道具とカクテルの基本
さて、ここから本格的にカクテルの話に移るわけだが、まず始めに使う道具、それらの使い方、そのためにはどういうカクテルスタイルがあるのかを知る必要がある。
道具
道具には、大きく分けてカクテルを作るためのもの、飲むためのもの(飾りも含む)がある。
作るためのものは、すぐに思い浮かぶシェーカー、バースプーン、ミキシンググラス(ステアグラスともいう)、ブレンダー(ミキサー)などがある。
飲むためのものには、グラス、ピン、ストローなどがある。
シェーカー
シェーカーは3つの部分に分かれ、下から、ボディ、ストレーナー、トップと呼ぶ。
シェークの目的は、材料を冷やすこと、混ぜることの二つである。
冷えないうちにシェークをやめてはならないし、混ざらないのは当然まずい。
ときどき初めての人で、シェーカーは混ぜるためだけにあると勘違いする人がいる。
氷を中に入れるのを見て、驚いたような顔をするのである。
そうではないので知らなかった人は覚えておいて欲しい。
シェーカーは、混ざりにくい材料を良く混ぜる。
注意すべきことは、氷を融かしすぎないことである。
氷が融けると水っぽくてせっかくの酒がまずくなる。
シェークをすれば必然的に中の氷が融けるが、氷の融ける量をなるべく少なくするために、シェーカーと指の接する面積をなるべく小さく、しかし安定してシェークができるようにしっかりと持つのである。
こうすることが、バーテンダーに奇妙なシェーカーの持ち方をさせる。
シェーカーの持ち方はよく覚えておいて欲しい。
上のような意味で理にかなっているのだ。
バースプーン
バースプーンは、先にスプーンがついていて、真中あたりはねじれていて、反対側の先には悪魔の持っている三つ又のやりのようなものがついている。
先のスプーンはちょうど5mlになっていて、カクテルの本を読むとよく見る1tsp.(1 tea spoon)という単位になっている。
1tspとみたら、バースプーンで1杯分だな、と思えばよい。
実は、市販のバースプーンには何種類かの大きさがあって、購入する時に迷うかもしれない。
まず、1番小さくて100円から300円程度で売っているものは小さくて上のようにメジャーとしては役に立たないかもしれない。
普通バーで用いるサイズのものは、200円から600円くらいで手に入る。
さて、後ろの三つ又についてだが、これは氷が大きすぎてバースプーンがコップの底に入っていかない時に、氷をまわすのに使う。
また、飾りとして用いるチェリーや、オリーブなどを容器から出してコップに入れたりするのにも使う。
これは、先のスプーンですることが多い。
三つ又は、概してあまり使い道がないが、これがあるとまわしているのがきれいに見える。
ここで重要なことだが、シェークが華やかなものだから、シェークの技術を重視しがちだが、実はステアリング(かき回し)の技術はとても難しく、なおかつ重要である。
初心者といえどもこれを忘れてはならない。
練習法としては、水だけを入れたコップを「カチン」という音を少しもさせずにかき回すことである。
慣れてきたら、かき回しながら上下に動かしてみる。
これがうまくできるようになれば、一人前である。
ミキシンググラス(ステアグラス)
ミキシンググラスには馴染みのない人も多いだろう。
ミキシンググラスとは、分厚いガラスでできたビーカーのような形をしたものに、ストレーナーをつけて使う。
ストレーナーというのは、注ぐ時に氷が落ちないようにするためのものである。
英和辞書でひいてみるといい。
これは主にショートタイプのカクテルに使われ、シェーカーほど強制的に混ぜなくてよいが、よく冷やしておきたいものに使う。
シェーカーは振ることによって混ぜるが、ミキシンググラスではかき混ぜる。
これは大きな違いである。
振れば必然的に空気と触れやすくなり、空気と混ざりやすい。
さらに、振ることによって、氷の角が削れ、いくら氷を融かさないように注意してもけっこう融けてしまう。
ミキシンググラスでは、混ぜる力は弱いが、バースプーンのところで述べたステアリングの技術がしっかりしていれば、やさしくかき混ぜることにより、より上品な味を実現できる。
そういう目的で、後に述べるように、バンブー、マティーニ、マンハッタンといったカクテルに使われる手法なのである。
ブレンダー
フローズンカクテルや、フレッシュな果物を使ったカクテルを作る場合に使う。
一般には、ジューサーミキサーのように呼ばれるが、カクテルの世界ではこれをブレンダーと呼ぶ。
これは、シェークよりもさらに強力に混ぜるのはもちろん、ブレンダーにかけると氷も砕けるので、フローズンタイプという種類のカクテルが可能である。
また、主にブレンダーはフローズンカクテルを作るのに用いられる。
フレッシュな果物を使った飲物もできるので、うまく利用すればいろいろとできる。
これを使ったタイプのオリジナルカクテルは比較的作りやすい。
グラス
グラスはカクテルを作る上でものすごく重要な要素である。
飲物にぴったりあったグラスを選ぶのも重要である。
酒は趣好品である以上、うまければ何でも良いというわけにはいかない。
雰囲気の演出や、見た目で楽しむことも大切である。
カクテルの鮮やかな色、味、そして飾り、音楽、その他すべてがマッチした時に最高のカクテルが楽しめるのである。
そういう点で見ても、グラスというのは目を楽しませ、また良く知っている人なら舌触りまでもを楽しませるのだ。
いいグラスは唇にスッとくる。
この感触がたまらないのである。
グラスの材質や性質だけでなく、形もいろいろある。
大雑把に分けても、ロックを飲むオールドファッションドグラス、ストレートのショットグラス、リキュールを飲む時はちょっと洒落たリキュールグラス、水割のタンブラー、ロングタイプのカクテルに使われるロンググラス、コリンズグラス、ショートカクテル用のカクテルグラス、ブランデーをゆったりと飲むためのブランデーグラス、ワインのためのワイングラス、シャンパングラスにはソーサー型、フルート型の2種類がある。
また、各々の中にもさらにいろんな形があるし、いろんな色がある。
そのカクテルにぴったりあったグラスを選ぶのである。
カクテルのスタイル
今までも少し使った言葉だが、カクテルには大きく分けてロングタイプ、ショートタイプとある。
これは飲む方から見た場合の分け方だが、作り方で分ければ、ビルド、シェーク、ミキシング、ブレンダーとある。
これらについて解説する。
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last updated 5/7/99
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