Review
Kinks / Preservation Act.1
超独りよがりなキンクス劇第一弾。 / ★★★★★★★★☆ (8.5)
1. Morning Song
2. Daylight
3. Sweet Lady Genevieve
4. There's a Change In The Weather
5. Where Are They Now?
6.One of The Survivors
7. Criket
8. Money & Corruption / I Am Your Man
9. Here Comes Flash
10. Sitting In The Midday Sun
11. Demolition

このアルバムと次作であるAct.2程キンクスが暴走しているアルバムはないだろう。
キンクスというよりレイ・デイヴィスが・・なんだけども。

とにかく自己中心的なのである。周りの事を何も考えてないかのような作品なのだ。
もちろん悪い作品ではない。むしろ良い作品なのではあるが。
それどころかレイ・デイヴィスには「天才」という言葉を冠にして欲しい!って思うくらいのアルバムなのだが。。。

キンクスの名作の一つVillage Green Preservation Societyに続編を作っちゃいました。
しかも、それがアルバム2作分にもなっちゃいました。って感じの第一弾アルバムが今作である。
アーサーでの演劇化の失敗もそういうのを作っちゃった要因の一つであろう。
演劇と音楽の融合はTommyが最高峰の一つであるのは誰もケチはつけないだろうが
キンクス程そこを現実的なテーマでそして完璧な形で追いかけようとしたバンドはいないであろう。
そうじゃなきゃこんなアルバム作らない(笑)
とにかく偏執狂的なのである。イカレてるくらい。

レイがやりたかったのは、一つの田舎を描いたヴィレッジ・グリーンの拡張そのものだったんじゃないかなぁ。
その街の中での物語性をもっと加える事で、世界に命を与える。それが音楽と演劇の融合の理想的な形だ。
って思ったのかもしれない。予想の範疇は超えれないけども。

物語の全体はもちろんココでは語られないんだけども、前編だしね。
一応の流れは一行で済むんだけども。
「のどかな街でのどかに暮らす人々。幸せな日々。そこにその街を支配しようとたくらむフラッシュ氏の登場」
前編の話はココまで(笑) 全3話30分アニメの1話目みたいな展開ですな(笑)
しかし、そののどかに暮らす人々の中には、ヴィレッジ・グリーンでも登場した人物が登場してたり
「あの人たちは今、何処に」と普通の人が普通に思う事もあったりしてなかなか面白い。

ヴィレッジ・グリーンが好きな方は気になる話ではあるだろうけども。
音を聞く際にあたってはまず注意があります。1曲目(現在のCDでは二曲目)を聞いて止めないでください(笑)
延々と続くオッサンのハミングとコーラスのみって曲に失望しないでください(笑)
もちろんこのアルバムが持つ雰囲気そのものなんだけども、そこは我慢してください。
我慢できなかったら飛ばしてください(笑)
あとこのアルバムには様々なアーティストの曲をパクったような所があります。
そこも気になる人は飛ばしてください(笑) でも良い曲なんです! 良い曲だらけなんです!!(笑)

しかし、このアルバムにはその悪夢のオッサンハミング(笑)を通り越したら名曲が山ほどあるのである。
夜明けを歌う・・そして夜明けという言葉が一番ぴったりな曲で幕をあけるのだが、
コレまた爽やかな朝にピッタリという程の名曲なのだ。春ののどかな草原でも思い浮かべて・・・それそのまま。
次の曲、「美しきジェネヴィーヴ」はこのアルバムの中でも1.2を争う屈指の名曲だと思う。
ファンキーな「天気は変わる」もホーンが素晴らしい曲だ。コレなんかとにかくファンキーで踊れる。
中盤からマーチング風な曲に変わり、終盤ではさらに変わるような曲ではあるのだが、そのアレンジもとにかく素晴らしい。
ピアノの響きが美しい「あの人たちは今、何処に」はキンクス史上でも屈指のバラード曲であろう。
ヴィレッジ・グリーンの登場人物を覚えている人は思わず「ニヤリ」としてしまうような歌詞も面白い。
ロックンロールナンバーの「ロックンロールは生きている(サヴァイヴァー)」をはさんでの
「クリケット」はキャバレー音楽劇団キンクスのもっとも得意とする所であろう曲調だ。涙が出そうな程やる気がない。
「富と堕落」もキンクスでしかかけないであろう。妙にラテン的な印象を受ける曲なのだが、結構地味にプログレ的だ。
恐怖の金持ち野郎フラッシュ氏がやってくる事を歌っている「フラッシュがやってくる」とか聞いた人は涙出ると思う。
なんたって、モロにパクっちゃってるのだ。サバスの「パラノイド」のリフを(笑) 恐怖=サバスなのか!?
もう1曲のどかな曲を挟んで、フラッシュ氏の野望を歌う「取り壊し」でアルバムは幕を閉じる。
アルバムを閉じるには今ひとつの印象を受ける曲なのだが、続きが気になる。という点ではこのアルバムでは正解。




そして曲もAct2に続くがレビューもAct.2に続くのである。


P.S。
CDでの1曲目になっているPreservationはシングル曲である。
内容的に話の幕開けみたいになってるから、ある意味ボーナストラックの位置は間違ってないかも。
でも、この曲も某FREEってバンドのモロパクリみたいな曲なんだよねぇ・・・(笑)

Back