英語関係の本の紹介



1.英語教授法〜海外のTESOLプログラム:大学院留学専攻ガイド⑤

著者多数:(株)アルク/2001年

主に海外のTESOLプログラム(大学院・ディプロマ・サーティフィケイト)の情報が得られる。著者は多数で現役のTESOL取得者や実際に修士号を取得された方の意見も記されている。また、言語学・応用言語学の基礎的な研究分野、各大学のプログラムの特徴等の情報も得られる。一口にTESOLといっても大学や国によって勉強する科目も大きく違うので(例えば、コンピュータ教育重視、理論重視、実践重視、教育系重視、言語学系重視など)大まかに傾向を知る上では参考になる。また、TESOL取得後の就職や進路についても触れられている。

2.第二言語習得の研究:5つの視点から。

  レスリー・M・ビービ(編集)/ 島岡 丘(監修)/ 卯城祐司・佐久間康之(訳):大修館書店/1998年

     本題通り、5つの視点から第二言語習得の研究に関する課題が記されている。5つの視点は、それぞれ心理言語学・社会言語学・神経言語学・指導効果・バイリンガル教育・についてである。専門用語が多く、多少難解ではあるが専門用語解説は役に立つであろう。「英語教員のための応用言語学」を読んでからこの本を読まれるとすんなり入れるかもしれない。多角的な視点から今までの第二言語教育の成果と今後の課題をコンパクトにまとめている。

3.英語教員のための応用言語学:言葉はどのように学習されるか。

  大喜多喜夫(著):昭和堂/2000年

  言語習得についてのこれまでの大きな研究・仮説の推移、第二言語習得に関わる特徴等がわかりやすく記されている。英語教員でなくても、第二言語習得を目指す人にもお勧めできる。この内容を知っているのと知らないとでは、交通ルールを知らないで車を運転しているのと同じくらい、違いがあるであろう。TESOLを勉強する前に読んでおきたい。

4.オーストラリア・ニュージーランドの教育

  石附 実・笹森 健(編集):東信堂/2001年

  オーストラリア・ニュージーランドの教育は、あまり知られていないが入門書的な役割を果たしてくれるであろう。州毎の詳しい制度、教育行政、土壌、教育理念、等が説明されている。著者は多数で、実際にオーストラリア・ニュージーランドの大学で教鞭をとられている方々である。但し、行政・制度的な内容がメインであるため、現場の問題点等はあまり見えてこないかもしれない。 おおまかな歴史的な推移を把握することは可能である。

5.英語リーディングの認知メカニズム

  門田 修平・野呂 忠司(編集):くろしお出版/2001年。

  認知心理言語学の分野の専門的な内容である。リーディングに関与する脳の働き、情報処理の過程、ボトムアッププロセス等の説明が詳しく記されている。また、著者自身の日本人学習者を対象にした読解処理の実証的研究も含まれており、リーディングの効率的な指導の参考になるでしょう。

6.ロングマン 応用言語学用語辞典

  J・リチャーズ/ J・プラット/ H・ウエーバー(編集)、山崎 真稔 他(共訳):南信堂/2002年

  何といっても、手軽でコンパクトなのがよい。大体の応用言語学分野の用語解説は網羅されている。TESOLか応用言語学を勉強するのであれば、専門用語解説書は必携。

7.How Languages are Learned

Pasty M. Lightbown & Nina Spada. (2001). Oxford University Press

英書ですが、すんなり読める「母語・第二言語取得」の教科書的な存在。この本も、ぜひTOEFLを始める前に読まれた方が良いです。私も全く無知からスタートしてこの本のおかげで第二言語取得研究のフレームワークがわかりました。教室でどのように理論を元に実践したらよいかヒントが記されております。

8.Communicative Competence: Theory and Classroom Practice

Sandra J. Savignon. (1997). The McGraw-Hill Companies,Inc.

実際に今学期「第二言語教授法」の授業で基礎テキストとして使いました。Communicative Competenceの概念とその指導法、テキスト選択、シラバスデザイン、評価方法が詳しく記載されており、理論と実践をいかに埋めるか著者の工夫が見られる。現在のコミュニカティブな授業を実践する上でぜひ読んでいただきたい。コミュニケティブとは、ただスピーキングをするだけではなく、コミュニケーション能力という包括的な(4技能といった分別ではなく)能力の育成であるということを今一度考えさえられる。英書。

9.Learning Vocabulary in Another Language

I.S.P. Nation. (2001). Cambridge University Press.

英書。著者のポール・ネイションは、語彙関係の分野では著名な研究者である。長年にわたり語彙獲得、テスト、心的辞書(メンタル・レキシコン)の研究に携わってこられた。日本やアジアでの教授経験もあり、理論と実践がこの本一冊に集約されている。実際のボキャブラリーテストの紹介もあり、とても読みやすい。また、彼のウエッブ・サイトも一度ご覧あれ。アクセスは、http://www.vuw.ac.nz/lals/staff/paul_nation/index.html 現在、彼はニュージーランドのヴィクトリア大学で教鞭をとっておられる。

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