2000年の5月の記録です。
このころは淡々と古墳に行って、風景を眺めて降りて帰って来るというのを繰り返していました。
文房具屋に行ってから、古墳に向かう。
丸墓山古墳に登ると、いつものように青っぽい闇の中で、
ウシガエル、アマガエル、オケラの鳴き声がしていた。
この季節の青っぽい黄昏が好きだ。
日が沈み、しばらくすると空は光を失ってゆき、宵闇が青みを帯びる。
世界がいつもと違って見えるから、僕がなんだか分からなくなる。
そのなんだか分からなくなっている状態が好きなのだ。
タバコと一緒にまろやかカルピスを飲んだ。
桜の葉も伸びきって毛虫の気になる季節になった。
八重桜が闇にまぎれてひっそりと咲いていた。
夕方にさきたま古墳に行ったら「さきたま火祭り」でとても混んでいた。
屋台や人ごみを縫って丸墓山古墳に向かうと暗闇に沈む古墳の斜面に、
何か見なれないものが幾つも見えた。
良く見てみるとたくさんの人達が、
丸墓山古墳の斜面を埋め尽くすようにして座っていた。
これではとても古墳に登れないので、
ひき返してさきたま古墳群の北側の田んぼの中の道路で煙草を吸った。
さきたま古墳公園では積み上げられた木に火がともされ、
炎が上がり、火の粉がそれを包んでいた。
歓声が聞こえ、何か解説のナレーションが拡声器で伝えられていた。
「これらは我々の先祖である・・・・・。」
といったナレーションだった。
すこし肌寒く群青色をした夜空で星が光っていた。
時々、田んぼで一斉にアマガエルが鳴いた。
もうアマガエルの季節かと思った。
アマガエルが鳴きはじめるととても懐かしい感じがする。
島根県の松江市に住んでいたときも辺りを田んぼに囲まれていたので、
晩春の宵には一斉にアマガエルが鳴き出した。
早稲田大学のIと6時半に自転車で古墳に行った。
行きは向かい風だった。
丸墓山古墳の前の砂利道でウシガエルを見つけた。
ヒキガエルと違ってウシガエルはグロテスクで、
近づくと不器用だが敏捷な跳躍で、池の方に逃げていった。
丸墓山古墳に登り、肌寒い風に身を委ねながら煙草を一本吸って、酒を買いに行った。
この日は家でIと酒を飲んだ。
学校から帰ってきてランニングをして,8時ごろに古墳に行った。
丸墓山古墳の上でどうでもいいことを考えた。
どんなことを考えていたかは教えることができない。
友人と夜、車で古墳に行き、丸墓山古墳に登る。
丸墓山古墳の上では僕が今まで従って生きてきた価値観について考えた。
何かを再構築しなければならない必要性を感じて,気持ちだけはあせった。
恐らく大規模な消費型社会の中では、個人の価値観も、
洋服か何かのように使い古され消費されるのかもしれない。
錯綜する情報の中で、僕は洋服を着替えるように古い価値観を捨て、
新しい価値観を身に纏わなければならないのだ。
夜の行田の風景に集中できなかった。
古墳からの風景は11時ごろだったので明かりが少なくて、いつもより寂しげだった。
ウシガエル、アマガエル、オケラの、行田の春の夜に鳴く3大生物が声を上げていた。
夕方、ランニングをしてから古墳に行く。
田んぼには水が張ってあって,アマガエルが威勢良く鳴いていた。
北鴻巣駅に着いたのは7時ぐらいだったが、暖かかったのでそのまま自転車で古墳に行った。
古墳前のコンビニで電話代を払ってビックリマンを2個買った。
レジがアルバイトの女の子だったので少し恥ずかしかった。
女の子は僕の顔をじっと見ていたような気がする。
僕の顔が気に入ったというような感じの視線ではなかった。
丸墓山古墳の頂上で、先ほど買ったビックリマンを2つ食べた。
空は曇っていたけれど、月のせいだろうか、随分明るく感じた。
水田でアマガエルが甲高い声で鳴いている。
大学から帰ってきて、直接古墳に行くことにした。
昼間は晴れて暑いくらいだったが、夕方になってすこし曇ってきていた。
麦がだいぶ色付いてきている。
行田市利田の方面を通って古墳に向かった。
風と光がとても心地よかった。
古墳の前のセブンイレブンでビックリマンとペプシを買った。
セブンイレブンを出ると雨がすこし降ってきたが、すぐにやんでしまう。
丸墓山古墳にまだ明るい時間に登るのは久しぶりのことだ。
さきたま古墳群の北方の田んぼの中の、
ごみ処理場の煙突付近の畑は、麦が色付いて黄色くなっていた。
帰りはマムシがいないかどうか見ながら帰ったが見つからなかった。
もうそろそろ出てきてもいい季節なのだが。
就職活動をしてから、いったん家に帰り古墳に行った。
丸墓山古墳の頂上でのことはよく覚えていない。
ただ、暗くなった風景の中で麦の黄色がぼんやりと判別できた。
大学から帰ってきて古墳に行った。
古墳の前のセブンイレブンでペプシを買い、
丸墓山古墳の頂上の北側の階段に腰掛けて見てみると、また同じペプシマンが出た。
階段に腰掛けて北面に広がる田園風景を長間ながらタバコを1本吸ってから家に帰った。
昨日よりは涼しくて、この日もまだマムシがいなかった。
夕方ランニングしてから古墳に行った。
時々、とても小さな雨がまばらに降ってきた。
古墳の前のセブンイレブンでペプシを買ってから丸墓山古墳に登った。
古墳はもうすっかりと暗くなっていた。
カエルが鳴いている。
ペプシを飲みながら煙草を一服して帰る。
日本ダービーを見に東京競馬場に行っていた。
エアシャカールが断然よく見えたのでエアシャカールの単勝をしこたま買い込んだが、
結果はアグネスフライトに鼻差敗れた。
東京競馬場から帰ってきてから7時過ぎに古墳に向かった。
もう麦は刈り取られ、ほとんどの田んぼに水が張られてすっかりカエルの天下だった。
アマガエルの鳴き声に混じって
時々トノサマガエルの「クケケケケッ!クケケケケッ!」という鳴き声がする。
丸墓山古墳の頂上から夜景を眺めた。
北側の風景を見ていたら、いつもより光が少なく、暗く感じられた。
やはり古墳の北西を流れる忍川の対岸にある自動販売機の明かりが一番明るかった。
7時50分になったので大河ドラマを見るために、急いで帰った。
今回はこの辺で。