冬瓜(とうがん)

 

冬の瓜、という名前は冬までもつことからきているそうですが、体を冷やす効果があるのでれっきとした夏の野菜です。

種類が少し違いますが、かんぴょうの元になる夕顔(ゆうがお)というのもあります。

中国語では夜開花と言うように白い花が夕刻より咲くそうです。

夜開花も妖艶なイメージがありますが、もうひとつ夕顔といえば「源氏物語」の物の怪にとりつかれて不幸な最後を遂げる女性を思い出します。

源氏が惚れるくらい美しい瓜ざね顔だったのでしょうか。

不思議とどちらも字を見るだけで涼しい気持ちになります。

外国のスイカ、water melonのような形、表皮は薄い緑色をして、中身は色白の女性のようにふんわりとした肉づきです。

半月型に切って、鶏肉のそぼろといっしょに軽く炒めて、ひたひたのだし汁で煮込みます。

最後にほんのちょっとの砂糖としょうゆをたらして、かたくり粉でとろみをつけます。

懐石料理ではほんの一口しか出てきませんが、中皿にたっぷりとあんをかけて盛ると大胆でいて上品な夏の一品になります。

ヴェトナムのバッチャンで手に入れた皿はアンティークのレプリカですが、貫入の入り方やくすんだブルーに趣があります。

みんなといっしょに、花火を見ながら食べると楽しいですね。

切子のグラスの冷酒とあわせると色っぽいです。

食べ終わったらお皿から魚が踊り出て、ゆかた姿ととても似合います。