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古い醤油屋。表通りの柱に打ち付けてある妙なもの。
店先にちょこんと座っていたおばあさんに聞くと、これは馬を繋いでおくための輪であるとのこと。昔は馬を連れて店に来た人が、売買中はここにその縄を縛りつけておいたらしいです。
今となっては車がひっきりなしに走っている店の前の道路も、その昔は馬がポクポクとのんびり歩いていたんですね。もちろん、舗装なんかしていないだろうし、ちょっと風が吹けば商品は埃だらけになったんだろう。大変そうに店先を掃除する主人の姿が目に浮かびます。また、道の幅は今よりも狭かったそうだから、道行く人の声が往来に響きわたっていたんでしょうね。
…そう思った途端、周りから聞こえてくるエンジンの音で現実に引き戻されました。
こんな小さな鉄輪から、いろんなものが見えてくる、こんな私は夢想家なんでしょうか?
3,000m from my room.
(19991115)
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