これもお勉強・・・ その6

はぁ、一服

ご注意

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以下の内容に問題を含む可能性のある部分があったとしても
それはあくまで学術的なものであり、興味本位のものではありません

牛の話のときも言いましたが、畜産農家にとって、生産する、つまり繁殖させると言うことは、非常に大事なことなのです。こういうと難しく聞こえますが、平たく言えば、はらませるのが勝負!なわけ、です。したがって、獣医のたまごたちが牧場で教わることはソレ、につきるわけですね。

久々注意書きも入れたし、ここまで前置きしたから、後はもうストレートに行くよ。

この日の実習は、ブタの交配でした。一般には、ブタや牛は、交配はしません。もっぱら人工授精です。成績のいい牡が1頭いれば、100頭以上の牝を授精できますから、平凡な牡を飼育すると言う不経済なことはしないのです。この世界、牡には厳しい(笑)。ただし馬はね、血統の問題があるので人工授精は禁止されています。まぁこれご存知の方は多いだろうけど。

ですから、この日の実習は、あくまで経験でした。大学付属牧場ですから、生産、と言う意味ではある程度のどかで、実際に結構いい種牡を飼っていたこともあったようです。

実はこの前の日、わたしたちは、サラブレッドの交配を見ています。でかい馬のなま本番(あ、失礼)。すごい迫力で、近くにいるのも怖かった。それがあったため、豚舎に集合した時にはそれなりに緊張感と期待感(うはは)にみなぎっていたのです。

豚舎の一角にしつらえられたちょっとした広場にまずは牝がつれてこられます。生産豚ですから、目一杯でかい。というより、長いんですね。体が。ふごふごとよって来られたら、思わず、ごめんって逃げちゃうくらい。

そして次に登場するのが、厳しい競争に勝ち残った成績抜群の牡。まだ若いらしくて、ちょっとちっちゃめでした。だが、種畜の名に恥じず、堂々とした足取りで牝の元によってゆく。当然牝は発情期を確認した個体ですし、経験豊富なカップルですから、あまりためらいはありません。牡はやる気まんまんです。じっとしている牝の背後に回りこむと、

・・・・よいしょっ!

次に何を期待するか。いや別に期待しなくてもいいんだが。一般の哺乳類がすることを、皆さん考えるに違いない。え〜〜と、だから、なんだぁ、くいくい、といいますか、ずこず…うぅ、これ以上かけません。ごめんなさい。各自、擬態語ないし情景を思い浮かべてください。

ええでっか?思い浮かべたね?

…が、それが、ないのである。よいしょっのあとは、カップル両方、じぃっ・・・・・としているのである。動かない。よ〜く見ると、重い体重を支えている牡の後ろ足が微妙にプルプルと痙攣しているし、牝の鼻ずらがひこひこと動いているのだけれど、それだけ。

迫力のある情景を予想してなんとなく引いていたわたしたちはあっけにとられた。こいつら、なにしてんだ…?

先生がおもむろに解説に入りました。それを要約しますと。

ブタだけでなく、象とかカバとか犀とか、体の構造上、えぇっとなんだぁ、その、そういう動きがですね、非常に困難な動物の場合、あの、ええとですね、ソレがですね、自律運動するのですわ。象だのカバだのはよく知らないんですが、ブタの場合、ソレがですね、らせん形をしているのですな。で、自分で伸びたり縮んだりするわけです。こいつらにしたところで哺乳類ですから、確実に牝の体の中で、ええとほら、なんだぁ、その本来の役割を全うするためにはですね、物理的な刺激がいるわけですよ。んで、本体が動くのには無理があるため、ソレが自分で動いて刺激を生じ、役割を全うするわけなんです。

かえって要約されて無いような気がするが…。

外から見ると非常に穏やかにじっとして見えるが、その実、牡は(あるいはその一部は)懸命に動いているのである。ある意味、けなげである(笑)。

でもね。そのままなんだよ。待てど暮らせど。いくらけなげだろうがなんだろうが、見てるほうは飽きるんだよ。当然学生どもは三々五々、豚舎の外に出て行くわけです。先生も止めない。てか、先生、片隅に座って居眠り体勢になっている。

わたしも外に出ました。芝生に円くなって座っている学生達の輪に混ざります。はぁ、一服。

時々、誰かが中に入って見て来ては、まだだわ、と言って帰ってきます。

ようやっと、終わったよ〜と言う声に豚舎の中に入っていくと、二頭は何事も無かったかのよう。牝にいたっては隣のケージからはみ出てる餌を食っている。

よいしょっから、終わったよ、までの所要時間、約30分

どうよ。これ。どう思うよ。ん?

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