第二十回  カリフォルニア旅行

春学期終了後、ルームメイトであるジムの実家があるカリフォルニアに1週間滞在する事になりました。6月8日から16日までカリフォルニアで過ごし、その後はシアトルに戻り、ホストファミリーであるマイケル一家に2日間お世話になります。そして、18日のフライトで、日本に帰国します。(今回に限り、一日ごとに、あったことを日記形式で綴る事にしました)

6月8日 「カリフォルニアに出発」

いよいよ寮をチェック・アウトし、約一年住み慣れた部屋ともお別れです。実質的には、UWキャンパスともお別れということになります。滞在中に増えた荷物などを、苦心してパッキングし、汚れた部屋を掃除し、RA(RoomAssistant)に了解を貰えば、晴れてチェック・アウト完了となります。

さて、午前11時半ごろチェック・アウトを済まし、ジムと共に空港に向かいました。チェック・アウトをのんびりしていた為に、乗る予定の飛行機にギリギリ間に合うか、という状況に陥ってしまいましたが、空港内を二人してダッシュし、何とか予定の飛行機に乗ることが出来ました。

オークランド空港に到着すると、ジムのお母さんと、妹が車で迎えに来てくれました。ジムの家は、空港から車で2〜3時間ほど離れた田舎にあります。しかし、ここで驚いたのは、ジムの家を含め、その周辺一体が仏教徒のコミュニティーであったことです。初めて目にする(僕にとっては)異様な光景に、最初は非常にとまどいを持ってしまいましたが、「その内慣れるだろう」と思い、あまり深く考えない事にしました。

到着後は、旅の疲れもあって、シャワーを浴び、食事をとり、後はジムの家族と談笑するだけとなりました。ジムの家族は、父親、母親、妹、弟、そしてジム、の5人家族です(父親は現在中国に単身赴任中)。ジムの妹のペギーとは特に話が弾み、仏教徒コミュニティーの話などを色々聞く事が出来ました。

ジムの家族

6月9日 「コミュニティー探索」

起床すると、すでに日は昇り、時計を見ると正午になっていました。寮とはまるで正反対の、物音一つしない快適な環境で睡眠を取れたのは本当に久しぶりです。一年振りくらいに、「あー、良く寝た!」という気分になれました。外に出ると、真夏の日差しが容赦なく降り注いでいます。カリフォルニアでは、3ヶ月ある雨季を除いては、一年中晴れて、乾燥した気候が続くようですです。また夏場の最高気温は40度を越えることもあるとか・・・。暑がりの僕にとっては、かなり苦しい気候です。

今日はジムがコミュニティーの中を案内してくれました。コミュニティーの中には、学校(小学校から高校まで一つの校舎で学んでいるようです)、食堂、運動施設、お寺、など、様々な施設が密集しています。午後は、ジムの友人をたくさん紹介してもらい、彼らとコミュニティーの食堂で夕食を食べ、話などをしました。コミュニティーの人達は、みんな英語が出来ます。しかし、お互いにはもっぱら中国語で会話をしているようです。

コミュニティーの雰囲気的には、カリフォルニアにある、「リトル・チャイナ」と言った感じです。全人口はおそらく200人くらいでしょうか。また、コミュニティー内には白人も住んでいますが、やはり中国人の居住者が大半を占めています。

こういう穏やかなコミュニティーの中で、現実と離れて暮らすのも悪くはないなと思います。回りは自然に包まれ、動物達も生息し、一日中暖かい日差しが降り注ぎ、そこに住んでいる回りの人達はみんな家族同然なのです。僕にとって唯一の問題は、仏教徒にならねばならない事ですが・・・。

ジムの友人達

6月10日 「昼食会」

今日は、ジムの友人であるショーン(中国人)の家の昼食会にお呼ばれしました。全部で10人ほどが来ており、おいしい食事を頂きながら、色々な話をしました。特に僕は、ジムのルームメイトで、日本からの留学生ということで回りの人たちから様々な日本に関する質問や、文化間の違いに関する質問をされました。

昼食後は、ジムとリチャードとショーンと一緒に映画を見に行き、再びショーンの家に戻った後は、みんなで話をしたり、DVDでさらに映画を見たりして過ごしました。

会った人たち皆から、「英語がとてもうまくてびっくりした」、と誉められたのがちょっとうれしかったです。

ショーンの家で、大自然をバックに。

6月11日 「RoadTrip1: ユカイア→サンフランシスコ→オークランド」

さて、今日から二泊三日で、ジムと僕のカリフォルニア・ロード・トリップが始まります。ジムの車で、ジムの友人の家を訪ね、一晩の宿を提供してもらいながら、観光名所を回ったりします。ドライブ中は、買い込んだお菓子や飲み物を食べながら、大音量でお互いに持ってきたCDをかけて、ノリノリでした。

ジムの家のあるユカイアから出発し、まず最初の目的地はサンフランシスコです。2〜3時間ほどで、ゴールデン・ゲート・ブリッジに到着し、その周辺にある高い丘から、サンフランシスコの街並みなどが一望できます。橋を渡り、サンフランシスコのダウンタウンに到着すると、車を止めて、町の中を色々と歩いて散策することにしました。ハリウッド映画「TheRock」のカーチェイス・シーンにも登場するように、サンフランシスコは非常に坂の多い町です。路面電車なども走っていますし、また、海に面しているので、なかなか味わい深い街並みです。是非、今度来る時は、じっくりと見て回りたいと思います。

サンフランシスコを出た後は、オークランドに向かいました。1時間ほどで到着し、ジムの高校時代の友人であるフランクの一家にご厄介になることになりました。フランクはU.C.Berkelyで、建築の勉強をしています。この6月で大学を卒業したらしく、この夏は就職活動に専念するようです。フランクには、大学生の妹(バニーとジェニファー)が二人おり、みんなで夜遅くまで色々な話をしました。

ゴールデン・ゲート・ブリッジ オークランドにある、フランクの家で。

6月12日 「RoadTrip2: オークランド→ポーラアルト→オークランド→サンホセ」

フランクの家で朝食をご馳走になった後は、スタンフォード大学のあるポーラアルトという町に向かいました。1時間ほどのドライブで、広大なスタンフォード大学のキャンパスが姿を現してきました。車をとめた後、さっそくキャンパス散策を開始しました。

スタンフォードのキャンパスは、正に「南国の楽園」と呼ぶにふさわしい美しいキャンパスです。建物も、ただ大きいだけではなく、美しい彫刻が施されています。図書館などの施設も非常に充実していますし、学生が学ぶための最高の環境が用意されているようです。しかし、それもこれも、私立であるゆえの高い学費が成せることであるのは事実だと思います。ジムの話によると、平均して、年間、学生1人あたり300万円近い学費を納めているらしいです。(UWや慶應の3倍!!)

スタンフォードを見学した後は、再びオークランドに戻り、その近辺に住むジムの友人達(ジョセフ、チャールズ、二人は兄弟)とカラオケに行きました。HappyTimeと称して、5時間歌い放題で、1人たったの10ドルというサービスを利用し、午後3時から8時までぶっ通しで歌いました。日本語、英語、中国語の三ヶ国語が入り混じるカラオケは初めてです!

カラオケが終了した後は4人でタイ料理を食べに行き、その後ジムと僕は、車でさらに1時間ほどの、サンホセにあるジムの友人宅に泊まりに行きました。ここでも、みんなで夜通し、互いの恋愛観の話などを熱く語りました。

スタンフォード大学1 スタンフォード大学2 スタンフォード大学3 オークランドのカラオケで。

6月13日 「RoadTrip3: サンホセ→オークランド→ユカイア」

午前10時ごろサンホセを離れると、再びオークランドに戻りました。昨日一緒にカラオケに行ったジョセフとチャールズと合流し、GreatMallというもの凄い大きいショッピングモールで買い物をする事になりました。色々なお店に入りながら、モールを一周し、昼食を済ませ、その後はジョセフとチャールズの家に夕食をご馳走になりに行きました。チャールズは地元の大学を6月に卒業したばかりで、ジョセフは僕やジムと同じUWに通っていて、現在3年生です。

食事をし、みんなで話などをした後、午後9時ごろにユカイアに向けて帰宅することにしました。3時間ほどのドライブで、ジムの家に到着し、旅の疲れからぐっすり眠りました。

素晴らしく充実した二泊三日のロード・トリップでした。旅をアレンジしてくれたジムに感謝!

6月14日 「卒業式1」

昨日までの旅の疲れのせいで、起きてみると既に正午を回っていました。コミュニティーの食堂でジムと共に昼食を取ると、午後は家で本を読んだりしてのんびり過ごしました。

夜7時より、コミュニティーの高校の卒業式(男女別学で、今日の卒業式は男子生徒のみ、女子生徒の卒業式は明日です)があるというので、ジムの家族と共に参加しました。非常に小規模な学校な為、卒業生はわずかに4人でした。しかし、それだけに温かい、アットホームな雰囲気の卒業式が行われました。

自分が3年前に高校を卒業したときの事を色々と思い出してしまいましたが、やはりこの3年の間に自分が大きく成長したことを実感します。2年間を日本の大学で過ごし、1年間をアメリカの大学で過ごし、学業だけでなく、課外活動なども通じて、様々な経験を積む事が出来ました。初々しい卒業生達を見ることで、今日は自分自身が初心にかえる事が出来たと思います。

6月15日 「卒業式2: ペギーの卒業式」

起床後、コミュニティーのお寺のセレモニーに参加し、その後コミュニティーの学校の学期末昼食パーティーに参加しました。

午後4:30より、今日は女子学生の卒業式が行われました。ジムの妹のペギーは、高校のSenior(最上級生)として、他の同級生4人と共に卒業します。どういうわけか、昨日の男子学生の卒業式よりも格段にグレードアップされたセレモニーでした。卒業生のスピーチをしたペギーは、「これまでは敷かれたレールの上を歩いてきたけれど、高校を卒業し、これからは自分で自分の人生の舵を取ります!」、と熱く語っていました。

卒業式終了後は、ジムの友人達と、本日公開したばかりの映画「TombRader」を見に行きました。映画を見た後は、ジムの友人の部屋に集まり、色々な話などをして騒ぎました。

卒業式のクライマックス 晴れて卒業したペギーを囲んで。

6月16日 「Back To Seattle」

七泊八日の滞在も終わり、シアトルに帰る日がやって来ました。滞在中は、数多くのジムの友人を紹介してもらい、色々な所に遊びに行き、非常に充実した時間を過ごす事が出来ました。また、最初はとまどいをもった仏教徒コミュニティーにも慣れることが出来ました。

ルームメイトのジムには本当に感謝しています。彼とは、1年間同じ部屋で暮らしてきて、お互いに衝突することもたまにありましたが、最終的にはよき友人同士として、深く分かり合うことが出来ました。今回のカリフォルニアへの旅も、ジムのおかげで出来たのです。

ジム、本当にありがとう。

空港で、ジムと最後に記念撮影。