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「STUDIO VOICE」では毎月、ある一つのテーマについて3,4人が寄稿するコラムがある。その3,4人にはライターやアーチストといった、いわゆるSV読者が共感しそうな書き手が選ばれることが多いのだが、偶に何でこんな人が?という人が書いている時がある。
で、そのコラム。今月号のテーマは「誰でもいいから」。
ライター、写真家・詩人、回転屋(?)に並んで、ある美術館の学芸員が寄稿している。20代後半の女性。
他の3人の女性と学芸員の彼女を線引きする理由。それは職業だけではない。文章を読めば一目瞭然。4人の中で明らかに浮いているのだ。書いている内容が「どこにでもいる女性」なのである。
「あなただけと言って、いったいいくつの恋をしてきたのだろう。私だけと思い、わずかばかりのプライドをぶらさげてきた。これだけだからと覚悟を決めて、必死になって仕事をした。今だけだからと落ち着かせて、無理をして乗り切った。」
働く女性に共感を呼びそうな文章。web上でもこんな文章はよく見受けるね。実際、自分のまわりにもこういう人ってたくさんいるし(ていうか、読んでいてある女性の顔が浮かんだんだけど。)。
ただ、「STUDIO VOICE」という雑誌を媒体としてこのような文章が世に出たことに対して、私は驚きを隠せない。何か不意をつかれたような感じなのだ。あまりに自分に近い存在の文章なので。
「近いだとぉ?男のお前に何がわかる!」との批判も聞こえてきそうだな。わかんないけどさ、自分の生活にリアルであることは確か。少なくとも、4人の中では。
「STUDIO VOICE」を読んでいて、こんな感覚を抱いたのは初めてだ。こういった雑誌から接種する「情報」と実際の自分の「生活」との距離。考えてみると意外にあるんだなと今さらながら実感。
頼むよSV。僕にもうちょっと夢を見させてくれ。
⇒「What I Meant To Say」
(『EMOTICONS』 Ben & Jason)
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