季節のお話 その13
01/06/03

6月の花嫁
副題:Hundreds of brags

6月と言えばジューンブライド。
ホテルや教会の挙式予約はほぼ満杯,そして実はこの季節,少々挙式のパック料金はお高くなっているようで。
日本の6月と言えば梅雨の真っ盛りでありまして,そのさなかに御呼ばれするほう,コレも結構大変だったりしますな。
振袖着てカサ差すのはかなわないものがありますし。

それでも6月に結婚式が好まれると言いますのは,そらまぁ,6月の花嫁は幸せになるというお話があるからでありましょうな。
ではそこで。なぜ6月の花嫁は幸せになれるのか,ってのが問題になるのですが。

6月,Juneといいますと,この英語の起源になりますのが,ローマ神話のユノーと言う女神さまになるわけでありまして。
ユノーを英語読みしましてジュノー,あるいはジュノンなんぞと転化いたしますと,なにやらそういった女性雑誌があったような気もしますな。
このユノーさん,ローマ神話の中心神であるユピテル,英語読みしますとジュピターでございますが,これの奥様と言うことになっております。
日本やエジプトですと,どうも神話の中心人物と申しますのは,太陽神になるわけです。
いわく天照大神,いわくホルス。
どういうわけかローマ神話の場合は太陽神が出てまいりませんね。
ジュピターと言えばそらあなた,木星ですな。
ゆーみんの曲でありましたな,以前。さよならジュピター?。
なんかの映画の主題歌でしたか。よく覚えてませんが。

閑話休題。

さて,ジュノーさんジュピターさんとまいりましたが,これ,ローマ神話から一段古くなりまして,ギリシア神話となりますと,ヘレナさんとゼウスさんにあたるわけであります。
つまり,6月→June→ユノー→ヘレナ,とこうくるわけでありまして,結局6月の花嫁の幸せを保証してくれる守り神ともあろう女神はヘレナさんであるということになるんですな。

そしてこのヘレナさんてのがまたすさまじい方だったりします。
ギリシア神話なんぞとかっこよくいいますが,所詮はあのあたりの地域がキリスト教に統一されてギリシア正教だのローマンカトリックだのとかっこつけ始める以前の,いわば原始宗教みたいなもんでありまして。
もちろん史実が織り交ぜてあるのはそれはそうなんですが,ただし,神道なんぞのように政治的意図での再編纂がされていない分,非常に出てくる方々が本能的でありますな。
主神であるゼウスさん,コレはなんとなく皆さんイメージがあるかと思われますが,白いひげに白い髪に白いローブ,足にはサンダル,なんていうビジュアル,もってらっしゃる方多いのではないでしょうか。
なんとなく,隠者風。哲学者風…?
ところがどうして,ギリシアだのローマだのってころは,優秀な哲学者を排出した時代ではあるものの,見事に退廃的な爛熟文化だったようですな。
原始宗教+爛熟文化=好色。

ゼウス様,非常にお盛んな方だったようであります。
アレがよい,と思いますと,権力づく力づくは当然のこと,虫に化けたり植物に化けたりともうあらゆる手段を弄して目的を達成するわけです。
んで当然のことにお后のヘレナさんは怒る怒る。

こんなお話がありますな。
大変美しいイオと言う娘にゼウスさんが惚れちまいまして,ぜひともいっぺんお願いしたいと言うことになったわけですな。
それを知ったヘレナさんは怒り狂い,あろうことか怒りの対象を自分のあほ夫ではなく,いたいけで無力なイオちゃんの方に向け,ぶっ殺さんばかりの勢いで攻撃するわけです。
コレを知ったゼウスさん,このままじゃかわゆいイオちゃんがやばい,だけどどうしてもいっぺんお願いしたいと言う欲望は消えやらず,ついにイオちゃんを守るためにという大義名分で,イオちゃんを真っ白な愛らしい牝牛に変えてしまうんですわ。
まぁその程度のことじゃ嫉妬に狂ったヘレナさんはだまされませんな。
哀れイオちゃんは牝牛のすがたのまま,世界中を放浪するはめとなるのです。
脳天気欲情男ゼウスさんは,一応イオちゃんを助け,最後はたしか空に上げて星にしてやるんだと思ったんだが。
これがおうし座…なわけねぇだろ。
おうし座はあれはラビリンスの人食い牛人間ミノタウロスではなかったか…。

まぁよい。とにかくイオちゃんはどうだかして助けてもらったんですが。
しかぁし。助ける前に必殺煩悩男ゼウスさんはちゃあんと自分が牡牛に変身して致すことは致したそうですからまぁ立派。

こんな下半身優先男ゼウスさんを夫に持ったヘレナさんは,ギリシア神話のいろいろな局面でゼウスさんの浮気封じに苦心され,かなり思い切りのいいやり方でゼウスさんを叩きのめし,浮気相手に復讐しているのですな。
女は怖い(笑)。ヘレナさんはそのうちアフロディテさんと習合して拝まれたりなんかします。
アフロディテさんて言うのは,森の中の湖で水浴びをしているところをたまたま通りかかった猟師に見られ,これに怒り狂って,猟師に魔法をかけて鹿だかなんだかにしてしまい,彼のイヌに襲わせて八つ裂きにした,とこれまぁおっそろしい行為をなさる方であったりします。

というわけで。
6月の花嫁を守護する神様の如何に恐ろしいものかはお分かりいただけましたでしょうか。

「うふ。あたし結婚式は6月がいいわ。6月の花嫁って,幸せになるって言うでしょ?ずっと憧れてたのよねぇ」
なぁんて彼女に甘えられてついついJune Brideを迎えてしまったあなた。

 

…怖いよ?(笑)。

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