心臓と肺を共有して生まれる双生児がいる。結合性双生児と言うのだそうだ。
2人の人間がいるのに、心臓は1個しかない。イギリスでそんな双子が生まれた。2人は腹部で結合されていて、片方の赤ちゃんに心臓と肺がなく、このまま結合状態が続くと、もう一方の赤ちゃんの心肺機能に負担がかかり、数ヶ月以内に双方死んでしまう。
医師団は分離手術を計画した。つまり、一方の心臓を持たない赤ちゃんは死ぬことになる。

しかし、熱心なカトリック教徒である両親は分離手術を拒絶。
「親として二人とも平等に愛しており、一人を救うためにもう一人の命を犠牲にするのは耐えられない。二人死ぬとしてもそれが神の意志なら従う。」

分離手術の是非は、司法の場に判断が任された。

中絶反対派やカトリック教会は「手術は生きる権利を人為的に奪う行為」として反発。また障害者団体の間では「弱者の命が軽視されかねない」と懸念する声も出ている・・。

エホバの証人の「輸血問題」を思い出した。例の、息子が交通事故に遭って輸血が必要だけど、輸血を禁止するエホバの証人の信者であるが、輸血を拒否ったってヤツです。ビートたけし主演でドラマでもやってた。
んで、一人でも助けるかどうか?
母親になったことはないんで、自分の母親に聞いてみました。
「もし私と弟が結合性双生児で、私にしか心臓がなかったら、どうする?」(仮定の話しであっても自分は生き残る可能性のある方に設定してしまう、それもまた一興。)
普通に考えれば分離手術に同意するだろうとの答えでした。この場合の普通とは、タブン合理的とか常識とかの意味だろうと思います。でも、実際の立場に立ったら決断することはキツイだろうとのことです。

それは分かる。お母さんだもん、自分の子供を間接的にではあっても「殺す」ことに変わりはないのだから、ためらう。

でもでも、「神の意志」?
それで納得できるんすか?ええ?もし眉間の間に第三の目とか出来ちゃっても、「神様のなさったことだし・・」で済む問題?あ、それは嬉しい人もいるかもだから例え違うか。

自分の考えを言わせてもらえば、分離手術には賛成です。
もし手術をしないで、生き残れる可能性のある人間を殺すことは、弱者の権利剥奪よりも重いと考えるからです。これは多数意見に入るのではないかと思う。
ただ、驚いたのが、その「神の意志」って言葉。ぷらす、この問題を司法の判断に任せたって点です。ここらへんは宗教や国の違いがモロに出てるんでなんとも言えない感じだけど。

イギリス高等法院は、分離手術を支持する判断を下しました。判事の一人は、インタビューに「ジレンマで眠れない日々が続いた」と苦渋の判断であったことを打ち明けた、とのことです。