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東洋医学シンポジューム
  (3月29日)


 「今年から、1年に1回は学校外の講習会に参加してもらいます。」
そんな校長先生のありがたいお言葉を賜ったのは、3月9日のリハの補講の時だった。
それならば私としては何とか春休みの間にその手のものは出ておこうと考えた。
(春日部から都内に出るのって結構つらいんですよ!これが・・・)

 そんな訳でして当日は気合を入れて、都庁に向かった。
あまりにも気合が入っていたせいか、到着したのは午前10時ちょっと過ぎ。
学校のみんなどころか、鍼灸関係者らしき人々は誰もいない。
いるのは医師や薬剤師とおぼしき方々ばかり。
さらに皆さん”ビシッー!”とした格好で聴講されているものだから
みすぼらしい私服で行った私は何ともばつの悪い思いをした。
さらに追い討ちをかけたのは、その研究発表の題材だった。
「漢方薬の話しなら少しくらいは知識として知っておくのも悪くない!」
そう考えていたのだが、漢方薬の話しでも
薬草の栽培方法では・・・。
有り難く”オオバナオケラ”の栽培方法を拝聴させていただいたが
全く頭に残らなかった。
今となっては何とかこの話しを思い出して、
私の部屋で栽培して、ひとやま当ててやろう・・・と考えています。

気を取り直して望んだ午後の部。
今度は鍼灸に思いっきり関係した題材。
「医道の日本」でも時々写真つきで紹介されている
筑波技術短期大学学長の西條一止先生
題目は「生体機能を主体とする鍼治療方法の科学化」
要するに鍼を刺された生体はどのような反応を示すのか?
ということ。
確かに鍼って「この穴の主冶はこれ」
ていうのがあるけど、「何でそこに鍼をすると直るの?」
と聞かれてしまうと、ほとんど科学的な説明はできない。
さらに薬と違って、成分などの明確な異なるところは少ない。
打つ場所と刺激量くらいが違うだけであるから、これを科学的に・・・て
実はかなり難しい話しだと私は思ってる。
西條先生はその第一歩となるところを研究してるんだなと考えながら耳を傾けていた。

聞いてみてやはりというか、難しかった。
自分の基礎知識のなさを改めて痛感させられた。
特に生理の知識は、かなり高度なところで必須であると感じた。
鍼の作用を説明する上で、神経系はもう知っていなければいけない。
分かってはいるのだが・・・。

次に堀田晴美先生による
「鍼刺激による体性感覚神経の興奮と、
それによって引き起こされる脊髄分節性および非分節性の自律機能反射」
という題目での講演。
要するに鍼を打つことによってどの神経が興奮するか
その神経は生体のどの器官、臓器にどのような影響を与えるか。
このことをラットなどを使って調べた結果を報告してくれた。
基本的には前回の西條先生と同じ。「何で鍼が効くの?」
ここに帰結してくるのだが、アプローチの方法が若干違った。
西條先生は臨床ということを意識して研究されていることが肌で感じ取れたが
堀田先生はただひたすらにその機能を調べられている感じがした。
だから、堀田先生の講演はより難解に感じてしまった。
特に「ラットの**神経を切断して・・・」
というところでは全くついていくことができなかった。


3本目は私たちが使っている「生理」の教科書の執筆者でもある
佐藤優子先生による「症状改善に向けた鍼灸の作用メカニズムの解明」という題目。
これもやはりラットを使って、筋肉の緊張や血行の改善に
鍼がどのように作用しているのか?ということを科学的に解明しようとした講演であった。
この筋肉の緊張や血行改善というのは肩こりなどの骨格筋だけの話しではなく
内臓平滑筋への作用にもアプローチしている。
これにより、鍼の内臓調整作用の解明にも言及されていた。
とても面白かったのは、ラットにも解剖的に人間の「足三里」と同じ位置にあると思われる部位に対しても
「足三里」として、人の作用と照らし合わせて検討を加えていた点だった。
最近動物病院にも鍼灸が進出しているという話しを聞いたことがあるが、
このような場所においてもその一端が垣間見れた。

さて、ここまで書いてきて多くの方は「概要は書いているが内容には言及していないじゃないか!」
と、感じていると思う。
そう、そのとおり。
実はあまりにも難しい内容と、スライドを使っての説明だったので
メモすら取る事ができず(メモをとったところで何も変わらないと思うが・・・)
内容まで覚えること、理解することができなかったことが一番の理由だ。
しかし、少なくとも今後鍼を飯の種にして生きていこうと考えている者として、
この手の疑問、質問に対して、ほとんど何も回答らしきものを持ち合わせていないということは
できるだけ避けなければならないことであると考えている。
今後、またこのようなシンポジュームに出席できる機会があったなら、
今回の反省を少しでも生かして、もうちょっと内容を理解してみたいと考えている。

2000/3/27


追伸・・・その後の特別講演とパネルディスカッションには時間の関係で出席しませんでした。
     (それまでの難解な講演で疲れてたこともあります。)
     上記の3講演と合わせて、もっと詳しいレポートがある方はぜひお知らせしてください。




          


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