エピローグ
カーンが去ってから一週間が過ぎた。
るびいは降り積もった雪で小さな雪だるまを作って玄関先に置いた。
夜になると、クリスマスに使ったガーデンライトを利用し、雪だるまを美しくライトアップした。
「よし、準備完了、飛べ、雪だるま!」
るびいは、胸の前で指を組み、先日のように念じた。
しかし、今回は、小さな雪だるまにも係らずピクリとも動かなかった。
「おかしいな〜、どうして動かないんだろう?」
るびいが悩んでいると、背後から誰かが近づいてきた。
「あ!ツボックさん」
るびいはツボックと手を繋ぎ、再び念じた。
「飛べ!雪だるま」
今度は、嘘のように雪だるまがぴょんぴょん飛んだ。
「凄い凄い!」
るびいは、子供のようにはしゃいでいた。
「でも、どうして、さっきは飛ばなかったの?ツボックさん」
この時、ツボックはるびいの質問に答える事が出来なかった。
彼は、まだ気がついていないのだ、地球人が超能力を発揮するには愛という力を必要とする事に。
その夜、月明かりに照らされた雪だるまは、いつまでもるびい家の上空を乱舞していた。
おしまい