Review
Kinks / Kinks Part.1 Lola versus Powerman
and The Moneygoround
トホホな時代には珍しくハードなキンクス。 / ★★★★★★★★★ (9.0)
1.The Contenders
2.Strangers
3.Denmark Street
4.Get Back In The Line
5.Lola
6.Top of The Pops
7.The Moneygoround
8.This Time Tomorroe
9.A Long Way From Home
10.Rats
11.Apeman
12.Powerman
13.Got To Be Free
キンクスのアーサーに続く9枚目のアルバム。
例によって、例の如くコンセプトアルバム。 こいつらは何枚コンセプトアルバム作れば気がすむのだろうか(笑)
WHOのピートも多いけども、バンドとしてやっちゃってる枚数では圧倒的にKINKSだな。
FACE TO FACEの時点でコンセプトアルバムの原型はあったワケで。
実現してれば「至上初」といわれたSGTよりも2年も早いコンセプトアルバムになっちゃてたワケで。
どれが早いか・・なんて不毛な話だとは思うけども。どっちにしろ俺なんて後追いなワケだし。
Something Elseもその性質はある。で、ヴィレッジ・グリーンで完璧なまでのコンセプトアルバムになるワケで。
パイ時代でも、原型を含めると計5枚のコンセプトアルバムを残しているのである。
RCA期なんて全部そうみたいなもんだから、全部で10枚以上も量産している事に。

しかも、すべて当時として扱われがちな設定じゃないのもキンクスらしい。


さて、それでこのアルバムだけども。
今回のアルバムの設定は「その辺の人のロックスターへの憧れと、その成功と堕落。そして再起」
を描いた、ある意味自伝的な内容でもある。
それを反映してか、サウンドはキンクスのこの時期にしては非常にハードなサウンド。
ギターがギュイギュイいってるし、非常にタイトなサウンド。
中にはヒットした名曲LOLAも含む。


またカントリーだけでなく、この時期からスワンプの要素・・・とはいえ、キンクスの事。
この時期から、クラプトンやストーンズ、ジョージ・ハリスンなどによって、スワンプのイギリス的解釈が
ある種の流行となるんだけども。 その辺からはちょっとズレた感覚。 さすがキンクス(笑)


さて、そこで曲解説。

まず話の流れとして

1.労働階級の少年が現状からの脱却としてロックスターへの憧れから、勝利者(ロックスター)になりたいと決意
2.
3.デモ・テープを売り込み、好意的な反応を得る。
4.仕事がある時はいいけど、ステージがない日は職安通いっていう下積み時代の曲。
5.ローラという女装癖のある男に男にされてしまうという話。 ローラとそうなりたかった・・というくだりから
業界のお偉いさんに気に入られて・・・・とも推測出来る。 気に入られたら宣伝してもらえるしね。
6.トップ・オブ・ザ・ポップスというのは、イギリスの有名な音楽番組。 チャートアクションは上々。
どんどんとチャートを駆け上がり、ついに1位と獲得! TOTPに出演! というような曲。
7.金絡みの問題。 借金を返したり、印税をマネージャーがふんだくったり。 「誰も勝利しない」というのが印象的
8.新しい境地を見つけに出かけるのか、それとも逃避なのか、「明日の今頃僕は・・・」という曲。
9.上のがどっちでアレ主人公は家路につきたいと思う。疲れたんだろう。 でもまだまだ金絡みの問題は・・・。
10.帰って待ってたのは意地汚いネズミどもばかり。もう堕落の一途をたどるばかりである。
11.こんな事なら猿にでもなりてぇよ・・と皮肉たっぷりに愚痴をこぼすしかない主人公の心情を歌う曲。
12.金持ちになったのは、金をふんだくったネズミたちだけ。 でも、「彼女がいるから大丈夫」と気を取り直し
彼女は俺の支え・・とまで言い切る最高のラブソング。
13.「自由に向かって。」や「太陽はまた輝く」という言葉に象徴されるように、堕落から逃れ
本格的な再起をかける主人公の前向きな気持ち。


という構成になっている、#2はちょっと本編とは関係がない気がするけども。。
まぁでもそれもご愛嬌。キンクスだから良し(笑)

曲自体も、アコースティックなところから、急にエッジのたった最高のロックンロールナンバーである曲という
アルバムの1曲目としては理想的な曲で幕をあけ、しっとりとしたアコースティックな2曲目。
ポップで南部風なピアノがきいた3曲目や、可愛い曲のくせに歌詞はとんでもない5曲目。
ホントにTOTPでも流れてそうなハードな6曲目、コミカルで楽しい曲やメロウで美しいメロディーを持つバラードなど
曲単位でも素晴らしく、その流れも素晴らしい、かなりの好盤。

ジャケはなんとなくショボいし、タイトルで引く人もいるかもしれないけども、コレもキンクスの
第二の黄金期のアルバム(売れてない黄金期/笑) 最高のアルバムです。

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