b e a t g o e s o n
b a c k



羅針盤 『ソングライン』
(WARNER/WPC6-10089)


 決して美しくはないが、どこか愛おしい。例えるなら「羊水にまみれた赤子」。

 何かを否定するわけではなく、現状の全てを肯定した上での「無」から生まれる稀有の音楽だと思う。



渡辺満里奈 『SUNNY SIDE』
(EPIC/32・8H-5037)

 あの場所。あの部屋。あの人。この作品が直接的に作用したわけではないのに、聴けば聴くほど当時のことが思い出されてくる。…そりゃそうだ。高校時代は狂ったように聴いていたもんな。

 決して色褪せないアイドルポップスの名盤。しかし残念ながら私はこれを冷静には聴けないのだ。



cobalt 『mare』
(alley-oop/OOP-001CD)

 パーソナル。そこはかとなくパーソナル。しかし、胸に迫るせつない音の向こうに見えてくるのは彼の姿ではく、彼がネコと暮らした小さな部屋なのである。

 こんなにも暖かな空間で、愛されながら生きるなら、ネコになるのも悪くないと思った。



FAIRPORT CONVENTION
 『what we did on our holidays』
 (ISLAND/PSCD-1124)

 トラッドとロックの微妙なバランス感覚が心地よい彼らの2nd。3rd以降の作品ほど緊張感がなく、 聴いているだけで自然と笑みがこぼれてくるような暖かい曲が多いので、心に余裕がある時に聴きたくなる 作品。

 当サイト名をこのタイトルからとったのは、この作品を聴く余裕を恒常的に持っていたいという願望 があったから。でも「we」が「I」になって久しいのがちょっと悲しかったりするのだけど。



mademoiselle SHORTHAIR !
 『mezzo』
 (Gyuune cassette/CD95-05)

 ギターと声。シンプルな構成だからこそ伝わってくるリリカルな世界。 …暑さのせいだろうか、頭を空っぽにして聴いていると、音の隙間に見え隠れする冷たい空間へと誘われるような感覚に陥る。

 ここ2,3年、この作品とさかなの『光線』は、夏の夜には欠かせなくなった。