これは手術からお別れの日までのお話です。

びーの受難

びーの旅立ち




びーの受難



びーが手術をしました。


冬のある日、後足で立ちあがったびーのお腹に小さなできものを発見。
この日からびーの受難が始まりました。

** 2月の土曜日 **

お出かけ用ケージにいれられ、そわそわするびーとともに獣医さんへ。
病院での処置は、できものを指で押し、中の脂肪を取り除き消毒するというものでした。びーは痛がる様子もなかったし、脂肪のできものなら・・・と安心して帰ってきました。

** それから4ヶ月 **

6月、新たなできものを発見。目に見えて大きくなってきました。
そして再び獣医さんへ。

おなかを見せたところ、”毛で見えにくいので刈ってもいいですか?”とバリカン登場。一瞬躊躇したら、”すぐ生えてくるし、この子は気にしませんよ。” う〜ん、確かに・・・。 さて診断は、”げっし類は歳をとると皮膚の病気にかかりやすいんですよ。でも、このできものはそんなに心配したものではないでしょう。ただ、切ったほうが早くなおるかもしれないので、それは経過をみて考えましょう。"というものでした。前回同様の処置をうけ、軟膏を処方してもらいました。こんなちっちゃな身体で手術というのはかわいそうなので、せっせと朝と夜に軟膏を塗ったところ、徐々にかさぶたになっていきました。

わ〜い、順調だねっ!

ところがある日、かさぶたの横にぷっくりしたできものを発見、それも今までのより痛々しい・・・

軟膏:抗菌かゆみ止めクリーム
(犬用外耳炎・皮膚感染症治療薬)


赤くなって痛々しいできもの。



** 悩むこと2週間 **

3回目の獣医さん通い、”手術しますか?”の言葉に即答はできませんでした。
結局、もうしばらく様子をみることに。

もう3歳になるし、麻酔をかけてそのまま戻らなかったしたら・・・。手術がプラスに働くとは限らないし、とっても元気だからこのままでも・・・。あ〜っひとりでは結論がだせない!!! 2月にできものが出来たときから心配してくれていたすなの手術経験者マスイさんや、びーと同年代のすなの手術経験者のもんさんにアドバイスをもらい、すな飼いの師匠であるしろしさんのすなもんどうを読んではまた悩み・・・。こんな感じで毎日堂々めぐりをしてました。

そんな時、ふとびーを見たら右耳の下に血がついているのが見えました。耳の中に小さなできものがいくつかあり、どうやらそれを引掻いてしまったようです。
えっ!!!お腹だけじゃなく耳の中まで・・・。ガーンと頭を殴られた気分。週末に病院へいくことを決めました。



** 手術の日 **

”切ってもまたできる可能性はありますが、一週間でまた大きくなったことから考えて、切ったほうがいいでしょう”というのがその日の答えでした。 手術をするまでに時間があり、本当にいいのかなぁとまたもや悩みました。

手術に備えて、いつもの先生と院長先生がいっしょに診察。 やっぱり手術することに抵抗があったので、”もしこのまま切らずにほっておくのと、手術して切ったのと、寿命の差はでるのでしょうか?手術したことで悪い方向にいくようであれば切りたくない。”と正直に訴えてみました。先生だってこんなこと聞かれてもこまっちゃうよなぁと思いつつ。

その問いに対して、”このままほっておくと多分どんどん広がってしまうと思います。そうなったときに切ろうとしてもできない可能性が高くなります。今の状態は筋肉に達しているわけではなく皮膚の上にできているものだから今のうちにやっておいたほうがいいと思います。” と納得できる答えをもらい、びーを先生の手に委ねました。

手術は全身麻酔で行われました。

麻酔薬は注射で、その後メスで切除されたとのことでした。手術に立ち会うことは出来ませんでしたが、手術後の様子を見せてくれました。びーはまだぼ〜っとした状態、助手さんの手の中で血をふかれていました。とった部分は思っていたより大きく、1cmちょっと。4針縫ったびーのお腹がとても痛々しく目に飛び込んできました。できものは筋肉まで達していなかったようで、”皮膚の表面を切っただけだから外傷と同じだよ。”と言われました。


麻酔剤:塩酸ケタミン0.1ml(5mg)



切り取ったできものと手術直後のびー



** 待合室で **

ぼ〜っとしたびーを”体温がさがっているのでタオルにくるみ暖めてあげてくださいね。”と手渡され、待合室で回復するまでずっと手で包んでいました。はじめはなんとなく冷たい感じで、呼吸も浅かったのですが、徐々に 呼吸も深くなり、そのたび、手の中でびくっびくっと動くのが感じられました。この感触は初めて経験するものだったので、何度か先生に”大丈夫ですか?”とたずねながら一時間近く暖めていました。そのうち撫でている指を弱いながらもかみはじめ、先生から連れ帰るお許しをもらいました。


** エリザベスカラー **

傷口をかんでしまうのが一番問題だからとエリザベスカラーというのを首につけられました。麻酔が効いている間は抵抗できずにいましたが、回復してくるといやがってはずそうと暴れます。これを着けていると短い前足が口に届かずごはんが食べられないし、疲れているのに眠ることができないので、目が届く時間帯ははずしてあげました。でも夜は無事回復させるため、心を鬼にして装着。がっ、夜中に見るとつけてな〜い!!!おぉ、すなの性質をすっかり忘れてた。そう、見事に崩壊です。傷口をかじったらどうしようと心配ではありましたが内心、”ほっ!”(^-^;;;



ライオンみたい!? 麻酔で力の入らないふにゃふにゃびーと崩壊したエリザベスカラー



** がんばるびー **

手術後自分で動けるようになると、いやなことをされない限りめったに鳴かないびーが、動くたびにぴーぴーと鳴いていました。かなり痛かったのだと思います。 さすがに手術日の日中はぐったりしていましたが、夜中にはエリザベスカラーを崩壊させるというガッツを見せました。 この日、いつものごはんは食べませんでしたが、果物の汁とかヨーグルトは少し食べてくれました。 手術翌日もっと元気になっていることを想像していたのですが、前の日の疲れがでたのかぐったり、心配でした。 が、次の日にはすこぶる元気!回復力には驚きました。食欲もみごとに復活、よかったぁ〜



お疲れだけど徐々に回復していくびー



** 抜糸 **

手術から抜糸までの一週間、抗生物質の飲み薬を0.1ml、シリンジで飲ませました。甘くて飲みやすいはずなのに、口に入れると今までみたことのないような顔をして”いやだよ〜〜”と薬を手ではじこうとします。ごめんね、と言いながらも毎日飲ませました。ちゃんと薬を飲んだおかげで傷口は順調。心配していた傷口をかじるということもなく、無事に抜糸の日を迎えました。
抜糸はピンセットで糸をひっぱってはさみでチョキ!その動作にあわせてびーが痛そうに手の中で反応して、4回どきどきしてしまいました。抜糸後ちょっと出血して、かさぶたができました。
その後の回復は脅威的。すべすべの肌になり、今ではうっすらと新しい毛が生えてきました(^-^)v



かさぶたができて、すべすべになって、毛がはえて、ばんざ〜い!



** これからの・・・ **

ひとまず無事に手術も乗りきり、とっても元気なびーに戻りました。ただ耳の中にはあいかわらずできものがあって、引掻いては出血しているし、おなかにもまたできそうな気配があります。もしひどくなったら、と考えるととても不安です。
耳の中は脳に近くて手術は危険だと思うし、またお腹にできたとしても、びーにとって手術の負担は大きいから、たぶんもう静かに見守るしかないだろうなぁ。
ちっちゃなすなねずみだけど、かけがえのないもの。これからのびーが元気でいられることを祈るばかりです。



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