( n o n a m e )
b a c k



2000年4月3日

 ここ数ヶ月のように、こうも仕事に追われる生活を続けていると、時々リセットボタンを押したくなる衝動に駆られてきます。と言ってもこの生活自体をオールクリアしようというわけではなく、とりあえず再起動したいという、その程度のことなんですけどね。要は「ケ」ばかりが続くこの生活に「ハレ」をぶち込みたいっていう、それだけなのでありますよ。 

 なぜ私が岸野雄一・一周忌@マニュエラカフェに仙台からわざわざ行こうと思ったのか。結局はそういう理由でしかありません。今考えれば、ただ単純に仙台を離れられればよかったのかもしれない。首謀者の皆様にはホント、申し訳ないですけどね。

 しかし、いいじゃないですか、どんな理由であれ。会いたい人だってたくさんいるし。楽しみましょうよ、ね☆、って誰に言っているんだ、オレ?



 4/1、池袋でHOPEちゃんと待ち合わせをし、その後渋谷で45tistの皆さんと合流、そしてのらりくらりとマニュエラに到着。

 でもって、到着するや否や、プレイそっちのけで、居合わせたムネカタさんまちださんと話し込んじゃいました。結構痛い話もありましたが、とても楽しかったのですよ。いやちょっと待った、楽しんじゃいけないですね。不謹慎でした。ガンバ☆(もちろん私も)

 とは言え、素敵な曲が流れてくると、自然と身体がリズムを取ってしまうのも事実。まるめろさん山岸さんハルヲさん岸野社長、そして飛び入りの皆さんは人を楽しませる術を知っているなーと感心した次第であります。個人的には飛び入りのうたかくんによるプレイが、彼の音楽に対する純粋さがうかがえてとても興味深かったです(あ、決して他の皆さんが不純であるという意味じゃないですよ。)。

 イベントはAM5:00に終了し、私は朝焼けの中を始発の新幹線でとんぼ返りしてきたわけですが、不思議と疲れはありませんでした。逆にいろんな人と話ができて、日頃の疲れが取れたのかもしれません。



 後藤さん、花牧さん、ハムトモさん真美子さんMASAさん、ハルヲさん。あまりお話しできませんでしたが、今度会うときは是非ゆっくりと。うたかくんにおきましては彼女と末永くお幸せに!

 そして最後にHOPEちゃん。最初から最後までお付き合い頂いちゃってありがとうございました。ホント楽しかったですよ! 



2000年4月7日

 こんなメールをもらったことがある。



 -----Original Message-----


 差出人 : ○○ □□□ <****@**.**.ne.jp>
 宛先 : せきぐち <[email protected]>
 日時 : ****年**月**日 **:**
 件名 : せきぐちさんへ



 もうちょっと充電したら、きっとまたお星様はやってきますよ。

 今すぐは駄目だってことだけで、いつかきっと自分のお星様には出会えるようになっているのです。

 たまたま間違えてアポロとか追っかけちゃっただけです。宇宙船は自分の星に帰っちゃうのです。

 せきぐちさんはもうちょっとチャラチャラしてもいいと思いますよ。


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 …ありがとう。でも多分、チャラチャラフラフラしているから、なんだよね。



*****さてさて。

THE YOUNGBLOODS 『ELEPHANT MOUNTAIN』
(edsel RECORDS/EDCD276)


 そんな性格なものですから、特定のアーチスト、グループに夢中になるということってそんなに多くはないのです(開き直り)。しかしなぜだろうか、YOUNGBLOODSはすべてのアルバムを揃えてしまったグループなんですね。といっても6,7枚なんだけどさ…。しかしすべてがアナログ盤であるというのは、私としてはとてもめずらしいことなんですよ。

 彼らの作品はどれも完成度が高く甲乙つけがたいのですが、聴く回数の多さで言ったら、やはり名盤の誉れ高い3rd『ELEPHANT MOUNTAIN』ですね(ちなみに上の番号はCD盤)。

 軽快なエレクトリックピアノが心地よい「ON SIR FRANCIS DRAKE」、ボサノバ風フォークの「SUNLIGHT」。途中小曲をはさみながら、ソウルとジャズとボサノバが見事に融合した「RIDE THE WIND」になだれ込む。

 文字にするととても凄いことをやってのけているように思えるかもしれませんが、さまざまなものを内包しながらも非常にさり気ないところが素晴らしい。その上適度なグルーブ感も持っているし。私にとっては聴くシチュエーションを選ばないという点で稀有のグループですね。



こんな性格の人間には、こんな音楽が一番いいのかもしれないな。



2000年4月11日

 ある人との解り合い。またある人との行き違い。この2つがほんの30分の間に訪れた一昨日。

 喜びと悲しみが入り交じる朦朧とした一日が終わり、目が覚めるとなぜか哀しさばかりが心を覆う。





 仕事帰りにヴィレッジ・ヴァンガードに立ち寄ると、店内で金延幸子の曲が流れていた。


 -あの人は 云ったわ
 -表に 出ておいでと
 -ふたたび始まる それはとても
 -ぼうけんなことだけど
 -貴方がくれたものは
 -みんなみんな しまってゆきます
 -だから もう考えるのはやめて
 -気にするのもやめて
 -なんでもないことだから
 -ふたたび始まるだけ            「はやぶさと私」


春は遠き夢の果てに。



*****君が変わっても私は変わらないのです。

金延幸子『み空』
(東芝EMI/TOCT-8963)


 あぁ、春一番の風は激しく。



2000年4月15日

 マンガ、アニメ、映画、さらには文学といった、いわゆるサブカルチャーの中で登場する建築物を分析し、「建築論」さらには「都市論」にまで昇華させるということ。そういった論考の意義とは何なのかというと、おそらく「それらサブカルチャーが世に出た時代における人々の建築に対する意識(あるいは未来観)がどのようなものだったか」ということを掘り下げることにあるのでしょう。ま、それが素直なサブカルの見方なのかはひとまず置いておいて、ですが。



 最近、弐瓶勉『BLAME!』を1〜4巻まで読んだのですが、そこに登場する建築が持つ生命体としてのエネルギーが巧に描かれていて、とても驚愕しました。しかしその驚きは、STUDIO VOICEで連載されている『MEGALOMANIA』のほうが大きかったかもしれません。ここで弐瓶氏は「とにかくデカイ建築」を描いています。登場する建築を単に「大きさ」というカタチで描いて、その狂気じみた世界を表現しているのです。



 つーことで、「弐瓶勉の作品における建築からみた現代人の建築意識」みたいなことを私もちょっと斜に構えて書いてみようかしら、なーんて思ったのですが。やっぱ書けないっすねー、そんな高尚な文章。結構いろいろ書いてはみたんですけど、慣れないことはするもんじゃないと反省しました。

 でも私がここで書かなくても、いずれどっかで語られるんじゃないのかなと思うのです。弐瓶氏が建築の現場監督をしていた経験があるという事実を差し引いても(建築論を語る人間はそういった事実に意外と弱い)、その狂気じみた世界観に早かれ遅かれ誰かが興味を示すでしょうね。



 ただ、私は諸手をあげて『BLAME!』を賞賛しようとは思いません。この作品には大きな欠点があると思うのです。それは「ストーリーがよく分からない」ということ。

 私は『BLAME!』を4巻まで読んでも、霧亥がなぜネット遺伝子を探しているのか分からなかった。いや、もしかしたら探しているんじゃないのかもしれないけど。これがもし私の怠慢であったら、それはそれでいいんですけどね。そういった意味では、極個人的な好みとして、完全にストーリーを捨てている『MEGALOMANIA』のほうが面白かったりしますね。



 でもホント、『BLAME!』は話の内容がよく分からないんですよ!

 あ、もしかしたら私は単にそれを言いたいがために、建築論を持ち出してごまかそうとしたのかもしれません。



*****気分を変えますか?

Todd Rundgren 『HERMIT OF MINK HOLLOW』
(BEARSVILLE(RHINO)/RNCD70871)


 ワスレタイ。カンガエタクナイ。そんなことが多くて、リハビリのつもりでだらだらと上のようなモノを書いてきましたが、実際はこういうメロウなものを聴いていたりします。

 We can't play this game anymore.
 But can we still be friends?
 Things just can't go on like before.
 But can we still be friends?

 うん、たぶん大丈夫。明日は休みだし。



2000年4月20日

 たまには寄り道をしてみてもいいよね。

*****春なんだから楽しくいきましょうよ

Anthony Moore 『OUT』
(Voiceprint/VP165CD)


 SLAPP HAPPYの方です。それ以上のことは知らん。

 STACKRIDGEをシャープにしたようなその音は、箱庭的な閉塞感は皆無。むしろ世俗から解き放たれたような浮遊感があって、とても心地よいのです。

 ソリッドなギターが時々登場するも、基本的にはピアノとストリングスがメロディーを奏でています。聴いていてとても暖かく、「アバンギャルド」なんて言葉も忘れそうになりますよ。この季節にはもってこいのオンガクかもしれません。

 仙台ではこれからが桜の見頃。今年はこれをMDに落として桜並木を歩いてみようかなぁ。


*****調子に乗ってもうひとつ

バンバンバザール 『ハイライト』
(UK Project/BBB-003〜004)


 ラグタイムジャズとジャグバンドミュージックをベースとした、ひたすら楽しいオンガク。彼らにとって5枚目となるこの『ハイライト』は、昨年11月にJIROKICHIで行われたライブを収録したもの。

 実は私、昨年4月に仙台のクインシーというところで彼らのライブを観たことがあるのですよ。あまり期待もせず、女友達に連れられるがまま足を運んだのですが…これがまた楽しいのよ。もっと広いハコだったら踊っていたんだろうけどなぁ。

 『ハイライト』では、仙台のライブでは見られなかったホーンセクションを加えて、ジャンピンジャックな曲も聴かせてくれます。スローな曲はまだまだ深みがなくてご愛敬(ゲストの友部正人・吾妻光良の味のある声に負けている)なんですが、彼らの魅力はやっぱりアップテンポなノリノリの曲ですしね。今後はそういった曲を中心にした作品(そしてライブ)を期待したいです。

 ところでこのアルバム、一緒にライブに行った女友達に言わせれば、「ライブに行けないという空しさがつのるだけですぅ」とのこと。皆さんも機会があれば是非ライブに足を運んでみてくださいよ☆



2000年4月23日

 弐瓶勉『BLAME!』、古屋兎丸『Garden』、望月峯太郎『ドラゴンヘッド』。私にとって、今月はコミックを読む機会が比較的多かった月であると言えましょう。

 袋とじを切っているカッターが話の中で園長が使用しているカッターと一致し、背筋の凍る思いをした『Garden』。ハッピーともアンハッピーともつかないエンディングが何とも見事な『ドラゴンヘッド』。そして前々回書いた『BLAME!』。

 しかし結局のところ私は、くるり『春風』を聴きながら、橋本マモル「汚れちまった×××に…」(『マンガ・エロティクス』所収)を何度も読み返してしまうのです。


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 大家に引っ越しをする旨の連絡をしました。仙台に来てこれで5度目の引っ越し。毎回のことですが、何かが変わるのではないかと小さな期待をよせてしまうのです。

 新しい部屋で「何もない一日」が過ごせればいいんだけどな。

 私信。ということでキミ。来月は引っ越しを手伝ってくれよ。


*****でも荷造りがめんどくさいな

ストロオズ 『MAZY REPEATER ep』
(MIDI creative/CXCA-1063)


 昨年暮れリリースされた7inch「MAZY REPEATER」の3曲を含むEP。なんといっても、ゆらゆら帝国「うそが本当に」のカバーが白眉。

 この気怠さ。村八分の娘ってホント?



2000年4月29日

 せきぐちです。ども。

 気がついたら巷はゴールデンウイークじゃないですか。どーっすか?皆さんは何か予定入ってますか?私はなーんにも予定なしです。…だって仕事だもん。JRは「ゴールデンウイーク/がんばれば9連休」なーんて言ってますが、皆さんが頑張ると私が忙しくなるのでほどほどにしてくださいね。

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 最近指摘されて気付いたのですが、どうやら私は考え過ぎてしまう性格らしいです(ていうか気付くの遅すぎ。)。このHPも「書きたいように書く」と宣言しておきながら一向にアウトプットの瞬発力が向上しません。仕事のことは意識して書かないようにしているので、更新頻度が落ちるのは致し方ないことなのですが、考えすぎて纏まらないことも確かにあるわけで、前記のご指摘は非常に的確であると思います。

 つーことで(?)、memoというコンテンツを始めてみました。一応毎日更新します。indexページにアップするテキストとの差別化はしようと思っているのですが、具体的には何も決まってないし、どうなるかも見当がつきません。もしかしたら単なる買い物日記になるかも…。ま、いいか。考え過ぎてはイカンのだ。とにかくチョコチョコ書いていきますんで、気が向いたら覗いてみて下さい。



*****考えるんじゃない、感じるんだ。

AMERICA 『HOLIDAY』
(WARNER BROS./WPCR-704)


 George MartinのプロデュースによるAMERICAの4作目。ウェストコーストのハーモニーとイギリスのインドア・ポップ感が程良くブレンドされた、爽やかで暖かい音楽。雰囲気としてはEmitt Rhodes『Emitt Rhodes』と近いですね。

 そういえば車を持っていた頃、このアルバムとはっぴいえんどの『風街ろまん』を聴きながら春の田舎道をひとり走り回ったなぁ。



2000年5月6日

 やっぱり、というかなんというか…。

 memoというコンテンツを始めて1週間が経ちますが、indexページを更新するモチベーションがどんどん減っていくのが手に取るように分かります。ま、予想されたことではあるのですけどね…。

 だいたいなんでHPなんか作っているんだ、なんて自問自答始めると、もちろん答えなど出てこないのですが…。

 …イカン、考えるの辞めよう。

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 気象的にも、気性的にも、穏やかな日が続いております。誰に対してというわけでもなく、ありがとうと言いたくなる日々。でもちょっと待った、ホントにこれでいいのだろうか…。

 …いや、だからさぁ、考えるの辞めようってば。

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 先月号の『SWITCH』に載っていたつじあやののインタビュー。その中で彼女はこんなことを言っています。

 「極端ってないと思うんです。侯賢孝の映画じゃないけど、人間には『嬉しいだけ』とか『悲しいだけ』の極端がないと思う。(中略)だから渾沌としているほうが、自分の素直な気持ちだと思う。もちろん瞬間、瞬間で楽しいときも悲しいときもあるけど、でもそれがずっと同居していると考えれば一番いいかなと思っています。」

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 そう、これでいいのだ。



*****引っ越しの準備を始めたので、ほとんどのCDは段ボールの中。


THE GRAPES OF WRATH 『NOW AND THEN』
(東芝EMI/TOCP-6247)


 カナダ出身4人組の89年にリリースされた3rdアルバム。

 なんと言ってもこのジャケットですよ!!傘を持ったメンバーが石畳の上に並んでいるだけなのですが、写真全体のバランスが溜息出るくらい美しいでよすねー。アナログ盤があったら、部屋に飾っておきたいくらいです。

 で、サウンドのほうもジャケットに劣らず素晴らしいのですよ☆。REMやHOOTERS(わ、懐かしい…)などのアメリカン・アコースティック・ロックを基調としながらも、美しいメロディにストリングスを載せた繊細な英国っぽいサウンドもあったりと、なかなか懐の深さを感じさせるのです(91年の日本発売当時は「BYRDSとBEATLESが融合したサウンド」などと形容されてました。)。

 そして、なんと言ってもメロディがよく練られていて、捨て曲がひとつもないんですよねー。こういうイギリス的なアメリカのバンド(いや、実際にはカナダなんだけど。)に結構弱いんだよなー。