d i a r y
b a c k



2001年5月1日

today is …

BLOOD ,SWEAT & TEARS
 『Children is Father to the Man』
 (SONY RECORDS/SRCS 6191 ['68])

Dusty Springfield 『Dusty in Memphis』
 (RHINO/R2 71035 ['69])

 私が連想ゲーム的にこの2枚を聴いてしまう理由。それは「So Much In Love」の他にも、Randy Newmanの「Just One Smile」をともにカバーしているからなのです。

 ここ数日、なんだか寒いなぁ。ストーブしまうんじゃなかったかなぁ。

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 山積みにしたCDが山脈のようになってきたので、久しぶりに整理整頓したりして。

 整理中はなんとなく目に付いたBLOOD, SWEAT & TEARSの『Children is Father to the Man』を久しぶりに聴きいたりして。ブルース、ジャズ、ソウル、様々な音楽を凝縮させたアイデア満載のブラスロック、「Al Kooperのヴォーカルが貧弱だ」なんて声も聞かれるけれど、私には逆にこの弱っちぃ彼の声が愛おしくて。特にラストを締めくくる「So Much In Love」には毎度泣かされたりして。

 「So Much In Love」といったら、やはり次はDusty Springfield 『Dusty in Memphis』でしょ!、と連想ゲームのように整理整頓BGMは変わったりして。そして、ちょっと手を休めて2曲の「So Much In Love」を聴き比べてみたりして、微妙に歌詞が違っていることに今更気づいたりして(それぞれ「男の立場で」「女性の立場で」歌っているという、まぁそれだけの違いなんですけど。)。さらにその違いを知って、「ぼくはしょせん普通の男だよ。でもさ、こんなに愛しているんだよ。」(せきぐち意訳)とヨレヨレとした細い声で叫ぶAl Kooperに改めて愛おしさを感じたりして。

 この後もRandy Newman 『Randy Newman』、Frank Zappa 『Hot Rats』、Andy Partridge 『Take Away』とBGMは変わったりして、そしていろいろ思いを馳せたりして。でもこんなことをしていたから、結局整理が終わったのは真夜中だったりして。

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 最近、SAYAKAの歌がとても気になります。あのCMを見る限り、かなり名曲の予感がするのですが。



2001年4月28日

today is …

つじあやの 『春蜜柑』
 (VICTOR/VICL-60724 ['01])

 「君が好きです」という何とも赤面なタイトルの曲も、彼女が歌えばなんの嫌みもなく聞こえてくる、ホントにホントに本当に、素直でピュアな作品。

 農道を車で走っていたら、カニを轢きそうになりました。10㎝くらいで毛の生えているヤツでした。うー、なんでこんなところにカニがいるの?

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 ワールドムック310『小屋の力』がなかなか面白いです。もっとも、500ページに及ぶ分厚く重たい装丁なのでまだしっかりと読んではいないのですけどね、でもパラパラとめくっているながめているだけで十分に楽しめる本です。

 同じようなテーマの書籍にINAX出版『小屋』という本がありましたが、それとこの『小屋の力』が大きく違う点は、「小屋」の概念を「最小単位の空間」と広げ、いわゆる掘っ建て小屋の他にも、屋台・テント・巣箱・列車・ハンモック…と多岐にわたって紹介/言及しているところ。まぁもっともあまりにもヴァラエティに富みすぎて少々雑多な印象も受けますけどね、でもまるで辞書のようなこの装丁をみれば編集者の意図もちょっとは汲み取れるような気がしないでもない、かな。

 しっかしこうやって小屋というものを改めて写真で見てみると、必要最小限の機能のみで構成されるとても現実的な建物なのに、以外とポップな形態をしているから驚きです。なんだかまるで都市空間に堕ちてきた星屑のようではないかとも思いましたよ。ってちょっと大袈裟かもしれませんが。

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 つじあやの 『春蜜柑』mouse on mars 『idiology』V.A. 『mo-rough』新居昭乃 『花のかたち』を購入。

 つじあやのは、良い意味で相変わらず、という感じ。個人的には「風にのって」がベストトラックで、寝そべって本を読んでいるあやの嬢がベストショット。mouse on marsはどんどん可愛らしくなっていきますね。不思議と春っぽいからなんだか愛聴しそうです。青田刈りを狙った『mo-rough』ですが、残念ながらMaybelle以外はピンくるものはなく。つーかMaybelle、やっぱ完成度高いわ。新居昭乃のニューシングルは5曲入りで、なんだかお買い得気分にさせてくれます。



2001年4月23日

today is …

NEW MUSIK 『from A to B』
 (GTO Records/GTO 474616-2 ['80])

 ミュージックマガジン5月号を読んでいたら、渡辺亨さんのDaft Punk評(クロスレヴュー)の中で名前が挙がっていたのでなんとなく聴き返したりして。Tony Mansfieldの作るアコースティックなエレクトリックポップは甘くて冷たいアイスキャンディーのようで、何回食しても飽きがきません。全然知らなかったんですが、最近再発されたらしいですね。作品のファンとしてはなんともうれしい限りです。

 えーと微妙に忙しかったりしてます。休日なんて言葉、私の生活には存在しないような感じです。まぁねぇ仕事のほうはいつものことですから別にいいんですけどね、先週は夜中にパソコンが突然暴走してリカバリーを余儀なくされたり、寝る間際に「彼氏とうまくいってないのーエーン」とコイツに呼び出されたりと、なんだかバタバタとした生活をしていたような気がします。

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 仕事を早くあがることができた某日、帰り道すがらのニュータウンの中にあるTSUTAYAに寄り(私の職場、街中じゃないのですよ)、ミュージックマガジンと小島麻由美『わいわいわい』を購入。つじあやの『春蜜柑』とかQuick Japanとか、他にも欲しいものはあったのですが、郊外のTSUTAYAさんにはちょっと無理な相談でした(笑)。

 でもでもQuick Japanの最新号。特集がSPANK HAPPYで、さらには執筆が亀吉さんムネカタさんかっちゃんとなれば、これはもう読まずにはいられません。近くの本屋に売ってない、でも忙しくて置いてあるような本屋に行く時間がない。もう仕方がないんで、職場の女の子に「たーのーむー」と土下座し、買ってきてもらうことにしました。はは。

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 またまた建築の話であれなんですが、Friedensreich Hundertwasser(日本語表記ではフンデルトバッサーもしくはフンデルトワッサー)の遺作である大阪市のゴミ焼却施設が完成したみたいですね。個人的には、せんだいメディアテークに続いて「いやーホントにできちゃったんですねぇ…」第2弾の建築。でもあれですね、Hundertwasserがこのような有機的建築デザインに実績があるとはいえ、日本という土地では「バブルの残骸」にしか見えないのは残念ですよね。



2001年4月15日

today is …

山葉 『弓になって』
 (Bad News RECORDS/BNCL-15 ['01])

 元メンボーズの中村房代とナイス・フェローの岡野カオリによるユニットのデビュー作。Jad Fairとやっていた頃のPASTELSを思い起こさせる、アノラックでちょっとアシッドなフォークサウンド。中村房代のロリ声もまだまだ健在で、今更ながら彼女の「声力(こえぢから)」にしびれたりもしました。

 窓を開けたら、春が目の前に来ていました。

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 花見帰りの酔っぱらいで溢れかえる土曜の夕刻、服飾デザインの仕事をしているWさんに会うべく国分町にくり出す。彼女は仕事柄海外(といっても東南アジア中心)へ行っていることが多く、今回会うのもなんと半年ぶりのことでした。もっとも久しぶりとはいっても、話すことと言えば身の回りに起きたバカ話や愚痴という、何年経っても変わらないことばかり。カウンターで『Casa』の最新号を広げ「これ良いよねー」とかそんなことも話しているウチに終電が近くなり、「今度会うのはいつになることやら」とお互いに口にしつつ、地下鉄のホームでさようなら。電車に乗ると、彼女からお土産にいただいたお香の臭いが車内に充満してしまい、ちょっと恥ずかしく、ちょっと嬉しく思ったりもしました。

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 日曜日、少しやり残した仕事を片づけに午前中だけ職場へ顔を出す。昼頃帰宅し掃除洗濯を済ませ、夕方からはStefan Keune & John Russellをちょっと覗いてみようとせんだいメディアテークへ。いわゆる「フリーインプロヴィゼーション」というやつですか?普段私が全然聴くことのないジャンルなのでなかなか理解に苦しむところもありましたが、それなりに楽しめたライブではありました。行く前は「はたしてアコースティックギターでどんなインプロヴィゼーションを聴かせてくれるのか」ということにとても興味があったのですが、実際見てみるとレンジの大きいサクソフォンのほうが表現力豊かで、むしろそちらのほうに惹かれていたような気がします。

 しかし何と言ってもこのライブで驚いたのは、こんなフリーミュージックをタテノリで聴いているお客さんが数名いたこと。ひょっとしたらこの方々は、2人の繰り出す「リズムなきリズム」を感じ取っていたりするんでしょうね。いやはや、もうこれは「凄い」としか言いようがありません。

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 ヴァージンメガストアの試聴機に入っていたAimee Mann 『Bachelor No. 2 ( or the last remains of the dodo )』をなんとなく聴いてみたら、琴線に触れる素晴らしい曲ばかりで思わずその場で涙がこぼれそうになりました。え?もちろん買って帰りましたよ。だって、どうせ泣くならベッドルームで泣きたいですもの。



2001年4月10日

today is …

AREA CODE 615 『AREA CODE 615 / TRIP IN THE COUNTRY』
 (KOCH records/KOC-CD-8109 ['00])

 Bob Dylanなどのバックを務めた腕利きのセッションプレーヤーによってできたAREA CODE 615。本作は69年の1stと70年の2ndのカップリングCDです。一言で言えばカントリーロックなのでしょうが、時に優しく、時にスリリングなその演奏は、21世紀の今に聴いてもまったく色褪せた印象はありません。個人的にかなり愛聴しそうな作品です。

 密かに更新頻度が落ちているのは忙しいからではなく、遊び呆けているからです。こんなことをしているうちに、仙台でも桜が少しずつ咲き始めています。

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 STUDIO VOICE 5月号、特集は『カジュアル・アーキテクチャー 住宅が拓く建築の現在形』。なにをもって「カジュアル」かというのはここでは置いておくとして、この特集の中で私が最も興味を持ったのは、妹島和世とホンマタカシの対談の中での妹島さんのこの発言。

 「でもここ2,3年かな、結構行ったり来たりするようになって、なんとなくやっぱり東京で作るということは大変なことだとは思ってるんです。外国に行ったら、普通に自然にみんな楽しんでいて、カフェで休憩するとかいってもその前の道とか、陽がパーッと出てきたら脱いで横になったりとか、それだけで快適そうな場所が普通に溢れている。東京だったら青山あたりに行けばあるのかもしれないけれど、実際の都市の空間の中でみんなが日常生活の延長で楽しめるような場所がそんなになくて、東京では、もし建物ができたとしても、何か場所というものに、もうちょっと自分のプライベートな場所として楽しめるような期待感がないじゃないですか。そういう中でつくっているんだなというのがひしひしと。

 20代30代の若手建築家ならともかく、もはや中堅になってしまう妹島さんがこんな発言をするなんてちょっと驚きです。だって、大仰な設計コンセプトを掲げ「こうあるべき」「こうでなければならない」なんていう旧来の理論的な設計手法をとる方々にとって、これは明らかに敗北宣言ですもの。正直言って私は、彼女をそんなお堅い建築家だと思っていましたし、だからこそ今まで彼女の言論を読もうとも思わなかったのですが、うーんこんな風に第三者的に建築をみることができる人だとはなぁ…。もちろん対談者が建築家ではないということもあるのかもしれませんが、この対談の中での彼女は非常にリラックスしていて、とても軽やか。あーもしかしたらこういう姿勢こそが「カジュアル」なのかなーなんて思ったりもしました。

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 AREA CODE 615 『AREA CODE 615/TRIP IN THE COUNTRY』Robert Wyatt 『Rock Bottom』はやしいと+ムロフシカエ+フジエダケン 『chunk』を購入。あ、あと、中古屋巡って、大石恵 『Rain』Samuel 『天使達ノ言葉デ話ソウ』Manna 『blue in green』の3枚も。



2001年4月3日

today is …

坂本真綾 『Lucy』
 (VICTOR/VICL-60702 ['01])

 このジャケット、鼻フェチにはたまらないと思う。

 切れた灯油をまた買おうかどうしようか、そんなことで悩んだりする春待ちの休日、髪を切り、新しい携帯を買ってみた。まだ外の空気は肌寒いけど、とりあえず気分だけでも変わればいいと。

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 前作『DIVE』に比べ、歌の表現力が飛躍的に向上した坂本真綾 『Lucy』。菅野よう子・今堀恒雄ら、お馴染みのバック陣が作るスパイスもその「さりげなさ」を一段と増し、前作以上に昇華したポップソングを聴かせてくれます。作品に通底するこの悟りにも似た「さりげなさ」、私はXTC 『APPLE VENUS VOLUME 1』の持つ雰囲気と同質のものではないかとも思いましたよ。ええ大袈裟ではなく。

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 Bert Jansch 『Birthday Blues / Rosemary Lane』John Renbourn 『Sir John Alot』を購入。相変わらず、ギターの虜になっている私なのです。