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「これ、社長に返しておいて。」 私に2つの封筒が突きつけられた。 一つの封筒には『アルバイト代¥20,000』と書いてある。もう一つの封筒には、彼女の住所が書いてあった 「アルバイト代として貰ったんだけど、私もうここの人達と一切かかわりたくないの。だから、返しておいて」 「でも、これはこの会社の仕事をして頂いたという、ぶっちゃけ賃金として社長は支払ったんですよ。今回のいざこざとは一切関係ないと思うんです。貰って頂かないと」 私はその封筒を返した。 が、彼女も負けていなかった。 「私ね、今回の件ですっごく傷ついたの。死ぬ前にこんな不愉快な思いするなんて思わなかったわ。とにかく一切の関わりを断ちたいの」 「いや、だから…」 「今、あなたに領収を発行してって言っても無理だろうから、後で社長に発行してもらって、この封筒で送ってちょうだい。」 彼女は私の発言を遮り、力強く淡々と話を続けた。 彼女は私や、私の勤める会社の税金の面倒を見てくれた人。税金等の事に関して右も左も分かっていない社長や私にとっては心強い存在だった。彼女の病が再発するまでは。 彼女は癌だ。以前乳ガンを切除したらしいが、再発。一度目の入院がかなり辛かったらしく、再発後は手術も入院もせずホルモン剤と薬でどうにかやってきたらしい。 しかし、ガンは全身に転移。余命幾ばくも無い事は社長から聞かされていた。 |
2003年11月15日 22時41分08秒
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始まったばっかしなのに、最後かい!!っと笑われそうだけど、そういう意味ではないのです。 ここでの“最後”は“死”っということ。 いやいや別に私が追いつめられたりしている訳ではございませんよ。 ただ、人はいつかは死んでしまうのです。 それがいつかは誰も分かりません。 その死期が近付いている人のお話。ただ、そういうヒトに出会ったという。 |
2003年11月15日 11時26分10秒
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