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2000年3月7日

 今さらですが『SWITCH』3月号「さようなら歌謡曲」。



 まず、モーニング娘。×荒木経惟、鈴木あみ×佐内正史、2つのフォトセッションに始まり、つんく、小室哲哉のインタビューがそれに続きます。そして、インタビュアーの佐々木敦によるエッセイが以上を統括。

 さらにこの特集はこれだけでは終わらず、pal@pop、砂原良徳、松本隆、佐野元春、山本精一が登場し、最後には椎名林檎、パラダイス・ガラージ、岸田繁などによる歌謡曲ディスクレビューで幕を閉じる構成になっています。

 以上に挙がった名前を見れば想像つくかもしれませんが、結局のところこの特集には「これこそが歌謡曲だ」というような結論はありません。最終的には、読者に向けて「あなたにとって歌謡曲とはなに?」という問いを投げ掛けるカタチで終わるのです。



 さてさて、それでは私にとって歌謡曲とは何なのか、考えてみましょうか…。いや、ちょっと待った。『SWITCH』はそんなことを読者に考えさせるためだけに、こんな特集を組んだのでしょうか。



 思えば昨年末に出た『Quick Japan』VOL.28にも「音楽雑誌なんか読むな!」という特集がありました。「歌謡曲」と「音楽雑誌」。対象としているテーマこそ違いますが、この2つの特集に共通するのは、それぞれのテーマについて様々な解答パターンを誌上で提示することによって、読者に「歌謡曲とは何か」「音楽雑誌とは何か」ということを考えさせる構成となっていること。それも「あなた」にとっての「歌謡曲」「音楽雑誌」というものを(『Quick Japan』では「あなた」にとってということは明示してませんが、少なくとも私はそう感じました。)。

 我々は巷に溢れる情報を鵜呑みにするのではなく、自らの信念を持って取捨選択していかなければならないということ。これは今さら言うまでもないことなのですが、時期を置かずにこのような2つが出版されるということは、何かしら危機的な状況にあるということなのかもしれませんね。



 …って、ちょっと考えすぎかなぁ。



*****今日はこれがよろしいですのよ。

アラサワフミカ『Boxing Bubble Bubble』
(GOOD MUSIC RECORDS/GMR-6)


 HIGH LLAMASのような浮遊感。そしてシンプルでニュートラルなメロディーは野宮真貴『ピンクの心』を彷彿させます。

 ex.キャンディー・アイスラッガー。まるめろさん激押し。

 私がまるめろさんの薦めるCDを聴くのは、別に彼の意見を鵜呑みにしているわけではないのです。おそらくここにはパーソナルな部分での信頼関係があるですよ。って、まだお会いしたことはないんですけど。



2000年3月10日

 月は青く、吐く息は白く。
 でもこんなにも暖かいのはなぜだろう。



 -おまえの中で 雨が降れば
 -僕は傘を閉じて濡れていけるかな
 -雨の香り この黴のくさみ
 -空は鼠色 恋は桃色          (「恋は桃色」細野晴臣)



 …でも、これは幻覚に違いない。



 もっとも、この幻覚を作り出しているのは他でもない、この私だ。



*****今日のなにげ。

tahiti 80『PUZZLE』
(Atmospheriques/LC02333


 なにげに売っていたので、なにげに買ってしまいました。甘酸っぱいギターポップは、なにげに良かったです。

 というのも、最近哀しい音楽ばかり聴いていたものでね。


2000年3月13日




*****今日はコレでした。

Jose Feliciano 『Feliciano!』
(RCA/07863-53937-2)


 聞こえてくるのはギターとストリングス。…どう形容したらいいんだろ?

 「夢のカリフォルニア」「ハートに火をつけて」「イン・マイ・ライフ」などのカバー曲ばかりが並ぶ。特に「ハートに…」はDoorsのオリジナルより素晴らしい(と思う)。

 同じくカバー曲が中心となったアルバムにGary Mcfarland『Soft Samba』がありますが、どちらも心地良い作品ですよね。たまーに聴きたくなるから不思議です。

 ホセ・フェリシアーノがどんな人なのか知らないし、アルバムもこれしか持っていません。誰か教えて下さいな。



2000年3月19日

 『ミュージックマガジン』の最新号は「音楽誌が書くJポップ批評」、だってさ。ちょっとガックリ…。まだ読んでいないけどさ。



 「"Jポップ"を語ることがサブカルチャーとして定着しつつある。」と始まるこの特集。要は別冊宝島『音楽誌が書かないJポップ批評』を受けてのものみたいですが、別冊〜と同列に『SWITCH』と『Quick Japan』が批判の対象として挙げられているんですね。



 なんかねぇ、アジテーションを表面的に受け取って、「売られた喧嘩は買う」的な態度で特集組んでいるみたいじゃないですか?正直、老舗の『ミュージックマガジン』がこの土俵にのってくること自体に驚いているんですが、2週間ほど前に『SWITCH』の「さようなら歌謡曲」についてあんなことを書いた私としてはちょっと悲しくなりましたよ。



 うーん…。批判に体力使うなら、もっともっといい音楽を紹介してもらいたいものです。



*****ということで、いい音楽。

つじあやの 『春は遠き夢の果てに』
(SPEEDSTAR/VICL60536)


 -君ともっとはやく会えて
 -いればもっと良かったね
 -いたずらか奇跡なのか
 -今ここで見つめてる
 -悲しみも夜もこえて
 -君だけに向かっている
 -この気持ち確かならば
 -僕はきっとしあわせさ

 もう私を泣かせるのはやめてください。…いや、もっと泣かせて下さい。ていうか、30歳目前にしてこんな歌詞に涙腺を緩ますのはやめてください(私)。



2000年3月24日

 最近の私は自分でも大人げないと思うんですけど、そう思いつつも、私ってホントに大人なのか、それ以前に大人ってなんなんだ、などと考えてみたりして、もうわけわかんなくなっているのですが、いやいや、こんなことを考えることが大人なのだろうと思ってとりあえず納得してみたりしても、心のモヤモヤは消え去らなかったりして、はーぁ、多分私はこんなことを一生繰り返しているんでしょうな。

 そしてなぜかaikoの「花火」が頭の中をリフレインするのでした。



*****今日はこれです。

NAV KATZE 『新月』
(VICTOR/VICL-255)


 NAV KATZE。『Oyzac』でデビュー以来、音楽スタイルを変えながらも、本質は何にも変わっていないというのが凄い。その本質とは何ぞやと聞かれると、ちょっと困るんだけど。

 メジャー2作目の『新月』はまさに都市のフォークロア。冷たいコンクリートの上でボール遊びをしているような「ビルの中で遊んでいたら日が暮れなかった」、突如挿入されるギターが美しくも痛い「草の記憶」。牧歌的な金属音がなぜか心地よい。

 それにしてもこのバンドって、ネット上でもあまり見かけないですね



2000年3月29日

 まぁ!囲炉裏があるの?懐かしいわねぇ。私が子供の時分にはどこの家にもこういうのがあったのよ。お兄さんは若いから分からないでしょうけどね。

 あぁ、でもこうやって火を眺めていると、昔あったことを思い出すわね。



 私には歳の離れた兄がいたの。 でもね、戦死しちゃったのよ、あの戦争で。



 そうそう、確か食事中だったわ、その知らせを聞いたのは。 それを聞いた途端、父は徐に立ち上がって囲炉裏を離れたのよ。そして兄が大切にしていたヴァイオリンを手にして戻ってきたの。



 ねぇ、お兄さん。父はそのヴァイオリンをどうしたと思う?



 父はね、それを囲炉裏の火の中に投げ込んでしまったのよ。 「もう、こんなモノはいらないんだ!」って。









 知ってる?ヴァイオリンって、あっという間に燃えてしまうものなのよ。


*****…。

スリー・シスターズ 「夢去りぬ」

 -永久にかえらぬ まぼろし君が姿
 -なお 我が胸に住みて 涙さそう
 -やつれし ああ この身よ
 -いまだ君を想うか
 -ああ はるかに 去りしわが夢は
 -かえらじ