d i a r y
b a c k



2000年12月30日

today is …

V.A. 『タダダー!トリビュート 私服刑事』
(Blues Interactions/PCD-5614・5 ['00])

 CD音源初お目見え(「インディーズマガジン」の付録は除く)のデートコースペンタゴン・ロイヤルガーデンをはじめ、ロレッタセコハン、HELICOID 0222MBなど、個人的に聴きたくとも聴く機会に恵まれなかった音源が多数収録されております。総じて「格好いい」楽曲が並んでいますが、中でも私の心を最も強く掴んだのは、さかな「BLIND MOON」のDigital Black Remix。あれだけオリジナルヴァージョンにやられていたのに、これにはまた鳥肌が立ちましたよ。

 今年の買い納め。

■福間未紗 『ダークネス・アンド・スノウ』
  『ドロップ・ウィル・キス』を、と思っていたのですが、とりあえずこちらから。うーん、これは確かに凄い。研ぎ澄まされた音の欠片が結晶となったような、そんな作品ですねこれは。ともかく、薦めてくれたMASAさん&けいさんに感謝感謝です。

■V.A. 『タダター!トリビュート 私服刑事』
 並んでいるメンツがいかにも2000年的だなぁと思いました。ロレッタセコハンとDCPRGはライブを観てみたいなぁ。

■坂本真綾 『マメシバ』
 フツーに良いです。でもフツーっていうのは意外と難しいんですよ。

■クラムボン 『JP』
 21世紀に間に合いました(笑)。

   *

 キミは可憐というよりは力強い、そう、タンポポのような人だ。…そうか、だからある時期が来ると綿毛の種のようにふわりふわりと飛んでいってしまうんだよね。結局キミはボクらの日常からこうして離れていってしまうけれども、きっとたどり着く場所がどんなところであっても力強く花を咲かせることと思う。

 2000年、辛いこと悲しいこといろいろあった。だけどそれらをひっくるめて「楽しい一年だった」と言える自分が今ここにいるのは、本当に本当にキミのおかげなのだ。キミの前でだけボクは正直になれた。キミがそうすることを教えてくれたんだ。

 ありがとう。本当にありがとう。2000年は一生忘れられない年になったよ。

   *

 今年のwhatwedidonourholidaysはこれでおしまい。ということで、まずは今年お世話になったところへのlinkを追加しました。とはいえ無断ばかり大変恐縮なのですが、年明けにでもご挨拶に伺いますのでその折には宜しくお願いします。さらに2000年最後ということで、今年の10piecesをとりあえずまとめてみました。

 それでは良いお年を。来年も私はここにいます。



2000年12月26日

today is …

フィッシュマンズ 『long season』
 (Polydor/POCH-1602 ['96])

 マイブラ『loveless』と悩むところですが、やはりこちらのほうかなぁと。もちろんこのほかにも好きな作品はいろいろあるのですけど、リアルタイムで衝撃を受けたものといえば結局はこれになるんでしょう。

 私にとっての20世紀とは?

   *

 …というかこの世に生を受けてからの30年間、音楽を聴くという私の行為に最も影響を与えたものはいったい何なのだろうか?おそらく「最も」ということとなると、それは久富さちほ(旧姓:小嶋)さんがパーソナリティを務めていた「軽音楽をあなたに」(のちに「午後のサウンド」と名称変更)なのではないかと思うのです。

 ご存じのない方のために簡単に説明しますと、「軽音楽をあなたに」とは15年ほど前にNHK-FMでやっていたプログラムで、午後4時から6時までの2時間、月曜から金曜まで異なるパーソナリティーが曲をかけまくるというものでした(さちほさん以外のパーソナリティーにどんな人がいたかはほとんど記憶にないのですが、確か「午後のサウンド」となってから高橋幸宏さんもいたような気がします。)。さちほさんのプログラムはニューウェイヴやオールドロックが中心でしたが、「2時間ぶっ続けでヴェルヴェッツ」とか、「2時間ぶっ続けでサイケデリック」とか、今にして思えば(というか当時でも)とんでもない選曲でリスナーを楽しませてくれていました。

 レコード店が町に1軒しかない、そんな田舎育ちの高校生であった当時の私にとって、さちほさんが聴かせてくれる曲はすべてが魅力的に感じたものです。当然のことながら毎週のようにこの番組をエアチェック(懐かしいコトバだね)しては、そのカセットテープを繰り返し繰り返し聴いていました。

   *

 今、私の部屋の押入には300本近いカセットテープが箱詰めで眠っています。そのうちの半分近くが、この番組を中心にエアチェックし編集したもの。高校時代の3年間でこれだけの本数ですから、レコード1枚も買えないほどの少ない小遣いがあっという間に消えていったのも今更ながら納得できますねぇ。

   *

 さちほさんがどんとと出会ったのはちょうどこの番組をやっている頃。さちほさんがパーソナリティーを終える頃、ローザ・ルクセンブルグは解散、ゼルダも音楽的に変革。まだまだニューウェイヴ/オールドロックを聴きたいという欲求があったからでしょうか、私はボ・ガンボスや新生(?)ゼルダの作品をあまり受け入れられませんでした。結局私は、その頃デビューしてきた遊佐未森・高野寛・鈴木祥子を聴くようになり、さらに彼女たちのルーツを探るような音楽道を歩んでいくこととなるのです。

   *

 えー昔話はこのへんにしまして、それでは「20世紀の1枚」となると…(左欄に続く)。



2000年12月23日

today is …

斉藤美和子+川喜田美子 『WINTER WINK』
 (balcony records/BOYS9 ['87])

 明日はクリスマスイヴですよー。ちなみに私は仕事ですけどねー。

 いわゆる合コンというものに久しぶりに行ってきて思うのは、「知らない人に自分を一から説明するのはいい加減面倒くさいなぁ」ということ。やっぱり人との出会いは「ハレ」ではなく「ケ」でありたい。でも、そんなことを言っている自分がちょっと、いや、かなり痛いと思った。

   *

 福間未紗『君の友達』購入。TSUTAYAのワゴンセールで380円也。福間未紗を聴くのは、なんと『モールス』以来だ…。

 私が今まで聴いてきた音楽のどれにも属さない、それでいてどこか懐かしい音楽。私の中に「追加される嗜好」と「積み重ねられる嗜好」があるとすれば、この作品はまさしく後者。別な言い方をすれば「最新の普遍性」が生まれたということになろうか。『モールス』を聴いたときにはこんな感覚抱きもしなかったのにね。不思議、というか無責任?

 多分私は来週『ドロップ・ウィル・キス』を購入しているんだろうな。21世紀は福間未紗でむかえてることになりそうだ。

 あ、それとクラムボン『JP』も忘れないようにしないと。



2000年12月19日

today is …

The Apples 『憧れ矢印』
 (Memory Lab/MLAL-0002 ['00])

Maybelle 『キンポウゲの日々』
 (Coa records/COAR-0007 ['00])

 職人的な曲作り・演奏がとても魅力的な2グループ。関西系のうたものがもてはやされていますが、こんなところでも「うた」はちゃんと鳴っているのですよ。

 -ボクのちいちゃな手で丸めた
 -愛のコロッケ 君にあげる
             イノトモ「愛のコロッケ」

 イノトモのミニアルバム『やさしい手。』(NIPPON CROWN/CRCP-20260)はジャケットが素晴らしいのです。伏し目がちにギターを抱えたイノトモが暖色中心の優しいタッチで描かれる、この上なくシンプルなジャケット。彼女の音楽が聞こえてくるようなイラストになんとも愛おしい気持ちがわいてくるのですよ。

 内容は言わずもがな。ホームレコーディングを中心としたシンプルで暖かい7曲は、完璧じゃないかもしれないけれど1つ1つ丹誠こめて作り上げた愛すべき曲ばかり。いろいろなカタチの「愛のコロッケ」が並んでいます。

 -ボクの、ちいちゃな手で集めた
 -愛のカケラを、キミに…

 ああ、リアルな「愛のコロッケ」が食べたくなるね。

   *

 年賀状は今年も手抜き。



しっかしこんなの↑でホントにいいのでしょうか?



2000年12月16日

today is …

田中亜矢 『sail』
 (OZ DISC/EHE026 ['00])

 物欲に汚れた現代社会。そんな今だからこそ生まれ得た、2000年屈指の名盤。「金延幸子」というキーワードを使って彼女の音楽を語りたくなる気持ちが分からなくはないのですが、そればっかりでは彼女が金延のフェイクのように捉えられてしまうようで少し残念な気がしますよ。

 行く前は「やっぱ緒川たまきは綺麗だニャー」という感想に終始するだろうと思っていた平間至写真展トークイベント@ふれあいエスプ塩竃。しかしイベントが終了したときに私の心を埋め尽くしていたのは、悩める大人・BiKKEの姿でした。

   *

 初めは平間氏と聞き手の2人だけが登場し、彼のバイオグラフィーを中心とした簡単なトーク(この時まで平間氏が塩竃市の出身とは全然知らなかった(笑)。)。30分を過ぎたあたりでゲストのBiKKEと緒川たまきが登場すると、会場は一気に色めき立ち、あちらこちらから溜息が…。やっぱ綺麗だニャー…。そして、平間至・BiKKE・緒川たまきといえばTOWER RECORDSのポスターとなるわけで、話はまずその話題。スクリーンに大写しとなった写真を見ながら、撮影秘話みたいな話が進んでいきました。

 と、ここまでは私も「緒川たまきモード」だったのですが…。

 イベントが中盤に入り、平間氏のフォトスライド合わせたBiKKEのポエトリーリーディングが始まると、会場はしーんと静まり返り、まるで映画館のような雰囲気に一変。夏の午後の公園を思い起こすSEにのせて、会場全体に響き渡る飾り気のないBiKKEの呟き。自戒に満ちたそのモノローグに、私はいつの間にか「自分」というものを重ねていたような気がします。平間氏の写真との相性も素晴らしく、終了後に緒川たまきが言っていた「完全には一致しないような距離感が良いですね」という感想に頷くばかりの私なのでした。

  *

 BiKKEがイベントの最後に言った「来年は一人で頑張ります」という言葉。TOKYO No.1 SOUL SETの熱心なリスナーではない私が言うのもアレですが、何らかのカタチで彼の「声」(not text)は聴かせて欲しいなと思いますね。



2000年12月12日

today is …

サニーデイ・サービス
 『サニーデイ・サービス』
 (MIDI/MDCL-1321 ['97])

 このたびの解散の話を受けて、さまざまなサイトで彼らのことが書かれております。多かれ少なかれ我々の世代に影響を与えた「バンド」だったのだなぁ。そんなことを今更ながら思いました。

 サニーデイ・サービス解散

 この話を聞いて私が真っ先に聴き返したのは『サニーデイ・サービス』でした。理由は簡単。バンド名がタイトルに付けられたこの作品こそが最もサニーデイ・サービス的だと私は思うから。「サニーデイ・サービス的」という表現が適切でなければ、「最もバンド然としている」と言ったらいいかな?うん、そっちのほうが良いかもしれませんね。

 ただこのように4thアルバムを聴き返していると、私にとってこの作品は「最もサニーデイ・サービスというバンドを感じる作品」であると同時に、「サニーデイ・サービスというバンドの最後の作品」でもあったのかなと思ったりもしてきます。『サニーデイ・サービス』以降の『24時』、『MUGEN』、そして『LOVE ALBUM』。これらの作品はあまりに曽我部恵一という人間のパーソナルな部分が出過ぎていて、私は「サニーデイ・サービスというバンド」をもはや感じられなくなっていたのではないかと。さっき『MUGEN』を聴いたときに自分が書いたことを改めて読んでみたのですが、曽我部氏のことしか書いてないし。うーん、無意識にそう感じていたんだろうな…。

   *

 悲しいかと問われれば、「いや、それほどでも…」と答えるであろう今の自分。でも何なのでしょうね?この気持ち…。『サニーデイ・サービス』を今日だけでもうすでに5回はリピートしていますが(この行動だって実は自分でもよく分からない)、聴き返すたびに、だんだんとポッカリと穴があいたような、そんな感覚に見舞われてきています。ああ、できればもう一度でいいから「サニーデイ・サービスな」作品が聴きたかったな。今後この作品を聴くたびに、そんな気持ちがどんどん大きくなっていくのでしょうか?

 -腕時計を見れば 約束の時間はとっくに過ぎていた
 -太陽のしみが残るこの時計はすこし
 -すこし狂ってるんじゃないか?
                        「bye bye blackbird」

 うーん。まだ信じられないだけなのかな?



2000年12月7日

today is …

具島直子 『miss. G』
(東芝EMI/TOCT-9459 ['96])

 冬の海。寂しくも凛としたその雰囲気。緩やかに変化する風景。
 Ben Wattの『North Marine Drive』と具島直子の『miss. G』。冬の海辺を車で走らせる時は是非、この2枚をカーステレオに。

 通勤、さーむーいー。車…はやく来ないかなぁ。

   *

 パパボックスが昨日からのヘヴィーローテーションです。と言っても私の手元にある音源は『so far songs』と『CHILDISH SOUP 2000』、それとここからダウンロードしたramファイルだけなんですけどね。

 シンプル&センチメンタルな曲。ギターを中心とした高揚感のある演奏。そして優しく美しい声。あまりにも純粋すぎるアコースティック・サウンドなので聴いていて退屈に思う方もいるかもしれませんが、こういうストレートな音はハマるとなかなか抜けられなくなるんですよね。

 ところで『so far songs』には「年内中に1stアルバムリリース」とか書いてありましたが、どーなんでしょ?もう出ているのかな?

   *

 僕の口つく 言葉は全部 嘘だけど
 君が好きってことに変わりはないよ
                パパボックス「もうすぐ」より



2000年12月3日

today is …

クラムボン 『まちわび まちさび』
(warner music japan/WPCV-10104 ['00])

 帰ってきて改めて聴いてみる。うーん、この作品ももちろん良いのだけれど、やはりライブのほうが何倍も素晴らしいですね。

 2日。祖父母の法事があって実家に帰省。

 出かけるときは「かったるいなぁ」なんて思いましたが、叔父叔母従兄弟親兄弟に久しぶりに会うと、やはり心が落ち着くものです。

 母親の分まで心配をしてくれる叔母さん。本当にありがとう。もっとゆっくりとしても良かったのですが、如何せん、↓これがあったもので…。

   *

 ということで、クラムボン@仙台JUNK BOX。

 ツアー初日ということもあってか初めは固さも見られました(初っ端の「ドギー&マギー」はCDかけているのかと思ったくらい)が、最初のMC以降は調子が上がり、真に気持ちのいい時を過ごすことができました。全体的に乗りの良い曲よりも、ミドル/スローテンポの曲による壊れっぷりが見事で、クラムボンというバンドは元々フリーフォームなのだなぁということを再認識できたような気がします。中でも、アンコールの最後で演った新曲「サラバイララバイ」(←あってんのかな?)がどこかに飛んでいってしまいそうになるくらいに素晴らしく、このような演奏が今後どのようにCDに反映されるのか、期待で一杯になりました。

 そういえば、知らない曲もたくさんあったなぁ…(『まちわび まちさび』しか聴いてないのよ)。気になる曲もあったから、旧譜も聴いてみないといけませんね。ホント。