへんの頑固さはとても好感が持てました^.^

ただ、合格者は80名以上だしているので、それほど少人数募集ということに恐れずに受験してほしい・・・ということも強調されていました。また、今度の入試から二次募集を始めることとなり、10名募集するそうです。合計50名で、ちょっぴり門が広がるようです。

説明会のあとは校舎見学でした。本校舎の外観は白とピンク色で、とてもきれいです。ですけど、校舎に入っての第一印象は・・・「寒いっ!!」ということでした(^^;; 廊下側が日陰のせいもあるのでしょうけど、ひやっとして、屋外よりもだいぶ気温が低い感じです(^^;;

教室は日が当たるようで、ブラインドがおろされていました。でも、教室の中も寒いようで、ひざ掛けをかけたり、下半身にぐるっと巻き付けている生徒がおおぜいいます。いまの時期でこんな感じでしたら、真冬は相当つらいのではないでしょうか・・・?(^^;; ちょっぴりかわいそうな気がします(^^;;

また、建物を外からみた印象はとっても明るいのに、廊下の蛍光灯の数が少なく、中は薄暗い感じがするのが気になりました。暖房といい、いくら質素をむねとするカトリック校とはいえ、すこし電気代を節約しすぎではないかなあ・・・という気がします(^^;;

マリアさまの像などはありましたけど、校舎の中は説明会での印象とはちがって、白百合や光塩ほど宗教色の強い感じはしませんでした。

廊下や壁は、すこし汚れがありました。でも、実験室がとてもきれいで、流しもぴかぴかだったのが印象的でした。

小規模校とはいえ廊下は広く、教室もだいぶスペースに余裕があります。ですから、せまい学校という印象はぜんぜんありません。ただ、図書室だけは数えてみると50席ぐらいしかなく、すこしせまいと感じました。

校舎案内は少人数のグループ制だったんですけど、ゆっくりとしたペースで、クラスの様子などをじっくりと見れたのでよかったです。

生徒の様子ですけど、スカートを短くしたりルーズソックスをはいている子はひとりも見かけませんでした。全体に、服装はとてもきちんとしています。ただ、ネクタイをゆるめている生徒が数名(^^;; また、茶髪かなあ・・・と思える生徒が数名いました(^^;; でも、茶髪はどんなにきびしい学校にもたいていは何名かいましたから、いまのご時世ではしかたないのかもしれませんね(^^;;

説明会のお話を聞いていると、なんとなく修道院っぽい学校を想像するんですけど、ぜんぜんちがって、明るい子が多いなあ・・・と感じました^.^ 一部のクラスをのぞくと授業態度もいいですし、きちんとしつけられていいながら、楽しそうな子が多かったと思います^.^

学校周辺の環境もいいですし、グラウンドも女子校としては広く、なにより生徒たちの明るい様子にとっても好感を持てた学校でした。カトリック女子校は入試のきびしいところが多いですけど、知名度がまだそれほどないためか、いまのところまだ難関校ではありません。

カトリック女子校の厳格かつ家庭的な雰囲気にあこがれ、少人数指導に魅力を感じる人には、とってもお勧めの学校ではないかと思います。ほんとうにとても好感の持てた学校でした。


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