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Folder 「I Want You Back」
(avex tune/AVCT-30008)
全国ショタコン女性の心を掴んで放さない、三浦大地君(12歳)率いる小中学生ユニットの新曲。曲名からもお分かりの通り、Jackson
Fiveのカバーです。
でも反則っすよね、これ。だってはまりすぎだもん。デビュー前にフィンガー5の「個人授業」をカバーしていたらしいんだけど(ベルファーレのコンピ)、それを知ったときも、「うわー、ずるいなー」と思ったけどさ…。
大地君のこの声も、そろそろリミットを迎えていることだし、今のうちにやっとけー、って感じだったのでしょうかね。まあこういう自分も、そんな大人たちと同様、この作品をかなり楽しんじゃっているクチですが。
ちなみにカップリングは「ABC」。…お腹いっぱい。
螢『ガラクタ』
(JOTA/JOTA-1001)
ポエトリー・リーディングのライブが話題の、14歳の女の子。本作はウイスパーリング・ロリータ・ボイスでの歌が中心。
Quick Japanが大プッシュしてますね。フツーの女の子が、「カラダの半分ちぎれたの/いじわるされて泣いた」とか、「小さいコロの家が殺された」とか歌えば、そりゃQJも飛びつくわな。
しかし。
如何せん音がつまらない。それだけならまだしも、彼女以上に前に出過ぎ。はっきり言ってジャマです。彼女のブレスが聞こえるくらいの録音だったら、生々しさが伝わってきただろうになぁ。
これじゃとても、古谷玲香『あなたのほかにはあなたはいない』の強烈な世界には及ばないね。残念
大正九年『パパパラブロマンス』
(KIRAKIRA Record/KRDL-4)
女の子一人、打ち込みホンワカ・チープ・テクノポップ。
女の子がテクノポップを演るのは、今や決して珍しいことではなくなった。しかし彼女は、巷に溢れるアイデア一発の凡庸なバンドとは一線を画す。一言で言えば、京浜兄弟社meetsトニー・マンスフィールド。
ナンセンスな歌詞もよいですね。「忍者の親方もわらじ履き忘れて逃げる/おーい親方、大切にしていた巻物落としてますよ」ってなんじゃい、それは。もすけさんみたいな詩の世界だ。
この大正九年さん、今月から怒濤のリリース攻撃の始まるそうで。来月も楽しみです。
サニーデイ・サービス『スロウ・スライダー』
(MIDI/MDCS-1026)
10月に出るアルバムの先行シングル?
何か音がこもっているなぁ・・・。ん、これはもしかしてモノラル録音か?そうだとしたら、こいつらホントに大バカだぁ(良い意味で)。
でもそのせいか、痛いほどに研ぎ澄まされた感触が大幅に減退している(これまた良い意味で)。聴いていて楽しいサニーデイって初めてかも。3曲目のディスコティックなリミックスも○。
なんか、アルバムがめちゃくちゃ楽しみっす。
HOLIDAY FLYER『YOU MAKE US GO』
(Darla Records/DRL 088 [輸])
せきぐちはRocketship経由で彼らを知ったのだが、今やせきぐちの中ではRocketship以上の存在になっています。
彼らの魅力は、リズムギターのカッティングに、ピアノ、フルート、チェロが絡んで、涙腺を刺激する曲に仕上げられるところ。でも本作は、いつもとは逆にギターがフィーチャーされている曲が多い。というか、ピアノ等が後ろに下がちゃっているって感じ。
うーん、ちょっと物足りないかなぁ。この物足りなさ、ちょうど#poundsign#に対する印象と似ているかも。次は過剰なまでのアレンジ、期待したいなぁ。
SHACK『H.M.S. FABLE』
(LONDON/3984 27941 2 [輸])
出るのは秋かと思っていたが、こんなに早くに聴けるなんて、感激。Michael
Head復活!と書きたいところだけど、ちょっと待て!そんなレベルの作品じゃないぞ、これは。そう、これは全世界のポップファンに聴いて欲しい素晴らしいアルバムだ。
でも各メディアを観ていると、この作品について書いている人って、PAIL
FOUNTAINSを引きずった書き方しかしてないんだよな。もう、そういうヤツらは、書くの禁止!こういう音楽は、そんな閉じた世界だけで終わっちゃいけないと思うんだけどね。LONDONレーベルからの発売だから、是非とも日本盤出て欲しいな。
…あ。あんまりアルバムについて書いてないけど、一聴の価値あり、というか必聴ですよ。
TOMORROW『TOMORROW』
(EMI/7243 498819 21 [輸])
ブリティッシュ・サイケ、せきぐちの中では基本中の基本なのだが、なぜかこの1枚は持っていなかった。もっとも、せきぐちの持論として、「サイケはオムニバスに限る」というのがあって、やっぱりアルバムは後回しになってしまうんだけど…。
せきぐちには「TEENAGE OPERA」を泣きながら聴く弟がいるのだが、この作品はその弟に幾度となく勧められていたもの。ブリティッシュ・サイケ特有のマジカル・ポップ・ワールドが展開するこの作品は、その筋の音楽が好きな人(私)にはたまらないでしょう。これはまじめにKeith
Westを聴いてみないといかんなぁと思いました。
ただ「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」のカバーは×。この曲の良さは誰もが知っている通りで、演ってみたいという気持ちは分かるのだが、へたをすると底の浅さが露呈してしまう(CANDY
FLIPがその好例。)。結局、この曲に対するレスペクトを表現するには、Todd
Rundgrenのような完コピ、あるいはMOON RIDERS「涙は悲しさだけでできてるんじゃない」のようなRUTLES的パクリしか方法ないんじゃないのかな。
まあ、TOMORROWが当時どのような気持ちでカバーしたのか知らんけどさ。
ストロオズ『サマーショット』
(MIDI Creative・Studio Zero/CXCA-1055)
V.A『ジャパニーズ・ガール』にも参加していた女の子2人組。
女の子バンドって基本的に好きなんですけど、吉野桃子をはじめとする最近のアノラック系バンドは、なんか勢いだけで演っている感じがしてどうも好きになれないでいます。確かに勢いは大事なんだけど、もう少し曲・アレンジを練って欲しい感じがするんですな。
で、このストロオズ。『ジャパニーズ〜』で初めて聴いたとき、せきぐちはそんな連中と同じ印象をもった。
しかしこの作品。はっきり言って1曲目でやられましたよ。彼女たちがこんなに叙情性をもっているとは思わなかったなー。そして実はアルバムとしての完成度が高い。これは渡邊文武の力だけではないだろうな。
王菲『只愛陌生人』
(EMI百代/7243 5 23059 26 [輸])
Faye Wongの声は僕を盲目にさせる。
僕は彼女の歌を聴くとき、恐らく彼女の声しか聴いていないんだと思う。つまり僕にとってバックの演奏は、あくまで彼女の歌(声)を補助する、彼女の世界観を演出する手段にしかなり得ていない。
Fayeの作品は、今までは随所に音楽に対するFayeの冒険心(時にはオイタも過ぎたけど・・・)が散りばめられた曲が多かった。もちろんFaye
Wongはミュージシャンとしても一流だ。声よりも音楽性が優先することは決して悪いことではない。でも、僕はFaye
Wongの声が聴きたかった。
音楽に限らず、芸術一般、さらには情報などは、盛り込みたいことを「切り捨てる」という行為が、実はなかなかできない。Fayeの音楽も若気の至りか、そいうった「切り捨てられない」曲が今まで多かったような気がする。
さて、今回の作品はどうだろう?一言で言えば、過去のFaye
Wongの作品の中でも、最も彼女の声が聞こえてくるアルバムだと思う。音楽として中性化していると言ったらそれまでかもしれない。しかし、彼女の魅力を十分に伝えるには、こういった方法論が最も適していると思うのは果たして僕だけだろうか?
モーニング娘。『LOVEマシーン』
(zentima/EPDE-1052)
うたかさんと盛り上がっている、モーニング娘。の最新シングル。今回はジャミロクワイ、プライマル・スクリームも吃驚のディスコサウンド!前のシングル『ふるさと』からの豹変振りには、正直舌を巻きますね。
ただこのめちゃくちゃさがこの手のアイドルの魅力でもあることは確か。時にはファンをも振り回す身のこなし。うーん、カッコイイ!
しかしなんと言っても凄いのは、この『LOVEマシーン』を許容できたモーニング娘。のキャラクターでしょう。どんな色にも染めることができる彼女たち。これはつんくも、さぞかしやりやすいでしょうね。僕が女性に対して尊敬するのは、その恐ろしいまでの「身軽さ」なのです。
ギミックもふんだんに盛り込まれたこの曲、世間的にはキワモノに映るかもしれないなぁ。いや、しかしだ!これこそ歌謡曲の王道ですね!個人的にはSPEED『Go
Go Heaven』と同じくらいの名曲だと思ってますよ。
まあ『LOVEマシーン』第2弾を作ったら、それはキワモノだろうけど・・・さ。
STEREOLAB
『COBRA AND PHASES GROUP PLAY VOLTAGE IN
THE MILKY NIGHT』
(east west japan/AMCY-7066)
STEREOLAB / SOI-DISANT
『symbolic logic of now ! / glitterati(cruise(r))』
(luke warm music/LWM001 [輸])
今月号の「ミュージックマガジン」を読んでいたら、バッファロー・ドーターのシュガー吉永がSTEREOLABについてこんなことを言っていた。
「結局NEU!のモノ真似じゃん。」
STEREOLABを語るのに、いまだにジャーマン・ロックを持ち出す人がいるんだねぇ。かわいそ。STEREOLABは確実に変化している。これを聴き逃すなんて、そんなもったいないこと僕にはできない。
『〜MILKY NIGHT』は、STEREOLABにとって20世紀最後になるであろう(?)アルバム。John
McEntireとJim O'rourkeがプロデュースしているが、どこをどう聴いたってSTEREOLABでしか作り得ない作品。
前作までと比べるとリズムに変化が見られるが、最近聴きまくっているというブラジルの音楽影響なんでしょうかね?さらに、バランスを取りながらも混沌としていた音が、かなり整理されてきた感じもする。うん、今まで以上に一つ一つの音が、絶妙なタイミングで絡み合い、交わり、解き放たれていく、みたいな感じ。シュガー吉永嬢もコレを聴けば、NEU!を引き合いに出した自分がどれだけ恥ずかしいかわかるであろう。
SOI-DISANTとのスプリットシングルでは、少々実験的な面もみられるものの、『〜MILKY
NIGHT』と共通するジャズテイストを基調とした作品を聴かせる。
SOI-DISANTは初めて聴いたのだが、耳に残るシンセのループと、裏で聞こえるベースの音との重なり合いが非常に心地よい。
限定数百枚らしいぞ。みんな、走れ!
THE HIGH LLAMAS『COOKIE BAY / HARMONIUM』
(V2 music/VVR50009377 [輸])
SUPERCHUNK『hello hawk / sexy ankles』
(MATADOR/OLE396-7 [輸])
はたまた、STEREOLAB関連、というかJim O'rourkeつながり。
STEREOLABの新作にもオルガン等で参加しているSean
O'Hagan。その彼が率いるHIGH LLAMASのニューシングル。
STEREOLAB同様、こちらの新作にもJohn McEntireとJim
O'rourkeが参加している。前作に見られたピコピコ感は減退し、生音が目立つ仕上がりになっているのは、Jim
O'rourkeの影響だろうか?10月に出る新作には、Jim
O'rourke『eureka』のような涅槃のポップソングが期待できるかもしれないね。
SUPERCHUNKのシングルは、先頃出たアルバムからのカット。プロデュースはJim
O'rourke。これがまた泣かせる曲なんだ・・・。
轟音ギターに突如ストリングスとホーンが絡んでくる展開。そして泣きのメロディー。SUPERCHUNK自体、凡庸なガレージバンドとは違い、いい曲を書くグループなのだが、本作は明らかにJim
O'rourkeの力が大きいぞ。
だって、Jim O'rourkeのプロデュースじゃなければ、俺、買ってないもの・・・。
サニーデイ・サービス『夢見るようなくちびるに』
(MIDI/MDCS-1029)
なんだろうか、この感覚は。 そう思うのは僕だけなのかな。
『スローライダー』に続く、サニーデイの新曲。
前作と同様、曲も展開もシンプル。
だけど…。
まずシンプルかつ力強いギターのイントロで、ヤラレタ。そして何よりも、曽我部氏の声の美しさに、ヤラレタ。そう、彼の声が発せられた途端、この曲の世界に引き込まれるんだ。
なぜ、彼の声がこんなにも耳に入ってくるんだろう?
…そーか、音に「隙間」がないんだ。
『スローライダー』同様、今回も音がこもってる。バックの演奏が平面的だ。でも逆に、そうなることで、曽我部氏の声がなぜかクリアに聞こえてくる。塗りつぶされた音の上を彼の声が滑走していくような、そんな感じ。
今までのサニーデイの演奏が曽我部氏の声を埋没させていたわけではないだろう。単に僕が今まで、曽我部氏の声を聴いていなかったのかもしれない。
音がクリアでないおかげで、別な魅力がクリアになったなぁ。
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