日 記 ?
b a c k



1999年12月1日

 弟くんからの電話です。

 「ちょっと、仕事の愚痴が言いたくなってさ…。」

 なんですか、いきなり?好きで選んだ仕事じゃないですか。音楽に携わる仕事なんて、お兄さん的にはとても羨ましいんですよ。

 「いやぁね、もう3ヶ月給料貰ってないんだよ…。」

 そういうことね。いわゆる台湾地震の影響ですね。うーん。厳しい言い方かもしれませんけど、お金を貰えないのでは、「趣味」でやっているのとあまり変わらないと思いますよ。仕事変えたらいかがですか?

 「でもさぁ、もうちょーっと辛抱すれば、必ずあたると思うんだよ!」

 じゃ、いいじゃないですか。頑張ってくださいよ。でなに、要するに「金送ってくれ」ってことですか?

 「いやいや、そうじゃないんだ。」

 もう、相変わらずわからない人ですね、君は。

 「ただ、聞いてもらいたかっただけなんだよ…。」





【愚痴を聞く】 > 【愚痴を言う】

せきぐちの中では「定説」なのかもしれません。

⇒「ちょこっとLOVE」
  (『ちょこっとLOVE』 プッチモニ)




1999年12月4日

 つじあやのが書く詞。「僕」と「君」しか登場しない詞。

 -僕だけが夏の雨にとり残されて
 -重い影おとしながら歩くよ
 -切なくて悲しくて
 -はりさけそうさ
 -だってまだ君のこと忘れちゃいないから  (「酔いしれて」)

 -言えない言葉ただ抱きしめて
 -君のひとみを見つめている
 -気がついた時はもう切なくて
 -かなわぬ君への気持ち           (「君への気持ち」)

 詞のすべてが「僕」のモノローグ。詞のすべてが「君」への切ない気持ち。そんな詞になぜか感情移入する、三十路前。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 『ひとり-ALTOGETHER ALONE-』(アスペクト)を購入。そのイントロダクションより引用。

 にんげんという☆いきものがもつ☆こんぽんてきな☆さみしさを☆そのからだでうけとめるため☆ぼくたちはおんがくをきき☆いまがすべて☆というそんな☆じかんのせかいや☆さが☆からも☆はなれ☆おんがくを☆きくことで☆やっと☆かこでも☆げんざいでも☆みらいでもない☆じぶんらしさをとりもどす☆ひとりをとりもどす☆     (鈴木惣一朗)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 彼女ができようが、彼氏ができようが、結婚しようが、こどもができようが、ぼくらはひとりなんだ。音楽を聴くことでひとりであることに気づき、またひとりであることに気づくことで、ひとりではないことにも気づく。

 そうか、つじあやのは僕にそんなこと気づかせてくれる音楽なのかもしれない。

⇒「君への気持ち」
  (『君への気持ち』 つじあやの)




1999年12月8日

 上野圭一『ナチュラル・ハイ』(海竜社)という本があります。ナチュラルハイというと、いわゆるトランス状態なわけですが、その状態をいかに取得するかということがカタログ的に書かれています。

 では、どんなナチュラルハイがあるかというと…。

 「いのちの謳歌、笑いハイ」
なるほど。そうやって簡単にハイを得られるわけね。

 「「1/fゆらぎ」がここちよい音楽ハイ」
そうだよねぇ、気持ちいいもんね。

 「見ている「わたし」と見られている「それ」がひとつに溶けあう映像ハイ」
ビデオドラッグとかね、いいかもしんない。

 「すべての感覚器官をフルに使うセックス・ハイ」
ハイには違いないんだろうけど…。

 「原始的な心身に戻る断食ハイ」
えっ…。できればやりたくないです…。

 「ハイになる絶好のチャンス、高熱ハイ」
絶好のチャンスって…。

 「こころの驚異的な力を知る火渡りのハイ」
あまりやる機会ないです。

 「お告げの力、霊場ハイ」
…いや、そういう力ないもんで。

 などなど。

 まあ、こう見てみると、ある極限状態に達したときに訪れるハイっていうのが結構多いことが分かりますね。せきぐちは高校まで陸上部に在籍していましたので、「ランナーズハイ」がどのくらい気持ちいいかだけは知ってます。あれね、マジで気持ちいいっすよ。

 閑話休題。

 いろいろなハイがあるっていうことが何となく分かっていただけたかと思うんですが、それでは究極のハイとはなにか?この本では最後に「自我の死」を挙げて閉めています。一応「肉体の死」と区別しているようなんですが、ぶっちゃけた話、死んじゃえば究極のハイが得られるというわけです。それも永遠に。

 ダウナーな状態から逃れるためにそういったハイがあるんでしょうが、死んじゃ意味ないですね。せきぐちはそもそもそんな究極まで追いつめられていないし。そこまでハイを求めてもねぇ…。

 さてさて。

 宗教に走る人って、いわゆる「追いつめられた人」が多いと思うんですが、そういった究極状態の反動で過剰な幸せを求めてしまうのかもませんね。24時間365日、幸せでありたいと。だから「最高でーす」なんて何の衒いもなく言えてしまうんでしょう。

せきぐちは「音楽ハイ」で十分ですよ。あ、あとできれば「セッ…。

⇒「Nothing's Gonna Change」
  (『Nothing's Gonna Change』 電気グルーヴ)




1999年12月9日

 動物占いの結果を聞かれて
 コアラだよと答えて
 へぇー策略家なんだと言われて

 それからというものの
 言葉尻をつかまれては
 やっぱり策略家だぁなんて指摘されると
 俺ってホントに策略家なのかもなぁなんて
 マインドコントロールされて

 でもこの人にはどんな策略も効かないんだろうな

⇒「明けない空」
  (『明けない空』 ひふみかおり)




1999年12月13日

 ひとりで
 つくられた
 おんがく
 ひとりの
 ふんいきをもつ
 おんがく
 さらには
 ひとりとは?
 を
 といかける
 おんがくの
 ほん

 『ひとり-ALTOGETHER ALONE-』(アスペクト)を読んでいると、「これでいいのだ」的なある種の開き直りと同時に、猛烈な孤独感に襲われる。

 煙草の本数が増える。

 眠くないのに寝たくなる。

 ・・・・・・・・・・。

 …もう、寝る。

⇒「between the bars」
  (『either/or』 Elliott Smith)




1999年10月20日

 「音楽雑誌なんか読むな!」

 『QuickJapan』の最新号です。なんか知らんけど、アジってます。どうしちゃったんでしょうか?具合でも悪いんでしょうか?

 一通り読んでみましたが…。うーん、わかんない、何を怒っているのか。いや、初めに書いてあるんでわかるんですけどね、何を怒っているのかは。でも、「じゃあお前はどうなのよ」っていうツッコミに対する答え。これが、全記事を読んでみてもいまいち掴めません。

 それではということでトビラを読んでみると…。

 「もちろんこう言ったからって、本誌がすべてにおいて完璧だと思っているわけじゃないんですけどね。」

 うわっ、逃げ腰じゃん。

 さらに読み進めると、「能書きばかり垂れててもしょうがない。」ってことで核心に触れずに終わっちゃいました。ズルイなー。まあ『cookie scene』みたいに延々と対談されてもちょっと困るけどさ。

 いやいや、でもですよ、松田マヨの記事はとてもおもしろかったですよ。この記事だけだったら、何となく答えになっているんじゃないかな。

 ま、結局、いろんな答えを用意したっていうことなんでしょう。「リトルテンポと行く海釣りの旅」なんて、僕にとってはどうでもいいことですから。どうせだったら、以前『オレモリ』でやっていた「ボニーピンク、寿司を握る」くらいのことやってくれたらなぁと思いました。おしまい。

⇒「雨の帰り道」
  (『Les filles』 Qlair)




1999年12月24日

 『米国音楽』 vol.14。

 カジヒデキ、ニール&イライザ。ベーコクさんも相変わらずです。

 武藤さつき(small circle of friends)×田渕ひさ子(number girl)、Tim Gane(stereolab)×常盤響とか企画としてはおもしろいんだけど、単なる世間話でおしまいです。残念。ロケチリがTVCMに出るという情報にはびっくりしたけど。


 『H』 girls of the year。

 椎名林檎が表紙だったので思わず買い。

 90年代中盤から起こったガーリームーブメントの総括らしいです(知らん)。林檎嬢のほかにもカヒミ・カリィ、hitomi、吉川ひなのなどが載ってます。

 今回の椎名林檎は、Rockin'onJapanの時とはうって変わってフツーの女の子。A-CHANGとの対談も単なるおしゃべり域を脱してませんが、それはそれでおもしろい(結局なんでもいいんだろというツッコミが聞こえてきそうですが。)。

 A-CHANG撮影の林檎嬢は、まるで素人のように自然体です。中でもピースサインの林檎嬢が新鮮でした。


以上最近買った雑誌について。なんとなく。

⇒「Winter Wink」
  (『Winter Wink』 斉藤美和子+川喜田美子)




1999年12月31日

 MILLENNIUMで浮かれるな。
 Y2Kで慌てるな。

 来年もよろしくお願いします。

⇒「new year」
  (『Last Splash』 The BREEDERS)




2000年1月2日

 19991231のdiary?にあんなことを書いていたのに。

 カウントダウンが始まったら、意味もなく心拍数が上がった。
 一安心して風呂に入ったら、ブレーカーが落ちて狼狽した。

 結局小心者なんですよ。

 こんなヤツですが、本年も宜しくお願いします。

⇒「WELCOME TO FUTURE」
  (『MISPRINT』 FILMS)




2000年1月5日

 週刊誌を全然読まないので、今どんな漫画が連載されているのか全く知らないんです。焦れったくなっちゃうんですよね、次が読みたくてさ。

 つーことで、山本直樹『ビリーバーズ』1巻なんですが。

 ご多分に漏れず、連載されていることすら知りませんでした(短期連載だけどね)。こんなんで「山本直樹が好き」なんて言ってるんだから、どうしようもないよな。

 まーいいや。

 山本直樹のマンガに「シューキョー」が登場するのは決して初めてではないのですが(『ありがとう』の母親とか)、これほどまで全編にわたってのものは今までなかったような気がします。意外といえば、意外ですね。

 本作は、孤島での禁欲生活の中で発生する性の描写が見事です。足の裏を合わせた瞑想、瞑想と関係ないところでの足と足との絡み合い。改めて読み返してみたら、セックスは一度もしていませんでした。

 今回も結末が全く読めないのですが、どこか死の臭いが漂うところはいかにも彼の作品らしいですね。まあエロスにタナトスはつきもの、といったところなんでしょうけど。ともかく次巻が楽しみです。

 ところで『ドラゴンヘッド』最終巻はいつ出るんだ?

⇒「People Rock'in」
  (『Spanish Dance Troupe』 Gorky's Zygotic Mynci)




2000年1月13日

 なぜ煙草は味がするのですか?

 なぜライターは火が点くのですか?

 なぜ火は熱いのですか?

 なぜ熱さを感じるのですか?

 なぜ痛みを感じるのですか?

 なぜ疲れるのですか?

 なぜお腹が減るのですか?

 なぜ眠くなるのですか?

 なぜ夜が来るのですか?

 なぜ朝が来るのですか?

 なぜ太陽は私の上にあるのですか?

 なぜ星は降るのですか?

 なぜ地球は廻っているのですか?

 なぜそこにいるのですか?

 なぜ笑ってくれないのですか?

 なぜ口をきいてくれないんですか?

 なにを怒っているのですか?

 どうして私の気持ちを分かってくれないのですか?

⇒「avenue」
  (『so tough』 saint etienne)




2000年1月20日

 『STUDIO VOICE』2月号 「僕らの知慧の果てるまで」。

 「自然と科学と人類の叡知」がテーマなんですが、難しくてよく分かりません。しかしそんな中で「細野晴臣が語る21世紀音楽」(聞き手:岸野雄一氏)が最も読みやすく、興味深い内容でした。

 現在の若者、そして一個人が置かれている状況を冷静的確に語る細野氏。でも「人の人生に介入したくなくなってきましたね、だんだん。」という発言にあるように、「音楽でそれを変えてやる」的な姿勢は皆無です。だけどその発言に対して、逆説的に今後の活動を期待してしまいますよ。


 『太陽』2月号 「安藤忠雄の発想力」。

 過去の作品・最新プロジェクトなど、いわば単なる安藤忠雄の特集なんですけど。でも「発想力を刺激した11人」という記事が、いかにも一般紙(建築専門誌じゃないってこと)らしくておもしろかったです。その11人には意外性のある人も並んでいたりしますし。中でも「つげ義春」は安藤氏のマスイメージから最もかけ離れている人なんじゃないでしょうか。

 それにしても、『太陽』に載っている広告って、相変わらずセンスないですね。


 『cookie scene』vol.11。

 あれだけ文句を言っていてまだ買うかというツッコミがきそうですが。弁解するわけじゃないけど、この雑誌ってレビューの早さでは日本一だと思うんですよ。でも相変わらず読みにくいです。どうにかしてください。


『マンガ・エロティクス』vol.4。

古屋兎丸「ユメカナ」/蝶の舞う花畑、ユメの内腿を伝う血。
塔山森「ひどいやつらは皆殺し」/ポップソングのようなリズム感。
松本次郎「ゆれつづける」/切なさ。
全体的にvol.3に比べておもしろくなったかな。


以上、最近買った雑誌、再び。


⇒「アドレナリンドライブ」
  (『アドレナリンドライブ』 羅針盤)




2000年1月23日

 26日にマキシシングル発売を控え、さらに3月にはニューアルバムと、椎名林檎の動きが徐々に活発になってきましたねぇ。これで彼女を取り上げる雑誌は、あと2,3ヶ月は後を絶たないんでしょうな。

 でも椎名林檎が話すことなんて、もうそろそろお腹いっぱいになってきた感がありますね。とは言え、彼女がビジュアル的に誌面を飾っていると、どうしても手にとって確かめたくなってしまうのは男の性。

 今月もいろんな雑誌で彼女を取り上げているようですが、一番目に付くのは『音楽と人』と『Gb』でしょう。どちらもコスプレ万歳!という点で共通してますよ。

 『音楽と人』では鉄仮面(キン肉マンのロビンマスクみたいなヤツ)を被ったりして、それなりの雰囲気は出しています。けどねぇ・・・彼女の魅力を全然出し切れていませんね。ていうか、体のラインが見えないなんて、男としてはやっぱり物足りないんスよ。彼女もそれなりに楽しそうに写っているけど。

 『Gb』では「ウエディングドレスを身にまとい、上野からアメ横を駆け抜けた衝撃のフォトセッション」。撮影は藤代冥砂。ネームバリューのある写真家が撮るとやっぱり違うな、なんてことは言うつもりはありませんが、明らかに『音楽と人』よりもおもしろい写真になっていますね。中でも個人的なベストショットは、魚屋のオッチャンから新巻鮭を受け取る林檎嬢でしょうか。まあ藤代自身の影も写っちゃってますけどね。

 それにしても『Gb』なんて一生買わないんだろうなと思っていたのですが、(以下略)。

⇒「アルカディア」
  (『アルカディア』 キリンジ)




2000年1月28日

 君と僕は

 血液型が同じで
 誕生日が近くて

 左利きで
 でも小さい頃に矯正されて

 趣味が似ていて

 独占欲が強くて
 わがままで
 頑固で
 気持ちがすぐに顔に出て

 徒党を組むのが嫌いで
 独りが好きで
 でも寂しいのは嫌いで

 他人に対しては八方美人で
 でもお互いに対しては怒りっぽくて
 怒ることでしか気持ちを表現できなくて



 結局いつまでも大人になれないでいるんだ

⇒「late for the sky」
  (『late for the sky』 Jackson Browne)