作品紹介

あらすじ:「紫木一姫って生徒を学園から救い出すのが、今回のあたしのお仕事」「救い出すって…まるで学園がその娘を拘禁しているみたいな言い方ですね」人類最強の請負人、哀川潤から舞い込んだ奇妙な依頼に従って私立澄百合学園、またの名を<首吊り高校>に潜入した「ぼく」こと”戯言遣い・いーちゃん”は恐るべき殺戮の嵐に巻き込まれる——。新青春エンタの真打ち、<戯言シリーズ>。維新を読まずに何を読む!(本書裏表紙より)

 キャラ :★★★★★
ストーリー:★★★★☆
 結 末 :★★☆☆☆
 総 合 :★★★★☆

 戯言シリーズ第3弾!ここまで来るとつい中身を見ないで即買ってしまいます。うまく出版社側の思惑にはまっているような…これだからシリーズものって言うのは…まぁそれでも中身が面白ければいいのですが。

 「ぼく」を中心として一癖も二癖もあるような人物ばかり集まっている、この戯言シリーズ、今回はどんなキャラが登場するのか…と思いきや、なんと今回はヒロインであるはずの玖渚が出てきません!おいおい…なんて思っていると、今回は哀川と、新登場の一姫が活躍します。あとは敵として萩原子荻、この4人がメインとなって話は進んでいきます。あとは西条玉藻が少し。それと市井遊馬と玖渚が話に出てくる程度で、とにかく今回は登場キャラは少ないです。では今回はキャラに関しては期待できないかと言うと…全然そんなことはありません。一姫がどこか抜けているキャラとして、2巻でいう巫女子のような位置付けで今回の副主人公として強烈なキャラをアピールします。間違った格言はどことなく笑えて、それに対する「ぼく」の突っ込みで爆笑させてくれます。そして、敵の子荻もなかなかのもの。こういう人が現実にいたらぜひとも友達になりたいと思わせてくれます。西条は…登場の機会が少ない為、なんともいえません。この人はもう少し出てもよかったのになぁ、という感じです。最後に哀川。登場する場面自体はあまり多くはないのですが、必ずおいしい役を掻っ攫っていきます。今回の哀川は格好いい!哀川のキャラクターを活かしきったストーリー設定、というか…ということで、今回もキャラクターは魅力たっぷりです。わずか3冊にして既にキャラ作りに関しては保証できます!

 ストーリーは、哀川に頼まれた(無理やりやらされた?)「ぼく」が女子高に潜入して一姫を助け出すことに。しかしその行程でさまざまな障害が…といったものです。それ自体は可もなし不可もなし、といった感じですが、すぐまわりに敵がいると言う、微妙な緊迫感が話を面白くさせています。「ぼく」の戦闘シーンなど、今回は見所がたくさんです。でもやっぱり文章が…まぁここまできたら他がいいから、それには目をつぶるしかないですかねぇ…

 結末に関してはなんともいえません。『ジグザグ』の正体はわかりやすくかったし特にこれと言ったどんでん返しはないし…一応密室のトリックに関して解明されましたが取り立てて言うほどすごくはないです。ほのぼのとした感じは悪くはないのですが、結局大した物ではありませんでした…まぁ、これに関しては次に期待です。

結論:結構いいです。やっぱりキャラクターが素晴らしいからそれを元にしてストーリーを作れる、と言うのは強みですね。結末に関しては今ひとつですがそれ以外は西尾氏が貫禄を見せてくれました。今回は笑えるところが多く、やはり「面白い」という表現がよく合います。それにしても、やっぱり気になる、「いーちゃん」の本名…


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