女子美術大学付属中学校・高等学校


塾対象学校説明会 訪問日時:2002年5月15日

 女の子というのは、絵を描いたりまんがを描いたりするのが好きなことが多いですから、以前からわたしの生徒にも、女子美を受験したいという子が中学受験・高校受験ともにけっこういました。

 ところが、いざ受験が近づくと、みんなほかのふつうの中学や高校に志望変更してしまい、なぜか実際に受験するまでいった生徒はひとりもいませんでした(^^;; いったいなぜなんだろう・・・? そんなことから、きょうの説明会には、興味を持って参加しました。

 地下鉄丸の内線の東高円寺の駅から、静かな住宅街の間の道をけっこう歩きます。すこし遠いので道順が不安だったんですけど、駅を出たところで、ぼさぼさの髪で、お化粧っ気のない、ジーンズ姿の女子学生らしい人を発見しました。

 むむっ!! この人は女子美大の学生にちがいない・・・と思ってあとをついていくと、はたして迷わずに女子美大に到着することができました(笑)

 説明会場はちょっとわかりにくくて、大学の警備員さんにお聞きしたんですけど、とても親切に教えてくださいました^.^ 中高の入り口のおひげの警備員さんも、すてきな笑顔で親切に会場を教えてくださいました^.^

 ところが、たいていの学校の説明会では曲り角ごとに何人も立っていらっしゃる案内の人が見当たりません(^^;; ですから、校舎の中の会場にたどり着くまでに、すこし迷ってしまいました。このあたりから、わたしの心の中に、「やっぱりちょっとふつうの学校とはちがうかな??」というような感覚がすこしずつ芽生えてきました(^^;;

 説明会は視聴覚教室でおこなわれました。説明会の開始は、午前10時の定刻よりも5分以上おくれました。

「まだいらっしゃる予定の方がいますので、もう2〜3分お待ちください」とのご説明があったんですけど、あーあ、塾の先生がみんな集まるまで待つなんて、むだなことなのに・・・とか、思わず心の中でつぶやいてしまいました(笑)

 わたしも道に迷ったりして数分遅れてしまったことがあるので、あまり大きなことは言えないですけど、塾の先生は基本的に夜のお仕事なので、朝は極端に弱い人が多いからです(^^;; 30分以上遅れてぞろぞろと入っていらっしゃることなどもざらです(^^;; 今回も、20分近く遅れて来たうえ、教室の後ろにまわらずに、校長先生がお話ししてらっしゃるすぐ目の前を横切って席まで行った先生までいました(^^;;

 説明会は、高校の先生のごあいさつからはじまりました。先生のワイシャツがふつうの白でなく濃いボルドーだったり、スーツがみっつボタンの物だったりするところがとってもおしゃれで、さすがに美大付属・・・と、ちょっと感心します。

 その後、校長先生のお話が始まりました。校長先生はご高齢でらっしゃいますけど、いまでも現役の絵描きさんだそうで、きょうも三越で個展を開いてらっしゃり、説明会のあとは個展に直行するとおっしゃっていました。

 お話の中で印象に残ったのは、「中学は義務教育で、高校も普通科」であり、決して絵を描くことだけの教育をする学校ではない・・・という内容のことでした。

 たしかに美術の時間が中学で週4時間、高校で週8時間もあり、ふつうの学校よりもだいぶ多めですけれど、感性教育に重点を置いているとのことで、

「技術だけでは弊害がある。全人的な裏づけのない技術は意味なし」

「感性と知性をあわせ持った人間を作っていく」

「立派な方針よりも、子供たちが確実に成長したかどうかが大切」

などのお言葉には、なるほど・・・と納得させられました。いわゆる「芸術家肌」みたいな感じの人・・・悪く言うと「変人」みたいな人に育ってほしくない・・・というようなお気持ちを感じました^.^

 さて、美大付属という、いわばちょっと特殊な学校に中学校から入学した場合、気になるのは、とちゅうで進路変更したくなった場合、どうなるのか・・・ということです。女子美大付属の場合、ほぼ8割の生徒が女子美術大学および女子美術短大へ内部進学するそうですし、他の大学もふくめると、実に92〜93パーセントもの生徒が美術系の大学に進学するそうです。ですから、もしほかの進路に進みたいと思った場合、むずかしそうな気がします。

 この点については、校長先生は、「中学生のうちから進路を決めていいのか。ややリスキーに思える。入学後、向いていないとわかる子が出るのは当然」とおっしゃって、美術以外の可能性を探るケアについてもお話なさいました。

 お話によりますと、他大学受験希望者は、高校での美術の週8時間の時間を、他教科にふりかえているとのことでした。その成果か、卒業生進路一覧を見ると、青山学院大や明治大、法政大などに合格している生徒もいました。

 あとでほかの先生から、本年度の高3のうち、11名が他大学進学を希望して、美術の時間を他教科にふりかえているとのご説明がありました。ただ、そのふりかえが、先生のついた授業になるのか、自習になるのかのご説明はありませんでした。

 それから各教科の先生方による出題傾向のご説明がありました。各科目とも、かなり具体的に単元名を挙げてのお話でした。国語は、背がすごく高くて、若くていかにも生徒にもてそうな先生、数学は、ほんとにいかにもまさしく数学の先生、という感じの中年の先生、英語は、これまた若くてかっこいい、もてそうな先生でした^.^ よけいなことですけど、オウムの上祐さんにちょっぴり似た感じのお顔だと思いました(笑)

 これらの一般的な科目の説明のあと、美大付属ならではの、美術の入試のご説明がありました。意外に思われる方が多いですけど、本校では中学入試では美術の実技は入試科目になく、算国だけです。高校の一般入試と推薦入試のみで実技試験があります。

 中学入試の科目に美術がないことについては、「小学校のうちから画塾などに通い、テストのための技術を修得するのはかえって問題があるから」とのことで、なっとくのいくご説明だと思いました。

 また、よく「マンガばかり描いているのですが、いいですか?」との質問を受けるそうですけど、物を創るのが好きな生徒を受け入れるので、問題ないとのことでした^.^

 説明は講話だけで、スライドやビデオの上映はありませんでした。ただ、ビデオは製作中とのことですから、たぶん2学期の保護者・受験生説明会では上映されるのではないかと思います。

 長い説明会がおわって、やっと校舎見学・・・と思ったら、きょうは中間試験中とのことで、見学はできませんでした(^^;; さいきんは校舎や授業などをかなりオープンに見せてくださる学校が大半ですから、やや時代に逆行するものを感じます(^^;; もしかして、生徒を見せたくないのかな・・・?とか邪推してしまったんですけど、説明会の帰り道、下校する7〜8人の生徒を見かけた限りでは、みんな地味でふつうのかっこうをしていました^.^

 説明会が終わっていちばん強く感じたことは、「なんか浮き世ばなれした感じの学校だったなあ・・・」ということでした。浮き世ばなれというと目黒星美とかを連想するんですけど、それとはまたぜんぜんちがった、なんとも言えない感覚でした(^^;; やはり美大付属という、ちょっぴり特殊な学校であったからかもしれません(^^;;


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