たった今テレビから、あのアコースティックギターのイントロが聞こえてきた。
中学生のとき、FMのオンエアーを初めて聴いた感動。
レコード店に走り、手に入れたLP盤。
音を一つ一つ拾いながら弾いてみたあのイントロ。
僕を洋楽の世界にいざなってくれたあの曲だ。
カラヤンがロックミュージックで最高の完成度だ、と賞賛した。
7分を超える大作は、テレビやラジオに好まれることは無く、
この曲の全貌を知ることは、ロックファンとしての証でもあった。
甘美なイントロに始まり、官能的なギターソロで最高潮の盛り上がりを見せる。
夢見るギター小僧たちは、まんまと天国への階段を上り詰めてしまった。
レンタルビデオのおかげでおがめたライヴ映像。
ペイジがギブソンのダブルネックギターで奏でるこの曲に
僕らはやられてしまった。
10分を超えるライヴテイクは強烈すぎたのだ。
同名のテレビドラマが4月から始まるそうだ。
CMのBGMで流れるイントロ。
あー、何という暴挙をしてくれたのだろうか。
電波でたれ流しにされ、企画盤が店頭に並び
各家庭のラックではマライヤキャリーの隣に並べられてしまうのだろうか。
フォアシンボルズ、と称されたアルバムの輝きは闇に葬られてしまうのか。
発案者は誰なんだ?
企画したのは誰なんだ?
お前はツェッペリンを愛しているのか、とむなぐらを掴んで問い詰めたい。
僕らの宝が、デートのBGMになったり、携帯の着メロになったり、
興味本位のやつらの手垢にまみれて汚されていく。