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「オペラ座の怪人」(ガストン・ルルー/角川文庫)
■云うまでもなく ミュージカル原作本として 手に取った次第です。
■ファントムラヴァーと 自称するからには 彼を「エリック」と本名で 呼んで
あげたいのーと 思ったワケです。(情報として知っているだけじゃ 呼べない)
■ですが なかなか なかなか エリックは 出て来てくれませんでした。
■なのですが CDを聴き込み 自分内で ラウルが 急上昇した後だったので
ラウルばっかりの中盤までも 結構 楽しんで読めました。てゆーか ラウルは
健気で カワイイです。クリスティーヌのコトを とても大事にしていて すごく
一生懸命なトコロとか 兄ちゃんの胸で 泣いちゃったりするトコロとか。
■やっとまともに 出て来てくれたエリックは クリスティーヌの回想シーンでの
登場なので ちょっと不満でしたが(ソレが原作なのだから仕方ない) やっぱり
大人の魅力で ステキでした。しかし 翻訳モノの悲しい性「そうか、ごめん!」
なんてセリフを言うエリックは ちょっとカワイイ?と 思いつつも「すまない」
辺りに 変換して読みましたデス。
■エリックの作った食事…音楽じゃあなくて 食事。あたしも 食べたいなあ。や
あの家に 厨房って 無さそうな気も するので ケータリング?いやいや 毎食
宅配とゆーワケにも いかんでしょう。水があり ガスがあり 浴室まで あるの
なら 厨房だって きっとある。料理も 上手いに違いない。クリスティーヌが
ガツガツ食べたのだから(ガツガツとは 表現されてません)ソレは 美味しいに
決まってる。エリックの好きなワインと エリックの作ってくれた美味しい食事で
湖畔のディナー。なんてステキ・・・。←注:クリスティーヌ限定です。
■溺れそうになった湖で 岸まで泳いで連れて行ってもらい 更には すぶ濡れ
状態のエリックに 諭されるなんて ペルシャ人 なんて うらやましい・・・!
あたしは ちょっとクラクラ 目眩な気分でしたヨ。髪から服から 水を滴らせて
岸へ 上がるエリックなんて…なんて…色っぽい・・・。←注:ダロガ限定です。
他のヒトだったら そのまま 湖底へ さよーなら 確実です。
■終盤ずっと ペルシャ人の手記のみで 進んでいくので ラウルの心情さえも
書かれていないので 一体 どうなっちゃうんだろう? 感動のラストは 本当に
あるの??? もしかして このまま ラウルもクリスティーヌも 結局 行方
知れずで オワリとか?と かーなーり不安に なりましたが 杞憂でした。
■「<怪人>の愛の終わり」の章での ダロガに話す エリックの言葉は 全てが
泣けました。エリックは クリスティーヌ 一筋の 純愛 そのものなのです。
彼女へ愛する人との結婚祝いとして 自分から プレゼントした 金の結婚指輪を
この世を去った後に 愛するクリスティーヌの手で 自分の指に はめてもらい
クリスティーヌへの愛を クリスティーヌからの愛を 抱いたまま眠り続ける…。
きっと 最期には オペラ座地下への噴水の傍で 歌いながら 時を 待ったのだ
と思います。ただ 愛したくて ただ 愛する女性に 一瞬でも 愛されたくて。
それが 叶ったのだから 未練は 無かったのだろうけれど しあわせに 眠りに
ついたのだろうけれど とてもとても哀しいです。
■ラストの哀しさを 想うと どうにも「It's over now,the music of the night...」
と ミュージカルのラストが 聴こえてきて 相乗効果で 更に泣けます。でも
ミュージカルでは 描かれていなかったエリックの想いが 涙を 誘うのです。
こんなに 哀しいけれど でも「あそこで 何かが 違っていたら」どうこうとは
思わないです。多彩な才能を持ちながらも 顔面だけは 恵まれなかった人間が
エリックであり そういうエリックだからこそ 抱いた 純真な恋なのです。彼の
本当の 気持ちが 伝わったから クリスティーヌは その愛に 応えたのだと 
思います。エリックが クリスティーヌを「愛しすぎ」て「焦がれ死に」できると
云う事は 彼にとって 最高の運命だと 想うのです。
■ガストン・ルルーが この小説を刊行したのは 1910年です。約100年前です。
100年 経っても 色褪せない純愛ロマンて スゴイです。なんか そのコトにも
ちょっと 感動なのでした。