ノンジャンル その28
01.05.30

おやぢギャグについての考察


職場ないしは家庭で、誰しもおやぢギャグを耳にする機会は多いものと思う。
そしてまた、それがもたらす凍るようなサムさについてもほとんどの方が経験済みであろう。
もちろんそれは、発されたギャグによる凍えである場合もあれば、さらに悪化した状況としては、自分がブリザードの張本人であり、周りを凍えつかせてしまっている場合もあろう。
これを読んでいるあなた。
アナタは今までにおやぢギャグを垂れ流したことはないか?
周りをサムくさせた経験はない、と胸を張っていえるか?

ない、と即答したアナタ。
ほ・ん・と・う です…か?。

おやぢギャグにもいくつかの種類があると思われる。
まず第一に、おやぢのおやぢたるゆえん、常にソレを考えてしまうから、考えついた瞬間に、やめとけ、寒いぞ、というブレーキがかからずについ口を突いて出てしまうパターンである。
たとえば、ボーナス支給日に、その明細を見ながら、

ぼーなすでしょうよ

とつぶやいてしまう手合いである。
その駄洒落を聞いて、毎回のボーナス支給時に腰抜けそうになるのだが、これはまだかわいいと思われる。

これの一段階パワーアップしたのが、エロ系おやぢギャグである。
「おやつケーキなんですがどれにします?」
と聞かれ、

「おれアップルパイあっ、ぷるぷる、ぱいぱい、だぁいすき、なんちゃって♪」

と満面の笑みとともに口走ってしまうのだ。
決しておやぢに悪意はないのだが、若いころから隠し持っていたのかあるいはおやぢになって目覚めたのかはなぞだとしても、彼に内在するスケベ心が、ブリザードに乗った氷の粒となって発されてしまうのである。
たとえたいしたことは言ってないにしても、昨今のセクハラ告発の嵐の前には、極悪非道な言葉となる。
この手の浅慮は命取りになりかねないのである。

そしてさらに。
「どーしていいかわからなくてその場を取り繕うつもりで言ってみたんだけどまったく逆効果になってしまったの」おやぢギャグというのが存在する(と思うのだ)。

大変気が進まないが、一例をあげよう。つい先日の話である。
後輩が、某学会のプレゼンテーションのネタを持ってやってきた。
スライドの中身と口演原稿を見てくれという。
ざっと目を通す。

以下わたしが後輩に言った言葉とその裏の本音のやりとりである。

「あ〜〜、ごく普通にまとめたんだね」
プレゼンの基本はメリハリだと言うただろうが?

「えっと、方法のところ見にくいね?」
ぜんぶずらずら並べんじゃなくて、大事なとこだけピックアップしろって言うただろうが?あ”?

「写真、ちっちゃくなっちゃったねぇ」
だから要る写真だけでいいんだってば。結論に持ってけねぇような写真出すんじゃねぇよっ。

「あ、いやいや…取り直してる時間はないっしょ?まぁいいやね。んで。結論のスライドね…あ〜〜〜、う〜〜〜ん…」
何が結論なんだよっ!ずらずらならべてるだけじゃねぇかよっ!
ええ加減にノウハウおぼえたらどうだってんだよっ!

むかむかむかむかむか…(そのときわたしは自分の仕事も詰まってたのだ…)

「前も言われたよね、まとまってないんだよね(←勢いでつい語調がきつくなる)」

…後輩の顔が曇る。
とたんにわたしは、さっきの勢いは何処へやら、いかん、言い過ぎた、とあせる。

「いや、まぁとにかく、もう少し考えてみなよ。
だって、ここのまとめの文章さ、ワンパラグラフの中に”これら”っていう代名詞が4回も出てくるじゃん?」
気の弱いわたしはここでまた後輩の顔色をうかがってしまう。
思いつめたような顔をしている。プレゼン本番まであまり時間がないのだ。
ここでプレッシャーをかけたら、確実に逆効果だ。

わたしのあせりは頂点に達し、ついに口走ってしまうことになる。

「ねぇ?ひとつの文章に、これらこれらってこんなに出てきたら、腹下しちゃうよ、だべ?」

 

笑えないどころか、わけがわからないおやぢギャグ以下の駄洒落である。

吹きすさんだブリザードのサムさをわたしは忘れない。

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