裏技

巻ノ弐 外伝


”神の手”



はい、誰も待っちゃあいないだろうこのコーナー、今回は「神の手」という
技です。前回の「タイタニックエスケープ」の続編というか、毛色の変わっ
た技です。前回は長々と述べた挙げ句、結局ただ転ぶだけというオチでしたが、
今回はまだましなはずです。


はじめに
回想
私がフェンシングを始めたばかりの頃の話です。基本中の基本であるアンサン
ブレの構えをしていたときにふと思いました。「これって向きが違うだけ?」
アンサンブレは両足のかかとをくっつけて直角にそろえて、右利きなら右足、
左利きは左足を前向きとして半身になる技です。よって体の向き以外はほぼ一
緒の構えというわけです。そしてこれはアンガルドにも言えます。それぞれ前
の足を肩幅ほどに前に出してますが、足の向きを少し変えれば逆の手の構えの
ようになります。その時は「面白いなあ」と思いつつ終わりました。


Ⅴ.新説
時は流れ、私はタイタニックエスケープなる技というか珍行動を思いつき、さ
らに改良すべく、いろいろな構えをしながらあーでもないこーでもないと考え
ていました。その時ふと思い出したのが昔感じた事です。「アンガルドって、
90度回転してみると後ろの手の構えに見えるよなあ。」


「ん?まてよ、90度!?」


うすうす感づいた方もいると思いますが(笑)、やり方を。


1.相手が攻撃してくる。
2.後ろの手をピストの外に向けて伸ばす。
3.そのまま逆の手の構えのフレッシュをする。
4.するとどうだ!相手の攻撃が届くぎりぎりで真横に瞬間移動!当然軌道修
    正なんか追いつくはずもなくアタック失敗!そしてさりげなく残した剣が
    相手にヒット! 

となるわけです(無理)。ちなみに「神の手」というネーミングは、シャキー
ン!とばかりに伸びた後ろの手からきています。



Ⅵ.実践(2) 

私は「これなら痛くないしそれほどカッコ悪くないじゃん」と喜び、さっそく
使ってみました。しかし、使ってみると意外な結果が出ました。


「意外と避けれない。」


なぜだか「タイタニック〜」よりよけられる確率が低いのです(笑)。どうや
ら、いくら後ろの手を伸ばそうと何しようと結局、変な角度の構えからフレッ
シュを速く打つのは難しいというのと、こっちの剣があまり残らないためコン
トルが突けなくて仕切り直し(両者ノン)になる事が多いというのが原因のよ
うです。これは困った。



Ⅶ.結論(2)

すったもんだの末、たどり着いた結論はこうです。


「普段は安全な「神の手」を、
  ここ一番では必殺の「タイタニックエスケープ」を」


です。
なお、そもそも「タイタニック〜」でよけれない方も多いと思われますが、
頑張ってください(笑)。巻ノ弐の正伝はあくまでもこれです。まさにエ
ピャーって感じです(何がだ何が)。というか、これからますます常識離れ
というか、謎さ加減が増していきますので(笑)。


次回予告! 一般人がフェンシングに対するイメージの一つ、 「剣をシュシュシュッってやるやつ」 本当はそんなことはしない、無駄だからだ。 だがしかし!そんな人々の期待にこたえるのがエピャーの心意気! ならばやってやる、やってやろうじゃないかあ! 次回「百烈突き」 、北斗の拳でも読んで待ちやがれ! 「もー分かった」って感じもしますが・・・(笑)。 それではまた次回。


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