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人生論

 思いやりで溢れる世の中になったらどんなに毎日が楽しいだろう。やさしさというオレンジや、黄色や、赤い花で埋めつくされたお花畑の中を鼻歌混じりに散歩するような、そんな街に住んでいたらどんなに幸せだろう。そうしようよ。  僕達は人間だ。人間は一つ決定的な不安を抱えている。死だ。死はまったく未知の世界である。死の世界へつながる様々な毎日の出来事すべてが君に恐怖を与えている。例えば真面目に勉強しないと、就職できない。就職できなければ生活に困る。この簡単な公式から様々な不安と束縛が生まれる。勉強だけではダメだ。先生に好感をもたれなくてはならない。真面目にみえることが大切だ。だから髪を切ろう。すべて不安に突き動かされて人は生きざるをえない。このまま大人になると、上司の視線に怯えながら生活する立派な日本人が出来上がる。  1961年、僕は生まれた。白黒テレビがすぐにカラーになった時代。大人達は寝食忘れて働いていた。父は朝6時には出かけ、夜12時まで働き、家で朝4時まで伝票を書いた。父の世代には学校で修身の時間があった。だからどんな生活をすればいいのか、一応のマニュアルがあって、それに没頭すれば不安を感じないで済んだ。僕達と言ったら、生まれてしばらくすると小学校の受験があった。僕自身は自分はまだ宇宙人だって信じていたくらいなのに。いきなり実社会の中に投げ込まれて、なにがなんだかわからなかった。俳優学校の受験もさせられた。「おはようございますって、大きな声で言うのよ」と母に言われた。僕は意味のないお遊技に3歳から疑問を持っていたので、断固拒否をした。拒否してよかったと今思う。小学校には無事に合格して、国語の時間に漢字を習った。「正しいという字はこう書きます」先生が言う。「何で?」僕が聞く。先生はそういうきまりですと言って、次の漢字を書いた。次に社会科の時間。先生は黒板に十の図を書きこう言った。「上が北、下が南、じゃあ、右は?田村君?」田村君に聞いた。田村君は「東!」と答えた。僕にはなんのことかさっぱり分からなかった。「何で右は東なの?もしぐるりと回ったらこっちが東になるの?」僕は反対側を向いて先生に迫った。先生は黒板をよく見て覚えなさいと言った。理科の時間。なぜ青写真が感光するか調べた。僕はスチームの上に青写真を乗せて温めてみた。それを見ていた先生が言った。「〜君、何してるの?教科書をちゃんと読みなさい。なんて書いてあるの?」それが受験勉強の始まりだったんだなとやっと今解る。  受験の時代が始まる。勉強は教科書をさっとやってから、問題集を解くことを意味していた。それ以外には考えもつかなかった。高校3年までそれが続き、家庭教師、予備校、補習が生活を占めた。しかし何で東大か、早稲田か、慶応に入らなければならないのか、根本的に理解できなかった。分かっていたのはもしこれらの大学に入れなかったら一生、「原罪」を背負って生きなくてはいけなそうなことだけだった。経済学部に入ればそれで良いと周りから言われた。「つぶしがきく」のだそうだ。僕は外国語を覚えていくのが嬉しかったから、外国語を大学で覚えられたらいいなと思っていた。でもそれは少しいけないことのように周りから言われた。僕の友人達は?というと2つに分かれていた。一つのグループはけっこう受験が気に入っていて、やっぱり名の通った大学の経済学部に入るのが一番よいと思っていた人たち。彼らは僕が一日でやめてしまった予備校に毎日通った。それなりに楽しそうだった。それから勉強ができないから、どこへでも入れる方に入ろうという仲間達。彼らはそもそも大学に入れるかじたいが不安だったから大変そうだった。それからあと、何人か、僕はこれに入ると思うが、なぜ受験勉強をしなくてはいけないのかにひっかかていて、受験生活というような、受験を中心にした生き方自体を問題視して、そればかり気になっていた人たち。でも多分このいずれのグループに属する人たちは全員、受験生という言葉で一まとめにされて、そのけっこう落ち着いた身分の中で安心していたかもしれないな。  大学に入るとみんな勉強しなかった。勉強しないのがファッションで勉強しているとかっこう悪かった。でも「優」の数で就職先が変わるからと教わって、要領良く「優」を取るように注意を払った。でもその努力だけで大学で勉強した中身はあまり覚えていなかった。自我を押し通して当時割りと新しい大学の外国語学部に入った。期待していた。しかし授業は全て教授がテキストかノートを読み上げるものだった。一番期待していた外国語の授業は文学の本を一行ずつ順に訳すか、変な日本語を英語に直すものだった。すっかりがっかりして、そのうち大学には勉強のために行くことはなくなった。でも周りがみんなそうだから安心していた。  就職した。就職難だったが最大手の教育関係の会社に入ることができた。合格の理由は「優」の数ではなく、学生時代に取ったスキーの一級だった。出社一日目、人事部長に言われたように、朝一番に会社に行き、全員の机を拭く。そしてエレベーターの前で、「おはようございます!」と挨拶をする。先輩社員は「よっ!」と手をあげる。やがてラジオ体操。みんなで並んで体操。僕は毎日相当にトレーニングしていたので、これは不要だなと思った。しかし手を抜くと、上司からげきが飛ぶ。朝礼がある。社訓を暗記して、斉唱する。それから各課の課長が教訓めいたことを言う。そして一日が始まる。仕事は上司の言った通りに、特には工夫して見せたり、用もないのに残業をしたり、土日に、お得意先の広告チラシの配付を手伝ってやる気を見せろと係長に言われたり、「〜でして〜ですので〜ということで」なんて言葉遣いになったりして、でも大半の仕事は本質的にいらないものばかりだった。でもみんながそうしているし、何かを一生懸命やれば、それなりに安心だった。  しかし、2000年、僕達は不安の中にいる。日本中の人が不安の中にいる。なぜ?頼るものがないからだ。欧米のような宗教感がまずない。欧米では宗教は親から子へ、社会からその社会の新たなる構成員に伝えられ、ひとつの価値体系を示してきた。人間にはどんな罪があって、幸福になるためにはどうすれば良いのか、よくも悪くも伝えられてきた。人はそれに従っていれば安心して生活できる。死は永遠の命を得るもの。その教えは現世での忍耐を容易にする。日本人はいずれかの宗教の檀家になっていることが多いが、仏教の教えに心の平安を覚えるほど功徳を積むものがどれだけいるだろうか?さらに道徳の授業もなくなり、価値観が多様化してきた。価値観の多様化はそれが日本人の想像力によって広げられてきたものというよりは、一人の有名人が始めて大衆がまねるという構造で成り立っているようだ。生き方も然り。日本人が大好きな流行語で「バブル」に乗って、本質的に人間を幸福にする仕事とは懸け離れた小手先の仕事で、泡銭を稼ぎ、それで豪遊する。でも中身がないからすぐに崩壊。で、先頭を走っていた悪者達が、当時は英雄だけど、逃げたり、捕まったり、没落してしまうと、フォロアーである大衆はどうしていいか解らずに、不安に包まれる。でおろおろしている間に、失業。でも何をどうしたらいいのか解らない。  もういい加減、自分で考えなさい。何が自分にとって大切なのか。自分を大切に思うのならどういう社会を作ったらいいのか。四輪駆動車がはやればみんなそれ、自慢げに乗っているのは40位の小意気なお父さん。今ではワゴン。日曜日には河口湖でバーベキュー。ふだん考えていることは家のローンと、不倫。どうして一律なパターンでしか楽しめないの?一時期、電車に乗っていると誰も彼もがマンガを持っていた。50位の会社員も読んでいる。部長さんかな。少なくとも僕は朝からマンガを読んでる上司の下で働くのは嫌だね。君はどう?  じゃあ、新しい宗教が必要?それが最大にいけない。宗教は盲目しか作り出してないじゃないか。信じるという行動は、「わからないけどまあいいっか、好い事言ってそうだから」というのと一緒でしょ。宗教がいけないのは他人を束縛しようとするでしょ。「こうすれば幸せになります」ならまだしも「こうしないと不幸になる」という言い方だよね、たいてい。人間っていうのは放っておいたら不幸になるわけ?そうかな。僕はそう思ってはいけないんじゃないかと思っているよ。君は不幸になりたいと思っている?僕は違う。幸福になりたい。でも幸福が何か、君は解る?わからなければ質問を変えて、じゃあなぜ幸福はお金で買えないか?答えは人間の命が買えないからだよ。*1人間が死の束縛から自由になりうるのは物理的に不可能だとすれば、幸福感とはそれを感受する人間の中からしか生まれないんだよ。言葉を変えればいかなる外的なものにも君の幸福はない。君が幸福になるのだ。人間は一時死の恐怖を忘れる。それが幸福の瞬間だ。「死んでもいいくらい幸せ」という瞬間。君はこの瞬間、すべてのものに変えてもいいような何かを感じているはずだ。どんな時君はそれを感じるのか?もし思い当たればそれが君の人生を導いてくれるヒントになりはしないだろうか?  世の中は好きなことができない人で満ちあふれている。できないどころか、他人のエゴで雁字搦めにされている人ばかりだ。君はその一人になるつもりか? 註*1Flower, 1999. Humanism.:beliefs and practices. Sussex academic Press PP110.

Icon 氏名/ニックネーム
ひろちゃん  
Icon 職業/会社名/学校名
 
Icon 役職/学年
TESL.M.Ed.Ph.D.  
Icon 誕生日
10.4.1961  
Icon 性別
男性  
Icon 出身地/出身校
神奈川  
Icon 住まい
川崎市  
Icon 趣味
ハムスターの観察  
Icon 特技
人間行動学/応用言語学  
Icon 好きなもの、嫌いなもの
優しい人/いじわるな人  
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99年11月05日 13時01分02秒


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